女性に贈る100文字の幸福抄

女性に贈る100文字の幸福抄
  主婦と生活社 2012.1.16刊 ¥1260(税込)

「笑う」という言葉は、古くは「咲う」とも書いたという。
笑顔は、人間が咲かせることのできる花である。
お金があってもなくても、家族にも、友人にも惜しみなく贈ることのできる幸せの花が笑顔である。(本文より抜粋)

まえがき
第1章  緑
第2章  大河
第3章  大地
第4章  太陽
第5章  空
2011-12-31 : 箴言・短文指針 :
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希望の経典「御書」に学ぶ 3

希望の経典「御書」に学ぶ 3
 聖教新聞社 2012.1.2刊 ¥476+税

曾谷殿御返事(大白蓮華2008年8月号)
師弟の大道──妙法の智慧で人類を潤す広宣流布の共戦の旅路を

〔御文〕(御書1055㌻8行目~15行目)/現代語訳
無尽の宝庫から智慧を引き出す妙法
日蓮大聖人こそ末法の「根源の師」
〔御文〕(御書1055㌻15行目~1056㌻4行目)/現代語訳
「法」に対する厳格さが師匠の条件
〔御文〕(御書1056㌻4行目~10行目)/現代語訳
謗法呵責の実践こそが成仏への要諦
〔御文〕(御書1056㌻10行目~16行目)/現代語訳
慈悲の生命から迸る大願
「いまだこりず候」とは学会精神

異体同心事
(大白蓮華2008年9月号)
異体同心──確かなる「絶対勝利の軌道」

師弟不二と異体同心は車の両輪
〔御文〕(御書1463㌻1行目~3行目)/現代語訳
団結は大難を乗り越える要諦
〔御文〕(御書1463㌻3行目~4行目)/現代語訳
「民の力」を糾合する真のリーダーに
「異体同心」の組織を作る重要性
〔御文〕(御書1463㌻4行目~5行目)/現代語訳
異体同心は、自身の一念の変革から
〔御文〕(御書1463㌻5行目~7行目)/現代語訳
「異体同心」の姿は広布勝利の証明
妙法は「唯一の善の原理」

報恩抄(大白蓮華2008年10月号)
永遠に人類を潤す「広宣流布の大河」──弟子の勝利こそ最高の報恩

知恩・報恩は仏法者の人生が放つ光彩
「大事の大事」を認めた重書
〔御文〕(御書328㌻16行目~329㌻3行目)/現代語訳
「声もをしまず」仏法の実践を
〔御文〕(御書329㌻3行目~4行目)/現代語訳
大聖人の三徳が広宣流布を実現
〔御文〕(御書329㌻4行目~7行目)/現代語訳
「穢土の一日の功徳」とは「変革の宗教」
悪世こそが広宣流布開拓の「時」
「最後の勝をば 仏にぞ祈らむ」

寂日房御書(大白蓮華2008年11月号)
師弟共戦──「精神の大光」で衆生の闇を照らせ!
      「使命の人生」を深く、朗らかに!

〔御文〕(御書902㌻1行目~5行目)/現代語訳
「題目の行者」は大果報の人
常楽我浄の尊極の生命へと鍛え上げる
第六天の魔王をも打ち破る「不思議の日蓮」
〔御文〕(御書903㌻2行目~7行目)/現代語訳
上行菩薩の本質を示す「日蓮」の御名乗り
仏とは「永遠に戦い続ける人」
〔御文〕(御書903㌻7行目~9行目)/現代語訳
仏法の師弟は三世の「宿縁」
〔御文〕(御書903㌻13行目~17行目)/現代語訳
広布に励む人こそ最高に尊貴な存在

四条金吾殿御返事(不可惜所領事)(大白蓮華2008年12月号)
威風堂々──いかなる逆境にも負けない
     「師弟の大道」を悠然と!

人生最大の苦境に入魂の激励
〔御文〕(御書1163㌻8行目~13行目)/現代語訳
悪世末法に法華経を持つ信心を賞讃
良観の謀略を未然に防いだ金吾の「信心」
〔御文〕(御書1163㌻15行目~16行目)/現代語訳
この一生の中で「水遠の幸福」を築く
「法華経にきずをつけ給うべからず」
「小我」でなく「大我」に立脚を
〔御文〕(御書1163㌻16行目~1164㌻4行目)/現代語訳
「信心の眼」「仏法の眼」で見よ!
〔御文〕(御書1164㌻9行目~16行目)/現代語訳
大悪は大善への瑞相
2011-12-31 : 教学著作 :
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希望の経典「御書」に学ぶ 2

希望の経典「御書」に学ぶ 2
 聖教新聞社 2012.1.2刊 ¥476+税

妙一尼御前御消息(大白蓮華2008年2月号)
冬は必ず春となる──大信力を奮い起こせわが友よ

〔御文〕(御書1253㌻9行目~16行目)/現代語訳
仏法は苦しんでいる人の最大の味方
阿闍世の蘇生が、釈尊入滅の願い
〔御文〕(御書1253㌻16行目~17行目)/現代語訳
冬は必ず春――凡夫は必ず仏になる
試練の冬が勝利の花を
〔御文〕(御書1253㌻18行目~1254㌻5行目)/現代語訳
妙法に戦い抜く「偉大な凡夫」
〔御文〕(御書1254㌻6行目~10行目)/現代語訳
妙法に生きる師弟は三世の絆

上野殿御返事(竜門御書)(大白蓮華2008年3月号)
「我が弟子等・大願ををこせ」──師の大願「全人類の幸福」を弟子が継承!

〔御文〕(御書1560㌻1行目~12行目)/現代語訳
険しき道を越えてこそ成仏
竜門の故事を通し、成仏の困難さを示す
牧口先生の一対一の激励行
「破壊は一瞬。建設は死闘」
〔御文〕(御書1560㌻13行目~15行目)/現代語訳
悪知識を恐れよ
〔御文〕(御書1561㌻1行目~8行目)/現代語訳
混乱の時代にこそ大願に生きよ!
「自他ともの幸福」目指す生き方を

四条金吾殿御返事(法華経兵法事)(大白蓮華2008年4月号)
「法華経の兵法」──師から弟子へ伝える「絶対勝利の信心」

〔御文〕(御書1192㌻1行目~2行目)/現代語訳
「用心」「勇気」「信心」の三要諦
〔御文〕(御書1192㌻2行目~12行目)/現代語訳
諸天善神をも動かす信心
妙法が一切の智慧の源泉
〔御文〕(御書1192㌻13行目~1193㌻2行目)/現代語訳
「心こそ大切なれ」とは仏法の真髄
「師弟一体」の心が一切の根本
法華経の兵法──大確信の祈りと「戦う心」で勝ち抜け!

転重軽受法門(大白蓮華2008年5月号)
「行動」こそ仏法者の魂──我と我が友の「宿命転換」のために!

自他の運命を切り開く「菩薩の生き方」
〔御文〕(御書1000㌻3行目~4行目)/現代語訳
「大難」即「成仏」の御境涯を示す
「苦難の意味」を三つの角度から教える
転重軽受は一生成仏と同義
〔御文〕(御書1000㌻4行目~6行目)/現代語訳
不軽菩薩の六根清浄の功徳
折伏の実践に「護法の功徳力」
〔御文〕(御書1001㌻2行目~11行目)/現代語訳
「行動」が宿命転換の直道

三沢抄(大白蓮華2008年6月号)
「一人立つ」勇気の継承──「師子王の心」で「第六天の魔王」を打ち破れ!

