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御書と青年 15/16 創価の連帯・人間の善性の結合

池田名誉会長が語る青春勝利の指針
御書と青年 15/16 創価の連帯・人間の善性の結合
  (2010.10.14/28付 聖教新聞)

堂々と語れ! 慈悲とは勇気
御義口伝「喜とは自他共に喜ぶ事なり」
我らは人間の結合を拡大


皆、希望の哲理を求めている。
真実の仏法に出あえた歓喜が
「青年学会」を築いたのです


棚野男子部長 この10月は、池田先生がニューヨークの国連本部で、「21世紀はアフリカの世紀」と展望されて満50年に当たります。
 その佳節に、コートジボワール共和国からの「コートジボワール功労勲章コマンドール章」の受勲、誠におめでとうございます。
 全学会員にとって、これほどの喜びはございません。
池田名誉会長 師弟は不二ですから、牧口先生、戸田先生に謹んで捧げる栄誉です。
 私が拝受する顕彰は、SGI(創価学会インタナショナル)の平和・文化・教育の運動が支持され、讃嘆されている証しでもある。
 ディアゾン理事長はじめコートジボワールの2万人を超える尊き同志は、模範の国民として活躍されています。特に青年部の奮闘が目覚ましい。私は、後継の君たち青年にすべての使命と栄光の大道を譲り、託す思いです。
 50年前、私が「アフリカの世紀」を確信したのは、なぜか。歴史上、最も苦労してきた大地に、独立国家が次々と誕生し、若きリーダーたちが勇んで立ち上がって、清新な息吹で希望の建設を開始していたからです。
 青年には無窮の力がある。いわんや、正しき信仰を持つ青春ほど強いものはない。
熊沢女子部長 今、アフリカは40カ国・地域でメンバーが生き生きと活躍しています。10年以上、内戦で苦しんできた西アフリカのシエラレオネでも、池田華陽会の女性リーダーを中心に活発に座談会を行い、平和へ対話の波を起こしています。

心の空白を越えて

名誉会長 「対話は、弱き者の武器に非ず。強き者の武器なり」──これは、アフリカの賢人と謳われた、コートジボワールのボワニ初代大統領の信念でした。
 君たちの勇気の対話が、いかに大きな力を持っているか。学会の歴史も常に青年が先駆を切ってきた。青年が青年を糾合し、新たな歴史の潮流を起こしていくのです。
 日本も、うかうかしていられないよ(笑い)。
棚野 はい。社会は、ますます先行きが不透明です。友人との人間関係も、携帯電話やメールなど、表面的なつながりはあっても、心を通わせる対話にまでは、なかなか深まりません。
 そのなかで、創価の青年には師が示してくださる未来への指標がある。心から信じられる同志がいる。これほど幸せなことはありません。
 今、日本でも仏法対話の波が広がり、新たに入会を希望する青年が続いています。
名誉会長 うれしいね。
 「二人・三人・百人と次第に唱へつたふるなり、未来も又しかるべし、是あに地涌の義に非ずや」 (御書1360㌻)との御断言に違わぬ姿です。大聖人が、どれほど喜んでくださることか。
 ともあれ、青年は本来、心の底で、汝自身を真に輝かせていける確かな哲理を欲しているのではないだろうか。
 私の青春時代、戦後の混乱期もそうでした。大人たちの態度は、戦前の戦争礼賛から180度、豹変し、青年の心には根深い人間不信が影を落としました。
 しかしそれでも、青年たちは信ずるに足る哲学を求めてやまなかった。
 幸いにも、私は戸田先生に巡りあい、生命尊厳の仏法を知ることができた。
 心の底で渇望していたから、本物に出あえた喜びも大きかった。この時代に入信した青年は多くがそうでした。その歓喜が、当時の「青年学会」を築いたのです。
棚野 戦後の荒野とも相通ずる、心の空白や孤独、精神の荒廃が、現代社会にもあります。雇用の問題も深刻であり、真の生き甲斐ある充実の人生を若者は望んでいます。
 だからこそ、青年部の仏法対話が、社会的にも深い意義を持っていると実感します。
名誉会長 そうだね。
 今ほど人々の心が分断され、人間の絆が弱まっている時代はないかもしれない。
 人間は一人では生きていけない。どんなに強がってみても、孤独な人生はわびしい。本当の幸福感を得ることはできません。孤立した青年が増えていけば、社会もまた、多くの問題に直面してしまうでしょう。
 一人一人が本当に豊かな人生を生きるために、今こそ人間の心を結ぶ哲学と対話が求められているのです。

