随筆 我らの勝利の大道 No.63

随筆 我らの勝利の大道 No.63
               (2011.11.12付 聖教新聞)

東北は人類の希望の光

地涌の誇りで「新世紀」を開かん

最も苦労した人が最も幸福勝利を!
師弟共戦の「人材の城」は厳然


 民衆の
  歌声とどろく
   その中を
  馬上も ゆたかに
    法旗かかげて

 杜の都・仙台に生まれ育った大詩人の土井晩翠翁は、青年たちのために多くの歌を作り、贈った。
 「いざゆけ若人明朗と」
 「いざゆけ若人敢然と」
 「青春盛りの歓喜に満ちて 無限の希望に溢れて行かん」
 若き魂の歌声があるところ、佗しい落胆などない。常に新たな開拓が始まる。
 今、全国各地の創価青年大会でも、若人の弾ける命の合唱が躍動している。これほど力強く頼もしい、青春の凱歌があろうか。
 思えば、50年前(昭和36年)の11月、私は大好きな東北の同志と、大空に届け、未来へ響けと、声高らかに歌を歌った。

♪ひらけゆく大空に
      舞う若鷲
 日本の柱 師のもとに
 苦悩にあえぐ
      ともどちを
 救わん 地涌の誇りもて

 私の提案に応えて、真剣にして誠実な東北青年部が作成してくれた歌である。「東北健児の歌」という題であった歌に、私は加筆し、「新世紀の歌」と命名させていただいた。
 そこから、新世紀を開きゆく民衆の歌声と足音が、東北発で日本全国に轟きわたっていったのである。
 あの日、あの時、「広宣流布の総仕上げは我らの手で!」と、わが東北の友は誇りも高く叫んだ。その人間王者の師子吼は、21世紀の今こそ、勇気凛々と高鳴っているのだ。

負げでたまっか!
 東北には、創価学会の折伏精神の源流がある。
 東北には、三代の師弟が築いた人材の城がある。
 愛する大東北よ!
 宮城、岩手、青森、秋田、山形、そして、福島の誉れの友よ!
 あの東日本大震災から8カ月……。
 わが東北の同志は、いずこにあっても、信心という「心の財」を抱きしめ、生きて生きて、生き抜いてくださっている。
 一人の友のため、地域のため、郷土のため、未来のために、戦って戦って、戦い抜いてくださっている。
 大難に負けない東北の「勇気の人びと」「不屈の人びと」を仰ぎ見よと、世界中が感嘆している。
 東北の「負げでたまっか!」は、関西の「負けたらあかん!」と共に、世界の同志の共通語となった。
 まさに「試練の中で人間は断固と立ち上がる」という希望の法則を、人類史に実証されているのが、尊き東北の皆様方である。
        ◇
 なかんずく、東北の健気な母たちのご苦労が偲ばれてならない。私の胸には、日蓮大聖人の御賞讃の仰せが迫ってくる。
 「大風が草をなびかし、雷が人を驚かすような世の中にあって、貴女が今まで信仰を貫き通されてきたことは、不思議なことです。
 根が深ければ葉は枯れず、泉に玉《たま》があれば水が絶えないというように、貴女《あなた》の信心の根が深く、いさぎよき玉が心に輝いておられるからでしょう。何と尊いことでしょうか」(御書1479㌻、通解)
 この御文さながらの東北の母たち、女性たちの深く強く清らかな信心を、蓮祖が御照覧であられることは、絶対に間違いない。
 留学中の仙台で、生涯の宝とする師弟の出会いを刻んだ中国の文豪・魯迅は、「深くねばり強い戦いに勝るものはありません」と語っていた。
 仙台での魯迅の記念碑設置に際し、足を運んだ許広平夫人も述懐している。
 「世の中に難しいことなどありません。それは人間の心が堅忍か否かにかかっているのです」と。
 その「粘り強さ」と「人間の心の堅忍さ」を、我らの東北の友は、何と神々しく発揮されていることか。
 東北だからこそ、耐え抜くことができた。
 そして東北だからこそ、勝ち抜くことができる。
 後世の歴史に、必ずや希望の鑑として刻印されるであろう。
 「人々が重大な難問に立ち向かう決意を固めると、最大の歴史形成力が始動する」──これが、英国の慧眼の歴史家トインビー博士の洞察であった。
 ゆえに私は信ずる。
 前代未聞の試練に屈せず、雄々しく応戦する大東北から、新しき偉大な民衆世紀が開かれゆくことを!

