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世界との語らい 第35回

池田名誉会長の世界との語らい 第35回
国際原子力機関(IAEA) エルバラダイ事務総長
                (2009.6.16付 聖教新聞)

“強き心”に依って立て!
勝ち越えられない困難はない


 「声は力」である。
 平和を願う母たちの声ほど、胸を打つ響きはない。
 この4月、北欧ノルウェーの首都オスロで開かれたSGI制作・主催の「核兵器廃絶への挑戦と人間精神の変革」展の折、1本のDVDが上映され、深い感動を呼んだ。
 それは、広島、長崎の女性たちが、自らの被爆体験を語り、核兵器がいかに残酷であるかを訴えた証言集である。創価の女性平和委員会の友が作成されたものであった。
 「私は生きている限り、必ず原爆のことを話していきます。3度の原爆を許すまじ。私は死ぬまで、生きて生きて生き抜いて、使命を果たしていきたいと思います」──自分も我が子も、原爆症と闘い続けてきた母の魂の叫びだ。
 このDVDは、五つの言語で、世界に反響を広げている。
 「草の根」の声にこそ、人類の心を結び、そして核兵器の廃絶を進めゆく希望がある──この信念を、私が強く共有する平和指導者がいる。
 IAEA(国際原子力機関)のモハメド・エルバラダイ事務局長、その人だ。
        ◇
 IAEAは、原子力の軍事転用を防止し、核兵器が拡散せぬよう努める要の存在である。「IAEAは、戦争か平和かの分かれ目を決する大きな重要性を持っている」とは、事務局長の発言だ。この重責を、巌の如く担い立ってこられた方である。
 事務局長との語らいは、2006年の11月30日であった。過密な日程の中、教育者であるアイーダ夫人と御一緒に、聖教新聞社へ、お越しくださったのである。
 平和の未来を託しゆく青年たちと共に、熱烈に歓迎した。
 国益や利害が衝突し、猜疑心が交錯する渦中で、調整役を果たす難しさ……。だが、重圧を一身に受ける事務局長の体躯からはこのエネルギーが放たれていた。働き盛りの快活。四方八方に知性のアンテナを張り、鋭敏に思考を巡らせる頭脳の冴え。命を賭して戦う丈夫の信念と息吹が伝わってきた。

恩師の遺訓
 IAEAの設立は1957年であった。奇しくも、神奈川の横浜で、わが師・戸田城聖先生が「原水爆禁止宣言」を発表された年である。
 先生の先見は鋭かった。
 すでに、その2年前の秋には、大阪の第1回堺支部総会で「核兵器全廃を訴えていくことが、唯一の被爆国たる日本の使命」と叫ばれていた。
 翌56年にも先生は、戦時中、原爆投下の候補地とされた北九州で反核を訴えられている。核開発競争が激化する冷戦下の国際情勢を見据えながら、達観しておられた。
 「政治や外交の力で、核兵器の脅威を避けるために努力することも、益々大事である。
 それはそれとして、我らは一日も早く、広宣流布を前進させることだよ。人間生命に巣くう無明に打ち勝つことが一切の根本であるからだ」
 その遺志を、私は受け継いだ。衰弱の著しい恩師が行きたくても行けなかった広島と長崎へも走った。世界への対話の行動を、勇んで開始した。
 3度にわたる国連軍縮特別総会や、83年以来毎年の「SGIの日」に寄せた平和提言で、核兵器の廃絶を一貫して訴えてきた。大国の幾多の指導者とも語り合い、反核の真情を率直にぶつけた。
 恩師の遺訓を全人類の滔々たる思潮にしてみせる。すべては、この一念からである。

