随筆 人間世紀の光 No.212

随筆 人間世紀の光 No.212  (2009.12.11付 聖教新聞)

我らの「大座談会運動」

ここに人間共和の故郷が!
“仏を敬うが如く”一人一人を大切に


共に語ろう!共に進もう
励ましの“座談の園”こそ広布前進の原動力



 君もまた
   そして私も
    晴ればれと
  元初の同志か
    勝利の王者と

 「もっとも快適な集会とは、各員の相互に対する畏敬の念がみなぎっている集会である」
 今から200年前の1809年、ゲーテが小説『親和力』に記した言葉である。
 ──ここで「畏敬の念」とされた個所は、「明るい尊敬」や「晴やかな気分で敬意を払いあう」などとも邦訳されている。
 かの大文豪も、創価の座談会に参加したならば、驚嘆の声をあげるであろう。
 友と友が相互に尊敬の眼差しを交わす麗しき集い。それが、私たちの誇り高き学会伝統の座談会である。
        ◇ 
 「他人の心を発見することによって、人は自らを豊富にする。人は和やかに笑いながら、お互いに顔を見合う」
 フランスの作家サン=テグジュペリの洞察である。
 「それでは、“ザダンカイ”を始めましょう!」
 地球の東西南北、いずこの地でも、その一言とともに笑顔がはじける。
 北極圏の島々でも、南米エクアドルやアフリカのウガンダなどの赤道直下の国々でも、大陸の南端の地域でも、さらに仏教発祥の天地インドでも、民主主義の源流のギリシャ・アテネでも、世界の大都市・ニューヨーク、ロンドンでも、モスクワや香港、マカオでも、“ザダンカイ”は朗らかに開催されている。
 “心の砂漠化”が憂慮される世界にあって、創価の歓喜の語らいが弾む“民衆のオアシス”は、地球上を潤しながら広がっている。今や“ザダンカイ”は世界の友の共通語なのだ。
 この国境を超えた共感の理由は、座談会には「当如敬仏」(当に仏を敬うが如く)と、法華経に説かれた人間主義の精神が脈打っているからだ。
        ◇
 万年の
  創価の道は
    多宝なる
  歓喜と幸《さち》の
   世界の家族と

 日蓮大聖人は「立正安国論」の初めに、「屢《しばしば》談話を致さん」(御書17㌻)と、胸襟を開いた座談の対話を宣言された。
 この大聖人の御心に直結した座談会には、他者を冷笑する無慈悲はない。人を抑圧する権威主義もない。差別もない。感傷もない。
 いかなる苦悩があろうとも、“誰もが幸せになる権利がある”“絶対に幸福になれる”と確かめ合う、温かい「人間尊敬」の励ましと信頼が光っている。
 だから垣根がない。南太平洋の楽園の島フィジーでは、座談会にキリスト教やイスラムなど宗教各界の関係者も加わり、友情の花が咲き広がる。
 座談会は、人種や民族、宗教の差異、社会的立場の相違を超え、苦しみも楽しみも、皆が分かち合う、人間共和の故郷なのだ。
 インドネシアのイスラム指導者でもあられるワヒド元大統領も、座談会の意義に共感して語られた。
 「お互いに良いところを学び合い、お互いに良いところを与え合う──そうしたプロセスこそ人間性をともに高め合う道にほかなりません」
 また、「苦しい時、辛い時にこそ、励まし合い、支え合う。友情は、まさに人生の宝ですね」と。
        ◇
 戦雲が日本を覆う昭和17年の4月、東京は初の空襲を受けた。その恐怖も覚めぬ翌5月、初代会長・牧口常三郎先生は、勇んで中野支部の座談会に出席されている。そして御書を踏まえ、集った40人に大確信の激励をなされた。
 「魔の出るのが法則」、そして、「魔を恐れてはならない、従ってはならない」と。
 広宣流布と宿命転換の戦いには、必ず三障四魔が競い起こることを厳然と教えていかれたのである。
 無差別爆撃の危険に晒されるとともに、軍部政府の民衆統制が強まり、座談会を開くだけでも大変だった。当時、会員に配布された資料の注意事項には、座談会は「警戒警報発令中は中止」とある。特高警察が座談会に来ることも多かった。
 牧口先生が、蒲田にあった私の妻の実家での座談会に出席してくださった時も、特高が監視していた。
 妻は先生のお側についていた。妻の母は、幼い少女が一緒ならば、特高の監視も少しは和らぐと考えたのだ。創価の母は強く賢い。
 牧口先生は、狂気のファシズムなどには断じて屈しなかった。
 逮捕の直前まで、敢然と座談会を、そして確信の対話を続けられたのである。

