フィリピン・国立パンガシナン大学「名誉人文学博士号」「名誉教授」称号授与式

フィリピン・国立パンガシナン大学「名誉人文学博士号」「名誉教授」称号授与式(2011.7.29 創価大学本部棟)

 フィリピンの名門・国立パンガシナン大学から、創価大学創立者の池田大作SGI(創価学会インタナショナル)会長に「名誉人文学博士号」、池田香峯子夫人に「名誉教授」称号が授与された。ともに世界平和への崇高な唱道と教育への献身を讃えたもの。授与式は29日、東京・八王子市の創大本部棟で行われ、ビクトリアーノ・エスティーラ学長、リディア・ブドゥハン副学長、サリー・ハリン国際部長らが出席した。


池田SGI会長への授与の辞

他者への貢献の人生を啓発する平和の提唱者
 フィリピン国立パンガシナン大学は、最大の賞讃と心からの敬意を込め、池田大作博士の卓越した功績、博士が提唱される崇高な理念と行動、また、自らが模範となり人々を鼓舞する高潔な生涯を、ここに顕彰いたします。
 博士は、世界の人々が調和と平和と愛をもって共生する生き方の重要性と、その深遠なる本質を説き、著作などを通して訴えてこられました。
 そして調和、平和、分かち合いの心を積極的に唱道してこられたのです。博士の活動は、「真」「善」「美」の価値に生気を吹き込んでおります。
 品格と威厳ある人格をもつ博士は、人々が自分自身を信じ、自身の才能・活力・知識をもって他者に手を差し伸べ貢献していけるよう、啓発しています。
 それは伝播力をもって広まりました。その結果、博士は、自然、地球家族、世界的な協力関係を大事にする平和的共存のための、尊い遺産を創出されたのです。
 また博士は、世界的に名高い教育者として、世界中の多くの教育機関が世界市民を育成するために、重要な拠点として使命を果たせるよう、効果的に力を与えてこられました。
 以上の理由により、国立パンガシナン大学は、理事会の承認をもって、平和の提唱者であられる池田大作博士に「名誉人文学博士号」を授与いたします。

香峯子夫人への授与の辞

人々の「人格の力」を引き出す慈悲と献身
 わが大学は、この上ない栄誉と最大の敬意をもって、池田香峯子夫人をここに顕彰いたします。
 香峯子夫人は、「偉大さ」「慈悲深さ」「献身の心」を体現された、平凡にして、非凡なる女性であられます。
 夫人は、人々が模範とするのにふさわしい、影響力のあるリーダーです。とともに、世界市民なのであります。
 香峯子夫人は、現代の地球社会において女性に自信と力を与え、平和的共存、地球市民の意識、幸福を促進してこられました。リーダーとなり、妻となり、母となる女性の偉大さの本質を見抜いておりました。
 夫人は、すべてを兼ね備えた女性として、人を惹き付けて止まない魅力にあふれております。
 人々が「努力する力」「知恵の力」「人格の力」を引き出せるよう、夫人は「慈愛の力」を分け与えてこられました。夫人は、人類への奉仕のために貢献できる、人々の優れた資質を見出す力をもった、思いやりのある方であります。
 今世紀における世界的に高名な女性である香峯子夫人は、世界の数多くの偉大な女性リーダーのように、女性が「地球の平和」「世界の調和」「世界市民」の精神に満ちた国際社会を実現するために役割を果たし力を発揮できるよう、多大な尽力をしてこられました。
 以上の理由により、国立パンガシナン大学は、理事会の承認をもって、妻であり、母であり、偉大な女性リーダーであられる池田香峯子博士に「名誉教授」の称号を授与いたします。

SGI会長の謝辞
(代読)

教育ルネサンスの大航海へ!

学び抜く人こそ光
エスティーラ学長の信念
「最高峰を目指せ」「決してあきらめるな」
フィリピンの英雄ホセ・リサール
「私の最大の喜びは、優れた青年が現れることである」

 一、心より尊敬申し上げるビクトリアーノ・エスティーラ学長。ならびに、国立パンガシナン大学の諸先生方。さらに、敬愛するフィリピンSOI(創価学会インタナショナル)の皆さま方。
 はるばると、わが創価大学のキャンパスに、本当にようこそ、お越しくださいました。
 信念と慈愛光る偉大な人間教育の先生方を、私たちは最大の敬意を込めて歓迎申し上げます(大拍手)。
 また、このたびの東日本大震災に際しては、貴国から実に多くの真心の支援と励ましを賜りました。この席をお借りして、あらためて心より感謝申し上げます。
 本日、私は、共生の未来を、燦然たる英知の太陽で照らしゆかれる名門・国立パンガシナン大学より、最高に栄えある「名誉人文学博士」の学位記を授与いただきました。
 さらに、妻にも「名誉教授」の称号を賜り、私たち夫婦にとりまして、これはどの光栄はございません。
 エスティーラ学長をはじめ諸先生に、深く深く御礼を申し上げます(大拍手)。
 一、今年、生誕150周年を迎えた貴国の大英雄ホセ・リサール博士は叫びました。
 「私は、自分の名誉のために働いているのではない。わが国の繁栄のために働いているのである。私の最大の喜びは、私より2倍も、3倍も優れた青年たちが、20人、30人と現れることである!」と。
 嬉しいことに、わがフィリピンSGIでも、英邁な青年が陸続と育っております。
 先日は「青年友好文化祭」が盛大に開催されました。ここにお迎え申し上げたリディア・ブドゥハン副学長、サリー・ハリン国際部長が、貴大学の学生の代表と一緒に出席してくださったことも、嬉しく伺っております。
 私と妻は、敬愛してやまない貴国をはじめ、出藍の誉れの青年たちと共に、リサール博士の大精神を偲びながら、本日の栄誉を拝受させていただきたいと思っております。
 誠に誠に、ありがとうございました(大拍手)。

