SUA入学レセプションへのメッセージ

SUA入学レセプションへのメッセージ    (2016年8月9日 アメリカ創価大学)

 地球文明の揺籃・アメリカ創価大学(SUA)に栄光の16期生が入学。世界18カ国・地域から集った104人の俊英が希望に燃えて船出した。9日には、入学のレセプションが同大学(カリフォルニア州オレンジ郡アリソビエホ市)で開かれ、創立者の池田SGI(創価学会インタナショナル)会長が祝福のメッセージを。多様性あふれる学友たちと生涯の絆を結びながら、全人類の先頭に立つ世界市民として、知性と人格の翼を広げゆけと呼び掛けた。

メッセージ

新たな飛翔の開始だ! 君よ黄金の歴史を築け

 一、向学の息吹に燃える新入生の皆さん、晴れの入学、誠におめでとう!(大拍手)
 大学院に進学される皆さんにも、心からの祝福を贈ります。
 最優秀の英才が、創価教育の理念に共感して、アメリカ創価大学(SUA)を選び、集ってくださった。創立者として、これほどうれしいことはありません。
 ご家族の方々も、おめでとうございます。また本当にありがとうございます。
 お世話になる教員の先生方、職員の方々も、かけがえのない宝の俊英の薫陶を、どうか、よろしくお願いします。
 本年で、陽光まばゆきアリソビエホの丘に、SUAが開学してより、15周年の節目を刻みました。若い大学ながら、世界市民を育成する学府として、教育界をはじめ社会の各界からも、高い評価と信頼を勝ち得ております。
 卒業生たちも、世界の各地で、人類に貢献しゆく新たな価値の創造を、多彩に繰り広げてくれています。
 わが創価教育の創始者である牧口常三郎先生は、「従藍而青」(青は藍より出でて、しかも藍より青し)という言葉がお好きでした。後輩は、偉大な先輩よりも、さらに偉大な人材に成長していくとの意義です。新出発の皆さんは、栄えある伝統を誇り高く発展させ、「われらの時代に黄金の歴史を築きたり」と胸を張っていってください。

価値創造の青春を
 一、愛する皆さんの門出を祝し、私は三つのエールを贈ります。
 第一に申し上げたいことは、「平和の理想へ 価値創造の青春を」という点です。
 去る6月、ここSUAで「世界教育者サミット」が開かれました。世界市民教育の先駆を切るSUAの同窓生たちが頼もしいリーダーシップを発揮してくれ、大いなる希望と知性の光あふれるサミットとなりました。
 私が同サミットの開催を提唱したのは、20年前、ニューヨークのコロンビア大学ティーチャーズ・カレッジで講演した折です。
 当時、SUAオレンジ郡キャンパスの開学に向けた準備が進んでおり、講演後には、SUAが目指す大学像について質問をいただきました。
 その際、私は「平和」「人権」「生命の尊重」を柱に、21世紀、22世紀をリードする人材を育てたい、と申し上げました。そして、世界を戦争や殺りくのない方向へ向かわせることが重要であり、「知識」を人類の幸福に生かすための「英知」を育んでいきたいと言明したのです。
 この展望の通りに、今、SUAからは、平和建設の理想にまい進する逸材が、陸続と躍り出てくれております。
 世界教育者サミットで講演された、国際平和教育研究所名誉創設者のベティー・リアドン博士は、「平和とは『価値創造のプロセス』である」と述べられました。
 まさに平和の前進も、幸福の拡大も、私たち自身のたゆまぬ善の価値創造の挑戦にあります。皆さん一人一人が豊かな知恵と哲学を培い、他者への共感と理解、慈愛の精神を磨き育んでいくことが、平和の社会を築く力となる。幸福と繁栄の世界を創りゆく源泉となるのです。

