随筆 我らの勝利の大道 No.66

随筆 我らの勝利の大道 No.66
              (2012.1.16付 聖教新聞)
師弟常勝の関西魂

築こう! 自他共の勝利の金字塔

真実と正義は勝った
いざや前進 新たな歴史を朗らかに


 巌窟王
  三世に勝ち抜け
     大関西

 「関西魂」とは──
 「負けじ魂」である。
 「不屈の魂」である。
 「師弟の魂」である。
 「団結の魂」である。
 「常勝の魂」である。
 ゆえに、脈々と受け継がれている「関西魂」こそ、学会永遠の宝なのだ。

無罪判決から50年
 それは、50年前(昭和37年)の1月25日。厳寒の日々にあって、希望の扉を開くように柔らかな光が差し込む朝であった。忘れもしない「大阪事件」の無罪判決の日である。
 「池田大作は無罪」──裁判長の凛然とした声は、今でも耳朶から消えない。
 法廷から関西本部に戻る車中、銀色に輝く堂島川を見ながら、師を偲び、勝利の報告をした記憶は、昨日のことのように鮮明である。
        ◇
 「大阪事件」は昭和32年に起こった。創価学会という新たな民衆の平和勢力の台頭を阻もうと、国家権力が牙を剝いたのだ。そして関西での大発展を指揮する私が標的となり、不当逮捕されたのである。
 もとより、私に着せられた選挙違反容疑など全く事実無根である。だが、担当の弁護士は、私に言った。
 「無実であっても、検察の主張を覆すことは難しい。有罪は覚悟してほしい」
 日本では、検察が起訴した刑事事件の有罪率は99パーセント以上だと言われてきたとはいえ、あまりに情けない弱腰であった。
 権力の横暴の前に、真実と正義が押しつぶされる。何の罪もなき人間が、闇に葬り去られる──そんな不当な壁、不条理の壁を、後世のために打ち破りゆく戦いでもあったのだ。
 「無実の事で罰せられる以上の不正はまさしくない」──これは、18世紀フランスの言論の闘士ボルテールの憤怒であった。
 彼は「人は正義を要求するときにきわめて強力」になると断言した。
 戸田先生の最晩年、私が裁判のため大阪に行くことをご挨拶すると、力強く病床から語ってくださった。
 「君は、私のため、学会のために、罪を一身に背負おうとしてくれた」
 「裁判は容易ならざる戦いになるだろう。しかし、最後は勝つ。金は金だ。真実は必ず明らかになる」
 先生の弟子として、断じて勝つ。絶対勝利の誓いを胸に、4年3カ月にわたる法廷での戦いに挑んだ。
 初公判は、昭和32年の10月18日。大阪入りしたのは、前日である。
 「関西の方々に、これからまた長い期間、お世話になりますので、ご挨拶を」と妻も同行した。この晩、4軒ほど同志のお宅を訪問させていただいた。
 初公判の夜には、神戸大会に出席し、大兵庫の友と新たな前進勝利を約し合ったことも、誠に懐かしい。
 無罪までの公判は実に84回。私の出廷は23回を数えた。
 だが、この法廷闘争のための一回一回の関西訪問もまた、大好きな関西の同志と私が共に綴った黄金不滅の共戦譜となった。
 さらにまた、この「大阪事件」の真実の歴史を、未来部時代に学んだことが契機となって、庶民を護り、正義を護り抜く力ある弁護士が多数、誕生していることも、嬉しい限りだ。
        ◇
 常勝の
  大関西の
    婦人部に
  幸福 燦たれ
    諸仏も護れと