創価興隆の原点!
 いかなる時代、いかなる社会になろうとも、学会は座談会を根幹に邁進する!
 これが、創立の父の烈々たる信念であった。
 この先師の心を、恩師・戸田城聖先生が寸分違わず受け継がれたのである。
 軍部政府の弾圧で、信心弱く臆病な幹部たちは退転した。だが、尊極の師弟不二の魂は、国家権力の暴圧にも微動だにしなかった。
 「学会の再建にあたっては、座談会の復活が根本である」──昭和20年7月の出獄後、先師・牧口先生の御遺命を継ぎ、復興に立たれた戸田先生は決意なされたのである。
 そして先生は、敗戦から9カ月と経ない昭和21年の5月5日、自ら率先して蒲田の座談会場に赴き、友を励まされた。
 その年の9月には、戦後初の地方指導で栃木を訪問し、座談会に出席された。いな、自ら最高に楽しき座談会を推進されたのだ!
 今、その源流の天地である那須の栃木研修道場には、「座談会の碑」が建立されている。
 私は、両先生を偲び、碑文を贈った。
 「学会再建と発展の軌道は この座談会の地道なそして粘り強い開催をもって描かれた」
 座談会は、「創価興隆の原点」である。生気潑剌たる座談会の勢いがあるからこそ、我らの前進も、拡大も、勝利も生まれるのだ。
 あの「二月闘争」も、「大阪の戦い」も、座談会が大拡大の舞台となった。

自ら歯車を回せ!
 座談会があるから、学会は強い。絶対に崩れない。
 戸田先生は叫ばれた。
 「百万言の耳当たりの良い理論よりも、一つの座談会の実践のほうが、はるかに広宣流布の歯車を回すことになる」
        ◇
 卑劣なる
  迫害 破りて
   決然と
  創価の家族は
   スクラム愉快に

 昭和53年の5月18日──この日、中国方面の最高協議会を終え、私が向かったのは、山口県の大歳《おおとし》支部の座談会であった。
 急遽の出席で、私が会場のお宅の縁側から顔を出すと、驚きの歓声が起こった。家に上がらせてもらうと、皆、緊張気味である。そこで、私が司会を買って出た。“集って良かったと心から思える盛会に”と座談会を進めた。元気いっぱいの未来部も大勢いた。
 嬉しいことに、中国方面では、座談会を通して未来部を育む良き伝統がある。
 笑いが渦巻く家族団欒の温かさのなか、自然に質問会となり、私は友の声に耳を傾け、誠心誠意の励ましを贈ったのである。
 「まじめで愉快な会話がわれわれの力を倍加することは、きわめて確実である」とは、アメリカ・ルネサンスの思想家エマソンの達見であった。
 ともあれ、各人の幸福のための信仰であり、座談会も、その一人の信心を触発するためにある。参加した全員が主役なのだ。
 ゆえに担当幹部と中心者の一念が大切になる。
 真剣に友の幸福を祈り抜いて集うのだ。事前の準備も大事である。一人ひとりに敬意と感謝の心遣いをしていきたい。
 特に、陰で健闘する同志を真心から讃えることだ。
 フランスの思想家モンテーニュは記した。
 「私は他人に立派な点があるのを見れば、それを心から誉めたたえる」「友人たちに見いだした美点は彼らのために喜んで証言する」
 限られた時間では、皆が話せぬ場合も多い。だが、勇気と決意に漲り、和気あいあいと心の通った座談会ならば、誰でも「次もまた来よう!」と満足していけるものである。

幸福勝利のリズムを
 座談会は「地域に開かれた広場」である。
 私は、山口の大歳支部の友に呼びかけた。「参加者は、共々に信心の向上と地域の発展のために尽くすことを忘れてはなりません」
 座談会から、どう社会で勝利を開いていくことができるのか。一人の信仰者として、次の座談会までに、どれだけ前進と勝利の実証を示していけるのか。
 「月月・日日につよ(強)り給へ・すこしもたゆ(撓)む心あらば魔たよりをうべし」(御書1190㌻)とは、日蓮大聖人の厳命であられる。
 リーダーも、副役職の方も、担当幹部も、座談会を軸に据えて、個人の日々の戦い、同志の家庭指導に力を注いでいくことが肝要となる。わが後継の男子部、女子部、学生部の皆さんも、大いに活躍してもらいたい。
 会合の成功だけでなく、当日までの地道な実践が勝負である。
 個人指導、対話の拡大、地域・社会での実証、当日の座談会の充実──座談会に連動したダイナミックな“幸福勝利のリズム”が「大座談会運動」の本質ともいえよう。
 この生命錬磨の連続作業のなかに、学会永遠の指針に示された、「各人が幸福をつかむ信心」も、「難を乗り越える信心」も、「絶対勝利の信心」も、厳然と一人ひとりの胸中に打ち立てられていくのである。
 そして、座談会に集えなかった友には、より懇切な励ましを尽くす。座談会場を提供してくださる同志には、心から感謝の言葉をかけていく──こうした誠実一路の振る舞いも、新時代の「大座談会運動」の要諦であることを忘れまい。
 もう一点、近隣への丁寧な心遣いをお願いしたい。社会の中の座談会だ。自己満足ではいけない。
 駐輪・駐車や、屋外での無遠慮な私語などで、周囲に迷惑をおかけしては、なんのための座談会か。
 戸田先生は教えられた。
 「座談会は、慈愛に満ちあふれた、この世で一番、楽しい会合にしたいものだ」
 「社会が不安で殺伐であればあるほど、絶対に明るい、自信と勇気に充ち満ちた座談会にするのだ」
        ◇
 はるばると
  友好城に
   集い来し
  皆様 守らむ
    梵天 帝釈