民衆の大叙事詩を
 東北の誇り高き要衝の地・福島を舞台に、私は『新・人間革命』「福光」の章を懸命に綴ってきた。
 お陰様で、そのなかで『新・人間革命』の新聞連載も、大きな節目を刻ませていただいた。読者の皆様方のご支援に心から感謝申し上げたい。<11月3日付で通算4726回となり、山岡荘八氏の『徳川家康』の4725回(余話含む)を超え、日本一の連載回数となった>
 連載は、新たに「共戦」の章に入る。創価の師弟が共に心を合わせ、共に戦いを起こすのだ。
 無名にして偉大な同志たち、苦楽を分かち合う真正の弟子たちの大闘争を、永遠に語り継ぐための民衆の叙事詩である。
 それを思えば、一回一回の執筆にも渾身の力が宿るのだ。
 いかなる苦難に遭おうと、人間の無限の可能性の炎は、断じて消えない。
 最も苦しんだ人が、最も幸福になる!
 最も苦労した人が、最も偉大な勝利者と輝く!
 これが日蓮仏法の心だ。
 私か対談した、中国の「国学大師」と仰がれる饒宗頤先生が語っておられた。
 「蓮華は泥中にあっても、それに染まらず、美しい花を咲かせるという『如蓮華在水』は、法華経における主要な正義であり、教育といえましょう」と。
 東北のわが同志は、この仏法の本源的にして根本の法理を体現されている。
 かの釈尊が「法華経」を説き顕したのは、古代インド・マガダ国の都の「東北」に位置した霊鷲山であった。そのインドから見て「東北」に位置するのが、日本である。
 御書には、「法華経は東北の国に縁ふかし」(1309㌻)と記されている。
 この法華経に有縁の日本の東北の同志が、いかなる逆境も勝ち越えて、広宣流布の総仕上げの使命を果たしゆくことは、仏眼《ぶつげん》に照らして、必然といっても決して過言ではあるまい。
 私は、ひたぶるに祈る。
 仏天から最大に信頼されゆく東北よ、寿量品に説かれるままの「我此土安穏」の天地たれ!
 未来永劫に希望の旭日を昇らせゆく民衆の天地よ、皆が幸福を勝ち開く「衆生所遊楽」の宝土たれ!