〔御文〕(御書1487㌻11行目~1488㌻4行目)/現代語訳
「真実の仏法の師」とは「天子魔」に勝ちきる人
信心は三障四魔との戦い
元品の無明が第六天の魔王に
「日蓮一度もしりぞく心なし」
〔御文〕(御書1489㌻7行目~17行目)/現代語訳
人類救済の新たな大法興隆の時
2011-12-31 : 教学著作 :
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世界詩歌協会主催 桂冠詩人受章30周年を祝う詩人の集いへのメッセージ

世界詩歌協会主催 桂冠詩人受章30周年を祝う詩人の集いへのメッセージ
   (2011.12.17 インド 創価池田女子大学)

 50カ国・地域に広がる国際詩人団体「世界詩歌協会」が17日、池田大作SGI(創価学会インタナショナル)会長の「桂冠詩人」称号受章30周年を祝賀する集いを開催した。これは、同協会が本部を置くインド・チェンナイの創価池田女子大学で行われ、同国の詩人・学術者ら600人が出席した。集いには、SGI会長がメッセージを贈り、同協会のパドマナーバン会長、チェンナイのバーラスンドラム元市長はじめ71人が登壇。7時間にわたって、SGI会長の詩業を讃える詩を詠んだ。

名誉会長のメッセージ

詩人の魂の声は──民衆を励ます希望の音律

 一、2011年の棹尾を飾りゆかれる世界詩歌協会の詩人の集い、誠におめでとうございます。
 とりわけパドマナーバン会長におかれましては、私たちの平和・文化・教育運動に、いつもいつも温かなご理解と多大なる支援をいただき、心より感謝を申し上げます。誠に誠に、ありがとうございます。
 一、詩人の心の共鳴は、物理的な距離を超え、民族や文明の差異を超え、世代や時代の隔たりをも超えて、何ものにも引き裂かれることのない金剛不壊の人間の連帯を築き、そして広げてくれるものであります。この気高き魂の結合を、パドマナーバン会長をはじめ先生方との間に持ち得たことは、私の無上の光栄であり、最大の喜びであります。
 さらに、このたびの詩人の会が、創価池田女子大学で開催されることを、私は妻と共に、ことのほかうれしく思っております。美しく豊かな詩心に富んだ学生の皆様方にとって、深さ精神性の感化となり、大いなる創造性の啓発となりゆくことを確信するものであります。
 敬愛してやまぬクマナン議長をはじめ、大学関係者の皆様方のご尽力にも、心から御礼を申し上げます。
 一、私が、人生の師匠である戸田城聖先生と初めてお会いしたのは、1947年の8月14日。まさしく貴国インドの歴史的な独立の宣言の前夜でありまた。
 敗戦後の荒廃した日本で、正しき人生の道を求めていた19歳の私は、軍国主義と対峙して2年間の投獄を勝ち越えてきた戸田先生の人格に触れ、「この方ならば」と、人生を賭して師事することを決意したのであります。
 恩師は「雲の井に 月こそ見んと 願いてし アジアの民に 日《ひかり》をぞ送らん」との和歌を詠まれ、植民地支配や戦禍に苦しみ抜いてきたアジアの同胞の幸福を願い続けてこられました。
 そして、確かなる生命尊厳の哲学を掲げたアジアの民衆の連帯が、世界に平和をもたらすことができると展望するとともに、「地球民族主義」という理念を鋭く提唱されたのであります。

師の心を胸に
 一、私は、この師匠のお心をわが心として、アジア、そして世界との対話の道を開きゆかんと、1961年1月31日、仏教発祥の大恩ある天地・インドのチェンナイを初めて訪問させていただきました。
 以来、半世紀──。多くのインドの偉大な知性の先生方との素晴らしき知遇を得て、手を取り合って行動を重ね、幾重にも友情と信頼の花を咲かせることができました。
 なかんずく、南インドを代表する詩人の皆様と、平和の最も強き武器である詩を通じ、長年にわたり交流させていただき、共々に人間の讃歌、生命の讃歌を歌い上げていけることは、何という誉れでありましょうか。
 わが心の永遠の宝であります。
 一、皆様の詩には、魂があります。人間を心から愛し、生命をいとおしむ慈悲の光があります。青年の命を善なる方向へと動かさずにはおかない力があります。
 皆様の魂の声は、民衆の心を励ます希望の音律であります。詩人の勇気ある主張には、不条理に踏みにじられた社会を、正義を根本とした幸福と人道の社会に転じ、平和な世界へ前進させていく響きがあると、私は信じております。
 タミル文学の精華である『ティルックラル』には、「〈言葉に〉嘘がないということほど優れた称讃はない。〈それは〉労せずして全ての徳をもたらす」とあります。
 詩人は、民衆に対して常に大誠実であり続けます。
 けなげな庶民の小さな訴えも聞き逃さずに、誇らかな詩歌へと高めずにおきません。
 詩は、やむにやまれぬ人間の本源的な叫びであります。詩は、民衆の生きる大地を潤す甘露であり、永遠に滅びることがありません。いな、詩心を民衆の心から滅びさせてはなりません。
 さまざまな面で行き詰まりを見せている現代社会にあって、生き生きと詩心を脈動させゆく民衆のスクラムこそが、新たな平和と人道と創造の旋風を起こしゆく希望であるといえないでしょうか。

平和の叙事詩を
 一、南インドの大詩人バーラティは断言しました。
 「詩を詠む人が詩人ではない。詩がその人の人生になり、その人が自分の詠んだ詩の通りに生きてこそ詩人である」
 今日ここに集われた皆様方こそ、その真正の詩人であられます。
 敬愛する皆様方とご一緒に、私もさらにさらに、詩人の魂を燃え上がらせながら、壮大な民衆勝利の平和の大叙事詩を創り残しゆくことを、固くお約束申し上げて、メッセージとさせていただきます。
 偉大なる世界詩歌協会に栄光あれ!
 偉大なる創価池田女子大学に幸福あれ!
 偉大なるインドの未来に無窮の平和と繁栄あれ!
 ご出席の皆様方の益々のご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます。
2011-12-28 : スピーチ・メッセージ等 :
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随筆 我らの勝利の大道 No.64

随筆 我らの勝利の大道 No.64
               (2011.12.26付 聖教新聞)

創価家族の誇り

威風堂々 青年学会は勝利の明日へ!

麗しき「人間共和」を広げよう!

妙法証明の「多宝の父母」に感謝

 永遠に
  偉大な功徳を
    積みゆかむ
   私もあなたも
     学会家族と

 この一年間、本当にありがとう! 全世界の偉大な地涌の同志に、私は心から感謝を申し上げたい。
 凍てついた混迷の世に、暗夜を照らす灯台の如く、わが友は何と勇敢に「希望の光」を送り続けていることか。
 あまりにも大きい試練の一年であった。
 そしてまた、人と人が寄り添い、支え合い、励まし合って、生き抜いていく。そこに最も人間らしい幸福があり、平和がある──このことを、皆が噛む嚙みしめた一年でもあった。
 「逆境を共にする者たちの気持は自然と通い合って友情を結実するものである」とは、スペインの文豪セルバンテスの言である。
 苦難が打ち続く社会だからこそ、私たちは、強く麗しい人間共和を、日本中、世界中に広げていきたい。
 同志と共に!
 青年と共に!
 師弟が共々に!
 広宣流布の大願へ、鉄の団結で進みゆく、我ら創価の民衆の「絆」は、何ものにも断ち切られない。
        ◇
 今年、わが後継の男女青年部は、力の限り「行学の二道」に励んだ。
 手作りの「創価青年大会」は7月の先駆けの富山県、そして10月以降、大関西の全支部が総立ちの青年大会を起点に、全国各地でかつてない連帯を広げてきた。今月18日、大勝利の大分家族の大会をもって一切を美事に勝ち飾った。
 本年の目覚ましい「青年躍進」を、私たちは万雷の拍手で讃えたい。立派に新しい時代を創ってくれた。
 とともに、青年を温かく励まし、陰に陽に大成功を支えてくださった壮年部、婦人部の皆様方に、あらためて御礼を申し上げたい。
 さらにまた、青年学会の鑑と光る「多宝会」「宝寿会」「錦宝会」の方々の祈りと応援に、最敬礼して感謝を捧げたい。
 また、「太陽会」「敢闘会」の活躍も、まことに頼もしい限りだ。
 草創以来、多宝の友は、それぞれに何十人、何百人と、粘り強く折伏行を重ねて、今日の学会の大発展の基盤を築いてくださった。
 その福徳は、三世永遠にわが身を飾り、子孫末代まで薫りゆくに違いない。
 そして今も変わらず、次世代の人材の育成に、全力を挙げてくださっている。あまりにも尊貴にして、あまりにも偉大な方々だ。
 あのイタリア・ルネサンスの文化も、師匠から弟子への薫陶があり、先輩から後輩への激励があったればこそ、絢爛と花開いた。
 ルネサンス期の美術史家バザーリは、「清澄な精神を持つ人々には年を取っても、後輩たちが立派な仕事をするよう指導している人が多い」と綴り残した。
 現在、壮年部「王城会」、婦人部「香城会」などの皆様方が、広宣流布のために、大切な命の時間を供養する思いで、敢然と使命を果たしてくださっている。
 それは、正義の大城を厳護する戦いであるとともに、永劫に崩れざる創価学会の未来を創造する営みであるのだ。
 あの大歴史家トインビー博士の「若さ」の秘訣は、明快であった。「次の世代に起ころうとしていることに、ほんとうに関心をもつこと」である。
 人生の総仕上げとは、過去の肩書など取り払って、未来のため、青年のために、心を砕き、智慧を出し、手を打つことなのだ。
 仏法は「現当二世」、常に「今」から始まる。今いる「ここ」が出発点だ。