わが身が「宝」の存在
熊沢 先日、ある女子部員から「私たちの創価の対話は、何を目指しているのでしょうか」との質問を受けました。今のお話にも通じる問いかけだと思います。
棚野 そう聞かれると、一言で「広宣流布です」と答えたくなりますが……。
名誉会長 正しいけれど、その女子部員が聞きたかったことは違うんじゃないかな(笑い)。
 大事な質問です。一つの角度から敷衍すれば、私たちの対話は、「人間の結合」を深め、広げていく運動であると言ってよい。それは「善性の連帯」の拡大とも表現できるでしょう。
 「御義口伝」には「喜とは自他共に喜ぶ事なり」「自他共に智慧と慈悲と有るを喜とは云うなり」(同761㌻)と仰せです。
 私たちの対話が目指しているものは、何か。自他ともの「仏性」の開発です。それは、智慧と慈悲が輝く生命の最高の善性の開放でもある。
熊沢 以前、先生に教えていただいた不軽菩薩の実践を思い出します。人間尊敬の哲学を復興し、万人が尊極な存在とされる時代を築くことですね。
名誉会長 その通りです。でもそれが簡単だったら、こんなに苦労しない(笑い)。
 「難信難解」というように多くの人は、自身に尊極の「仏の生命」が具わっていることが信じられません。我が身が、無限の可能性を持つ「宝の存在」であることに気がつかないのです。
 自分を卑下する人がいる一方で、「自分は特別だ」と傲って他人を見下し、万人が平等に尊貴だとは認められない人もいる。友人と仏法対話をしても、なかなか理解してもらえないという経験は、皆も多く持っているでしょう。
 究極的に言えば、私たちの対話は、不幸と分断を生み出す魔性との戦いであり、人間への不信と憎悪をもたらす無明との闘争といえる。
 御書には、その激しさについて「第六天の魔王・十軍のいくさを・をこして・法華経の行者と生死海の海中にして同居穢土《どうこえど》を・とられじ・うばはんと・あらそう」(同1224㌻)と記されています。
 折伏も、友好拡大も、家庭訪問も、すべて相手の仏性を敬うという哲学の実践です。エゴと不信が渦巻く社会の中で、これほど人間を信頼し、行動を重ねている団体が、どこにあるだろうか。

仏の種は必ず花開く
棚野 あのマハトマ・ガンジーの精神を受け継ぐ令孫のアルン・ガンジー氏(ガンジー非暴力研究所創設者)も、「人間を人間として尊敬できる自分になる。そうした一人一人の行動が徐々に広がっていくしか、社会を変え、世界を変えることはできません」と語られました。そして、創価の「人間革命」に、その希望を見出しておられました。
 普通だったら、これ以上は無理だとあきらめることも、学会の先輩方は粘り強く対話を続けて、道を開かれました。
名誉会長 御書には「仏をば能忍」(同935㌻)、「忍辱の心を釈迦牟尼仏」(同771㌻)と仰せです。この御金言を、悪世末法で体現してきたのが、わが同志です。
 たとえ反発されようとも、相手に仏性が具わることを信じるからこそ、折伏をするのです。それが友人に対する最高の尊敬の行動となる。
 仏法対話は、お互いを高め合う道です。語りかけた分だけ、相手の仏性が目覚めて動き始める。とともに、こちらの仏性もいよいよ強くなる。
 大聖人は「法華経を耳にふれぬれば是を種として必ず仏になるなり」(同552㌻)と仰せです。
 仏法を語り、「仏の種」を友の心に植えていくならば、それは必ず花開いていく。
棚野 私も、大阪の友人を折伏するために、半年間、毎週のように東京から彼の家に通ったことがあります。必死に祈り、対話したにもかかわらず、その友人は信心をするには至りませんでした。
 本当に落ち込みました。でも、驚いたことに、隣の部屋で友人の母親がじっと話を聞いていたのです。そして、以前からその方を折伏していた私の母に「信心をしたい」と言って入会しました。
 10年後には、長年の祈りが結実し、私の友人も御本尊をいただくことができたのです。この対話を通して、相手を信じ抜くことの大切さを学びました。友人との絆も、いっそう強くなったと思います。
名誉会長 いい話だね。
 なぜ、一人の男子部の真剣な叫びが相手の心に響くのか。なぜ、さわやかな女子部の笑顔が、固く閉ざされた心を開くのか。なぜ、英知の学生部の熱誠が、友の命を揺り動かすのか。それは、皆の生命に偉大な「対話の力」が備わっているからです。
 法華経には地涌の菩薩の特質として「難問答に巧みにして 其の心に畏るる所無く」と説かれている。若き地涌の君たちは、この悪世に広宣流布を実現する開拓力、突破力をもって出現しているのです。
 根本は勇気です。凡夫にとって、慈悲に代わるのが勇気だからです。「勇気の対話」が「慈悲の対話」に通ずる。
 最も地道な対話こそ、最も確実な「善の行動」です。「幸福の拡大」です。人間の心を結びながら、人類の境涯を変えゆく、壮大な「人間性の復興」でもある。