世界を結ぶ海路の要衝
 一、さて、貴大学の壮麗なキャンパスが広がるパンガシナンの天地は、いにしえより、世界の海を結ぶ、マリンロードの要衝として栄えてきました。
 人間の生命にとってかけがえのない「塩」の生産が、現在も盛んな土地柄であり、“パンガシナン”とは、「塩の国」を意味すると伺っております。
 すでに16世紀には、日本とも交易が聞かれておりました。
 当時、欧州の記録にも、パンガシナンの地には、4000人の「平和の民」がいたという記述が残されております。
 この悠久のロマンを湛えたパンガシナンは現代においては、貴国の水産業の中心を雄渾に担い、風光明媚な観光地としても世界の憧れの的であります。
 その美しく豊かな宝のパンガシナンにあって、持続可能な発展と健全な社会建設を力強くリードされゆく学府こそ、貴大学なのであります(大拍手)。

団結すれば力は何倍にもなる!
 一、とりわけ、貴大学は教員養成の「優等教育機関」として名高く、また看護師試験をはじめとする国家試験でも、卓抜した実績を重ねてこられました。
 さらには通信教育制度の充実によって、多くの向学の青年や第一線の技術者、専門家にも幅広く門戸を開かれ、人間と地域社会の変革に貢献する大学としても高く評価されております。
 エスティーラ学長が誇りとされる、「わが大学は一つ」との伝統精神のもと、全学が団結して、偉大な前進を勝ちとってこられたことを、私たちは心から讃嘆申し上げたいのであります(大拍手)。
 先日のフィリピンの青年友好文化祭では、尊敬するラモス元大統領も祝福してくださいました。歴史に輝く貴国の「民衆による非暴力革命」すなわち「ピープル・パワー革命」を指揮された元大統領の故郷も、パンガシナンであります。
 ラモス元大統領は、私との語らいのなかで、青年への呼びかけとして。“新しい数学を学べ”と提唱されておりました。
 すなわち「新しい数学」とは、他の人々と協力することで、「1プラス1」は「2」ではなく「3」にも「4」にも「5」にもなる。
 一方、団結がなければ、「ゼロ」どころか「マイナス5」にもなってしまう、というのであります。
 まさに団結こそ、希望の力であります。
 一、貴大学の淵源の一つは、1922年、バヤンバンに開学した師範学校に遡ります。
 じつは、創価教育の創始者である牧口常三郎先生と不二の弟子である戸田城聖先生が出会い、新たな教育革命への第一歩を踏み出しだのは、その2年前のことでありました。奇しくも、貴大学と創価教育は、時を同じくして、崇高なる人間教育の歩みを開始したのであります。
 あの忌まわしい戦争中、日本車は、あろうことか、友好の歴史ゆかしきパンガシナンの平和の海から上陸し、貴国の民衆に計り知れない苦しみをもたらしました。その狂った軍国主義に命を賭して立ち向かったのが、牧口・戸田両先生の師弟であります。
 貴国をはじめアジアの民衆と、絶対に崩れざる信頼の連帯を結ぶことは、両先生の悲願だったのであります。
 後を継ぐ私は、その遺志を体して、貴国と平和・文化・教育の交流を積み重ね、青年が往来する心のマリンロードを開いてまいりました。
 きょうは、貴国からの最優秀の留学生の代表も出席されております。大震災で揺れ動く日本社会のなかで、毅然と探究を貫いてくださり、創立者として私は深く感謝申し上げるものであります。

学生に贈る励ましの言葉
 一、時代の深い混迷の闇を豁然と打ち晴らす光は、いったい、どこから生まれるか。それは、まず自らが力をつけると心を定めて、学んで学んで学び抜く青年の努力から生まれると、私は信ずる一人であります。
 エスティーラ学長は、学生たちを励ますにあたって、大きく5つの指針を強調されていると伺いました。
 第1に、常に最高峰を目指し、奮闘せよ。平凡な結果に満足してはならない。
 第2に、どんな境遇にあっても失望するな。自分の中から感動と勇気を取り出せ。
 第3に、あなたには、あなたにしかない使命がある。その決意と勇気と献身を、決して忘れてはならない。
 第4に、あなたの勝利が、わが大学の勝利である。
 そして第5に、決してあきらめてはいけない。希望を捨ててはいけない。人生とは旅の継続であり、夢を描き、その実現を果たした者に栄冠は輝くのだ、と。
 私は思わず、膝を打ちました。一つ一つの言葉に深き人間教育の哲学があり、青年への慈愛があり、未来への不屈の情熱が漲っています。
 私は、この5つの指針を、学長と同じ心で、わが創大生、わが短大生に贈りたいと思うのであります。