 現在、全国各地で本部幹部会の「インターネット中継」が開催されている。
 日本の最西端の与那国島などの離島や、山間部、交通が不便で会館が近くにない地域等々、今まで衛星中継を見られなかった場所で、直結の集いが行われるようになった。終了後、寄せられる喜びの報告を、私と妻は、いつも胸を熱くして拝見している。
 どんなに遠く離れていても、心と心は通い合う。
 私が、あの伊勢湾台風の被災直後に駆けつけてから50年を迎えた三重でも、師弟の思い出を刻んだ写真を大切に飾りながら、会場を提供してくださる友がおられる。
 健気な同志の姿に、ただただ合掌する思いである。
 法華経には、正法が説かれる場で「(人に)勧めて坐して聴かしめ、若しは座を分って坐しめば」、その功徳で梵天・帝釈・転輪聖王の座を得るとある(随喜功徳品第18)。
 会場提供の大功徳が子々孫々まで流れ通うことは、絶対の生命の因果律だ。
 地域に根を張った同志への信頼から、地域の有力者や新来者の方が、衛星中継に喜んで参加してくださっている所も多い。
 「百聞は一見に如かず」
 友人の方からは、映像を通し、仏法の理解が深まったという感想が届く。
 創価の青年のパワーに感動し、最後に一緒に唱題をされる参加者もおられるようだ。

小単位の対話から!

 あの地にも
  また この天地も
   勝ち戦
  地涌の凛々しき
    正義の若武者《きみたち》

 「小さな集い」には人の心を変える力がある。
 以前お会いしたアメリカの女性木版画家・スモックさんが、人権の闘士・キング博士の思い出を語ってくださった。
 「キング氏とは、氏の亡くなる数週間前に、少人数のミーティングに参加したことがあります」
 それは、極めて啓発的な場となったという。
 「彼との対話によって、私の考えは発展し、脱国家、多文化といった、新たな文化のパラダイム(基調の考え)が必要であると考えるようになったのです」
 スモックさんは、このミーティングを節に、「文化の橋渡し」を自身のライフワークと定め、大活躍されるようになるのである。
 第2次世界大戦下、ナチスの侵略をはね返したフランスのレジスタンス(抵抗)運動もまた、“小さな強き集団”による戦いであった。血の通った小さな集まりが冷酷な独裁組織に打ち勝った、重大なる歴史である。
 私が対談したミッテラン元大統領をはじめ、アンドレ・マルロー氏、ルネ・ユイグ氏も、レジスタンスの闘士であった。
 ある研究者の方は、このレジスタンス運動の“団結の要”として、「唯一つ奪うことの出来ない手段があった、それは会話である」と分析されている。
 そして、同志間の自由で率直な会話の結果として、小グループが生まれ、共同目標が設定されていったと考察しているのだ。
 「小単位発」──これが最も地味にして、最も強力な勝利の源流なのである。
 私の平和の大闘争も、座談会から始まった。
 昭和22年、終戦記念日を迎える前夜の8月14日、蒲田の座談会で、初めて師・戸田先生にお会いできたのである。
 今、新たな「大座談会運動」のうねりが頼もしい。
 50年先、60年先まで、広宣流布を担い立つ地涌の若人が欣喜雀躍と広がりゆくことを、私は妻と共に強く深く祈る日々だ。
        ◇
 釈尊は、5人との語らいから説法をスタートした。
 大聖人も「少少の大衆にこれを申しはじめて」(御書894㌻)と仰せの通り、少人数の法座から、末法万年尽未来際への広宣流布の波を起こされたのである。
 「座談」の「談」の字には「炎」が躍っている。
 心が燃えてこそ、座談も熱をもつ。
 さあ、広布への情熱に燃えた「大座談会運動」の勢いで、自らが「人間革命」しながら、「創価完勝」の突破口を開こう!
 青年部よ立ち上がれ!
 婦人部よ朗らかに!
 壮年部よ勇んで集え!
 混迷の社会の暗雲を振り払い、勝利の凱歌を響かせていくのだ!
 輝ける創立80周年は、座談会とともに勝つ!

 千万の
  創価の友を
    讃えなむ
  元初の誓い
   果たしゆくまで


 ゲーテの言葉は『親和力』実吉捷郎訳(岩波書店)。また、言及された別訳は吹田順助訳、浜川祥枝訳。サン=テグジュペリは『世界文学全集40』所収「人間の土地」堀口大学訳(集英社)。エマソンは『エマソン選集4 個人と社会』原島善衛訳(日本教文社)。モンテーニュは『エセー』原二郎訳(岩波書店)。レジスタンスに関する論評は、淡徳三郎著『抵抗』(創藝社)=現代表記に改めた。
2009-12-12 : 随筆 人間世紀の光 :
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