「火花」を散らして
熊沢 先生は「対話の力」「振る舞いの力」で、全世界に友情と平和の連帯を広げてこられました。36年前には、内外に反対の声が渦巻くなか、冷戦下、中国に続いてソ連も初訪問されました。
名誉会長 当時、日本では、ソ連に対して“怖い”というイメージが先行していました。私は「ソ連が怖いのではない。ソ連を知らないことが怖いのだ」との信念をもって、対話に踏み出しました。
棚野 池田先生は、ゴルバチョフ大統領とモスクワのクレムリンで初めてお会いされた時(1990年7月)、「きょうは、大統領と“けんか”をしに来ました!」と語られました。これには大統領側の通訳も一瞬、ドキッとしたようです(笑い)。
 先生は、「火花を散らしながら、何でも率直に語り合いましょう。人類のため、日ソのために!」と続けられました。胸襟を開いて、人間として対話を──その言葉から始まった会見で、大統領は訪日の意向を明言しました。翌春に、ソ連の最高指導者として初めて日本を訪れ、約束を果たされたのです。
熊沢 私たちは、先生と奥様に人間外交の究極の模範を学び、自分のいる使命の場所で、友情と希望の対話の波を広げていきます。
名誉会長 仏法の生命観に照らせば、国家や民族を超えて、人間は皆、十界互具、一念三千の当体です。同じ人間として、幸福を願い、平和を求める心に違いがあろうはずがない。
 これが、根本精神です。

苦境こそ成長の好機《チャンス》
深き祈りで全てを善知識に!


大風を前進の力に
棚野 今の青年層には、職場でも人間関係の悩みを抱えている人が多くいます。同僚との深い関わりを避けてしまい、円滑な関係がつくれなかったり、他方では、すぐに感情的になって衝突してしまったり……。
名誉会長 さまざまな見方はあると思うけれども、やはり根っこには、他者への不信や、その裏返しとしての自信のなさがあるのではないだろうか。時代状況とも無縁ではないでしょう。
 御書には「末代濁世の心の貪欲・瞋恚・愚癡のかしこさは・いかなる賢人・聖人も治めがたき事なり」(同1465㌻)とあります。
 人間の心が乱れ、濁ってしまうのが、末法という時代です。社会も不安定で、閉塞している。人間同士の葛藤も絶えない。だからこそ、確かな哲学が必要となるのです。
 大聖人の御在世でも、四条金吾は、主君を折伏したことや、同僚の嫉妬の讒言などによって、さまざまな圧迫を受けました。多くの人から目の敵にされました。
 苦境にあった金吾に対して、大聖人は仰せです。
 「火にたきぎを加える時はさかんなり、大風吹けば求羅は倍増するなり」(同1136㌻)と。
 求羅は、風に吹かれるほど体が大きくなるという伝説上の虫のことです。大風という苦難が吹き荒れるほど、自分自身を成長させ、信心を強固にしていけると教えられているのです。
 嘆いていても始まらない。自分が人間革命し、強く賢くなっていく力が、信心です。自分を苦しめる「悪知識」をも、必ず、成長の糧となる「善知識」へと変えていけるのが仏法なのです。