自らの責務を果たし抜け!
 一、私と妻は、本日、名誉ある貴大学の一員とさせていただきました。先生方と手を携えて、「教育ルネサンス」の大航海へ勇躍、船出し、世界の青年の交流・連帯を一段と推進していく決心であります。
 ここにこそ、人類の平和と繁栄のため、若き生命の創造力を何倍にも何十倍にも発揮し、結集しゆく航路があるからです。
 この感謝と決意を、学長が深く尊敬される、貴国の大指導者アンドレ・ボニファシオの言葉に託させていただきます。
 「我々が、自分自身に対して責任をもち、自らの責務を遂行することが、我らの同胞があとに続く模範となるであろう」と。
 終わりに、わが心の母校たる貴大学の無窮の発展、そして人類の希望と光る青年の大国・フィリピンの永遠の栄光と勝利を祈念し、貴大学の素晴らしき校歌の一節を詠じさせていただきます。
 「国立パンガシナン大学よ
 我ら その尊貴なる名を高らかに謳わん
 その旗を高らかに掲げん
 さらなる高みへと
 我らを導かんがため」
 エスティーラ学長はじめ、ご臨席の皆さま方、そして2万人を超える貴大学の教職員、学生の皆さま方のますますのご健勝を心よりお祈り申し上げます。
 誠に誠に、ありがとうございました。
 マラミン・サラマッポ!(フィリピン語で「本当にありがとうございました!」)(大拍手)
2011-07-30 : スピーチ・メッセージ等 :
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随筆 我らの勝利の大道 No.53

随筆 我らの勝利の大道 No.53
             (2011.7.27付)
未来部・躍進の夏

育ちゆけ 天まで高く! 王子王女よ


若き生命に創価家族の励ましを
明日へ! 全員が希望の太陽と輝け


 育ちゆけ
  天まで高く
   若竹は
  正義の国の
    王子王女と

 若さとは無限の可能性である。若き心で進むのだ。若き人材を伸ばすのだ。
 後継の宝を励まし、育成する、未来部の「躍進月間」が開幕した。
 壮年・婦人の未来部育成部長、男女青年部の21世紀使命会、学生部の進学推進の担当者と共に、大成功させていただきたい。
        ◇
 未来! それは、法華経の最重要のテーマである。
 釈迦仏や多宝仏、さらに十方分身の仏が、法華経の会座に集われたのは、一体、何のためであったか?
 ひとえに、未来の仏子たちの成仏のためである。
 「開目抄」には、こう記されている。
 「この三仏(釈迦・多宝・十方分身の仏)が未来に法華経を弘めて、未来の仏子たる一切衆生に与えようとする心の中を推しはかると、大きな苦しみにあっている一人子《ひとりご》を見て、救おうとする父母の心よりも、はるかに強いことがうかがえる」(御書236㌻、通解)と。
 何としても、未来に生きゆく友に大仏法を伝え、一人ももれなく幸福に──。これが、法華経に脈打つ仏の心である。その烈々たる一念に連なって祈り抜き、億劫の辛労を尽くしてきたのが、わが学会の未来部育成であるといってよい。
 「あの子を広布の大人材に育てずにおくものか!」
 「この子も創価の庭で大成長させてみせる!」
 見返りなど何も求めない。ただ、ひたぶるに友の偉大な使命と栄光の人生を願い、励ましを贈る。
 ここに法華経の魂の真髄がある。だからこそ、若き地涌の菩薩が澎湃と呼び出され、躍り出てくるのだ。
        ◇
 この7月17日、宮城県の塩釜文化会館で行われた未来部総会の席上、大歓声が沸き起こった。
 南米アルゼンチンのサッカー協会から「被災地の若き友の励みになれば」と届けられた、白と空色のユニホームなどが、未来部の友に授与されたのである。
 これは、社会で信頼を広げるアルゼンチンSGI(創価学会インタナショナル)の青年部が、協会の方々から託していただいたものだ。深く感謝に堪えない。
 アルゼンチンでも、この7月末、華陽の姉妹が各地で颯爽と大勝利大会を行う。その先頭に立つ女子部長は、名門ブエノスアイレス大学で教壇に立つ、最優秀の教育者である。
 18年前、私がアルゼンチンを初訪問した折には、鼓笛隊の一員として迎えてくれたことも、懐かしい。
 未来部の時に受けた励ましを原点として、今、多くの友が世界のいずこでも、誓いの青春を走り抜いてくれている。
        ◇
 全世界
  広宣流布を
   成し遂げる
  指導者つくらむ
   使命の会かな