勝利の要諦
 エルバラダイ事務局長は、エジプトの出身である。
 文明発祥のロマンをたたえる大地。私は2度、訪問し、同国のリーダーと親しく交流を結んできた。国運のガリ元事務総長もカイロが故郷である。“人類の議会”のビジョンを展望して、対話を重ねたことも懐かしい。東京・目黒区にある駐日エジプト大使館にも、お伺いした。
 事務局長は、幼い頃から勉強熱心で、何事にも一生懸命に取り組む熱血漢であった。「好奇心旺盛で、いつも質問攻めにされました」と母君は回想されている。
 97年、IAEAの事務局長に就任。欧米出身以外で初のトップである。
 「偏ることなく独立した国際公務員としての原則と価値を守り、客観的な事実を伝えていくのが信頼に応える道」と決意されている。
 職場の方々は「仕事人間」と口をそろえる。原則は頑固なほどに曲げない。プロとしての筋を通す。休暇でも一日に何度も部下と連携を取る。まさに常在戦場だ。
 勉強を怠らない。文献、学術誌、関係者からの聞き取りなど、必ず自らの目と耳で情報を得る。そして、猛烈な勢いで決断を下す。
 「現場主義」と「スピード第一」。勝利の要諦は、いかなる世界でも不変である。
 また、いかに多忙でも、組織を支える陰の仕事に目を配り、心から讃えるリーダーだ。
 核拡散防止の新たな体制づくりに尽力。巧みな手腕と公正な眼、人間性が各国から評価され、05年、国連関係機関の長としては、異例の3期目の再選を果たされている。
 私が対談集を発刊したジョセフ・ロートブラット博士(パグウォツシユ会議名誉会長)とも、深い交友があった。
 「核兵器は廃絶されなければならない。平和は軍備に依存するものではない」との主張で強く共鳴されたという。共同で論文を執筆したことを最高の誇りとされていた。
 本年4月5日、チェコの首都プラハで、アメリカのオバマ大統領は「核のない世界」を目指す包括戦略を発表した。
 その4日前には、ロシアのメドベージェフ大統領と会見し、新たな核軍縮条約の交渉開始で合意している。
 今回の決断を、事務局長も「大変、勇気づけられる決定だ」と歓迎されている。
 核軍縮か、一層の核拡散か。国際情勢は重大な岐路に立っている。
 薄氷を踏むような緊張感の中で、世界を奔走される日々に、敬意を表したい。
        ◇
 会見では、エジプトの弁護士協会会長であられた、お父様の生涯も話題に上った。
 父君は、アラブ弁護士連盟の会長も務められている。法の正義を守る弁護士への侮辱を許さず、検事総長を議会で謝罪させた逸話も知られる。権力からの不当な圧迫には、断じて屈しなかった。
 「偉大な父君の思い出を」と尋ねると、髭を蓄えた顔から柔らかい笑みがこぼれた。
 「父からは“自分自身の良心”に従って生きるのだということを学びました。自分の良心に妥協したら、自分の魂に対して妥協することになる。魂を裏切ることになる」
 私は賛同の拍手を贈った。
 世には、「良心」ではなくして「私心」に左右される人が、何と多いことだろうか。
 仏法では、「浅きを去って深きに就くは丈夫の心なり」と説かれる。
 父の信念は、事務局長の生き方そのものでもある。さらに、父君の言葉を重ねられた。
 「どんなに状況が困難であっても、自分の内なる声に耳を傾けることだ。自分の内なる強さによって立つならば、必ず勝利がもたらされる。
 どんなに状況が困難で、それが長く続いたとしても、必ず勝利できる──父は、そのように教えてくれました」
 「正義」に生き抜く誇りと勇気。そして断じて「勝利」を打ち立てゆく希望と執念。
 これこそ、我が人生の劇を通して、後継の世代に厳として贈り託しゆく、無形にして無上の宝ではないだろうか。

焦点は「人間」
 2006年の来日の折、事務局長のスケジュールは、極めて多忙だった。京都に赴かれ講演もされている。しかし、寸暇を割いて、創価大学生へ言葉を綴ってくださった。
 「肌の色や人種、宗教に関わらず、私たちが皆『人間家族』の一員であると理解すること──これが、私たちが平和を達成するための力です」
 「『人間の安全保障』こそが、世界の平和と安全保障を実現するための唯一の道なのです」
 焦点は「人間」である。一人一人の生存であり、安全だ。人権であり、尊厳である。
 そして共生であり、持続可能な地球の発展であろう。
 一国の安全や国益を守るという大義が、他国の人間を抑圧すれば、本末転倒である。
 「国家」ではなくして「人間の幸福」を機軸とした平和への新たな思想を、世界市民のレベルで広げていく重要性は、日に日に増している。
 それは、「仏法中道」の智慧とも深く響き合っている。
 事務局長は、05年のノーベル平和賞受賞記念の講演でも語っておられた。
 「私たちに必要なのは、海の向こうの人々を、自らの隣人と思うことのできる“新しい思考”と“心の変革”なのです」
 ゆえに、国境と国益を超えたSGIの運動を高く評価してくださった。
 私との対話でも、終始、「人類が価値を共有する重要性」を語られた。あらゆる差異を超え、人間が人間として生き、一体感を実現できれば、平和は実現できる、と。
 そして、その担い手は青年であるという点でも、完璧に一致した。事務局長の言葉は今も耳から離れない。
 「私たちには、同じ希望があります。同じ志があるのです。若い人々がそのことを自覚し、気づいてくれれば──。これが私たちの『未来』であり、『唯一、人類が救われる道』なのです」
 青年に託すしかない。
 若き決意に頼むしかない。
 世界史を動かす重鎮も、創価の青年を、万感の期待を込め、熱く見守り続けている。


モハメド・エルバラダイ(1942年~)
 エジプト・カイロ生まれ。 64年にエジプト外務省に入り、外相特別補佐官を務め、国連代表部に勤務。 84年から国際原子力機関(IAEA)のニューヨーク常駐代表。法律顧問などを経て97年、I AEA事務局長に就任。2001年、05年に再選され、現在3期目。同年、IAEAと共にノーベル平和賞を受賞した。
2009-06-16 : 世界との語らい :
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