師弟不二の祈りで
棚野 大聖人は他方で、金吾に対して、「あなたは短気であるから火の燃えるようなところがある」(同1169㌻、通解)と、直情型の行動を戒められていますね。
名誉会長 金吾は実直だが、短気な側面もあったようだ。そうした行動で、同僚や周囲の人々と無用の軋轢を生んではならない、と御指導されているのです。
 御書を拝すると、大聖人が門下の性格や状況を熟知され、「ここまで」と思うほど、こまやかに激励されていたことがよくわかります。
 また大聖人は金吾に対し、どんな厳しい状況にあっても「すこしも・へつらはず振舞仰せあるべし」(同1164㌻)と言われています。
 正義の信念に生きる人生は、何があろうとも、徹して誇り高くあらねばならない。臆病になり、卑屈になれば、悪を増長させ、魔に付け入る隙を与えてしまうからです。
 それでは同志を護れない。師匠を貶めてしまう。ゆえに、弟子として胸を張って立ち上がるのです。師匠のため、同志のために勝ってみせると、一念を定めた時、師子奮迅の力が漲るからです。
熊沢 その後、金吾は、病気になった主君の看病などを通して再び厚い信頼を得て、以前の3倍の所領を勝ち取ることができました。
名誉会長 その原動力は、大聖人と心を合わせた「師弟不二」の祈りであり、勇気と誠実の振る舞いです。
 御書には「強盛の大信力をいだして法華宗の四条金吾・四条金吾と鎌倉中の上下万人乃至日本国の一切衆生の口にうたはれ給へ」(同1118㌻)とあります。
 この御指導は、永遠の指標です。学会員は、この御金言を心肝に染め、歯を食いしばって戦ってきた。だから強いんです。
 確固たる哲学に根ざした青年の連帯が、いよいよ光り輝く時代です。君たちの人間革命の光が、地域を照らし、職場を照らし、社会を照らす。
 「創価の連帯」「人間の善性の結合」が国家の宿命を変え、人類の未来を変えていく。世界の人々が、胸をはずませ、君たちの躍進を見守っているのです。

御聖訓 災来るとも変じて幸と為らん
奄美の友よ負けるな!


名誉会長 はじめに、この度の奄美豪雨災害に、心からお見舞いを申し上げます。一日も早い復興を祈念してやみません。
棚野 九州青年部も、壮年部、婦人部の皆さんと共に、全力で救援活動、復旧作業に当たっています。
 奄美の方々も、先生からのご伝言を胸に、毅然と立ち上がっておられるとうかがいました。
名誉会長 わが奄美の誉れの同志は皆、師子です。筆舌に尽くせぬ苦難を、すべて「師子王の心」で変毒為薬してこられた。
 今度のことも、「災来るとも変じて幸と為らん」(御書979㌻)、「大悪をこれば大善きたる」(同1300㌻)との御聖訓の通り、奄美の宝土がいやまして勝ち栄えていかれることを、強く強く祈っております。
熊沢 奄美の広布の母たちは、何があっても「いぬちんかぎり、きばらんば(命の限り頑張らなければ)」を合言葉に乗り越えてこられました。名誉会長 日蓮大聖人は厳然と仰せになられています。
 「かかる御本尊を供養し奉り給ふ女人・現在には幸をまねぎ後生には此の御本尊左右前後に立ちそひて闇に燈の如く険難の処に強力を得たるが如く・彼こへまはり此へより・日女御前をかこみ・まほり給うべきなり」(同1244㌻)
 創価の母たちをはじめ大切な大切な奄美の友を、仏菩薩も、諸天善神も、守りに護れと、私は妻と共に真剣に題目を送っています。
棚野 先生が以前、奄美の友に贈られた和歌に、こうあります。