「青年の魂」で成長
 「魂の人間讃歌──ジャズと人生と仏法を語る」の鼎談を、私も、そして最高峰のジャズ音楽家のウェイン・ショーターさん、ハービー・ハンコックさんも、世界の青年たちと未来を語り合う思いで進めてきた。
 連載の終了後に、78歳のショーターさんは、こう語ってくださった。
 「この鼎談を通し、私の青年の魂が再び成長し始めました。それは『一人立つ精神』です。恐怖や逆境に立ち向かい、何があっても前へ進む『確信』です」
 そして、この青年の魂をもって、英知を磨き、真の友情を育みながら、平和への永遠の冒険を突き進んでいきたいと言われるのだ。
 私たち3人は、永遠の青年の魂を脈打たせながら、生命の勝利の讃歌を創り残しゆく心意気である。
        ◇
 法華経には「長寿にして衆生を度せん」(創価学会版法華経505㌻)とある。
 風雪の中を戦い抜いてこられた多宝の友の姿そのものが、厳然たる広布の実証だ。幾多の苦難を毅然と勝ち越えてきた笑顔こそが、地涌の菩薩の証明である。
 そうした多宝の友が、今日も真剣に送ってくださる励ましの題目に、地域の後輩たちが、どんなに守られていることか。
 多宝の先輩方が、仕事に悩む青年を励ますアドバイスや、生活苦に直面する壮年や婦人に語る自らの体験談が、どれほど安心と勇気を広げてくれることか。
 日蓮大聖人は、現実社会の荒波を受けて苦闘する、四条金吾に仰せである。
 「賢人は八風と申して八のかぜにをかされぬを賢人と申すなり、利《うるおい》・衰《おとれ》・毀《やぶれ》・誉《ほまれ》・称《たたえ》・譏《そしり》・苦《くるしみ》・楽《たのしみ》なり」(御書1151㌻)
 どんな毀誉褒貶の「風《かぜ》」にも揺るがぬ多宝の友の、透徹した信心こそ、学会の宝であり、柱である。
 御聖訓には「周の文王は老たる者をやしなひていくさ(軍)に勝ち」 (同1250㌻)と仰せである。
 広布の大先輩を、どこまでも尊敬し、大切にしたい。皆でそうした心を持つ組織が、守りに守られ、圧倒的に勝ち栄えていくことは絶対に間違いないのである。

「希望家族」の絆
 大震災の被災地にあって“たとえ一切を失おうとも我らには希望がある!”と、皆を励ましてやまない多宝の友もおられる。
 そうした尊き父上、母上たちを中心に、先日、気仙沼圏の同志が感動的な「希望家族大会」を開催した。
 地元の中心会館が大津波の被害で使えなくなり、これが震災後初の、嬉しい“圏の集い”であった。
 席上、宮城県音楽隊が力強い演奏を披露。大津波で祖父を亡くした少年部の友は祖母とリレー体験を発表した。その凛々しき決意に、皆が感涙したと伺った。
 ──祖父の形見となった腕時計は、その後もずっと時を刻み続けている……。
 少年は悲しみの中でも、大好きなおじいさんが「止まってはいけない、進みつづけろ」と励ましてくれていると感じ取った。そして、「残された僕たちが力強く前へ進んで行く事が、一日、一日を精一杯やりきる事が、おじいさんへの供養にもなると思います」と。
 広宣流布に生き抜いた多宝の父母《ちちはは》の「負けない心」は、生死を超えて、未来のリーダーたちの命に脈々と受け継がれている。
 気仙沼の希望家族の誇り高き笑顔の記念写真を御宝前にお供えし、私は妻と題目を送らせていただいた。
        ◇
 先日、「人材・躍進の年」の棹尾を飾り、「青年学会 拡大の年」の開幕を告げる大号砲が轟いた。
 埼玉県で行われた「マーチングバンド・バトントワーリング全国大会」で「創価グランエスペランサ」(鼓笛隊)、「創価ルネサンスバンガード」(音楽隊)が共に堂々の日本一の栄冠に輝いたのだ。
 まさに全同志の魂を鼓舞してくれた。本当に素晴らしかった。ありがとう!
 躍動する若き生命から迸る響きこそが、胸を打つ。青年の威風堂々の舞ほど、人びとの心を変え、社会を動かすものはない。

使命の道を堂々と
 青年学会は、何があっても満々たる生命力で戦い、威風堂々と進み続ける!
 それは、なぜか──。
 第1に、我らの崇高なる大使命のゆえに、である。
 御書には、地涌の菩薩の英姿を「巍巍堂堂として尊高なり」(同211㌻)と示されている。
 「巍巍」とは、山々が高くそびえることだ。あたかもヒマラヤの峰々を仰ぐような堂々たる偉容である。
 それは、久遠の仏の真実の弟子として、濁世末法に妙法を弘め、人類の平和と幸福を実現しゆく、誓願の大きさの象徴といえよう。
 「この世で果たさん 使命あり」と自覚すれば、何を恐れることがあろうか。
 第2に、広宣流布という正義の前進には、三類の強敵をはじめ、幾多の嫉妬の迫害が必ず起こる。だから威風堂々と戦うのだ。
 経文に、「猶多怨嫉。況滅度後」等とある。正しいゆえに、怨嫉され、悪口罵詈される。難こそ、正義の証しなのである。
 なればこそ、「大難来りなば強盛の信心弥弥悦びをなすべし」(同1448㌻)と仰せの如く、昂然と頭《こうべ》を上げ、胸を張るのだ。
 厳しい試練があればあるほど、いよいよ威風堂々と強く打って出るのだ!
 これが、学会精神である。
 この正しき信心と、不撓不屈の実践があったからこそ、学会は強くなり、大発展したのである。
 20世紀の大音楽家で、アルゼンチン・タンゴの巨匠ピアソラは語った。
 「何度も何度も壁にぶつかり、何度も何度も立ち上がってきたからこそ、今の私があるのだ」
        ◇
 恩師・戸田城聖先生は言われた。
 「宇宙の変化の大もとである南無妙法蓮華経を自身の胸中に涌現させるのが、この大仏法である。ゆえに自分の望む方向に、一年また一年、よりよく変化し、必ず勝利していけるのだ」
 わが親愛なる同志の皆様、この一年、本当にご苦労様でした!
 皆、どうか体を大切に、創価家族と共に、満々たる希望の新年を!
 そして幸福と多宝の勝利の人生を!