 名作『木を植えた人』の末尾に、フランスの作家ジャン・ジオノは記した。
 「人間に与えられている力は大したものだ。しかしその力は、つねに魂を高貴に保ち、ひたすら無私に与えつづける寛い心をもちつづけて、初めて完全に発揮されるものである」
 地道な努力が、すぐに実を結ぶこともあれば、そうでない時もある。壮大であるがゆえに、わが身一代で成し遂げられぬ夢もある。
 だが私たちは、30年、50年先の広宣流布の大勝利を確信して、「今」を力強く戦うことができる。
 なぜか──。
 私たちには、後継の未来部がいるからだ。人間主義の平和の世界の大建設を受け継いでくれる、君たちがいるからだ。
 それは、昭和44年(1969年)の夏8月。
 躍進しゆく学会に、「悪口罵詈」「猶多怨嫉・況滅度後」の難が競い起こらんとする時であった。
 私自身、「弥はげむべし・はげむべし」(御書1194㌻)との御文を胸に、夏季講習会に臨み、一夏で10万人に及ぶリーダーの育成に死力を尽くしていた。
 その渦中、第2回の高等部総会に集った俊英たちに、私は「西暦2000年に、もう一度、集おう」と呼びかけた。
 これから社会に雄飛し、人生の荒波に挑んでゆく鳳雛たちに、眼前の毀誉褒貶を越えて、目指すべき指標を贈りたかったのである。宿縁深き一人ひとりの成長と勝利の軌跡を一生涯、厳然と祈り、見守り続けることを、私は固く決心した。
 この「2000年会」の友とは31年後の約束の年、再び集い合った。
 学会のリーダーはもちろん、医師、教育者、弁護士、会計士、税理士など、広布と社会の各分野で活躍する21世紀の大切な指導者に育ってくれていた。
 学会は勝った! 私は心から嬉しかった。
 そこには、「2000年会」のメンバーのお子さんの世代にあたる未来部の代表も参加していた。
 次なる大目標である学会創立100周年の2030年へ、共々に勇躍の出発をした彼らは、今、青年学会を築く学生部、男女青年部の年代である。

「2030年」には

 「友よ、兄弟よ、私の心は諸君に対する無限の信頼に高鳴っている」
 スイスの大教育者ペスタロッチは、自らが創立した学園の生徒たちに語った。
 愛する未来部よ!
 わが宝の生命よ!
 栄光の創立100周年の誇り高き主役は、まぎれもなく君たちである。
 2030年のその時──今の未来部の友は、それぞれ、何歳になっているだろうか。
 少年少女部の君たちは、25歳から31歳の立派な若人に成長している。その年代は、私が、恩師・戸田城聖先生の分身となって一心不乱に全国を駆け、勝利勝利の旗を打ち立てていった、誉れの青春時代と重なっている。
 さらに、現在の中等部の君たちは、恩師の後を継いだ私が、世界に飛翔し、平和の大闘争を開始した年齢を迎える。
 そして、高等部の君たちは、まさに社会の中核の「正義の走者」として舞い踊っていると信ずる。
 思えば、永遠不滅の創価の大城を築きゆくため、私が未来部を結成したのは、36歳の時であった。
 わが未来部の君たちが、その年代になった時、どれほど遠大な未来の扉を開いてくれるであろうか。そこから創立200周年(2130年)への晴れやかな大行進が始まるに違いない。
 戸田先生は、悠然と語られていた。
 「百年後、二百年後のために、今、戦うのだ。二百年先には、創価の道の正しさを歴史が証明する。後世の人類が必ず証明するよ」

青春は「鍛え」の時

 日蓮大聖人は仰せになられた。
 「鍛えられていない鉄は燃えさかる火に入れれば、すぐに溶けてしまう。それは氷を湯に入れたようなものである。剣などは大火に入れてもしばらくは溶けない。これは鍛えられているからである」(同1169㌻、通解)
 青春時代は鍛えの時だ。ゆえに、今は大いに悩み、進んで苦労するのだ。それで、友の悩みが分かる人になる。もがき、努力した分だけ、周りを包み込む大きな心の持ち主になれる。
 青春ゆえの葛藤もあるだろう。言い尽くせない悲しみや悔しさを、経験しなければならない時もある。だが、それは必ず、勇気と希望の虹となって、君たちの人生を鮮烈に彩るのだ。
 私の10代は、戦争によって踏みにじられた。4人の兄は徴兵され、長兄は戦死した。母が震え悲しむ姿は、今もって心に焼きついて離れない。
 だから、私は平和の若獅子となって立った。仏法に出逢い、世界一の師に導かれ、最高に強き正義の人生の生き方を知った。
 この無上の生命の大道のすべてを、私は後継の未来部に伝え残したい。
        ◇
 君たちの
  勉学 見つめむ
     富士の山

 大聖人は「幼少の時より学文《がくもん》に心をかけし」(同1292㌻)と記されている。
 わが未来部の友に、「学びの道」を広々と示してくださっている御聖訓でもあると、私は拝してきた。
 人間が人間として、真に人間らしく、善の生命を開花し、尊き使命を果たしゆく推進力は、「学ぶ」ことである。
 ゆえに、君よ! 自身の勝利のため、民衆の幸福のため、世界の平和のため、徹して学ぶのだ。苦しい時ほど、前を向き、不屈の負けじ魂を燃えあがらせて、学びに学ぶのだ。
 若くして働き始めた先師・牧口常三郎先生も、わずかな時間を見つけて本を開いた。周囲からは「勉強給仕」と呼ばれた。
 「学ばずは卑し」「学は光なり」との信念は、軍国主義と戦い獄死されるまで、一貫して変わらなかった。これが、私たちの創立の父である。
 後に続く未来部の友は、断じて「勉学第一」の挑戦王であってもらいたい。

夜は必ず明ける!

