インドネシア大学「名誉哲学・平和博士号」授与式
インドネシア大学「名誉哲学・平和博士号」授与式 (2009.10.10 創大記念講堂)
東南アジアが誇る最高峰の名門・インドネシア大学から10日、創価大学創立者の池田SGI(創価学会インタナショナル)会長に「名誉哲学・平和博士号」が贈られた。SGI会長の不屈の平和闘争と、人類を結ぶ対話の軌跡を讃えたもの。授与式は同日午後、東京・八王子市の創大記念講堂で盛大に挙行され、インドネシア大学が海外で行う初の授与式となった。同大学のグミラル学長、プルノモ理事長、ビラン教授会議長および、名誉博士号の授与運営委員会など代表団、アンワル駐日大使はじめ大使館一行が列席。また、中国・天津市の文化広播影視局の金副局長一行、英国の第8代エルギン伯爵(日英修好通商条約の使節団代表)の末裔であるブルース伯爵一行、創価学会インドネシアの代表をはじめ、海外・国内の来賓も祝福を贈った。式典に先立ち、第39回創大祭、第25回白鳥祭記念する「創価栄光の集い」が開催された。
グミラル総長授章の辞
池田博士の生涯の哲学がここに‼
すべては一人の人間革命から
「書く」ことは「生きる」こと
数千の著述で友の心に光を
本日、創価大学記念講堂での荘厳な学術式典において、私、インドネシア大学学長のグミラル・ルスリワ・ソマントリは、池田大作博士に対し、ここに謹んで、「名誉哲学・平和博士号」を授与いたします(大拍手)。
池田大作博士の生涯にわたる哲学、人生の主題は、「一人の人間における偉大な人間革命は、やがて一国の宿命の転換をも成し遂げ、さらに全人類の宿命の転換をも可能にする」であります。
池田博士は、卓越した指導者であり、教育者、精力的な文筆家、平和活動の先駆者、そして現代世界を代表する実践的な哲学者の一人であられます。
作家としては、深遠なる内容に富んだ作品を著し続け、教育、政治、哲学にわたる重厚な著述を通して、輝かしい思想の数々を発表しております。
それに加えて、文明を発展・促進させ、世界平和を育むために、研究所や文化・教育機関を設立するなど、多くの活動にも取り組まれております。
池田博士は、数千編にもおよぶ詩文や随筆、平和提言、大学講演、論文などを書き述べておりますが、博士にとっては、書くことはまさに、人間の生そのものと同等の価値を有するものであります。
そして、著作と思考を通して、できるだけ多くの人に一筋の希望を与え、真実の松明を灯したい、とのお考えなのであります。
池田博士はまた、優れた教育システムのもととなる、実用主義的な哲学に注目されております。
博士の実用主義的な哲学においては、理論と実践の関係性が強調されておりますが、それは、導かれた行動の結果を通じて明らかになるように、経験と人間性の密接なつながりを深く反映しているのであります。
そして、博士は強い決意のもと、普遍的な人間性の価値を創造し、深化するための戦略的な場としての、優れた教育システムのなかで、教育哲学を宣揚しておられます。
哲学の持つ変革の力に関するこのご構想は、教育、政治、宗教をはじめとするすべての人類文明のプロセス、特に世界平和を推進する過程において、決定的な役割を果たすことができるものといえましょう。博士は、我々の未来は、深い哲学と現実の行動とが合わさって築かれるものであると確信しておられるのであります。
池田博士は常々、精神性こそが人間の内面を変換する源であり、人間同士の関わり合いに影響を与えるものであるとして、最も重要視しておられます。そして仏法の精神性が、人間の内面の変革を促し、強めることによって、現実の日々の生活における困難に対する創造的、かつ建設的な解答を形成することができると確信されています。宗教とは、真の文化、教育、科学と、恒久平和を育むためには欠かすことができない本質的なものなのです。
人生とグローバルな問題に対応すべく、池田博士は、仏法の基本的な教義から実用的かつ重要なポイントを的確に捉え、宗教という変革の力、生命の普遍性、社会的な責任、持続可能な発展と開発といった、諸々の価値を開拓してこられたのであります。