 青春の
  心を持ちたる
    人生は
   三世に栄《さか》ゆる
    極理の道かな

 セルバンテスの言葉は『ペルシーレス』荻内勝之訳(筑摩書房)。バザーリは『続ルネサンス画人伝』(白水社)、引用文は小谷年司訳。トインビーは『日本の活路』(国際PHP研究所)、引用文は松岡紀雄訳。ピアソラはN・ゴリン著『ピアソラ 自身を語る』斎藤充正訳(河出書房新社)。


2011-12-26 : 随筆 我らの勝利の大道 :
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「フォトグラニカ賞」授与式への謝辞

「フォトグラニカ賞」授与式への謝辞
      (2011.12.14 タシケント写真会館)

 中央アジアのウズベキスタン共和国の芸術団体などが創設した「フォトグラニカ賞」が、池田大作SGI(創価学会インタナショナル)会長の「写真芸術の発展への貢献」を讃えて贈られた。
 授与式は14日(現地時間)、同国の首都タシケントにある「タシケント写真会館」で行われ、文化・スポーツ省のトゥルスナリ・クジーエフ大臣から、代理の池田博正SGI副会長に同賞が託された。
 授与式に続き、同賞の授与を記念しSGI会長の撮影作品による「自然との対話」写真展が同館で開幕した(2012年1月4日まで)。


SGI会長の謝辞

写真は人類の心を結ぶ平和の交響詩
文化と教育の新たなシルクロードを


 一、このたびは光栄にも、文明の融合と創造の大揺藍たる貴国ウズペキスタンから、意義深き「フォトグラニカ賞」を授与いただきました。
 専門家ではない私にとりまして、あまりに過分な栄誉でありますが、写真という民衆の芸術を心から愛してやまぬ庶民の代表として、謹んで拝受させていただきます。
 2002年12月に引き続き、貴国を代表する芸術の大殿堂において、私の写真展を開催していただけますことも、無上の喜びであり、名誉であります。
 誠に誠にありがとうございました。
 一、今、千年の歳月を超えて、私の胸に迫ってくる先哲の叫びがあります。
 ウズベキスタンが生んだ大医学者、大詩人イブン・シーナの言葉であります。
 「人間は、理性的存在として善と悪を区別することが出来るのみならず、知性を磨くために、美と精神性を求めなければならない」と。
 私は、写真芸術もまた、わが生命を明鏡の如く磨き上げながら、美と精神性を探求する戦いではないかと思ってきました。
 一、私の心には、写真芸術の信念の戦人《いくさびと》、フダイベルゲン・ジヴァノフ先生の崇高な生涯が深く刻まれています。
 1879年、ホレズムに生まれた先生は、ドイツ人から写真を学び、ウズベク人最初の写真家として活躍を開始されました。
 しかし、いまだ写真そのものへの偏見は根強く、その名声を嫉《そね》む旧勢力から、「人を写すということは神の御心に背く行為であり、人の写真が壁に掛けられている部屋には、天使は降りてこない」云々と、いわれのない讒言を加えられております。
 そうした反動にも、また最愛の家族との死別という悲哀にも屈することなく、先生はカメラを心の友として、新たな人間芸術の道を切り開いていったのであります。
 教育と文化の興隆へ勇敢に行動し抜いていった先生は、1940年、圧政の犠牲となって殉難されました。
 同時代、私たちの先師である教育者の牧口常三郎先生もまた、日本の軍国主義と対決して、壮絶な獄死を遂げております。
 文化も、芸術も、教育も、人々を不幸に陥れる蛮性に対する、断固たる人間性の戦いであるといって、過言ではないでありましょう。
 一、この信条を分かち合い、わが宝友と仰ぐクジーエフ大臣は厳然と綴られました。
 「精神的価値の守護者である、われわれ芸術家が、今日踏み出す具体的な一歩一歩によって、未来の世代の人々の生命を安全にすることができるかどうかが左右される」
 そして、精神文化における民族交流こそが、民衆の信頼と尊重を強め、私たちの素晴らしい地球の平和と安穏に寄与していくと指摘されているのであります。
 私もまったく同感です。
 なかんずく、写真とは、「過去」から「現在」そして「未来」へ、一瞬一瞬、流転しゆく森羅万象と対話する生命の讃歌であり、ありとあらゆる差異を超えて、瞬時に人類の心を結び合い、地球という共通の故郷への愛惜が織り成す平和の交響詩であるといえないでしょうか。
 一、貴国の先生方との友情を、私はかけがえのない人生の宝として、両国そして世界の青年たちが胸を張って闊歩しゆく、新たな「平和と文化と教育のシルクロード」を、さらに一段と開拓してまいる決心であります。
 その決意を、創価大学に聳え立つナワイー像の台座に刻まれた一節に託させていただき、私の御礼のあいさつとさせていただきます。
 「全ての人々よ 憎しみあうことなかれ 互いによき友人たれ 友情は人のなすべき道なり」
 敬愛する貴国に、永遠の勝利と栄光あれ!
 カッタ・ラフマット!〈ウズベク語で「ありがとうございました」〉 (大拍手)
2011-12-21 : スピーチ・メッセージ等 :
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ウズベキスタン共和国 テルメズ大学名誉教授称号授与式への謝辞

ウズベキスタン共和国 テルメズ大学名誉教授称号授与式への謝辞
      (2011.12.14 タシケント写真会館)

 中央アジア・ウズベキスタン共和国の南部に立つ「テルメズ国立大学」から、池田大作SGI(創価学会インタナショナル)会長に「名誉教授」称号が贈られた。これは、SGI会長の両国友好の発展と歴史研究の振興への貢献を讃えたもの。授与式は14日(現地時間)、首都タシケントにある「タシケント写真会館」で挙行され、SGI代表団として同国を訪れた池田博正SGI副会長をはじめ学会代表が出席。マフムート・ガダイシャエフ副総長から、「名誉教授」の証書が授与された。これで、SGI会長に世界の大学・学術機関から贈られた名誉学術称号は「320」となった。

名誉会長の謝辞


テルメズの詩人
民衆を苦しめれば 自らも不幸になる
栄光とは皆を幸福にする人生


建都2500年 不屈の歴史の都 テルメズ

ハイダロフ総長

青年よ志を高く! 現実と闘え
信念と誇りある「人間」を創れ


 一、私たちのユーラシア大陸の中央に輝き、建都2500年という悠久の歴史を湛えたテルメズは、かけがえのない人類の宝の都であります。
 10世紀、「テルメズの父」と仰がれる大思想家ハキーム・アット・テルメジは宣言しました。「教育による光が心にある時、人間は胸の奥から輝きを放つことができる」と。
 この偉大なる人間主義の精神を継承され、体現される教育の光の大城こそ、貴テルメズ国立大学であります。
 本日、貴大学より賜りました「名誉教授」の称号を、私は人間教育に人生を捧げてきた一人として、無上の誇りと厳粛なる責任をもって拝受させていただきます。誠に誠に、ありがとうございました。
 この栄誉を、私は、人生の師である戸田城聖先生に謹んで捧げさせていただくとともに、私がご一緒に対談集を発刊した英国の大歴史家トインビー博士と分かち合わせていただきたいと思っております。
 ウズベキスタンの天地について、トインビー博士は、多種多様な文明が流入し、ダイナミックに融合し、そして発信しゆく「円形交差路」と呼ばれ、深く敬愛してやまなかったのであります。
 なかでも、貴テルメズには、コスモポリタンの気風に満ちるクシャン朝の時代、平等性・寛容性・平和性に富む仏教思想を基調とした絢爛たる文化が花開きました。世界史に名高い「ガンダーラ美術」の誕生も、そうした文化交流の豊かな精華でありましょう。この時代、テルメズ出身の英才が仏典の翻訳に尽くし、中国、日本等、東アジアへの仏教の伝播が大きく進んだことも、決して忘れ得ぬ文化の大恩であります。
 このシルクロードの研究を通して、人類の平和共生への智慧を探求しゆくことは、わが創価大学の構想の一つでありました。
 創価大学が6度にわたり派遣した調査団によるテルメズ近郊の「ダルヴェルジンテパ遺跡」の発掘では、貴国、そして貴テルメズの諸先生方に絶大なるご協力、ご支援を賜り、数多くの学術成果を収めることができました。この席をお借りして、創立者として改めて御礼を申し上げるものであります。

労苦は人生の宝
 一、さて、テルメズが生んだ偉大な詩人サビル・テルメジは謳いました。
 「汝が民衆を苦しめようと企むならば、
 自身に不幸の結末を招く。
 隣人に幸福をもたらす人は、
 栄光の人生が輝く」と。
 この民衆貢献という真実の栄光の人生を歩みゆく幾多の逸材を、貴大学は育成してこられました。
 2009年の創立55周年には、カリモフ大統領が発展目覚ましい貴大学を訪問され、その傑出した学術研究を絶讃されたことも、よく知られております。
 貴大学の大前進をリードされゆくハイダロフ総長は語られました。「青少年は、自身の内面世界を高めようと意識的に努力することによって、自身の社会に果たす役割を自覚することができる」と。
 そして、総長は、単なる机上の学問ではなくして、実際に生産労働等を通して、困難や矛盾をはらんだ現実の社会を肌で感じながら、信念や世界観、自尊心をもつ人間を育成することを志向されているのであります。
 わが創価大学も、「英知を磨くは何のため 君よそれを忘るるな」そして「労苦と使命の中にのみ 人生の価値《たから》は生まれる」を合言葉としてまいりました。
 その意味からも、総長の高邁な理念に、私は心からの敬意と共鳴を表したいのであります。