 私が深く交流を結ぶ、イタリアの名門パレルモ大学は、地中海の最大の島シチリア島にある。
 1908年、シチリア島は大地震に襲われた。7歳の時に、その惨禍に直面した少年がいる。しかも彼は、震災直後、壊滅的な被害を受けた都市メッシーナに、父親の仕事の関係で、同じ島内から移り住む。
 大きな苦難の淵から、懸命に復興へ立ち上がるメッシーナの人びとのなかで、少年は、一生涯の友情を結び、英知を磨き抜きながら、自らの使命に目覚めていったという。
 そして少年は、20世紀イタリアを代表する世界的な詩人へ成長したのだ。
 「わたしは唱う 民衆の歌を」と──。
 故郷の島の大震災から半世紀を経た1959年、ノーベル文学賞に輝いたクアジーモドである。
 この人間主義の大詩人が大切に抱きしめていた言葉がある。
 それは、「どんなに長い夜も必ず明ける」という劇作家シェークスピアの含蓄深い一節であった。
 わが未来部の友よ!
 君たちこそ、一家にあっても、地域社会にあっても、世界にあっても、希望と輝く太陽である。
 どんな深い暗闇に覆われても、君たちの笑顔があれば、一切は明るく変わる。
 愛する君たちよ!
 題目を朗々と唱えながら、わが生命の勇気と勝利の太陽を、赫々と昇らせてくれ給え!

 使命ある
  尊き君の
    人生は
  希望に あふれて
     不滅なるかな

 ジオノは『木を植えた人』原みち子訳(こぐま社)。ペスタロッチは『ペスタロッチ全集3』所収「学園講演集」四本忠俊訳(玉川大学出版部)=現代表記に改めた。クアジーモドは『クァジーモド全詩集』河島英昭訳(筑摩書房)。シェークスピア『マクベス』からの箴言も同書の訳文によった。他に『クワジーモド詩集』井手正隆訳(思潮社)参照。
2011-07-27 : 随筆 我らの勝利の大道 :
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全国通信員会議へのメッセージ

全国通信員会議へのメッセージ
        (2011.7.15 創価国際友好会館)

希望綴る言論の勇者たれ
御聖訓「仏は文字に依って衆生を度し給うなり」


 わが聖教新聞の宝であり、力であり、そして命である、尊き全国通信員の皆様方に、私は最大の敬意を込めて、メッセージを送らせていただきます。
 きょう発表される、東北と信越の代表の方々の素晴らしい活動報告の内容も、私は感銘深く伺いました。日本列島の津々浦々で光る皆様のご活躍、いつもいつも、本当にありがとうございます。
 東日本大震災を機に、「生きる希望」「生き抜く勇気」を引き出す「言葉の力」があらためて見直されております。
 まさしく、言論の真価が問われる時代に、皆様方のおかげで、聖教新聞は、いやまして人間主義の力に漲る言葉を発信しながら、創刊60周年を迎えることができました。各界からも多くの期待と共感の声を、相次いで寄せていただいております。
 関西を代表する新聞人の方は、聖教の発展の原動力として「通信員制度」に注目され、驚きをもって賞讃してくださいました。
 「通信員が現場で得た情報を紙面に反映している。通信員の活躍によって、聖教新聞が読者にとって、さらに身近なものになっているのではないでしょうか」と。誠に深く鋭く真実を見てくださっています。
 聖教新聞は、戸田城聖先生と私の師弟の語らいから生まれました。そして、創刊から3年後に発足した「通信員制度」もまた「師弟の魂」の結晶であり
ます。
 それは、あえて申し上げるならば、広宣流布という平和の大闘争の従軍記者、すなわち常に激戦の最前線に躍り出て、戦いながら書き、書きながら戦うという「言論の勇者」の誕生であったのであります。
 思えば、日蓮大聖人は、御命にも及ぶ大難の連続の中で、絶え間なく御執筆を続けらおました。
 「顕仏未来記」には、「今年・今月万が一も脱がれ難き身命なり、世の人疑い有らば委細の事は弟子に之を問え」(御書509㌻)と仰せになられております。
 この大聖人の烈々たる御心をしのび、強盛に祈り抜きながら、広宣流布の言論戦には真剣勝負で臨んでいかねばならないと、戸田先生と私は語り合いました。
 私自身、戸田先生の事業を支える人知れぬ奮闘の中で、聖教新闇の編集に携わり、書いて、書いて、書き抜いてまいりました。
 その私の胸に、いつも燃えていたのは、師弟に貫かれた「通信員魂」であります。私は一生涯、名誉ある通信員の一人であるとの誇りを持っております。
 皆様方は、社会や地域、家庭で活躍されながら学会活動の第一線に立ち、その上で通信員として活動しておられます。それが、どれだけ大変なことか、よく存じ上げております。
 できることなら、私も今、この困難な時代に、広宣流布の道を勇敢に開いてくださっている同志の一人一人に、直接、お会いしたい。そして、一人でも多く、感動的な体験や活躍の様子を記事にして歴史に残して、日本中、世界中に宣揚して差し上げたい。私は、そういう心情でいっぱいであります。
 この私に代わって、勇んで健筆を揮ってくださっている通信員の皆様方に、私は満腔の感謝を捧げたいのであります。
 今年、生誕150周年となるフィリピン独立の英雄ホセ・リサール博士は叫びました。
 「一番大事なことは、素直な心で考え、感じ、目的のために努力し、考えを伝えるのにペンの力を最大限に活用することだ」(カルロス・キリノ著『暁よ紅に』駐文館)と。
 「言論の英雄」たる通信員の皆様方が、真心を尽くし、努力を重ねて出稿してくださる一本の記事や一枚の写真は、地味であるかもしれません。しかし、時代を動かす最も確かな力となり、未来永遠に消えざる光明となることは、絶対に間違いないのであります。
 「仏は文字に依って衆生を度し給うなり」(御書153㌻)とは、私たちが常に生命に刻んできた御聖訓であります。
 仏は、文字によって「人間を救う」のです。
 この誉れ、この使命、この喜びに胸を張って、聖教新聞とともに、わが人生の黄金の日記文書《もんじょ》を一日また一日、創り留めゆけるのが、私たちの人生であります。
 どうか通信員の皆様方は、これからも、勇気を綴り、智慧を綴り、文化を綴り、平和を綴り、希望を綴り、悲嘆と不幸から「人間を救う」言論を、私と共に断固として発してくださるようお願いします。
 心から信頼する皆様のご健康と絶対無事故、ご一家の栄光勝利を、私と妻は祈りに祈ってまいります。
 偉大なる通信員の皆様、万歳!
 言論の太陽の皆様、万歳!
2011-07-25 : スピーチ・メッセージ等 :
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「栄光の日」記念の集いへのメッセージ