仏法は、その主要なる原理として、生きとし生けるものとの調和や、人間主義のもとに結び合う「人の道」を説いています。
博士は、公平な経済、戦争から平和への転換、異民族間の協調関係、市民的自由といったことに尽力するとともに、何よりも重要なこととして、教育に力を注ぎ、教育機関の機能強化といった社会変革のための活動に貢献していらっしゃいます。
創価精神のもと、池田大作博士は経済、平和、異なる人種および国との関係、教育の果たす役割の強化といった分野で社会変革運動に積極的に取り組んでおられるのです。
「一人の幸せのための教育」をつくりあげ、それをもって平和を守り、強め、支えていかねばならない、とされております。
平和は、一朝一タで遂げられるものではありません。常に平和を支えゆく、生き生きとした知恵が求められるのです。
池田博士は、そのことを知悉し、幾多の世界の指導者たちと対話し、永続的な平和が次世代の青年たちの光明となることを願い、知恵という長期的な重要性を待ったエネルギーあふれる遺産をつくっておられる。博士は、これらをもって、人間の文明と平和の推進、そして永遠の真の世界平和実現を目指しておられるのです。
以上が、池田大作博士に、わがインドネシア大学から、「名誉博士号」を授与する理由であり、これをもって池田博士に対する授章の辞とさせていただきます。
(日本語で)池田先生、おめでとうございます(大拍手)。
創立者のスピーチ
さあ平和の大航海へ出発
勇気 智慧 勝利を合言葉に
一、今、私の心に勇壮に響きわたる歌声があります。
それは、貴大学の愛唱歌の一節です。
「インドネシア大学は、我らの大学なり。
……学生よ、快活なる歓喜の魂よ!
尊き使命に眼を開き、学業に身を捧げよ!
……苦悩する民衆の声に応えるために、我らは魂を燃え立たすのだ」
なんと崇高な貴大学の精神でありましょうか!(大拍手)
学問の人に!
一、大学は、学問する人の集まりであり、優秀な人の集まりでなければならない。
創大生、短大生の皆さんも、徹して勉強するのです。また親孝行するのです。頼むよ
〈「ハイ」と元気よく返事が〉
北海道出身の人?
〈「ハイ」と返事が〉
九州出身の人?〈同〉
沖縄出身の人?〈同〉
インドネシア出身の人?〈同〉
全国、全世界から集ってきた皆さん、創価大学、女子短大に来てくれて、本当にありがとう!(大拍手)
一、心から尊敬申し上げるグミラル学長、プルノモ理事長、そして、アンワル大使をはじめ、尊き諸先生方を、私たちは、熱烈に歓迎申し上げようではありませんか!(大拍手)
ご来賓の先生方も、はるばると遠いところ、錦州の創価大学へ、本当にようこそ、お越し下さいました。ありがとうございます(大拍手)。
「多様性の中の統一」を掲げて
一、貴インドネシア共和国は、「多様性の中の統一」という人類共生の大哲学を、高らかに掲げておられます。
その先頭に立つ貴インドネシア大学は、世界のいずこにもまして「開かれた心」が光る、平和創造の大殿堂なのであります(大拍手)。
何ものにもかえがたい、貴大学からの「名誉哲学・平和博士号」の栄誉を、私は、わが愛する創大生、短大生、さらに大切な大切な留学生の皆さん、そしてインドネシアの敬愛する友人だちとご一緒に拝受させていただくことができました。
これほどの光栄はございません。心より、厚く厚く御礼を申し上げます(大拍手)。
スマトラ沖地震 被災地の復興を祈念
「現代に甦った哲学者の対話」
一、きょうの儀式をぜひ、見ていただきたかった方が私の胸の中におります。
それは、20世紀を代表する大歴史家アーノルド・トインビー博士であります。
もう40年近く前、私は、招待を受けて、ロンドンの博士のご自宅にうかがいました。
対談のテーマは、仏法の生命論から、核兵器や環境破壊の問題など多岐にわたり、何度も何度も語り合った。
後に対談集として出版されました。幸いにして、対談集には、各界から高い評価の声をいただいています。
創価の英才の皆さん方は、私か命を懸けて切り開いてきた対話の道、友情の道に続いていってください。