学問の最高峰へ
 一、第二に、「自身を鍛え、学問の最高峰へ」と申し上げたい。
 20年前のアメリカ訪問の後、私は教育と文化の次元における民衆の交流こそが友好の扉を開き、平和の懸け橋を築くとの信念から、中米のキューバ共和国を訪れました。
 同国の最高学府であるハバナ大学で講演を行った折、講堂の壁に掲げられていたラテン語の格言が、私の胸に鮮烈に刻まれております。
 すなわち――
 「学びの人生の一日は、学びのない人生の歳月に勝る」と。
 皆さんは、学びなき空しい幾歳月にも勝る、充実と歓喜の学びの一日また一日を、大切に丁寧に重ねていっていただきたいのです。
 キューバへの訪問を縁として、私は同国の革命の英雄ホセ・マルティの研究で著名なヴィティエール博士と対談集(『カリブの太陽 正義の詩』、『池田大作全集』第110巻所収)を発刊しました。
 博士は言われました。
 ――どんな人も、生来、希望に満ちた可能性を持っている。それを見つけ出すためには、彫刻家が像を彫るように、光の下で石を刻むことです。私たちは第一に、自分自身をつくり上げる芸術家となり、自身の魂を彫琢していかなければならない――と。
 学問とは、自分自身の可能性を掘り出し、磨き上げていく作業ともいえます。皆さんには無窮の可能性がある。それを開花させていく原動力が、日々の地道な学問の登はんです。
 皆さんは、立ちはだかる険難の尾根も、努力また努力で、断固として突破しつつ、自身を鍛え抜いて、「学問の最高峰」へ、たくましく勝ち登っていただきたいのであります。

良き出会いを大切に
 一、最後に、「良き出会いを大切に、世界市民の大空へ羽ばたけ」と申し上げたい。
 素晴らしき人々との出会いが人生を豊かにします。
 現在、南米初のオリンピックが開催されているブラジルの天文学者で、私が対談集(『天文学と仏法を語る』、『池田大作全集』第116巻所収)を発刊したモウラン博士も、青春時代の師匠との邂逅によって、自身の〝勝利の星〟を発光させていった一人です。
 博士が師と仰いだのは、留学先のベルギーの研究所(ベルギー王立観測所)で教えを受けたアヘンデル博士です。
 博士は、モウラン青年の奨学金の手配のために、自ら奔走してくれました。親身に相談に乗り、異国での親元を離れての生活で、ホームシックにかかっていないかなど、こまやかに心を配ってくれたといいます。
 また、謙虚で人間味にあふれ、学問上の質問にも、単に答えを与えるのではなく、一緒になって考えてくれた。その姿から、博士は、教育者として、また学究者として、最高の手本を学んだのです。
 その温かな人間交流の光景は、私には、いつも温かく学生を励ましてくださっているSUAの教員や職員の方々の姿と、二重写しになって迫ってきます。
 ダイヤがダイヤによってしか磨けないように、本物の人間を磨き上げるのも、人間同士の真剣な錬磨であり、生命と生命の深き交流でありましょう。
 私が人生の師匠・戸田城聖先生にお会いしたのは、19歳の8月でした。
 以来、明年で70年。地球民族主義の理念を掲げた師の教えのままに、平和の道、文化の道、教育の道を世界に広げてきました。
 皆さんにも必ず、この世界の縮図のキャンパスで、自身の原点となる「出会い」が待っています。各国から集った多様性あふれる学友と、また素晴らしい教員、職員の方々と、存分に語り合い、生涯にわたって崩れない「絆」を結んでいってください。
 そして、その人間と人間の切磋琢磨の中で、全人類の先頭に立つ世界市民として壮大なスケールの知性と人格の翼を広げ、使命の天空高く羽ばたいていっていただきたいのであります。
 一、さあ、きょうから、新たな飛翔の開始です。
 わが愛する皆さんが、健康第一で、勇敢に、忍耐強く、そして朗らかに学生生活を送りゆかれることを念願し、祝福のメッセージといたします。
 本日は、本当におめでとう!(大拍手)
2016-08-20 : スピーチ・メッセージ等 :
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創価大学通信教育部 開設40周年記念新世紀第16回(第41回)学光祭へのメッセージ

創価大学通信教育部 開設40周年記念新世紀第16回(第41回)学光祭へのメッセージ
                         (2016年8月16日 創価大学記念講堂)

 創価大学通信教育部の開設40周年を記念する新世紀第16回(第41回)学光祭が16日、東京・八王子市の創大記念講堂で開催され、日本全国、海外17カ国・地域から「夏期スクーリング」に参加した学友、卒業生の代表らが一堂に会した。創立者・池田名誉会長は祝福のメッセージを贈り、学の光は「人間革命の喜びなり」「不屈の価値創造なり」「生命尊厳の連帯なり」と強調。世界市民のかけがえのないスクラムをさらに聡明に育みながら、現代社会に赫々たる平和の光を送りゆこうと呼び掛けた。