多様な文明の交差路 ウズベキスタン共和国
永遠の勝利へ英知の泉に繁栄あれ


シルクロードの不死鳥の都
 一、貴テルメズは、歴史上、幾多の侵略や蹂躙にも雄々しく立ち上がり、勝ち栄えてこられた「シルクロードの不死鳥」の国土であります。
 本日、貴大学の一員とさせていただいた私も、この不屈の魂に深く学び、先生方と手を携えて、新しき千年を照らしゆく「青年教育」「人間教育」そして「平和教育」の太陽を、いやまして光り輝かせゆくことを、お誓い申し上げます。
 勇壮なる貴国の国歌には謳われております。
 「知識と学問の源泉に繁栄あれ
 汝(ウズベキスタン)の栄光よ、永遠に輝きわたれ!」
 愛する貴ウズベキスタン共和国、そして貴テルメズ国立大学の無窮のご隆昌を、心からお祈り申し上げ、私の謝辞といたします。
 カッタ・ラフマット!(ウズベク語で「ありがとうございました」)
2011-12-21 : スピーチ・メッセージ等 :
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魂の人間讃歌  ジャズと人生と仏法を語る

魂の人間讃歌  ジャズと人生と仏法を語る

第15回(最終回) 勇気の調べを青年と共に(2011.12.2/3/5付 聖教新聞)

人間革命の響きを地球革命のために

ショーター 日本では創価青年大会が、合唱あり演奏ありで、各地で賑やかに行われていると聞きました。音楽とともに沸き立つ力で、青年の連帯が広がっていくことは、心躍ります。
 古代ローマでは、凱旋した将軍シーザーたちを、楽団の演奏が迎えました。
 そのように、音楽は戦争のために用いられることもありましたが、今は、平和のリーダーたちのために、創価の音楽隊や鼓笛隊などの友が、栄光の音楽を奏でてくれていますね。
池田 広宣流布は、明日の世界に、人間主義の永遠の都を築き、民衆勝利の凱歌を奏でゆく壮大な運動です。
 その颯爽たる旗手が、音楽隊や鼓笛隊、さらにオーケストラ、合唱団等のメンバーです。仕事や学業に真剣に励みながら、努力を重ね、文化運動を力強く推進してくれています。
 それは、新たな人材群の大いなる潮流でもあります。音楽を心の友として、尊い「信」「行」「学」の錬磨の青春を走り抜いた人材が、二陣三陣と躍り出て堂々と各界で活躍している。こんなに嬉しいことはありません。
ハンコック アメリカの独立の戦いの時には、音楽隊の行進が皆を鼓舞しました。平和的な組織であるSGI(創価学会インタナショナル)において、わが音楽隊の友らが奏でる力強い楽曲は、私たち自身の生命の根本的な迷いである「元品の無明」との間断なき戦いに勇気を与えてくれるのです。
池田 まさしく、勇壮な「人間革命の響き」です。「正義の行進曲」です。
 ショーターさんとハンコックさんのお二人が、ジャズを通して人々を啓発し、多くの青少年に勇気と希望を贈ってこられたことも、偉大な歴史です。
ハンコック ありがとうございます。池田先生が見守ってくださっているおかげです。
 ウェインと私は、ジャズ・ピアノの偉人にちなんで名付けられた「セロニアス・モンク・ジャズ研究所」という教育機関の設立当初から関わってきました。この数年間、私が代表も務めてきました。「10代の若者の人間性向上に役立てたい」「21世紀には文化や教育がより重要になる」との思いからです。ヨーロッパの学生たちがバッハやモーツァルト、ベートーベン等を知るのと同じように、ジャズがアメリカの歴史の一部であると認識されるよう、セロニアス・モンク・ジャズ研究所では小学校や中学・高校等での授業プログラムも持っています。
 また、アメリカ国務省と連携し、世界を舞台に活動しています。昨年の上海万博でも依頼を受け、演奏しました。ジャズは国際的な音楽ですから、アメリカと他国のかけ橋の機能も果たしているのです。
ショーター ベトナムへ演奏に行った時のことです。記者会見の席で興味深い話し合いが行われました。あるNGO(非政府組織)に同行していたアメリカ人ジャーナリストが、国務省のスタッフの一人に、この地にジャズを紹介することの素晴らしさを語りました。それに応じ、その女性スタッフは言いました。「ジャズは芸術性の高い音楽ですから、人々がそれに接してよい影響を受けるようにしなければなりません。私たちは、その手助けをしたいのです」と。
 ジャズの勝利だと思いました。ジャズが「創造」を旨とする音楽であるという芸術性を、国務省から来た一人の女性が深く認識していたからです。まさにジャズがアメリカを代表する芸術であることを示しているのです。
池田 その通りですね。アメリカという新天地で、言いしれぬ苦労を重ねてきたアフリカ系の人々の中から、ジャズが生み出され、そして今や、アメリカはもとより、人類の宝として愛されている。これは、文化の力の真髄です。
ハンコック この研究所の活動の一環で一昨年、キング博士の子息であるマーチン・ルーサー・キング3世および8人の連邦議会議員と一緒にインドに行く機会がありました。キング博士の「インド旅50周年」を祝賀するためです。私たちは学生バンドと一緒に参加しました。その時、現地を訪問中に、私は偉大なタブラ(古典打楽器)奏者であるSGIメンバーとも会うことができました!
池田 世界の旅先で同志と出会うことほど、嬉しいことはありませんね。
 半世紀前のキング博士のインド訪問の足跡については、ガンジー記念館元館長のラダクリシュナン博士とも語り合いました。マハトマ・ガンジーの思想を人権闘争の範としたキング博士が、このインド訪問を「巡礼」と意義づけていたことも紹介されていました。
 ラダクリシュナン博士ご自身も、アトランタを訪れた際、キング3世と母上(コレッタ夫人)から受けた温かな歓迎を思い出深く語られていました。
 ガンジーとキング博士の非暴力の魂の共鳴を、私たちはさらに強く深く広げていきたいものです。
 ショーターさんも、後輩を立派に育ててこられましたね。若い楽団員たちから「どれほど啓発されたか分からない」と感謝されていると伺っています。ショーターさんの生き方から、「自分たちにも次の世代へ伝えるべき深い使命があるということを学んだ」と語っているとも聞きました。
ショーター ありがとうございます。私がやっていることは、いわば裏方の働きです。人間の精神を向上させる仕事です。
 若い楽団員たちは皆、私の半分ほどの年齢ですが、私がどんな目的を持って行動しているのかについて話し合っています。
 彼ら全員が“音楽の目的は何か”について思索し、次代のミュージシャンたちに何を伝えるべきかを深く認識してくれています。
        ♪
池田 「若さ」には何ものにも勝る力があり、創造へのエネルギーがあります。
 御書に「従藍而青」という言葉があります。後継者が立派に成長していくことの譬えとして用いられています。
 「青は藍より出でて、しかも藍より青し」──私たちで言えば、後輩を励まし伸ばして、自分以上の偉大な人にしていくことにも通じるでしょう。
 中国の周恩来総理も、「若い人たちが成長したのは、年輩の人たちが手塩にかけて育てたから」(中共中央文献編集委員会『周恩来選集』外文出版社)と言っていましたね。これは、古今東西、変わらぬ道理でしょう。
ハンコック 本当にそうですね。「イマジン・プロジェクト」というアルバムを共同で作り上げたグループの一つに、西アフリカのマリ北部出身の「ティナリウェン」という楽団があります。その楽団と一緒に作った歌に、「若者と自分の体験を分かち合う」「若者の声を聞く」という内容が入っていました。体験から学んだ智慧を共有することは、人を育てるのに不可欠です。
 私が若かったころ、音楽的に成長を遂げるための答えを探し求めていた時、本当に多くの音楽の先輩たちが自分たちの体験を分かち合ってくださり、励まし、助けてくれました。
 今、わが人生を振り返ると、もし自らの体験を喜んで共有してくれたあの先輩たちがいなかったら、今日の自分はなかったと実感します。だからこそ私も、若者に自分の体験を分かち合うというジャズの伝統を引き継ぎたいと思っています。私の体験がちょっとでも彼らの成長に役立ち、何らかの糧になればと思っています。
池田 大事なお話です。「あの人がいたから、今の自分がある」──それは、多くの学会員が持っている感謝の真情でしょう。
 青年を育てるには、「会う」「語る」そして「一緒に行動する」ことです。「体験を共有し合う」ことです。「断じて、この人を人材に」という情熱を持って、真剣に祈り、真心を尽くしたことは、必ず相手の心に「種」となって残ります。今は目に見えなくとも、必ず大きく花開く時が来ます。
 私が青年時代から心してきたのも、この一点です。
 仏法では「物たね(種)と申すもの一なれども植えぬれば多くとなり」(御書971㌻)と説かれています。人材育成とは、励ましの種、触発の種を蒔き続ける挑戦といってよいでしょう。
ハンコック 未来は、他のどの世代よりも、若い世代の発想と努力で決まると信じます。未来はそれを必要としています。現状維持や、従来のやり方を大きく飛び越えるには、多くの労を要します。今、必要なことは、全く新しい地球規模のビジョンを創造することです。それが出来るのは、青年しかいないと思います。なぜなら彼らは、私たちのように古いやり方に束縛されていないからです。今はまさに、全く新しい挑戦の時です。
 先生が言われるように、未来のために種を蒔く時です。
池田 わが師・戸田先生は、青年を絶対的に信頼してくださる指導者でした。
 青年を信じ、青年に託す以外にない──それは、戦時中の大弾圧を、牧口門下生として、ただ一人耐え抜かれた先生の結論でもありました。
 先生は、「一人の青年が命をかければ、広宣流布は必ずできる」と、私を薫陶してくださいました。その師恩に応え抜くために戦ってきたのが、私の人生です。
 ともあれ、青年を見下したり、利用したりしては、絶対になりません。
 いずこの世界でも、青年を尊敬し、青年の持てる創造性を伸びやかに発揮できるようにしてこそ、新しい挑戦が生まれ、新しい発展が開かれます。
ショーター 音楽界の新しい挑戦という意味では、私は、即興演奏するオーケストラが出現してもいいと思っています。演奏前には楽譜を見ても、演奏中は閉じてしまうのです。
 それには、高度なイヤートレーニング(耳の鍛錬)が必要です。即興で演奏しながらも、バイオリンやその他の弦楽器を含む、全ての楽器が出す音をお互いに聴き合えるようなレベルにまで達した時、自ずと即興の交響楽が始まるのではないでしょうか。そこでは指揮者がいなくても、お互いの出す音に時間的なズレはありません。
 すでに小さな室内楽団が、これに似た試みをしていると聞きました。彼らは、たくさんのイヤートレーニングを、皆で一緒に行っています。
 実は、私たちの楽団の四人も毎晩、ステージの上で、それを行っているのです。このことを通して、今まで考えられなかったような深い自覚が生まれ、一人一人のリーダーシップが高まりました。メンバーの境涯が高まるので、各人が大きな尊敬を受けるようになり、一人一人が真にリーダーの役割を果たす楽団となると思っています。