〈トインビー博士との語らいは、1972年(昭和47年)5月から、2年越し40時間に及んだ。
対談集『21世紀への対話』(英語版は『生への選択』)には、各界から「人類の教科書」「世界の文化の道しるべ」「喧噪と対立の現代によみがえったソクラテスの対話」等の声が寄せられている。現在までに世界28言語で出版されている〉
トインビー博士
貴国の「開かれた心」に期待‼
寛容と調和の希望島
一、トインビー博士は、訪問した貴国の印象を、深い感慨を込めて私に語ってくださいました。
また博士は、貴国には、「世界宗教が共存する寛容性」があり、「大自然と調和する文化の創造力」があり、そして、「未来を開く教育への大情熱」があると、鋭く注目されていたのであります。
さらに博士が、「希望の島」と呼び、大発展を期待されていたのが、貴国のスマトラ島でありました。
このたびの「スマトラ島沖地震」(9月30日)の甚大な被害に対しまして、この席をお借りし、重ねて、心からお見舞いを申し上げます。
私たちは、一日も早い復興を、強く深く、お祈り申し上げるものであります。
〈ここで全員が立ち上がり、被災地の方々に黙祷を捧げた〉
インドネシア大学
民衆奉仕の大指導者を幾十万と
世界市民の哲学
一、貴大学のモットーは、誠に力強い。
それは「真理」 「誠実」、そして「正義」であります。
私は大学の創立者として、多くの大学のモットーを研究してまいりました。
「真理」「誠実」「正義」──ここにこそ人道の真髄があり、人間性の極意があると共鳴を覚えるのは、私一人ではないでしょう。
貴大学は160年にわたり、真理の探究を深め、学問の大樹の枝を世界に広げてこられました。
さらにまた、「民に仕えよう」「民衆に仕えよう」と誠実に行動する人間指導者を、幾十万と育成されております。
そして、栄光の「独立」と「建国」に尽くされ、正義と勝利の歴史を刻んでこられたのであります。
この貴大学の気高き伝統に私たちは学びつつ、恒久平和に貢献しゆく「世界市民の実践哲学」を、ここで3点、確認しておきたい。
それは、第1に「勇気」です。
第2に「智慧」です。
そして、第3に「勝利」です。
第1の「勇気」について、人間の尊厳のために戦った貴国の青年詩人ハイリル・アンワルは叫びました。
「僕らは勇気凛々だ」「真の幸福へ時代を担うのだ」
「友よ、友よ、/僕らは起ち上がるのだ、はっきりと/骨にまで徹《とお》る自覚とともに」(舟知恵訳・著『ヌサンタラの夜明け』禰生書房)
臆病では、何も成し遂げることができない。卑怯な人間は、えてして悪いことさえするものです。
きょうお迎え申し上げた各界を代表する先生方も、激動の時代を勇気で勝ち開いてこられた大英雄の皆様であります(大拍手)。
ともあれ、こうした素晴らしい世界の詩の数々を、私は、青春時代から暗記しておりました。
折々に、自作の詩とともに、師匠の戸田先生に朗読してお聞かせしました。
自身のことになって誠に申し訳ありませんが、これまで私は、「桂冠詩人」「世界桂冠詩人」、そして「世界民衆詩人」の称号という、三つの栄誉をいただいております(大拍手)。
「あらゆるものを吸収せよ」
一、「平和の哲学」の第2は、「智慧」であります。
貴国の大文豪プラムディヤ先生は、私たちは、この地球上のすべての民族から学ぶべきだと述べておられました。
また、次のように綴っておられます。
「無限にひろがる新しい知識を獲得せよ。そして、過去、現在、未来と、この人間の大地からあらゆるものを吸収するのだ」(押川典昭訳『プラムディヤ選集3 人間の大地(下)』めこん)
まったく同感です。
若き日、貴国に脈打つ、この「開かれた向学の心」を知り、わが胸が熱く熱く燃え上がったことは、今でも忘れられません。
私は、この心で世界の知性と数多く対話し、学び合い、新たな価値創造の智慧を磨いてまいりました。
学び続ける限り、行き詰まりはありません。学生の皆さんも、徹して学ぼう!〈「ハイ!」と元気な返事〉
現代インドネシア語の父
生きるとは闘うことだ