 我が人生
  断固と勝ちゆけ
    奄美から
   子孫末代
     栄ゆる戦と

 私たちも鹿児島の雄々しき同志と心一つに題目を送り、応援させていただきます。
熊沢 今回、全国ブロック長・白ゆり長大会(本部幹部会)では、同じく鹿児島県の屋久島と、池田先生の故郷である大田区の代表のお二人の活動報告に、大きな感動が広がりました。
名誉会長 こういう尊き方々が、学会を守り、支え、広げてくださっている。
 大聖人も、どれほど誉め讃えてくださるか。佐渡の阿仏房への御文には、「末法に入って法華経を持つ男女の・すがたより外には宝塔なきなり」(同1304㌻)と仰せです。
 広布に生きる学会員こそ、尊極の生命の宝塔なのです。

大聖人 法華経を持つ人は父母の恩を報ず
わが心に人間革命の太陽を
根本は自分! 家族を照らしゆけ


家庭は人間の「大地」
棚野 今回のお二人の体験では、最前線での拡大、身近な地域への貢献とともに、麗しい「一家和楽」の功徳の実証に大拍手が送られました。
 国民を対象に「あなたにとって一番大切なものは何か」を問う調査があります。最近では、半数が「家族」を挙げており、この答えは約50年で5倍にも増えています。
名誉会長 家族は人間にとって、常に返るべき「原点」であり「大地」といってよい。
 立派な大邸宅に住んで、何一つ不自由がないように見えても、家族の心がバラバラで侘しいという家庭もある。
 反対に、家は狭くとも(笑い)、仲良く温かな家庭は幸福です。どんなに苦労があっても、家族で互いに励まし合い、団結して勝利の城を築いていける。
 「一家和楽の信心」は、戸田先生が残された永遠の指針です。
熊沢 特に最近、社会では、家庭内の不和やトラブルが原因となる事件が目立つようになってきました。
名誉会長 「家が揺らぐところ、すべてが揺らぐ」とは、フランスの大歴史家ミシュレの洞察です。「家庭」を離れて、平和や幸福を論じても、抽象論になってしまう。
 学会は、一人一人の「人間革命」、そして一軒一軒の「家庭革命」という現実に光を当ててきました。地道といえば、これほど地道な、忍耐強い戦いはない。
 しかし、だからこそ、確固として揺るがないのです。
熊沢 わが家も、父は21歳で信心を始めて地域の青年部で薫陶を受け、母は結婚と同時に入会して、地元の婦人部の方に一つ一つ教えていただきました。本当に温かな励ましを受け、育てていただいたそうです。学会の庭に感謝は尽きません。
名誉会長 熊沢さんの活躍を、地域の皆さんも喜んで見守っておられるでしょう。これが学会家族の温かさです。
 伝教大師は、「家に讃教の勤めあれば七難必ず退散せん」(同1374㌻)と記している。
 妙法の音声が響く家庭が増え、地域に生命尊厳の思想が確立されていくことが、いかに重要か。励まし合い、守り合い、支え合う人間の連帯があるところ、どんな災難にも負けない「希望の安全地帯」が社会に広がります。
 ここに、家庭と地域を基盤とした「立正安国」の社会の建設があります。