メッセージ

栄光の開設50周年へ出発――光友の絆こそ創価教育の黄金柱

 晴れ晴れと通教開設40周年を祝賀する学光祭、誠におめでとう!
 日本全国、そして世界各国から勇み集われた光の友と手を取り合い、肩を組み、人生勝利の歌声を一緒に轟かせる思いで、私の命も今、講堂に馳せ参じております。
 共に尊い金の汗を流されている教員の先生方、職員の方々、陰で支えておられる全ての方々に、心から感謝申し上げます。
 今回の学光祭は、テーマに「栄光の開設50周年へ 負けるな光友よ! 学の光で、世界へ、未来へ、平和のスクラムを!」と掲げられております。
 40周年という余韻にひたるのではなくして、いち早く10年先を見据えて行進を開始してくれた皆さんの心意気が、何よりも頼もしい。わが光友の絆こそ、創価教育の黄金柱なりと、私は最大の信頼と期待を込めて見守っております。
 今日は、幾多の先輩方の功労、そして、それを継承・発展させゆく皆さん方の努力を讃えつつ、誉れの「通教スピリット」を簡潔に3点、確認し合いたいと思います。
 第1に、「学の光は人間革命の喜びなり」というスピリットです。
 かつて、50代で英語のアルファベットを覚えるところからスタートし、通信制の高校を経て、わが創大通教に入学してくれた北海道の女性がおられました。仕事を終えてから教科書を開き、深夜までリポート作成に格闘する一日一日を重ね、スクーリングでは、子や孫ほども年の離れた学友と友好を広げ、年若い教員にも人生の先輩として励ましの声を掛けてくれておりました。見事に卒業を勝ち取った後も、病魔と闘いながら、学の光という人間革命の喜びに包まれた一生を貫かれたのです。
 今、リオ・オリンピックがたけなわですが、近代五輪の歴史上、最年長のメダリストは72歳。還暦を過ぎてから6個のメダルを獲得したスウェーデンの射撃の選手です。
 高齢社会にあって、誇り高き光友の皆さん方が、いよいよ若々しく自らの可能性を開拓し、生涯青春の希望を広げゆかれることを、私は確信してやみません。
 第2のスピリットとして、「学の光は不屈の価値創造なり」と申し上げたい。わが創大の名誉博士であられたアフリカの人道の大英雄マンデラ氏も、信念の獄中闘争において通信教育の大学で研鑽し抜かれました。氏は、「人生最大の栄光」とは「一度も転ばないことではなく、転ぶたびに立ち上がること」と語られています。
 いかなる試練や苦難に遭おうとも、断じて屈することなく価値を創造していく。その大いなる原動力もまた学の光です。たくましく生活と社会に根差して学び続ける皆さんは、激動の変化の時代に、不屈の価値創造のモデルを断固と示していってください。
 第3に確認したいスピリットは、「学の光は生命尊厳の連帯なり」という点です。戦時中の弾圧で投獄された創価教育の父・牧口常三郎先生が、獄死の直前まで学んでおられたのは、カントの哲学でありました。カントと牧口先生とを共に貫いていたのは、「人間の尊厳」「生命の尊厳」こそ一切の根本であるとの信条であります。
 わが光友の皆さん方は、まさしく生命の尊厳で結ばれた世界市民の集いです。このかけがえのないスクラムをさらに聡明に育みながら、命が軽視され蹂躙される現代世界の深き闇に、赫々たる平和の光を送っていただきたいのであります。
 さあ、栄光の50周年へ、今日から出発です。わが魂の盟友である皆さんが、ますます、健康でご長寿で、愛するご家族、ご友人方と共に、大勝利の人生を生き生きと、また堂々と飾りゆかれることを、心より祈って、私のメッセージといたします。(大拍手)
2016-08-18 : スピーチ・メッセージ等 :
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インド 創価池田女子大学で第17回入学式へのメッセージ

インド 創価池田女子大学で第17回入学式へのメッセージ   (2016年8月3日 創価池田女子大学)

 インド・チェンナイの創価池田女子大学で3日、第17回入学式が晴れやかに開かれた。
 これには、同大学の名誉創立者・池田SGI(創価学会インタナショナル)会長と名誉学長の香峯子夫人が祝福のメッセージを贈った。


メッセージ

女性の世紀を開く 希望の太陽、万歳!

