『平和のためのフォーラム・池田大作 国連提言選集』の出版を記念するシンポジウムへのメッセージ

『平和のためのフォーラム・池田大作 国連提言選集』の出版を記念するシンポジウムへのメッセージ

(2014.2.20 アメリカ・ニューヨークの国連本部内)

 『平和のためのフォーラム──池田大作 国連提言選集』(I・B・トーリス社)の出版を記念するシンポジウム「世界市民と国連の未来」が20日(現地時間)、アメリカ・ニューヨークの国連本部内で開催された。シンポジウムでは、元国連事務次長のアンワルル・チョウドリ博士が議長を務め、ノーベル平和賞受賞者のベティ・ウィリアムズ博士が記念のスピーチを。国連「文明の同盟」(UNAOC)のナシル・アブドゥルアジズ・アルナセル上級代表、ジョン・アッシュ国連総会議長の代理としてポーレット・べセル官房長らが登壇した。池田SGI(創価学会インタナショナル)会長がメッセージを寄せた。

文化の多様性が輝く世界へ
国連こそ人類連帯の中心軸


 明年、国連は創設70年の佳節を迎えます。その創設の歴史的な意義に思いをはせる時、胸に浮かんでくるのが、私の師である創価学会の戸田城聖第2代会長が述べていた──国連は、20世紀の人類の英知の結晶である。この世界の希望の砦を、次の世紀へ断じて守り、断じて育てていかねばならない──との言葉であります。
 第2次世界大戦中、日本の軍部権力と対峙したために投獄された戸田会長が、出獄を果たしたのは、サンフランシスコで国連憲章が採択された1週間後のことでした。
 その憲章の前文には“一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救う”との崇高な目的が謳われていますが、戸田会長は、戦争をはじめ人類が直面する問題を根本的に解決するには、一人一人の民衆の内なる力を引き出し、国境を越えた連帯を強めて行動することが基盤になると考え、「地球民族主義」を提唱し、民衆の連帯の中心軸は国連以外にないと訴えたのであります。

師の心を継ぎ一貫して支援
 私どもSGI(創価学会インタナショナル)が国連を一貫して支援してきたのも、戸田会長の“地球的な視野に立脚した民衆の行動”の重要性に対する確信と“問題解決の中心軸としての国連の使命”に対する揺るぎない信念を、精神的淵源としてきたからにほかなりません。
 師の遺志を継いで、1960年10月、私が世界への平和運動を本格的に開始するにあたって、第一歩をしるしたのがアメリカでした。その大きな目的の一つは、ニューヨークの国連本部を訪問することにありました。
 「アフリカの年」とも言われた当時、新たに加盟したアフリカ各国の代表が“国連を通じて、より良い世界をつくりあげたい”との息吹で総会での討議に臨んでいた姿は、今も鮮烈に覚えています。
 国連の歴史をひもとけば、私が訪問した10日後の「国連デー」(10月24日)に、ハマーショルド事務総長の提案で、ベートーベンの「交響曲第九番」の全楽章を通して演奏が行われたことが記されています。
 席上、音楽にも造詣が深かったハマーショルド事務総長は、“第九”の楽曲構成における展開を、利害やイデオロギーの衝突が絶えない人類の歴史になぞらえて、「第四楽章が第一楽章に打ち勝つという信念をわれわれは決して失うことはないだろう」との希望を述べた上で、「その進化のプロセスは全員がかかわり、責任を分かち合ってゆくものである」と強調しました(ペール・リンド、ベングト・テリン著「自然と文化──ハマーショルドが愛したもの」、ステン・アスク、アンナ・マルク=ユングクヴィスト編『世界平和への冒険旅行』所収、光橋翠訳、新評論を参照)

対話の力で文明を結べ
 翻って現代において、このハマーショルドの信念と共鳴音を響かせるように、世界平和のための努力を重ねておられるのが、さまざまな文化や伝統が交差する中で生じる緊張や危機の悪化を防ぎ、相互理解と共生の世界を目指す「文明の同盟」のイニシアチブを推進されているアルナセル上級代表であり、国連の「平和の文化」に関する取り組みに尽力を続けてこられたチョウドリ元事務次長であり、北アイルランドの和平に加えて、子どもたちの生命と人権を守る活動をされてきたウィリアムズ会長であります。
 この点、昨年10月にアルナセル上級代表が、多文化主義をテーマにしたブカレストでの会議で、世界で今なお不寛容や外国人嫌いの風潮が根強いことに言及しつつ、「しかし、希望のサイン(兆候)はあります。私たちが、困難な危機を乗り越え、さまざまな人々や文化が共に生きるという希望です。だからこそ私は、こうした対立を緩和するための鍵を握る手段として『宗教間対話』と『文化間対話』を支援するのです」と述べられていたことに、私は非常に勇気づけられる思いがしました。
 私自身、世界の多様性の源であるはずの差異が“排他の記号”と化して社会を分断したり、集団心理や悪意の扇動によって憎悪と暴力が渦巻く「戦争の文化」の激流が強まることに歯止めをかけるために、微力ではありますが、異なる宗教や文化的背景を持つ各国のリーダーや識者との「対話」に取り組んできたからであります。

人間を高める教育の挑戦を
 また、1983年以来、毎年発表を続けてきた平和提言でも、そうした風潮に押し流されない精神の防波堤を築くために、「世界市民意識の涵養」の重要性を繰り返し訴えてきました。先月に発表した提言でも、今年で終了を迎える「持続可能な開発のための教育の10年」に続く、国連の枠組みとして「世界市民教育プログラム」を新たに設けることを提案し、その骨格に据えることが望ましいと考えられるものとして、大要、以下の3点を挙げました。
 一、「どんな困難な問題でも人間が引き起こしたものである限り、必ず解決することはできる」との希望を互いに共有していくための教育。
 一、グローバルな危機の兆候が表れやすい足元の地域において、行動を起こしていくための力をエンパワーメントで引き出しながら、連帯して問題解決にあたることを促す教育。
 一、他の人々の苦しみを思いやる想像力と同苦の精神を育みながら、「他の人々の犠牲の上に、自分たちの幸福や繁栄を追い求めない」ことを共通の誓いに高め合うための教育。
 国連の瀋基文事務総長も2年前に「グローバル・エデュケーション・ファースト」の運動を立ち上げ、柱の一つに地球市民の育成を掲げています。
 世界市民の連帯こそ国連の未来を照らす希望の光源であり、今回の会議がその道を広げる一助となれば、これに過ぎる喜びはありません。
 たくさんの星々がそれぞれの美しい光を放ちつつ、星座を形づくって夜空を荘厳するように、文化の多様性が互いの尊厳を輝かせる世界の建設ヘ──国連創設70周年を機に、こうした教育を軸にした挑戦を本格的に開始すべきではないでしょうか。
 結びに、ご臨席の皆さま方のご健勝とともに、関係諸団体の益々のご発展をお祈り申し上げ、私のメッセージとさせていただきます。
2014-03-03 : スピーチ・メッセージ等 :
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