新しい人材の誕生を世界が熱望
若い世代は“本番”で鍛えられる


池田 音楽に限らず、いかなる分野でも一人一人が勇気を持って、互いに切磋琢磨していく挑戦の中でこそ、いまだかつてない創造は成し遂げられていくものです。
 仏法では、人を幸福にする地涌の菩薩の力の譬喩として、「火は焼照を以て行と為し・水は垢穢《くえ》を浄《きよむ》るを以て行と為し・風は塵埃を払ふを以て行と為し・又人畜草木の為に魂となるを以て行と為し・大地は草木を生ずるを以て行と為し・天は潤すを以て行と為す」(同1338㌻)と説かれます。
 この大自然の働きの如く、わが生命に本然的に具わっている勇気と慈悲と智慧の力を発揮して、他者のために尽くしていくのが、菩薩の行動です。
 しかも、自分一人だけではない。それを、後に続く人々と共有し、新たな道を開いてこそ、真の菩薩です。
ハンコック よく分かります。
 ですから、私たちは、青年たちを前に押し出して、指導的な立場に立たせていかなければなりません。
 一般的に、人々は指導者が自分たちの前に立って道を示してくれることにあまりにも慣れてしまっています。自分たちでその道を発見する力を持っているとは考えられないからです。人々は自分自身の人生のために、そのような責任を担うことに慣れていません。誰かがやってくれるのを待っているのです。あるいは、多くの場合、誰か別の人が責任を取ったり、非難を引き受けてくれるのを待っています。
        ♪
池田 そうですね。
 ガンジー記念館元館長のラダクリシュナン博士は、先日、来日したインド創価学会の首脳に伝言を託してくださいました。
 ──マハトマ・ガンジーは、晩年、記念式典などには出席せず、ネルー首相など、あえて後継のリーダーたちを前面に立てて、次への流れをつくっていました。だからこそ、インドの盤石な基盤ができました。
 その意味において、SGIが「青年学会」を掲げ、若い力をどんどん伸ばしていることは、本当に見事であるし、理想的です──と。
 世界の知性は、よく見抜いておられます。
ハンコック 本当です。驚きました。池田先生が、実践の中で、若い世代に責任を持たせ、薫陶されていることは、永遠性への軌道ですね。
 日蓮大聖人の仏法が説いていることは、一次元から言えば「一切の責任を担い立つ」ということではないでしょうか。自分自身の振る舞いや、個人的な役割のみならず、社会やそこで起こっていること全てに対しての責任です。これは本当に素晴らしいと思います。
 この仏法の実践の偉大な功徳の一つは、その責務をもっと意欲的に受け入れる勇気が、自分の生命の中から湧き上がってくることを感じて、こうした責任を担うことをあまり恐れなくなることです。それは凄いことです。
池田 その通りです。
 日蓮大聖人は「一切衆生の異の苦を受くるは悉く是れ日蓮一人の苦なるべし」(同758㌻)とまで仰せになられています。
 「一人立つ精神」こそ、創価の伝統です。牧口先生は「羊千匹より獅子一匹」と叫ばれました。
 「青年学会」の意義とは、いずこにあっても、この創価の師弟の心を受け継ぐ青年が、一人、責任を持って立ち上がることです。
 その一人の青年に続いて、「二人・三人・百人と」(同1360㌻)、必ず立ち上がり、勢いを増して前進していくのです。
 そのために、私は手を打っています。青年が応えてくれています。
 だから、断じて行き詰まることがありません。
 心の継承と言えば、ショーターさんは本年六月、ブラジルを訪問された折の講演でも、ご自身を育てたジャズの先達でドラマーのアート・ブレイキーさんから学んだ信条等を、とりわけ大事に語っておられたと伺いました。
ショーター はい。アート・ブレイキーは言いました。
 「君たちは、楽器の陰に隠れることもできる。やろうと思えば簡単にできるが、僕は、ドラムの陰に隠れたりはしない。もし君たちが演奏して何も表現できないなら、それは勉強が足りないからだ。自分が接した世界で目にし、理解したことを演奏しようとしていないんだ。何も真剣に心に掛けていないんだ。だから、技術ばかり立派になろうとして、楽器の陰に隠れているんだ」と。
 私も、招かれてスピーチする時や、向上心のある音楽家たちと話す時は、音楽についてではなく、人生について語るようにしています。
        ♪
池田 味わい深いお話です。真に人間として偉大な音楽家を育てようとされたのですね。
 ともあれ、一人一人が日々、価値創造しながら、社会のため、人々のために助け合い、支え合って、より良き共同体を築いていく──その主体者は何か特別な、特定の人ではない。本来、全員が主体者なのです。
 そして、何より青年を育てる以上の社会貢献はありません。今、世界はさまざまな難問に直面しています。政治も経済も環境問題も、今までの古い考え方の延長では解決できない。新しい創造を生むための、新しい発想を持った、新しい世界市民の誕生を、世界が熱望しているのではないでしょうか。
 「平和の文化」の創出や「対話の文明」の構築といっても、その鍵を握っているのは「青年の育成」である。──私が世界の指導者や知性と語り合ってきた結論も、この一点でした。
ハンコック 「世界市民の育成」や「平和の文化の促進」という考えは未来のための土台であり、それは実に、創価教育の父である牧口初代会長の「個人への尊敬」とその視点の促進というビジョンにまで遡ることができます。
 アメリカ創価大学や創価一貫教育は、未来の教育のモデルです。世界中の多数の教育機関が、このビジョンの影響を受けるだろうと思います。
 それは21世紀にとって極めて必要なものであるという意味で、時宜にかなっています。池田先生は、不思議にも、必要な手を全て打ってくださいました。
 基盤は、できあがっています。私たちがなすべきことは、言ってみれば、先生が打ち込んでくださった点に沿って、それらを結んでいくことです。
 しかし、それは、たやすいことではありません。本当に、大きな勇気と慈悲と智慧を要するのです。私たちはこの挑戦に立ち向かわなければなりません。未来は私たちにかかっているのですから!