勇んで友のもとへ
 東北が生んだ近代日本を代表する思想家・吉野作造は、「活動力の本源は何処までも之を宗教的信仰に求めねばならない」と喝破した。
 今、東北創価学会が、信仰の活力と団結力をもって、社会に貢献を重ねていることに、どれほど多くの方々が共鳴と信頼を寄せてくださっていることか。
 私のところには、自らが被災され、試練の生活を続けるなかにあって、生命を奮い立たせ、友のもとへ足を運ばれる報告も、一つまた一つと寄せられている。
 先日も、ある県の支部長会の模様を伺った。
 その集いで、一人の女子部リーダーの発言に、会場は感動に包まれたという。震災でお父様を亡くされた、この乙女は語った。
 「苦しいのは、私だけではありません。もっともっと大変な方々がおられる。父は、私にそのことを教えてくれたのです」
 この華陽の友は、悲しみを乗り越え、同世代の友を入会に導いた。
 何と崇高な「福光」の拡大であろうか。
 亡くなられたお父様も、きっと笑顔で見守っておられるに違いない。
 仏法では、親子の「同時の成仏」が厳然と明かされている(御書746㌻)。
 戸田先生も、しみじみと言われていた。
 「最愛の人間の死という悲しみに直面した時の決意は、最も強く、最も尊く、最も大きい力がある」と。
 大聖人は、若くして父を亡くした南条時光に対し、「いよいよ強盛なるべし。さるほどならば聖霊・仏になり給うべし、成り給うならば来りてまほ(守)り給うべし」(同1512㌻)と仰せになられた。
 どんなに苦しい難があっても、いよいよ強盛な信心に立って、広宣流布のため、人びとのため、社会のために戦い続ける。それが、亡き家族への最高の供養ともなる。
 そこに、生死を超えて家族が一体となり、永遠に福徳に包まれ進みゆく常楽我浄の道が開かれる──。
 これが、御本仏の絶対のお約束である。
        ◇
 東北出身の作家・志賀直哉が、何よりも大事にしていたもの──。それは「ファイティング・スピリット」であった。
 すなわち、これから為すべきことに、断じて挑み、断固として勝ってみせるという「戦う精神」である。
 わが東北の草創の父母たちは、どんなに悪口罵詈されようと、「新世紀の歌」を歌い合いながら、戦う精神の究極である「師子王の心」を取り出して、激戦に立ち向かってきたのだ。
 師弟の「破邪顕正」の闘魂は、今、青年学会の後継の陣列に意気高く受け継がれている。私は嬉しい。

「青葉の誓い」胸に
 「学会は、人材をもって城となすのだ」とは、懐かしき仙台の青葉城址で恩師が叫ばれた遺訓である。
 この師子吼を、胸に響かせながら私は詠んだ。

 人材の
  城を築けと
   決意ます
  恩師の去りし
   青葉に立つれば

 一城築けば、次の一城ヘ──私は、まっしぐらに走った。守りに入れば停滞を生むだけだ。
 我らの城は、何よりも「攻めの城」である。
 「月月・日日につよ(強)り給へ」(同1190㌻)、
 「今一重強盛に御志あるべし」(同1220㌻)と仰せ通りに、いよいよ「決意ます」前進あるのみだ。
 「新世紀の歌」と共に、東北と私を結ぶ歌が「青葉の誓い」である。
 師の遺言の通り、千代《せんだい》に、いな万代までも崩れぬ、永遠不滅の「人材の城」を築く誓いを託したのだ。
 東北の友は、今日という一日も勇んで、使命の最前線に躍り出る。その誓いの行進は、必ずや創価の新世紀を開きゆくに違いない。
 牧口先生の友人でもあった、東北の偉人の新渡戸稲造博士は語った。
 「一日の業《ぎょう》は百年の基礎をも作るべし」
 東北の勝利こそ、日本の勇気の泉である! 人類の希望の光である!
 東北が晴れ晴れと栄えゆくことこそが、未来に「福光」の輝きを放ちゆく人間勝利の大道なのだ!

 忍耐と
  最後の勝利は
    必ずや
   われの心に
    東北健児に

 ──冬を迎えます。風邪などひかれませんよう、大切な大切な全同志の健康と無事故、そして御多幸を、妻と共にいやまして祈ってまいります。合掌


 土井晩翠の言葉は『晩翠先生校歌集』(非売品)。魯迅は「魯迅全集1」所収「ノラは家を出てからどうなったか」北岡正子訳(学習研究社)。許広平は『許広平文集1』(江蘇文芸出版社)。トインビーはカズンズ著「人間の選択」松田銑訳(角川書店)。吉野作造は『吉野作造選集1』(岩波書店)。志賀直哉は『志賀直哉全集7』(岩波書店)。新渡戸稲造は『新渡戸稲造全集8』(教文館)。

2011-11-13 : 随筆 我らの勝利の大道 :
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