突き落とされても より強く立ち上がれ
親孝行の人生を
一、「平和の哲学」の第3は、「勝利」であります。
「現代インドネシア語の父」である、貴大学ゆかりのアリシャバナ先生は「生きる、それは闘争だ」と宣言された(舟知恵訳・著『アミル・ハムザ 全作品と生涯』禰生書房)。
さらに「私はすでに決めている、勝利は私に必ずあるということを」「困難に直面していることがはっきりと分かる平野に立たされていても、わたしは絶対に負かされることはないのだ。突き落とされても、より強く立ち上がるからだ」と。
正義の使命の人生は、断じて勝たねばならないということを、皆さんに訴えておきたい。勝だなければ、民衆を幸福にはできないからです。
「人生の勝利」ということは、たとえば「親孝行をする」ことです。就職に際しても、結婚に際しても、母を、そして父を安心させる自分自身をつくりあげていただきたい。
また、きょう、家に帰ったら、玄関に散らばっている靴を直す。お母さんの代わりに料理をつくる。なんでもいい。お母さん、お父さんを喜ばせてあげてほしい。「ああ、いい子に育ってくれたな」と思えるようにしてあげなければ、親はかわいそうだ。これまで、なかなか親孝行できなかった人は、きょうから変わろう。「さすが創価だ」と言われる一人一人になっていただきたい。
青春万歳! 使命の大道を征け
学べ!学べ‼ 智慧は幸福の根源の力
「私は生きている そして勝つのだ」
一、私たちも交流を結ばせていただいた、貴国の不屈の詩人レンドラ先生は、若き日、正義のゆえに弾圧された。その過酷な獄中でも、「わたしは生きている。そして勝つのだ」と叫ばれた。
偉大な人間、強い人間、正しい人間は、たとえどんな場所であっても、獅子吼するものです。
このレンドラ先生も譬えておられるように、勇気は青空であり、智慧は太陽なのであります。
日本の国家主義と戦い、平和と文化と教育の闘争を貫き通してきた、創価の三代の師弟も、貴国の恐れなき賢人たちと、同じ精神でありました。
若き君たちも、「勇気」と「智慧」、そして「勝利」を合言葉にして、この使命の大道に誇り高く続いてください。
知識は、究極的には、智慧をわきたたせるための手段である。
智慧が「幸福」を生む。智慧こそ「人を救う力」であり、人が生きていくための根源の魂である。
若い皆さんには、少しわかりにくいかもしれない。しかしこれからの人生のなかで、だんだんわかってくると私は確信しています。
今はどんな立場であろうとも、それぞれの使命の道を自分で見つめながら、悠然と青春時代を生き抜いてください。
皆さん方に、「青春万歳!」と申し上げたい。〈全員で万歳三唱を行った〉
俺たちは誓った
一、いにしえより、貴国の勇者は、大海原へ打って出て、世界を結んできました。大勢の青年が活躍したことでしょう。
勇敢なる船乗りたちの心意気を、貴大学の誉れの大詩人サパルディ・ジョコ・ダモノ先生は声高らかに謳いました。
「俺たちは歴史に誓った
決して運命に翻弄されるままにはなるまいと
俺たちは海また海の果しない海原を越えてきたのではなかったか」
「何故なら歴史の中核は俺たちだからだ」(印堂哲郎編・訳『サパルディ・ジョコ・ダモノ詩集』土曜美術社)
貴国の先人たちは、限りない海原にわが航跡を残そうと、挑んでいかれたのです。
諸君もまた、尊敬申し上げる先生方とご一緒に、青年と青年、生命と生命、文明と文明を結ぶ、壮大な“平和の大航海”へと船出する準備をしてください。
このなかには、いよいよ来年、卒業するメンバーもいる。悠々と人生を歩んで、前へ進んでほしい。悠々と、勇気をもって!
そして、いかなる荒波、嵐にも、勇敢に朗らかに勝ち進んでいくのだ。
「お金」があるから勝てるのではない。根本は自分自身の「心」です。お金をもっていても不幸な人は少なくないからだ。
皆さんは、友と友の間で誓い合って、いい青春時代を、しっかりと残していただきたい。このことを心からお願い申し上げて、私の御礼のスピーチといたします。
人類の宝である貴大学に永遠の栄光あれ!
偉大なる貴国に無窮の繁栄あれ!