言葉や振る舞いで、感謝と愛情を示すことです。
それが幸福を創る“音律”となる


親孝行の人たれ
棚野 男子部には、「親が信心に反対です」「妻がなかなか、学会のことを理解してくれない」といった悩みを持つ人がいます。皆、「何とか信心をしてもらいたい」と、祈り、頑張っています。
名誉会長 焦らなくていいんです。私も入信当時、父が信心に反対でした。父と私の間に立って、母がずいぶん苦心してくれたことを思い出します。
 大聖人は「末代の凡夫此の法門を聞かば唯我一人のみ成仏するに非ず父母も又即身成仏せん此れ第一の孝養なり」(同984㌻)と述べておられます。
 まず自分自身が人間革命して、仏の生命を輝かせていくことです。家族を大事にしていくことです。成長して、親を安心させていくことです。
 「一切は現証には如かず」(同1279㌻)です。「道理証文よりも現証にはすぎず」(同1468㌻)です。
棚野 家族ほど、自分の実像をよく知っている人はいません。どんなに取り繕っても、すぐ見破られてしまいます(笑い)。
熊沢 イタリアなど海外でも、入会した青年部員が、生まれ変わったように成長していく姿に驚き、続いて入会する家族が少なくないとうかがっています。
名誉会長 自分が変われば、やがて家族も変わる。根本は自分です。一家の幸福を真剣に祈っていけば、必ず通じていきます。
 恩師の有名な「青年訓」には「青年は、親をも愛さぬような者も多いのに、どうして他人を愛せようか。その無慈悲の自分を乗り越えて、仏の慈悲の境地を会得する、人間革命の戦いである」とあります。
 青年部の皆さんは、どうか、親孝行であってほしい。
 お金がなくても、できることは、いっぱいあるんだよ(笑い)。明るい笑顔。「ありがとう」の一言。一本の電話……。親というのは、それだけで幸せな気持ちになって、元気になるものです。
 不思議な縁で結ばれた家族に、ちょっとした言葉や振る舞いで、感謝と愛情を示していくことが、生きる喜びの名曲となり、人生の名画となる。幸福を創る音律となります。
 大聖人は若き南条時光に、こう仰せです。
 「如何ぞ此の経の力にて我が母の仏にならざるべき、されば法華経を持つ人は父と母との恩を報ずるなり」(御書1528㌻)
 我が父母を絶対に成仏させられるのが、妙法です。妙法を受持し、広宣流布しゆく青春は、それ自体、最高の親孝行の道を歩んでいることを確信していただきたい。
棚野 はい。池上兄弟も、父から猛反対されながら信心を貫き通して、最後は一家和楽の信心を勝ち取りました。

魔に紛動されるな
名誉会長 大聖人は、試練と戦う兄弟に仰せです。
 「第六天の魔王或は妻子の身に入って親や夫をたぼらかし或は国王の身に入って法華経の行者ををどし或は父母の身に入って孝養の子をせむる事あり」(同1082㌻)
 民衆を幸福にさせまい、仏にさせまいとする第六天の魔王の働きは、権力者などの生命に入って、正義の師弟に襲いかかってくる。この魔性に信心を破られてしまえば、一生成仏はできない。広宣流布も断絶してしまう。
 だから、強く賢く、魔を魔と見破って、絶対に紛動されてはならないのです。
 ある場合には、魔の働きは、親や妻子などの家族の身に入って、その人の最も「大切にしている部分」「弱い部分」を責めてくる。
 といっても、その家族の方が魔なのではありません。魔とは、あくまでも“働き”です。家族それ自体は、大切な宝です。
 ですから自分の信心を試してくれるのだと受け止め、勇気を奮い起こして祈り、境涯を開けば、必ず「善知識」に変わっていきます。
 これが妙法です。日蓮仏法では、一切を大きく包みながら、良い方向へと生かしきっていけるのです。
熊沢 池上兄弟は大聖人の御指導通り戦い抜き、父親も、ついに正法に帰依しました。
名誉会長 師弟不二の勝利です。師匠の仰せを根本とする、兄弟の団結が勝利をもたらしたのです。
 身近な人が仏法を理解するには、かえって時間がかかる場合がある。それも、自分の信心を鍛えてくれていると捉えていけばいいんです。
 また、信心をしないからといって「一家和楽」が実現できないなどと、窮屈に考える必要もありません。
 信心していなくたって、家族のため、子どものために一生懸命働いてくれるお父さんも、おられる。学会活動を理解して、応援してくれる家族もいる。ありがたいことじゃないか。まさに諸天善神です。心から感謝していかねばなりません。