音楽は希望! 全人類を救う
誰もが「美の価値」の創造者


池田 ショーターさん、ハンコックさん、お二人のジャズの創造の旅路は、半世紀を超えます。
 この50年を振り返って、ジャズの世界で一番大きな変化は何でしょうか? また、これから50年後のジャズの未来の姿をどう想像されますか? これは、私たちの盟友である日本の芸術部の友から寄せられた質問です。
ショーター 何よりも大きく変わったのは、ジャズの「音」ではないかと思います。つまり、ジャズの定義および表現方法です。1920年代に始まり、30年代、40年代、50年代、60年代と、それぞれの時代に、伝統的なジャズと結びついた独自の顕著な要素と表現方法がありました。言い換えれば、「人間の心」を奏でる「音」として、ジャズはこう奏でられるべきだという、ある形式のようなものがありました。しかし、今のジャズには、そのような意味での束縛はありません。
 ただ、今でも、ほとんどのグループが、ややもすれば、「ジャズとは、こう演奏すべきもの」また「ジャズは、伝統的に、こんな特徴を備えた音楽である」と考える傾向があります。そして、そのような固定的な考え方だけで音楽が規定されてしまう場合があります。
 これからの50年間、音楽界には、大いなる創造の作業が必要とされます。未踏の道を切り拓く創造的な啓発の波が次から次へと生み出され、それらが人間社会のあらゆる分野に浸透していかなければならないと思います。
ハンコック これは大変に難しい質問ですね(笑い)。というのは、私自身がその渦中にいるからです。
 仏法では「自行化他」と説きますが、私たちは自分のために実践するとともに、他者のためにも実践すべきです。わが人生をその価値ある日々の積み重ねとして見るならば、ジャズも、全ての側面において、「自分のためと同時に他者のための実践」であり、そういう観点から見ていくように心がけています。その意味において、「即興性」や「対話性」といったジャズの特性は、熟視すべき重要な資質であると思うのです。
 私は、これらのジャズの特性は、豊かな人生を生きるために必要なものであると考えており、それらが最大限に生かされることを望みます。単に音楽演奏のみならず、日常生活の中でも生かすことができるものであることを知ってほしいのです。音楽は希望! 全人類を救う
池田 自分のためと同時に、他者のために実践する──ともすれば利己主義に流されがちな現代において、芸術も、学問も、宗教も、目指すべき本来の方向性が、ここに示されています。
 歴史家のトインビー博士が、私との対談で、核兵器や環境破壊など人類の生存を脅かす諸悪の原因は、人間の貪欲性と侵略性にあり、それは自己中心性から発すると指摘されていたことが思い起こされます。
 そして、その自己中心性とは「一人一人の心の中の革命的な変革によってのみ、取り除くことができる」と喝破されました。さらに、そのために果たす「宗教の啓発の力」に注目され、私たちの「人間革命」の思想に大いなる期待を寄せてくださったのです。
 音楽と宗教は、人間の魂を啓発するという目的を、深い次元で共有しているといってよいでしょう。
 人々を鼓舞し、励まし、勇気を生む音楽の律動は、一人のうちにとどまることはありません。一人の魂を揺さぶる音楽は、予想もできぬ速さで一気に広がり、多くの人々の心を普く潤していくものです。この音楽のみずみずしい波動性こそ、社会を若々しく蘇生させゆく源泉ではないでしょうか。
ショーター そう思います。
 よく他のミュージシャンたちが、私たちのところへ来て、「なんで、君とハービーは、そんなに若々しいのかい?」と聞きます。若い世代の人からは「あなた方は年齢からして、もっと“お年寄り”だと思っていました!」と驚かれます(笑い)。
 「9・11」の米同時多発テロの後、このような声がさらに寄せられるようになりました。これも、信仰を持った私たちが、音楽だけでなく、普段の生活においても、人に希望を贈りたいと挑戦しているからだと思います。
池田 お二人がいつまでも青年の輝きを放つのは、未来を見つめ、若い世代の育成に汗を流しているからでしょう。
 御書には「年は・わか(若)うなり福はかさなり候べし」(1135㌻)と仰せです。妙法という音律を唱え弘めゆく人生が、その通りの軌跡となることは、それこそ世界の多宝の友が示されている通りです。
 喜劇王チャップリンが、「あなたの最高傑作は?」と聞かれて、「ネクスト・ワン(次の作品さ)」と応じたことは有名です。お二人のこれからの「夢」は、何でしょうか? これは、未来部の友からの質問です。
ハンコック 私も、いつも「最高傑作は、次の楽曲であってほしいと思います」と言います。私がそのような姿勢でいるのは、「前向き」であることが常に最良だと考えるからです。
 過去に自分が何をなしたかは分かっています。やったことは既に、私の持ち物なのです。無くなるわけではありません。いわば、ポケットやカバンの中にあるのです。ここに、ずっとあるのです。しかし、次のステップをどうするか。それが最も大事なことです。私たちが踏み出す、次の一歩は何かということです。