テリマカシー!(インドネシア語で「ありがとうございました」)(大拍手)
東南アジアが誇る最高峰の名門・インドネシア大学から10日、創価大学創立者の池田SGI(創価学会インタナショナル)会長に「名誉哲学・平和博士号」が贈られた。SGI会長の不屈の平和闘争と、人類を結ぶ対話の軌跡を讃えたもの。授与式は同日午後、東京・八王子市の創大記念講堂で盛大に挙行され、インドネシア大学が海外で行う初の授与式となった。同大学のグミラル学長、プルノモ理事長、ビラン教授会議長および、名誉博士号の授与運営委員会など代表団、アンワル駐日大使はじめ大使館一行が列席。また、中国・天津市の文化広播影視局の金副局長一行、英国の第8代エルギン伯爵(日英修好通商条約の使節団代表)の末裔であるブルース伯爵一行、創価学会インドネシアの代表をはじめ、海外・国内の来賓も祝福を贈った。式典に先立ち、第39回創大祭、第25回白鳥祭記念する「創価栄光の集い」が開催された。
グミラル総長授章の辞
池田博士の生涯の哲学がここに‼
すべては一人の人間革命から
「書く」ことは「生きる」こと
数千の著述で友の心に光を
本日、創価大学記念講堂での荘厳な学術式典において、私、インドネシア大学学長のグミラル・ルスリワ・ソマントリは、池田大作博士に対し、ここに謹んで、「名誉哲学・平和博士号」を授与いたします(大拍手)。
池田大作博士の生涯にわたる哲学、人生の主題は、「一人の人間における偉大な人間革命は、やがて一国の宿命の転換をも成し遂げ、さらに全人類の宿命の転換をも可能にする」であります。
池田博士は、卓越した指導者であり、教育者、精力的な文筆家、平和活動の先駆者、そして現代世界を代表する実践的な哲学者の一人であられます。
作家としては、深遠なる内容に富んだ作品を著し続け、教育、政治、哲学にわたる重厚な著述を通して、輝かしい思想の数々を発表しております。
それに加えて、文明を発展・促進させ、世界平和を育むために、研究所や文化・教育機関を設立するなど、多くの活動にも取り組まれております。
池田博士は、数千編にもおよぶ詩文や随筆、平和提言、大学講演、論文などを書き述べておりますが、博士にとっては、書くことはまさに、人間の生そのものと同等の価値を有するものであります。
そして、著作と思考を通して、できるだけ多くの人に一筋の希望を与え、真実の松明を灯したい、とのお考えなのであります。
池田博士はまた、優れた教育システムのもととなる、実用主義的な哲学に注目されております。
博士の実用主義的な哲学においては、理論と実践の関係性が強調されておりますが、それは、導かれた行動の結果を通じて明らかになるように、経験と人間性の密接なつながりを深く反映しているのであります。
そして、博士は強い決意のもと、普遍的な人間性の価値を創造し、深化するための戦略的な場としての、優れた教育システムのなかで、教育哲学を宣揚しておられます。
哲学の持つ変革の力に関するこのご構想は、教育、政治、宗教をはじめとするすべての人類文明のプロセス、特に世界平和を推進する過程において、決定的な役割を果たすことができるものといえましょう。博士は、我々の未来は、深い哲学と現実の行動とが合わさって築かれるものであると確信しておられるのであります。
池田博士は常々、精神性こそが人間の内面を変換する源であり、人間同士の関わり合いに影響を与えるものであるとして、最も重要視しておられます。そして仏法の精神性が、人間の内面の変革を促し、強めることによって、現実の日々の生活における困難に対する創造的、かつ建設的な解答を形成することができると確信されています。宗教とは、真の文化、教育、科学と、恒久平和を育むためには欠かすことができない本質的なものなのです。
人生とグローバルな問題に対応すべく、池田博士は、仏法の基本的な教義から実用的かつ重要なポイントを的確に捉え、宗教という変革の力、生命の普遍性、社会的な責任、持続可能な発展と開発といった、諸々の価値を開拓してこられたのであります。