「栄光の日」記念の集いへのメッセージ
            (2011.7.16 創価学園)

不屈の勇気で青春を飾れ
学園生は一人ももれなく「宝の人」


 一、伝統輝く「栄光の日」、おめでとう!
 暑いなか、ご苦労さまです。
 この1学期も、皆、本当によく頑張った。わが学園生が、一日一日、勉学に、読書に、語学に、またクラブ活動にと挑戦し、奮闘し、努力し、成長してくれている。その様子を一つ一つ聞くたびに、私の心は喜びに躍り、ますます元気になります。
 学園生の君たちこそが、私の命そのものであるからです(大拍手)。
 一、アメリカのルイス・カーンという大建築家は強調しておりました。
 「われわれはみなかけがえのない人であり、他の人と同じ人はいない」(前田忠直編訳『ルイス・カーン建築論集』鹿島出版会)と。
 その通りです。一人一人が、この世界で、自分にしか築けないものがあります。誰人も、自分でなければ創造できない価値を秘めています。その偉大なる価値を、伸び伸びと思う存分に、創造していくための推進力が、わが創価教育です。
 ゆえに、今、少しくらい思うようにいかないことがあっても、自信を無くしたり、自分を卑下したりしては、絶対になりません。わが学園生は、一人ももれなく、何ものにも代え難い、「宝の中の宝の人」だからであります(大拍手)。

人生の原点の日
 一、先日も、7月17日の「栄光の日」を人生の原点とする、学園第1期生の先輩方が、各国各地から勇んで母校に帰ってきてくれました。
 卒業から40年経った今も、私が贈った5項目の「校訓」を忘れず、私と共に歌った「校歌」を胸に響かせて、世界のあらゆる分野で堂々と活躍してくれています。
 学園時代、あまり目立たなかった人も、時とともに学園生らしい「進取の気性」を発揮し、使命の大道を粘り強く開いている晴れ姿は、目を瞠るばかりです。そして、その立派な先輩方が口をそろえて、「自分たちよりも、はるかに優秀である。将来が楽しみでならない」と誉め讃えているのが、今の東西の学園生の君だちなのです。
 一、現在、私は、名門ラビンドラ・バラティ大学の副総長を務められた「インドの教育の母」ムカジー博士と、大詩人タゴールをめぐる対談を進めています。
 博士は、少女の頃から、タゴールの作品をはじめ、世界の名著を読破してこられました。尊敬してやまないお母様から、常々、「書物は最良の友ですよ。時間を見つけては、いろいろなタイプの本を読みなさい」と、読書の大切さを教えられてきたからであります。
 良き書物は、どんな時にも、わが魂に寄り添って、励ましを贈り続けてくれます。
 今、東日本大震災の被災地でも、多くの方々が良書を求めています。東北の書店の売り上げも、震災前より伸びていると伺いました。本は心の糧であり、命の滋養です。
 どうか、この夏、皆さん方は、一冊また一冊と、古今東西の名作に親しみ、わが心の宇宙を大いに広げていっていただきたいのであります。