 希望に満ち、喜びに満ちて、創価池田女子大学に集い合われた17期生の皆さん方、晴れの入学、誠におめでとうございます!
 今、私の心も、懐かしきチェンナイにあります。55年前、貴国を初訪問した折、忘れ得ぬ第一歩をしるしたチェンナイの天地に届けと、皆さん方に祝福の大拍手を、妻と送っております。ご家族の方々にも、心よりお祝い申し上げます。
 本年、貴大学の「物理学・コンピューターアプリケーション学部」が、新たに開設されたという希望のニュースは、日本にも届いております。
 これほど目覚ましい大学の大発展に、敬愛してやまないクマナン議長ご夫妻、デヴィ学長、ムルゲッシュ副学長はじめ、教職員の方々の喜びは、いかばかりでありましょうか。
 女性のエンパワーメント(内発的な力の開花)を力強く推進する学びやで、最高の青春を乱舞しゆく新入生の皆さん方に、エールを3点、贈らせていただきます。

人類を照らす能動者たれ
 第1は、「人類を照らす太陽の能動者(エージェント)たれ」ということです。
 貴国が誇る世界的な経済学者のアマルティア・セン博士は、創価教育に深い共感と信頼を寄せてくださっています。
 博士は、「自ら行動し、変化をもたらす人物」を意味する「能動者(エージェント)」という新しい概念を提唱し、語られました。「エージェントとしての女性は、彼女自身とほかの女性の生活、さらにいえば、女性、男性、子供をふくむ、社会のすべての人間の生活を変革することができるのである」(佐藤宏・粟屋利江訳『議論好きなインド人』明石書店)と。
 太陽の慈愛にあふれた女性が「能動者」として立ち上がるところ、どれほど明るい未来が開かれるか。
 分断と憎悪の暗闇に覆われた世界にあって、生命を慈しみ、連帯を聡明に結ぶ女性の智慧の光が、今ほど強く求められている時はありません。
 皆さんは、このキャンパスで、「今から始める」「自分自身から始める」と明るく賢く、身近な場所から平和を創り出す能動力(エージェンシー)を培い、21世紀を「生命尊厳の光」で赫々と照らしていっていただきたいのであります。

学究の対話を
 第2に、「活発な学究の対話で、心豊かな世界市民に」と申し上げたい。
 貴大学には、学生のための語学演習室も設置されるなど、一段と学習環境の充実が図られ、学びの息吹があふれております。
 尊きインドの教育の母・ムカジー博士は、私との対談で、「教師と学生の信頼関係、互いへの敬意」は、コスモロジカル・ヒューマニズム(宇宙大の人間主義)の意識をもたらすと指摘されました。そして、「学生と教師が忌憚なく行う自由な対話は、互いの心を豊かにし、視野を広げていきます」と語られたのであります。
 人間教育の真髄も、互いに尊敬し、高め合っていく、この学生と教師との人間性あふれる切磋琢磨の中にこそあります。
 新入生の皆さんは、向学の最良の先輩方である教員の先生方と、率直に、また活発に学究の対話を重ねながら、英知を磨きに磨き、心豊かな世界市民へと成長していってください。

今の努力にこそ未来の勝利が
 第3に、「何があっても負けない、価値創造の大花を」ということです。
 ご家族や地域の希望を担って挑戦しゆく青春の日々には、使命の大きいゆえの労苦や悩みも尽きないでしょう。
 しかし、貴国の法華経には「如蓮華在水(蓮華の水に在るが如し)」と厳然と説かれております。
 すなわち、現実の悩みや苦難の泥沼の中から、最も清浄にして尊貴な幸福の大花は咲き薫るのです。
 また、蓮の花が開くと、実が同時に具わっているように見えるごとく、負けじ魂で奮闘しゆく今の努力にこそ、同時に未来の勝利の因が刻まれているのです。
 創価教育の父・牧口常三郎先生は、「最高の価値を創造して最大の幸福を獲得する、それが人生の目的である」と断言されます。
 どうか、皆さんは、仲良く朗らかに宝の友と励まし合い、何があっても負けない生き方を貫きながら、かけがえのない青春の一日また一日に、創価すなわち価値創造の大花を爛漫と咲かせていってください。
 皆さんをこの最高学府に送り出してくださった父上・母上の慈愛に応えて、一人も漏れなく健康で無事故で、大成長の大学生活であるよう、そして、皆さん方の一家一族がますます栄えていかれますよう、私と妻は、祈りに祈ってまいります。
 「女性の世紀」を開く希望の太陽、万歳! 皆さんの学びの青春に勝利あれ!
2016-08-18 : スピーチ・メッセージ等 :
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随筆 永遠なれ創価の大城 10 被爆71年に誓う

随筆 永遠なれ創価の大城 10    (2016年7月11日付 聖教新聞)