仏法は、その主要なる原理として、生きとし生けるものとの調和や、人間主義のもとに結び合う「人の道」を説いています。
博士は、公平な経済、戦争から平和への転換、異民族間の協調関係、市民的自由といったことに尽力するとともに、何よりも重要なこととして、教育に力を注ぎ、教育機関の機能強化といった社会変革のための活動に貢献していらっしゃいます。
創価精神のもと、池田大作博士は経済、平和、異なる人種および国との関係、教育の果たす役割の強化といった分野で社会変革運動に積極的に取り組んでおられるのです。
「一人の幸せのための教育」をつくりあげ、それをもって平和を守り、強め、支えていかねばならない、とされております。
平和は、一朝一タで遂げられるものではありません。常に平和を支えゆく、生き生きとした知恵が求められるのです。
池田博士は、そのことを知悉し、幾多の世界の指導者たちと対話し、永続的な平和が次世代の青年たちの光明となることを願い、知恵という長期的な重要性を待ったエネルギーあふれる遺産をつくっておられる。博士は、これらをもって、人間の文明と平和の推進、そして永遠の真の世界平和実現を目指しておられるのです。
以上が、池田大作博士に、わがインドネシア大学から、「名誉博士号」を授与する理由であり、これをもって池田博士に対する授章の辞とさせていただきます。
(日本語で)池田先生、おめでとうございます(大拍手)。
創立者のスピーチ
さあ平和の大航海へ出発
勇気 智慧 勝利を合言葉に
一、今、私の心に勇壮に響きわたる歌声があります。
それは、貴大学の愛唱歌の一節です。
「インドネシア大学は、我らの大学なり。
……学生よ、快活なる歓喜の魂よ!
尊き使命に眼を開き、学業に身を捧げよ!
……苦悩する民衆の声に応えるために、我らは魂を燃え立たすのだ」
なんと崇高な貴大学の精神でありましょうか!(大拍手)
学問の人に!
一、大学は、学問する人の集まりであり、優秀な人の集まりでなければならない。
創大生、短大生の皆さんも、徹して勉強するのです。また親孝行するのです。頼むよ
〈「ハイ」と元気よく返事が〉
北海道出身の人?
〈「ハイ」と返事が〉
九州出身の人?〈同〉
沖縄出身の人?〈同〉
インドネシア出身の人?〈同〉
全国、全世界から集ってきた皆さん、創価大学、女子短大に来てくれて、本当にありがとう!(大拍手)
一、心から尊敬申し上げるグミラル学長、プルノモ理事長、そして、アンワル大使をはじめ、尊き諸先生方を、私たちは、熱烈に歓迎申し上げようではありませんか!(大拍手)
ご来賓の先生方も、はるばると遠いところ、錦州の創価大学へ、本当にようこそ、お越し下さいました。ありがとうございます(大拍手)。
「多様性の中の統一」を掲げて
一、貴インドネシア共和国は、「多様性の中の統一」という人類共生の大哲学を、高らかに掲げておられます。
その先頭に立つ貴インドネシア大学は、世界のいずこにもまして「開かれた心」が光る、平和創造の大殿堂なのであります(大拍手)。
何ものにもかえがたい、貴大学からの「名誉哲学・平和博士号」の栄誉を、私は、わが愛する創大生、短大生、さらに大切な大切な留学生の皆さん、そしてインドネシアの敬愛する友人だちとご一緒に拝受させていただくことができました。
これほどの光栄はございません。心より、厚く厚く御礼を申し上げます(大拍手)。
スマトラ沖地震 被災地の復興を祈念
「現代に甦った哲学者の対話」
一、きょうの儀式をぜひ、見ていただきたかった方が私の胸の中におります。
それは、20世紀を代表する大歴史家アーノルド・トインビー博士であります。
もう40年近く前、私は、招待を受けて、ロンドンの博士のご自宅にうかがいました。
対談のテーマは、仏法の生命論から、核兵器や環境破壊の問題など多岐にわたり、何度も何度も語り合った。
後に対談集として出版されました。幸いにして、対談集には、各界から高い評価の声をいただいています。
創価の英才の皆さん方は、私か命を懸けて切り開いてきた対話の道、友情の道に続いていってください。
〈トインビー博士との語らいは、1972年(昭和47年)5月から、2年越し40時間に及んだ。