 私の「無罪判決」を、誰よりも真剣に、そして一心不乱に祈り抜いてくれたのは、尊き婦人部の皆様であった。
 朝な夕な「正義」の勝利を、ひたぶるに御本尊に祈念し続けてくださった御恩を、私も妻も、終生、絶対に忘れない。
 母たちの不屈の祈りに、どれほど勇気づけられたことか。まさに「万の力」の励ましであった。
 日蓮大聖人は大難に直面した弟子に仰せである。
 「火にたきぎ(薪)を加える時はさかんなり、大風吹けば求羅《ぐら》(=風を得て大きくなる虫)は倍増するなり」(御書1136㌻)と。
 常勝の母たちは、逆境だからこそ、信心の底力を発揮し、「負けたらあかん」と共に戦ってくださった。
 後に、この1月25日は「関西婦人部の日」となり、今も光り輝いている。
 スイスの大教育者ペスタロッチは、すべての人の内奥にあり、開発せねばならないものを列挙している。
 それは「強い力」「明るい知恵」「崇高な善の可能性」「内面的諸力の確固とした力づよさ」「無邪気さの高き純粋さ」「こまやかな優しさにみちた善意」などである。
 偉大な「関西婦人部」そのままの心であり、姿ではないか。
 判決を翌日に控えた、昭和37年1月24日、私は関西の女子部幹部会、さらに男子部幹部会に出席した。真剣な共戦の心で、兵庫の尼崎市体育館を埋め尽くしてくれた若き丈夫《ますらお》たちに、私は申し上げた。
 「私たち地涌の菩薩は、日蓮大聖人の弟子として、その自覚と信念に立って、不幸な人びとの味方となっていくのです。
 そして本当に、全民衆が、すなわち日本国中の人びとが、安心して幸福に暮らしていける世の中を築き上げようではありませんか!」
 この私の心を心として、関西の不二の友は、いやまして負けじ魂を燃え上がらせ、何ものにも屈しない民衆の楽土の大建設に勇み立ってくれたのである。

戦いはこれからだ
 判決の日、関西本部に戻ると、私は待ってくれていた同志と仏間へ向かい、「大法興隆所願成就」の関西常住の御本尊に、勝訴の感謝の祈りを捧げた。
 居合わせた中に、今の “ヤング・ミセス” の世代のリーダーがいた。肋膜炎を患い闘病していると伺い、皆と共に、師子吼の如く彼女の宿命打開と健康を祈った。
 その友は決然と病魔を乗り越え、今も、はつらつと錦宝会(多宝会)のスクラム固く活躍されている。
 いついかなる時も「一人」の友を励まし、「一人」を立ち上がらせ、共々に新たな前進を開始する。その連続闘争に常勝関西がある。
 この日のうちに私は帰京した。私は友に語った。
 「むしろ、戦いはこれから始まるのだ。
 一つの段階を越えると同時に、次の段階へ向かってスタートする。これが本因妙の仏法のゆえんだよ」
        ◇
 この昭和37年、学会は「勝利の年」と定め、270万世帯達成を目標に掲げて出発した。
 その学会の勝利の突破口を勢いよく開いたもの、わが関西であった。
 関西の友は、一人も残らず、私の無罪を信じてくれていた。そして、それが現実になった時、爆発的な勢いで関西中に──すなわち大阪、京都、滋賀、福井、兵庫、奈良、和歌山の全土で折伏の渦が巻き起こったのだ。
 2月、3月、4月……。月を追うごとに関西は燃えに燃え上がり、5月には、全国の弘教の3割を推進するという、美事な拡大劇を満天下に示したのである。新入会の喜びが各地にあふれた。なかでも男女青年部の躍動は一際光っていたと記憶している。
 この年、学会は当初の目標を大きく超え、一気に300万世帯を達成した。まさに関西の師弟不二の戦いなくして、この拡大勝利はあり得なかったのである。

震災を不屈の心で
 私が共に対談集を発刊した、南米アルゼンチンの人権の獅子エスキベル博士は語ってくださった。
 「『創価』が意味する『価値の創造』は、戦う意欲をかきたててくれます。
 生命の尊厳のため、人間を人間たらしめる価値のため、私たちが創りたい社会に向かって進む闘志がわきます。この闘志は、信仰そして人生の信念から生まれるものです」と。
 明日で「阪神・淡路大震災」から17年となる。私も妻も、すべての犠牲者の冥福を祈り、一段と深く懇ろに追善の題目を送らせていただいている。
 この大震災に際しても、「創価」の闘志漲る関西の大連帯は、地域・社会の依怙依託となり、歴史的な使命を担い立った。
 言葉に尽くせぬ大苦難のなか、わが同志のあまりにも気高き善意の心と、強い団結の力、輝く英知が発揮されたことは、今、不滅の希望の鑑となっている。
 あの時、瓦礫に塞がれた道なき道を、救援物資を積んで走った青年部のバイク隊の雄姿に、皆が驚嘆した。いな感涙した。トラック等での輸送が難しい現実にあって、“なんとかできないか”“なんとかしたい” との真剣な願いが、勇気となり、智慧となって現れた尊き行動であった。
 ドクター部や看護師の白樺会・白樺グループの不眠不休の救護も、自発の役員の献身も崇高であった。
 兵庫の誉れの友は、甚大な試練を乗り越えられてきた。経済不況にも負けず、懸命に奮闘されている。
 さらに「東日本大震災」の復興のためにも、その不屈の心を携えて、被災地の方々に手を差し伸べ、勇気の光を送られているのだ。
 兵庫出身の信念の哲学者・三木清は語っている。
 「忍耐と根気、人間にとってこれが最高のものであるように考えられます」と。
 忍耐強い、根気強い祈りと行動で、共に宿命転換していくのだ。
 これが、学会の草創以来の伝統である。

