韓国の日刊紙 中央日報 ハンギョレ新聞への寄稿

韓国の日刊紙 中央日報 ハンギョレ新聞への寄稿      (2016年6月24/25日付)

 市民社会の代表らが集う第66回の「国連広報局(DPI)/NGO(非政府組織)年次会議」が、世界市民教育をめぐって、あすから韓国で開かれる(6月1日まで)。これに先立ち、池田SGI会長が、同国大手の日刊紙である中央日報(24日付)、ハンギョレ新聞(25日付、オンラインの英語版)に「世界市民教育」をテーマに寄稿した。

持続可能な開発目標の達成へ
一人一人に具わる無限の可能性引き出し 地域社会から変革の波動起こせ


 来る5月30日から6月1日まで、アジア初となる第66回「国連広報局/NGO年次会議」が韓国の慶州で開催されます。
 そこでは、「世界市民教育――持続可能な開発目標(SDGs)を共に達成しよう」をテーマとし、国連で新たに採択された2030年に向けての「持続可能な開発目標」の推進などをめぐって、活発な議論が期待されています。
 気候変動や環境保全、防災やエネルギーなど、「持続可能な開発目標」が対象とするテーマは多岐にわたりますが、その取り組みを軌道に乗せるためには、各国政府や国際機関に加え、NGOをはじめとする市民社会の行動の輪を広げていくことが欠かせません。
 昨年9月、「持続可能な開発目標」の採択にあわせて、国連開発計画(UNDP)主催による注目すべきキャンペーンが行われました。地球上に生きる70億の人々に、「貧困の根絶」や「男女平等」など、17分野に及ぶ同目標のメッセージを届けようと、世界各地で計17本の旗を立てるものです。
 このうち「飢餓ゼロ」の旗を、昨年4月の地震で大きな被害を受けたヒマラヤ山脈の村で掲げたのは、ネパール人の女性登山家ニムドマ・シェルパさんでした。彼女自身、子どものころ、飢えに苦しんだ経験があり、国連世界食糧計画(WFP)が提供する給食のある学校に通う中で、夢を抱くようになったといいます。
 世界7大陸の最高峰の踏破という偉業もさることながら、私が深く心を打たれたのは、ネパールでの地震の際、彼女が登山技術を生かして高地にある被災地の緊急支援に携わり、飢餓の解消に貢献したことでした。かつて飢餓に苦しんだ女性が、教育で自身の可能性を開き、夢を果たすとともに、同じ苦しみに直面した人々のために行動する――こうした「教育のエンパワーメント」を通じて、一人一人に具わる無限の可能性を引き出しながら、地域や社会で変革の波動を起こす挑戦を積み重ねていく中でこそ、「持続可能な開発目標」を前進させる道が大きく開けてくるのではないでしょうか。
 今回の会議では、「SDGsの第4の目標に根差し、幅広く市民社会から戦略・専門性・リソースを活用し、参加型で安全で公平な質の高い教育を確保し、万人に生涯学習の機会をもたらす」教育イニシアチブに関する討議が行われます。
 中でも、「持続可能な開発目標」でも明記された「世界市民教育」は、これらの目標達成の基盤として不可欠なものだといえましょう。
 国連の潘基文事務総長も2012年から、教育を国際社会の最優先課題にする「グローバル・エデュケーション・ファースト」のイニシアチブを立ち上げ、その柱の一つに21世紀の複雑な諸課題に取り組むことができる地球市民の育成を掲げています。
 また、「世界市民教育」については、韓国政府が積極的な取り組みを進めてきたことは有名であり、その韓国で行われる年次会議で重要な成果が導かれることを、強く念願してやみません。
 貧困に苦しむ人々の半減を達成した昨年までの「ミレニアム開発目標」の取り組みから、さらに踏み込む形で、「持続可能な開発目標」では、さまざまな地球的課題に取り組む上での前提として、「誰も置き去りにしない」との誓いが掲げられました。
 「最大多数の最大幸福を追求する上で、多少の犠牲が生じるのはやむを得ない」といった考え方が、政治や経済など社会のさまざまな分野でみられ、近年、その風潮が強まってきていることが懸念されます。
 しかし、気候変動の問題一つをとってみても明らかなように、今は自分に関係ないように思えても、長期的にみればリスクと無縁な場所など地球上のどこにもないはずです。
 他の多くの人が直面する苦境を半ば看過するような考え方の行き着く先は、やがて人類の生存基盤をも突き崩しかねないことに、思いをはせる必要があるのではないでしょうか。
 グローバル化が急激に進む世界で、さまざまな出来事が、分かちがたい“関係性の網”で結び付いており、そうした相互依存のつながりに対する認識を「世界市民教育」を通じて実感をもって深めていく。その中で、「自分だけの幸福もなく、他人だけの不幸もない」「他国の人々が悲惨に見舞われている中で、自国だけの平和や繁栄もない」との思いを、国境を超えて市民社会の間で分かち合う土壌が培われていくに違いありません。
 迂遠のようであっても、その土壌を堅実に耕していく努力なくして、2030年に向けた国際社会の共通目標として掲げられた「誰も置き去りにしない」とのビジョンを、現実のものにすることはできないと、私は強く呼び掛けたいのです。
 そして、その時代変革の主役を担う存在こそ、青年です。今こそ、あらゆる場所で、あらゆる機会を通じて「世界市民教育」の潮流を高めつつ、青年世代の連帯の裾野を広げながら、「持続可能な開発目標」の達成に向け、市民社会の側から突破口を開こうではありませんか。
2016-05-29 : スピーチ・メッセージ等 :
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