対談集『21世紀への対話』(英語版は『生への選択』)には、各界から「人類の教科書」「世界の文化の道しるべ」「喧噪と対立の現代によみがえったソクラテスの対話」等の声が寄せられている。現在までに世界28言語で出版されている〉
トインビー博士
貴国の「開かれた心」に期待‼
寛容と調和の希望島
一、トインビー博士は、訪問した貴国の印象を、深い感慨を込めて私に語ってくださいました。
また博士は、貴国には、「世界宗教が共存する寛容性」があり、「大自然と調和する文化の創造力」があり、そして、「未来を開く教育への大情熱」があると、鋭く注目されていたのであります。
さらに博士が、「希望の島」と呼び、大発展を期待されていたのが、貴国のスマトラ島でありました。
このたびの「スマトラ島沖地震」(9月30日)の甚大な被害に対しまして、この席をお借りし、重ねて、心からお見舞いを申し上げます。
私たちは、一日も早い復興を、強く深く、お祈り申し上げるものであります。
〈ここで全員が立ち上がり、被災地の方々に黙祷を捧げた〉
インドネシア大学
民衆奉仕の大指導者を幾十万と
世界市民の哲学
一、貴大学のモットーは、誠に力強い。
それは「真理」 「誠実」、そして「正義」であります。
私は大学の創立者として、多くの大学のモットーを研究してまいりました。
「真理」「誠実」「正義」──ここにこそ人道の真髄があり、人間性の極意があると共鳴を覚えるのは、私一人ではないでしょう。
貴大学は160年にわたり、真理の探究を深め、学問の大樹の枝を世界に広げてこられました。
さらにまた、「民に仕えよう」「民衆に仕えよう」と誠実に行動する人間指導者を、幾十万と育成されております。
そして、栄光の「独立」と「建国」に尽くされ、正義と勝利の歴史を刻んでこられたのであります。
この貴大学の気高き伝統に私たちは学びつつ、恒久平和に貢献しゆく「世界市民の実践哲学」を、ここで3点、確認しておきたい。
それは、第1に「勇気」です。
第2に「智慧」です。
そして、第3に「勝利」です。
第1の「勇気」について、人間の尊厳のために戦った貴国の青年詩人ハイリル・アンワルは叫びました。
「僕らは勇気凛々だ」「真の幸福へ時代を担うのだ」
「友よ、友よ、/僕らは起ち上がるのだ、はっきりと/骨にまで徹《とお》る自覚とともに」(舟知恵訳・著『ヌサンタラの夜明け』禰生書房)
臆病では、何も成し遂げることができない。卑怯な人間は、えてして悪いことさえするものです。
きょうお迎え申し上げた各界を代表する先生方も、激動の時代を勇気で勝ち開いてこられた大英雄の皆様であります(大拍手)。
ともあれ、こうした素晴らしい世界の詩の数々を、私は、青春時代から暗記しておりました。
折々に、自作の詩とともに、師匠の戸田先生に朗読してお聞かせしました。
自身のことになって誠に申し訳ありませんが、これまで私は、「桂冠詩人」「世界桂冠詩人」、そして「世界民衆詩人」の称号という、三つの栄誉をいただいております(大拍手)。
「あらゆるものを吸収せよ」
一、「平和の哲学」の第2は、「智慧」であります。
貴国の大文豪プラムディヤ先生は、私たちは、この地球上のすべての民族から学ぶべきだと述べておられました。
また、次のように綴っておられます。
「無限にひろがる新しい知識を獲得せよ。そして、過去、現在、未来と、この人間の大地からあらゆるものを吸収するのだ」(押川典昭訳『プラムディヤ選集3 人間の大地(下)』めこん)
まったく同感です。
若き日、貴国に脈打つ、この「開かれた向学の心」を知り、わが胸が熱く熱く燃え上がったことは、今でも忘れられません。
私は、この心で世界の知性と数多く対話し、学び合い、新たな価値創造の智慧を磨いてまいりました。
学び続ける限り、行き詰まりはありません。学生の皆さんも、徹して学ぼう!〈「ハイ!」と元気な返事〉
現代インドネシア語の父
生きるとは闘うことだ
突き落とされても より強く立ち上がれ
親孝行の人生を
一、「平和の哲学」の第3は、「勝利」であります。