挑戦を続ける2人のモットー
ショーター氏
常にこれから! ネバー・ギブアップ(決してあきらめない)
ハンコック氏
恐れなく! 確信と決意の人生を

        ♪
ショーター 偉大な作曲家でバンドリーダーのデューク・エリントンも同じことを語っていましたね。
 私が「これから」抱く夢は、人々と会い、人々から聞き、老いも若きも多くの人たちが、創造的作業の交流に参加することの価値に目覚め、その価値をつかむための手助けをすることです。
 その創造的作業に必要となるのが、冒険的な探究、冒険心に基づく発見、そして、感謝の心を持って未知の事柄を学ぶことです。それは、冒険心を伴った感謝の心です。これは、とても大きな仕事ですので、私には「これから」なすべきことが実に、たくさんあります。
池田 どんな立場になっても、感謝の心を忘れない人には、生命の張りがあります。その報恩の心から、後輩たちへの献身の行動も生まれます。
 法華経の宝塔品の会座には、釈尊と多宝如来のもとへ、十方分身の諸仏が無量無数の国土から、こぞって来集します。
 それは一体、何のためか?
 「開目抄」には、「未来に法華経を弘めて未来の一切の仏子にあたえんと・おぼしめす御心」(御書236㌻)であると説かれています。焦点は「未来」です。「未来」に生きゆく「青年」たちのためです。
 これが法華経の世界です。ゆえに、私たちは命ある限り、青年と共に、青年のために、勇敢に前進あるのみです。
 お二人から、日本、そして世界の若き芸術部の友にメッセージをお願いします。
ショーター 芸術部は、世界の中で人間の尊厳を高める、価値ある活動をしています。その目標は、より深いレベルで人間的な芸術を触発することにあります。
 芸術部メンバーの活動は、やがて見事に花開き、多くの人々を感動させる日が来るはずです。その時、皆が感嘆の声をもらすことでしょう。
 ハービーと私は、その手助けをしたいと、いつも語り合っています。
ハンコック そうです。私は絶えず、アメリカの芸術部の友一人一人に、特に自身の人間性の開発のために、より時間を使うように励ましています。
 人間としての成長こそが重要です。なぜなら、自己の内面にあるものが、自らの芸術によって語られる物語の源泉となるからです。
 その意味では、「あの音」や「この和音」といったことを問題にするよりも、むしろ、自分の芸術分野と異なる社会環境に生きる他の人々と交流していくことが、極めて重要なのです。
 最もよい例が、あの「スーパーマン」を演じた名優クリストファー・リーブです。
 彼は乗馬中に転落して、首から下が完全に麻痺してしまいました。しかし、その苦難ゆえに、同じく身体の麻痺に苦しむ人々に大きく貢献していくことができたのです。
 もちろん、誰も、そんな事故に遭うことは望みません。しかし彼は、事故後、その状況に対応して、新たな舞台で、自身の人生の新たな目標に挑戦し、終に、より大きな人類への貢献を実際に成し遂げました。
 私は、もし偉大な芸術家になりたければ、「最大の情熱と熱意を持って強く生きなければならない」と心から思います。
 当然、芸術の道具や技術も持たねばなりません。練習や訓練も必要です。しかし音楽家は、音楽それ自体以上に、他の人々と関わり合うことが、特に重要なのです。
池田 たとえ芸術家でなくても、汝自身が、無限にして無窮の美の価値を創造しゆく当体です。
 難を受け、試練を乗り越えながら、人々のために尽くし抜く生命は、誇り高き人間讃歌を、不滅の人生の名画を創り残していくことができます。
 それは今、言われたように、人との関わりの中で、織り成されるものです。
 仏典に登場する勝鬘夫人は、
 愛語(思いやりのある優しい言葉をかけること)
 布施(人々に何かを与えゆくこと)
 利行(他者のために行動すること)
 同事(人々の中に入って共に働くこと)という菩薩道の実践を誓い、人々の善性を薫発していきました。
 これは、お二人が世界各地で、人々のため、平和のために続けてきた音楽活動の精神にも、相通じるのではないでしょうか。
 今年、日本では、東日本大震災という、かつてない災害を経験しました。台風の甚大な被害もありました。
 未曽有の危難に直面し、今、日本の社会全体が大きく変わりつつあると、皆が感じ始めています。
 悩み苦しむ人のために自分に何ができるのか、どうすれば希望を贈ることができるのか──そう考える人が増えているのです。
 では、いかに行動すべきか。
 さまざまな方途があるでしょうが、まず「目の前の一人に心からの励ましを贈る」ことは、誰にでもできることです。小さいように見えて、真心の励ましの声は、必ず相手の心を動かしていきます。
 御聖訓には、「小音なれども貝に入れて吹く時・遠く響くが如く、手の音はわずかなれども鼓を打つに遠く響くが如し」(同808㌻)とあります。強く正しき一念から発する音声には、計り知れない力があります。その生命の脈動は、周囲にも伝わり、社会へ広がらずにはおかないものです。
 この励ましのスクラムの中心に光るのは、常に女性です。そこで、これまでジャズ界で活躍してきた女性の中で、お二人が特に挙げたい人物は、という質問もありました。
        ♪
ショーター そうですね、やはり20世紀前半に活躍したビリー・ホリデイを挙げなければなりません。彼女は、人間の尊厳性を歌ったジャズシンガーでした。その人生の生きざまや苦闘を、彼女が歌う歌の中で描き、ジャズが創造性を表現する芸術であることを示しました。さまざまな苦労があったと思いますが、人々に勇気を贈る感動的な歌をいくつも残しています。
ハンコック ビリー・ホリデイの歌は人の心を射る矢のようでした。過酷な人生を送ってきたことがよく分かります。なぜなら、彼女の歌は、どれも人間性の核心に触れる歌ですから。歌というものの本質をつかみ、その真意を汲み取る才能をもち、それを信じられないほど力強く表現するのです。その歌声はまるで「あなたの苦しさが、私にはよく分かるのよ」と語りかけてくるようでした。彼女の影響を受けた歌手は枚挙に暇がありません。
池田 宿命に泣く女性の歴史を何としても転換したい──それが、恩師・戸田先生の悲願でした。ゆえに私は「21世紀を女性の世紀に」と訴えてきました。日本でも、世界でも、この「女性の世紀」を創造しゆくリーダーが、颯爽と躍り出ていることを、私も妻も、何よりも喜んでおります。
 まだまだ、質問は山ほど寄せられているのですが、残念ながら、お二人からの授業もいったん終了となりますね(笑い)。
ハンコック 池田先生! 先生のアメリカに対する50年来のご指導の「集大成」として始めていただいた鼎談の“受講者”として、私たちを選んでくださったことに感無量です。
 先生のご精神を日常生活の瞬間瞬間の中で、私自身の振る舞いを通して示せるようにと祈っています。
 この日蓮大聖人の仏法の信仰を始めるまでは、自分が何のために戦ってきたのか気付きませんでした。まるで、それまでの私は、深い眠りについていたようなものでした(笑い)。
 以前とは異なり、今は、はるかに大きく目覚めているように感じます。道のりはまだ長いですが、もう恐れません。もっと大きな夢を目指していく自信があり、恐れず、ひたすら積極的に前に進んでいきます。
 「確信と決意をもって、自由で恐れなき人生を生きる」。それが私のモットーです。それは私に、そのような能力が自分にあることを自覚させてくれます。
        ♪
ショーター 私は、この鼎談を振り返る時、自分が池田先生の生命から発せられる言葉と智慧、脈々と受け継がれてきた日蓮大聖人の真実の教え、そして遠くは釈尊の悟りと同じ方向に、自分も進んでいるのかどうかを確かめねばならないとの思いに駆られます。私は、その道から決して逸脱しないと強く決意しています。
 私のモットーは、「ネバー・ギブアップ(決して諦めない)!」です。いつも新鮮で、色褪せないモットーです。
 初心を忘れず、「常にこれから」という「本因妙」の精神で、さらに大きな課題に挑戦し続けていきたいのです。
 今、ある音楽の制作に取り組んでいます。その歌詞の一部を紹介させていただきたいと思います。まだ推敲中なのですが……。

 広漠たる人生の大海原を
 僕らは乗り越えていく。
 山なす波浪も
 鏡のような眼に映し出された
 あの深く秘沈する実在を
 覆い隠すことはできない。
  …… ……
 さあ、思い切って
 わが視力の及ぶ範囲をも超えて
 さらに先へと
 飛翔しよう。
 そして
 あらゆる欺瞞の人生に宿るものを
 見究めようではないか! (抜粋)
池田 素晴らしい前進の息吹に満ちた詩です! 音楽を愛する心に、国境も、民族の違いもありません。音楽を聴く時、そこには、ただ「人間」がいるだけです。
 私たちは、日本人である前に、アメリカ人である前に、同じ「人間」なのです。音楽は、その共通の原点に、人類を立ち返らせてくれます。
 殉教の師父・牧口常三郎先生は、既に1世紀前に、人類の壮大な進歩の道を展望しておりました。
 すなわち「軍事的・政治的・経済的競争」から「人道的競争」への大転換です。それを成し遂げゆく、大いなる力は、「人間」に希望を贈る「音楽の力」であり、「文化の力」であり、「教育の力」であるといえましょう。今こそ、人類の魂を蘇生させゆく音楽が求められています。人々を触発し、鼓舞する“魂の人間讃歌”が必要なのです。
 私たちは、青年と共に、青年のために、恩師から学んだ「平和の曲」「幸福の曲」そして「勝利の曲」「勇気の曲」を奏でながら、広宣流布の道を前進したい。
 青年の心で創造を続けるお二人の更なる活躍を、世界の同志と共に期待しています。希望輝く未来へ、新たな調べを奏でていきましょう!
ハンコック 私たちも永遠に先生と一緒に前進していくことを誓います。今から、人生という舞台で、心躍る、新たな生命の演奏を目指し、挑戦していきます。
ショーター (演奏開始の合図)1(ワン)、2(ツー)、1、2、3(スリー)、 ♪ ♪ ♪……。〈完〉
2011-12-21 : 音楽を語る :
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