逆境に負けるな
 一、信念の女性であるムカジー博士が、タゴールから学んだ精神は、何であったか。
 その一つは、断じて逆境に打ち勝つ強さであります。
 また、どんな悲しみも乗り越えて、自分に負けず、より崇高な目的のために邁進していく行動です。
 そして、苦しむ人々を守るため、悪には敢然と立ち向かっていく正義の闘争です。
 まさに、わが学園の「負けじ魂」と一体であります。
 なお、ムカジー博士との対談では、悠久の数学大国インドの小学生は、算数のかけ算を、「19×19」まで、日本の「九九」のようにスラスラと暗算できることも話題になりました。
 世界は広い。そして人間の頭脳の可能性は、計り知れません。
 ムカジー博士ご自身も、一生涯、学生として、学んで学んで学び続けていきたいと謙虚に語っておられます。
 わが学園生は、「学び勝ち抜け 世界まで」と、一段と向学の心を燃え上がらせて、「これだけは誰にも負けない」という実力を自分らしく磨き抜いていってください。
 一、終わりに、大詩人タゴールの言葉を、愛する皆さんに贈ります。
 「新しい障碍がつねに来て ますますきびしく雨と降りそそいでも わたしは臆せずに立っているだろう」(片山敏彦訳「渡り飛ぶ白鳥」、『タゴール著作集第1巻』所収、第三文明社)と。
 君よ、貴女《あなた》よ、いついかなる時も、勇気で立ち上がれ! 青春の栄光──それは不屈の勇気なり! と申し上げ、私のメッセージといたします。
 どうか、お父さん、お母さんを大切に! 生き生きと学び鍛え、はつらつと成長していく皆さん方の姿を、ご家族や地域の方々に見せてあげてください。それが、一番の親孝行であり、恩返しだからです。
 暑い日が続くので、くれぐれも、熱中症には気をつけて!。
 健康第一、絶対無事故で、最高に有意義な「一歩前進」の夏休みを! お元気で!(大拍手)
2011-07-23 : スピーチ・メッセージ等 :
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随筆 我らの勝利の大道 No.52

随筆 我らの勝利の大道 No.52
             (2011.7.22付)
青年学会の大生命力

「絶対勝利」の信心を受け継げ
君の天地で「青春王者」の歴史を


新たな価値創造の挑戦に勇み立て

 恐れるな
  また恐れるな
    師子の子は
  万里を走りて
   天に ほえゆけ

 御聖訓には仰せである。
 「一度《ひとたび》妙法蓮華経と唱うれば一切の仏・一切の法・一切の菩薩・一切の声聞・一切の梵王・帝釈・閻魔・法王・日月・衆星・天神・地神・乃至地獄・餓鬼・畜生・修羅・人天・一切衆生の心中の仏性を唯一音《いちおん》に喚び顕し奉る功徳・無量無辺なり」(御書557㌻)
 題目の功力《くりき》は計り知れない。妙法の音声《おんじょう》には、誰人の仏性も呼び覚まし、大宇宙をも動かす力用《りきゆう》がある。
 だからこそ、生き生きとした勤行・唱題から、一切を始めるのだ。先頭を切って、皆を包み、皆を引っ張っていくような決意で朗々と題目を唱え切るのだ。
 弱々しい臆病な声では、魔は断ち切れない。題目はいかなる魔も打ち破っていく最強無敵の利剣なのだ。
 わが青年部は、「信行学」の基本を大切にし、題目の師子吼で、断固と勝ち進んでもらいたい。
        ◇
 この7月、我らが「青年学会」は、太陽と燃えゆく情熱で、勇気と真心の対話に走っている。

7月に刻む黄金史
 7月は、誠に不思議な宿縁の月である。
 日蓮大聖人が正義の諫暁の書「立正安国論」を鎌倉幕府に提出されたのが7月16日(文応元年)。
 牧口先生と戸田先生が、凶暴なる軍国主義と対峙し、逮捕されたのは7月6日(昭和18年)。
 殉教の先師・牧口先生の心を継ぎ、真実の弟子・戸田先生が出獄されたのが7月3日(昭和20年)──。
 この不滅の歴史を思う時、創価の男女青年部が同じ7月に誕生したのは、深い深い意義があったのだ。
 そして、昭和32年の7月3日──。本来なら、私は東北・福島の浜通りを訪れる願望であった。
 しかし、北海道から空路、羽田経由で大阪入りし、全く事実無根の選挙違反の容疑で逮捕されたのだ。
 「大阪事件」である。12年前の戸田先生の出獄と、同日のことであった。
 「世間の失《とが》一分《いちぶん》もなし」(同958㌻)。大聖人の大確信を偲び、青年に恐れはなかった。
 私は29歳。結核で、「30歳まで生きられない」と医者に言われた体であった。
 その30歳を目前にしての「王難」である。しかも、当局は学会本部を手入れし、戸田先生を逮捕することさえ狙っていた。
 ここで、一人の若き弟子が戦い切るかどうか。学会を護り抜き、師匠を護り抜いて、一人の青年が不撓不屈で勝ち抜くかどうか。
 そこに、師弟の宿命の転換がかかっていた。
 さらにまた、広宣流布を大使命とする創価学会が、いかなる権力の魔性の迫害にも崩れぬ、金剛の基盤を固める大闘争であった。
 この攻防戦の重大な意味を、私は知悉していた。
 「あえて正視してこそ、はじめて果敢に考え、説き、行ない、事に当たれるのだ」とは、生誕130周年の魯迅の言葉だ。
 民衆を苦しめる権力の魔性とは断じて戦い、正義を満天下に明らかにしていく覚悟が、獄中の青年の胸に燃えさかっていた。
 佐渡御書には「師子王の如くなる心をもてる者必ず仏になるべし」(同957㌻)と仰せである。
 大聖人直結の創価学会であるゆえに、その「師子王の心」を持つ師弟を中心として、難攻不落の民衆の大城を築くことこそ、広宣流布の画竜点なのだ。
 逮捕から2週間が経った7月17日正午過ぎ、私は大阪拘置所から、不屈の若獅子となって出所した。
 その夕刻、戸田先生と私が共に出席して、中之島の中央公会堂で行われた大阪大会には、突然の豪雨など物ともせず、「横暴な権力は許さない!」と、恐れなき庶民が大結集した。
 創価の師弟には、師子王の勇気がある。
 ──いかに三類の強敵が出来するとも、最後は信心を貫き通した者が、正しい仏法が必ず勝つ!
 青年が師子吼した常勝の大確信を、全同志が生命に刻んだ。「絶対勝利の信心」を不滅の学会精神として、相伝していったのだ。