被爆71年に誓う

平和の一歩を今日も共々に!
生命尊厳の若き旗手を世界が待望


 いずこの地を訪れても、私が祈りを込めて拝してきた御聖訓がある。
 「法妙なるが故に人貴し・人貴きが故に所尊し」(御書1578㌻)との一節である。
 たとえ今、どんな苦境にあろうと、妙法を受持した創価の友が献身する国土が、平和に勝ち栄えていかないわけがない。草創以来、この確信で同志を励まし続けてきた。
 1966年3月、ブラジルのリオデジャネイロを初めて訪問した折には、軍事政権下にあって、わが友は険悪な敵意と圧迫に晒されていた。しかし、歯を食いしばって、自行化他の題目を唱え抜き、良き市民として、大誠実の貢献を貫き通してくれたのである。
 半世紀の歳月を経て、リオの創価のスクラムは〝南米の常勝関西〟と仰がれる大発展を果たした。社会に広がる信頼も絶大である。
 この愛するリオの天地で、「平和の祭典」オリンピックが開催中である。
 オリンピックの憲章には、「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会を奨励することを目指し」と謳われる。
 戦争の悲惨を経験してきた民衆の平和への願いが託されているのだ。
 人間生命の無限の可能性を鮮烈に示しながら、人類融合の先進地・ブラジルでの祭典が大成功し、地球民族の連帯が一段と深まりゆくことを、私たちは祈りたい。

原爆許すまじ!
 創立の父・牧口常三郎先生は、獄中での尋問で「立正安国論」を引かれつつ、戦争の元凶について「謗法国である処から起きて居る」と鋭く喝破された。社会に生命尊厳の深い哲理がないゆえと、断じられたのだ。
 師と共に入獄した不二の弟子・戸田城聖先生は独房で法華経を身読し、「仏とは生命なり」「われ地涌の菩薩なり」と覚知された。
 戸田先生は〝地上から悲惨をなくすことこそ、信念の殉教を遂げた師の仇討ちだ。世界戦争を二度と起こさせない〟と、敗戦の焦土に一人立たれた。そして地涌の菩薩を民衆の大地より呼び出していかれたのだ。
 60年前、私が「大阪の戦い」に突進していた渦中の6月、先生は福岡県を訪れ、八幡市(現・北九州市)で叫ばれた。
 「原爆を使う人間は最大の悪人だ!」
 さらに福岡市でも核使用を弾劾し、「二度と同じ愚を繰り返すな!」と強く訴えられている。
 福岡県の小倉市(現・北九州市)は原爆投下の第1目標であった。8月9日、原爆を搭載した米軍機は、小倉上空の視界が悪く、第2目標の長崎に向かったのである。
 九州の大地を踏んで、長崎の悲劇に思いを馳せ、戸田先生の胸には、原爆許すまじの憤怒が燃え盛っていた。
 この正義の師子吼が、翌1957年の9月、横浜・三ツ沢の競技場における「原水爆禁止宣言」の原型となったのだ。
 この「宣言」の要点を書き留めた戸田先生の手帳の「11月22日」の予定欄には、「広島行」とあった。平和記念館――現在の広島平和記念資料館(東館)で行われる、わが同志の大会への出席を決めておられた。
 何としても、自ら被爆の地に赴き、恒久平和を目指す地涌の闘士たちを励ましたいとの固い一念であったのだ。
 されど、先生のご体調を案じ、私は広島行きをお止めせざるを得なかった。なればこそ、広島、長崎の友と手を携えて核兵器の廃絶に邁進することは、分身の弟子としての生涯にわたる天命であると、心に定めてきた。

祈り込めた植樹
 広島平和記念公園に、「SGI世界平和の樹」と名付けられたクスノキがある。1995年、「世界青年平和文化祭」で広島を訪れた55カ国・地域のSGIメンバーが植樹したものだ。
 この植樹の淵源は、その19年前、広島の高等部がまとめた反戦文集が出版されたことに遡る。
 被爆体験の聞書の編纂に携わり、高等部員らは平和への誓いを深めた。その原稿料の寄付を広島市に相談する中で、植樹の話が持ち上がり、皆でヒマラヤ杉を購入。平和記念公園での植樹が実現したのだ。市の担当者も〝皆さんの反戦平和への熱意は、必ず共感を呼ぶでしょう〟と称えた。
 その後、ヒマラヤ杉は枯れてしまうが、後継のリーダーに成長した若人たちは、被爆50年に開催する平和文化祭に寄せて、ぜひ核廃絶と平和への祈りを込めた植樹を――との思いで、再び広島市に掛け合った。
 青年の情熱が、SGIの友によるクスノキの植樹と結実したのである。
 つい先日も、広島に長崎と沖縄の若人も一堂に会し、「青年不戦サミット」が開催された。
 創価の若き平和の人材たちは、年々歳々、たくましき〝大樹〟と育ち、揺るぎない連帯の〝森〟を広げてくれている。