共感力に希望あり
 御書には「人のために火を灯せば、自分の前も明るくなる」(1598㌻、通解)と記されている。
 最先端の脳科学の知見によれば、脳には共感を司る「ミラーニューロン」という神経細胞があり、目の前の人の喜怒哀楽を、自分の脳でも同じように感じる力が、人間には潜在的に具わっているという。
 「自分のことを思っている人がいる」「自分が人の役に立っている」──被災された方も、献身の行動を続ける方も、共に相手の姿が、生き抜く力を呼び覚まし、心に希望の明かりを灯してくれる。
 ボランティアとは、相手も自分も両方が元気になる尊き行動である。それはまた、相手のための行動が、そのまま自分のためにもなっている一つの証しともいえよう。
 昨年の「紀伊半島豪雨」の際も、和歌山県、奈良県、三重県を中心に、創価の友が死力を尽くして、救援活動に当たってくださった。
 甚大な災難のなか、人と人とが支え合い、助け合う絆の大切さが、あらためて浮き彫りになっている。
 だからこそ、わが創価の友の存在が光るのだ。
 「抜苦与楽(苦を抜き、楽を与える)」のために戦い抜く──この同苦と行動にこそ、人間主義の仏法の真髄があるからだ。
 ここに、慈悲の精神が脈打ち、自他共の幸福拡大運動、すなわち広宣流布のうねりが起こるのである。
        ◇
 「勝利の年」から半世紀を経て、わが大関西は、今再びの陣列を構築せんと戦いを起こしてくれている。それは、そのまま、全国の勝利、全学会の勝利に直結することは、火を見るより明らかである。
 中米ドミニカ共和国の青年リーダーが、憧れの関西を訪れた時、誇り高き常勝の友に、思い切って質問してみたという。
 「常勝関西では、目標を達成できなかったことはありますか?」
 答えは、きっぱりと──
 「ありません!」
 それは、なぜか?
 「目標は、達成するまで掲げ続けるからです!」
 この金剛不壊の関西魂は今や、全世界の青年学会の心意気となった。

永遠に共戦の道を
 本年は関西広布史に輝く一年だ。昭和27年、大阪支部が誕生するや、戸田先生と私が初めて大阪に赴き、西成の地を起点に折伏の烽火を上げて60周年。私が堺に第一歩を印したのも、この時であった。
 関西が常勝不敗を誓った「大阪大会」55周年。長居陸上競技場を舞台に、若き力で不滅の六段円塔を打ち立てた関西青年平和文化祭からは30周年……と幾重にも意義を刻む。
 この一年は、全同志にとっても、新しき「勝利の年」となるに違いない。
 君も、貴女《あなた》も、共に勝つのだ。民衆勝利の新たな金字塔を共に築き上げるのだ!
 「師は針、弟子は糸となつて、たへず稽古有るべき事也」とは、関西に縁《えにし》深き剣豪・宮本武蔵の『五輪書』の一節である。
 師も弟子も弛みなく進むのだ。前途を開くのだ。
 永遠に「師弟共戦」であり「師弟常勝」である。
 私と共に、正義の民衆が必ず勝つための大道を切り開いてくれた大関西の家族よ、わが地涌の同志よ!
 時は来た。勇み立とうではないか! あの晴れ渡る「常勝の空」を仰ぎながら、今日も朗らかに進もう!
 いざや前進、恐れなく!

 学会の
  原動力たる
   大関西
  勝利の模範を
    今年も頼まむ


ボルテールの言葉は 『ヴォルテール書簡集』橋安光編訳(法政大学出版局)。ペスタロッチは 『世界教育学選集35 政治と教育』梅根悟訳(明治図書出版)。三木清は 『三木清全集第19巻』(岩波書店)=現代表記に改めた。宮本武蔵は『五輪書』(岩波書店)。
2012-01-17 : 随筆 我らの勝利の大道 :
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