「現代インドネシア語の父」である、貴大学ゆかりのアリシャバナ先生は「生きる、それは闘争だ」と宣言された(舟知恵訳・著『アミル・ハムザ 全作品と生涯』禰生書房)。
さらに「私はすでに決めている、勝利は私に必ずあるということを」「困難に直面していることがはっきりと分かる平野に立たされていても、わたしは絶対に負かされることはないのだ。突き落とされても、より強く立ち上がるからだ」と。
正義の使命の人生は、断じて勝たねばならないということを、皆さんに訴えておきたい。勝だなければ、民衆を幸福にはできないからです。
「人生の勝利」ということは、たとえば「親孝行をする」ことです。就職に際しても、結婚に際しても、母を、そして父を安心させる自分自身をつくりあげていただきたい。
また、きょう、家に帰ったら、玄関に散らばっている靴を直す。お母さんの代わりに料理をつくる。なんでもいい。お母さん、お父さんを喜ばせてあげてほしい。「ああ、いい子に育ってくれたな」と思えるようにしてあげなければ、親はかわいそうだ。これまで、なかなか親孝行できなかった人は、きょうから変わろう。「さすが創価だ」と言われる一人一人になっていただきたい。
青春万歳! 使命の大道を征け
学べ!学べ‼ 智慧は幸福の根源の力
「私は生きている そして勝つのだ」
一、私たちも交流を結ばせていただいた、貴国の不屈の詩人レンドラ先生は、若き日、正義のゆえに弾圧された。その過酷な獄中でも、「わたしは生きている。そして勝つのだ」と叫ばれた。
偉大な人間、強い人間、正しい人間は、たとえどんな場所であっても、獅子吼するものです。
このレンドラ先生も譬えておられるように、勇気は青空であり、智慧は太陽なのであります。
日本の国家主義と戦い、平和と文化と教育の闘争を貫き通してきた、創価の三代の師弟も、貴国の恐れなき賢人たちと、同じ精神でありました。
若き君たちも、「勇気」と「智慧」、そして「勝利」を合言葉にして、この使命の大道に誇り高く続いてください。
知識は、究極的には、智慧をわきたたせるための手段である。
智慧が「幸福」を生む。智慧こそ「人を救う力」であり、人が生きていくための根源の魂である。
若い皆さんには、少しわかりにくいかもしれない。しかしこれからの人生のなかで、だんだんわかってくると私は確信しています。
今はどんな立場であろうとも、それぞれの使命の道を自分で見つめながら、悠然と青春時代を生き抜いてください。
皆さん方に、「青春万歳!」と申し上げたい。〈全員で万歳三唱を行った〉
俺たちは誓った
一、いにしえより、貴国の勇者は、大海原へ打って出て、世界を結んできました。大勢の青年が活躍したことでしょう。
勇敢なる船乗りたちの心意気を、貴大学の誉れの大詩人サパルディ・ジョコ・ダモノ先生は声高らかに謳いました。
「俺たちは歴史に誓った
決して運命に翻弄されるままにはなるまいと
俺たちは海また海の果しない海原を越えてきたのではなかったか」
「何故なら歴史の中核は俺たちだからだ」(印堂哲郎編・訳『サパルディ・ジョコ・ダモノ詩集』土曜美術社)
貴国の先人たちは、限りない海原にわが航跡を残そうと、挑んでいかれたのです。
諸君もまた、尊敬申し上げる先生方とご一緒に、青年と青年、生命と生命、文明と文明を結ぶ、壮大な“平和の大航海”へと船出する準備をしてください。
このなかには、いよいよ来年、卒業するメンバーもいる。悠々と人生を歩んで、前へ進んでほしい。悠々と、勇気をもって!
そして、いかなる荒波、嵐にも、勇敢に朗らかに勝ち進んでいくのだ。
「お金」があるから勝てるのではない。根本は自分自身の「心」です。お金をもっていても不幸な人は少なくないからだ。
皆さんは、友と友の間で誓い合って、いい青春時代を、しっかりと残していただきたい。このことを心からお願い申し上げて、私の御礼のスピーチといたします。
人類の宝である貴大学に永遠の栄光あれ!
偉大なる貴国に無窮の繁栄あれ!
テリマカシー!(インドネシア語で「ありがとうございました」)(大拍手)
2009-10-13 :
スピーチ・メッセージ等 :