必ず宿命転換できる
熊沢 友人の中には、両親の不和や暴力などの問題で悩んでいる人がいます。女子部員の中にも、同じような問題に直面してきたというメンバーがいます。
名誉会長 どうか、一人一人の状況をよく聞いて、心から励ましてあげてほしい。問題によっては、その方のプライバシーを十分に尊重した上で、経験豊かな婦人部の先輩方などにも、力になっていただくことです。
 大聖人は、南条時光のお母さんに仰せになりました。
 「法華経をたもちたてまつるものは地獄即寂光とさとり候ぞ」(同1504㌻)
 家族の悩みは千差万別です。しかし、それこそ世界中の学会員が、どんな深刻な宿命をも打開して、幸福を勝ち取ってきたのが、わが創価学会の80年の功徳の実証です。
棚野 今から20年前、池田先生が台風の渦中に、鹿児島の研修道場を訪問された折、一人の役員の青年を激励してくださったお話を先日、うかがいました。
 青年が自分が養子であることなど、生い立ちをご報告すると、先生は、『新・平家物語』の逸話を語ってくださいました。
 ──実の父が誰かわからず煩悶していた若き平清盛に、“じじ”が言うのです。
 “真の父親が誰であろうと、あなたは間違いなく一人の男の児ではありませんか。心を太々とお持ちなさい。天地を父母と思いなさい”と。
 先生は「君が力をつけて偉くなれ! 君が偉くなれば、育ての親も生みの親も、みんな救っていけるんだよ」と励ましてくださいました。
名誉会長 仏法には感傷はありません。どんな境遇であれ、久遠元初の太陽を、わが生命に昇らせて、今世の使命を立派に果たしきっていけるのです。
棚野 今、その青年は世界を舞台に、重責を担い飛び回っています。ご両親も元気に頑張っておられるそうです。
名誉会長 うれしいね。本当によかった。
 ともあれ、御書には「法華経一部を色心二法共にあそばしたる御身なれば・父母・六親・一切衆生をも・たすけ給うべき御身なり」(同1213㌻)と仰せです。
 家族の中で「一人」が本気になって立ち上がれば、全員に妙法の偉大な功徳をめぐらしていくことができる。
 大空に太陽が輝けば、万物を照らしていけるのと同じなのです。
熊沢 女子部でも「一家和楽」を実現し、はつらつと前進するメンバーがたくさんいます。
名誉会長 真剣の一人がいれば、必ず「一家和楽」を実現できる。苦労した分だけ、皆を包容し、励ませる境涯になるのです。
 特に女子部は、青春時代に「幸福の土台」を築いてほしい。「信心の基盤」を確立してほしい。
 焦らずに、自分らしく賢く朗らかに進むのです。そこに一家一族の永遠の福徳と繁栄を開く道があるからです。
 皆、大聖人の子どもです。大聖人に直結する学会は、仏意仏勅の「妙法の家族」であるといってよい。
 今、その“家族”は世界192カ国・地域に広がった。人類の宝です。
 釈尊の教団は「不敗の集い」と讃えられた。君たち青年の熱と力で、「常勝不敗の集い」たる創価の連帯を、歓喜踊躍して、さらに光り輝かせてもらいたいのです。

任用試験の受験者、頑張れ!
行学二道の英雄に


21世紀の青年学会を
棚野 はい。断じて、新たな「人材・躍進」の連帯を広げてまいります。
 教学部任用試験まで、あと1カ月となり、青年部では活発な研さんを行っています。
名誉会長 人材の躍進といっても、根本は一人一人が「行学の二道」に徹し、信心を磨いていくことです。
 同世代の友に大きく「人間の善性の結合」を広げるとともに、自分が勇敢に戦い、成長していくことだ。
 大聖人は「願くは我が弟子等は師子王の子となりて群狐に笑わるる事なかれ」(同1589㌻)と仰せです。そのために、真剣に教学を学んでもらいたい。
 受験する人は、仕事など多忙な中での研さん、本当にご苦労さま。一生の宝となります。一緒に勉強し、激励してくださる先輩方も、よろしくお願いします。
 栄光の創立80周年の「11・18」は目前です。
 君たち青年部が地涌の底力を発揮して、21世紀の新たな「青年学会」を築きゆくことを、私は心から期待し、祈り、待っています。  


 ミシュレの言葉は、長谷川光明訳「ルター」、大野一道責任編集『フランス史III』所収、藤原書店から。平清盛については、『吉川英治全集32 新・平家物語(1)』、講談社から。
2010-10-24 : 御書と青年 :
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