悲願を受け継ぎ
 本年4月、日本・アメリカ・ロシア3カ国の高校生による、核兵器廃絶問題に関する国際会議が米カリフォルニア州で開かれ、東西の創価高校の俊英4人も出席した。
 席上、わが学園生は、有識者も見守る中、核戦争を回避するには、核兵器を「必要悪」ではなく、非人道兵器として「絶対悪」とする価値転換が重要だと力説。そして「他人の不幸のうえに自分の幸福を築かない」との信条を示し、人間の善性を信じ抜く「対話」の大切さを堂々と訴えたのだ。
 東西の創価高校では、平和や環境などを深く学ぶため、フィールドワーク(現地調査)も行っている。広島を訪れた関西校の生徒は「原爆の日」の平和式典に参列し、核廃絶への思いを強くした。沖縄を訪問中の東京校の生徒たちも、平和への決意を新たにしている。
 凜々しき若人の姿は、未来から勇気と希望の風を運んでくれるようだ。
        ◇
 本年5月、オバマ米大統領の広島訪問は、核廃絶へ一条の光を投じた。その日は、ある広島の婦人にとっても、「亡き母に伝えたい日」となった。
 婦人の母は爆心地から800メートルで被爆した。目の前で妹を亡くし、その後、両親も原爆症で失った。母自身も放射能を浴び、市内の病院を7軒も渡り歩き、命懸けで娘を産んだ。わが子の前では気丈な様子でも、毎年8月6日になると、身を震わせて泣かれていたという。
 晩年はがんと闘いながら、平和の語り部として、修学旅行生に原爆の残酷さを訴え、4年前、命の灯が消えゆく瞬間まで、平和を叫び抜かれた。
 この母の人生を無駄にしてなるものかと、婦人は「核兵器なき世界」へ、仏法に学んだ生命尊厳の信念を語り続ける。
 日蓮大聖人は、「一日の命は三千界の財にもすぎて候なり」(御書986㌻)と仰せである。
 今日という一日、妙法と共に、同志と共に、生きる喜びに燃えて広布に走ることが、母娘一体の偉大な平和闘争なのだ。
        ◇
 広島に縁が深く、私も対談した思想家カズンズ博士は「戦争は人間の心の発明したものである。その人間の心は平和を発明することもできる」と指摘されていた。
 今、平和創造の心をいやまして強く! 父母たちの悲願を、創価後継の若き世代が厳然と受け継いでくれている。
 この夏も、未来部の研修会やファミリー大会が活発だ。男女の青年部、学生部は、教学試験に向け、行学錬磨の汗を流す。
 世界の友も熱い求道心に燃えている。欧州ではイタリアに31カ国の友が集った伝統の教学研修会で、「立正安国」の法理を研鑽した。また、インドからは代表200人が来日し、仏法の人間主義の拡大を誓い合った。
 「生命尊厳」を掲げる若き旗手の英知と勇気がある限り、平和の連帯は広がる。核兵器なき世界、戦争なき地球の明日へ、断固と進むのだ。

人間革命の挑戦
 1993年8月6日、師との思い出を刻む長野の天地で、私は『新・人間革命』を書き始めた。
 「平和ほど、尊きものはない。
 平和ほど、幸福なものはない」と。
 以来、23年――。今も日々、世界中の後継の友と、心で対話する思いで執筆を重ねている。
 お陰様で、次の章で第29巻が終了となる。「清新」に続く章は「源流」と題して綴っていく予定である。
 ともあれ、一人の声に耳を傾け、一人の友を励まし、一対一の対話を広げる。この最も地道な菩薩道こそ、新たな平和の潮流を起こす第一歩だ。
 我らの人間革命の前進が、戦争と決別し、生命尊厳の世紀を開く確かな光明だ。この大情熱で、「地涌の陣列」即「平和の陣列」を幾重にも拡大していこうではないか!

 師弟して
  人間革命
   挑みゆく
  我らの一歩が
    平和の光と

オリンピック憲章は日本オリンピック委員会訳。カズンズの言葉は『人間の選択』松田銑訳(角川書店)。
2016-08-15 : 随筆 永遠なれ 創価の大城 :
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