精神継承のドラマ
 15年前、中米コスタリカからアメリカに向かう途次、メキシコのベラクルス国際空港で、忘れ得ぬ出会いを刻んだ同志たちからも、嬉しい近況を報告していただいた。
 私と妻が空港に降り立った時、「ようこそ!」と日本語で歓迎してくれた可憐な少女も、今や白蓮グループの一員として活躍している。わが同志が一家の経済革命を成し遂げるなど、多くの功徳の実証も、本当に嬉しい。
 先月、行われた、訪問15周年を記念するベラクルスの総会の模様は、地元のテレビでも取り上げられた。
 メキシコの大詩人オクタビオ・パスは言った。
 「勝利の栄光よりも、逆境に直面した時の意志の強さに感動がある」と。
 どんな苦難があろうとも、皆で励まし合いながら勝ち越えゆく、我ら創価家族の笑顔ほど、気高く晴れがましいものがあろうか。
        ◇
 今月、はるばると来日して、本部幹部会に参加された南米ペルーの壮年リーダーが、熱く語っておられたそうだ。
 ──ペルーには、生涯に一度、師のいる日本に行くことを夢見て、信心してきた先輩が大勢おられます。しかし、青年学会を築き、未来のペルー広布の永遠の流れを開くためには、自分が行くよりも子や孫たちに行かせてあげたい、と送り出してくれました、と。
 そして、その代表がここにいる青年たちですと、最年少の来日メンバーである20歳と21歳の学生部員を、皆に誇らしげに紹介されたのである。
 2人の英才は、日本へ送り出してくれた父母や祖父母たちの思いを胸に、涙ながらに凛然と決意の瞳を光らせていたという。
 師から弟子へ、そして、親から子へ、孫ヘ──この精神の継承に、世界広布の命脈がかかっている。

弟子が勝ってこそ
 「青年の気概」──それは、師弟の絆を通して、永遠に流れ通っていくとは、米国ジョン・デューイ協会元会長であられるガリソン博士の洞察である。
 先日も博士は、その視点から、誠に貴重な期待の声を寄せてくださった。
 「『師弟』の関係を結ぶことによって、そこに常に若々しいエネルギーが湧き出るのです。
 戸田会長が牧口会長の精神に生き、池田会長が戸田会長の精神に生きたように、弟子が師匠の精神に生き抜くことによって、組織は若々しく発展を続けることができるでしょう。
 とともに、弟子が偉大にならなければ、師匠の偉大さは証明されないというのも事実です。そのためには弟子が受け身にならず、新たな価値創造の挑戦に立ち続けることも不可欠といえるでしょう」
 まさしく、弟子が勝たなければ、本当の師弟の勝利にはならない。それには、“ここが自分の使命の戦場なり”と定めた場所から、自ら戦いを起こしゆくことだ。私もそうしてきた。
 青年部の拡大は、世界の希望の拡大だ。
 「青年部がしっかりしていれば、創価学会は永久に発展する」と、戸田先生が常に言われていたことが、思い起こされてならない。
 かつて、私は関西の青年たちに語った。
 「私は戸田先生のもとで、あらゆる苦労をしてきた。それが今では、全部、自分の血肉《けつにく》となり、誰人も奪うことのできない最高の財産になっている」
 この師弟の底力を、今度は青年諸君が、自分の行動をもって、そして自分の人生をもって、堂々と証明しゆく時なのである。

逆境に負けぬ強さ
 「負げでたまっか!」と勇猛精進する福島青年部の有志は、カモミール(カミツレ)の種を、地域の友人に手渡してきたそうだ。
 美しい白い花を咲かすカモミールの花言葉は“逆境に負けない強さ”。
 その種が花を咲かせるように、君の人生にも、再びの幸福の花を咲かせよう!
──そうやって、一人ひとりに勇気を送り続けているという。
 東北が生んだ、近代日本を代表する思想家・吉野作造は言った。
 「生命の力が実に一切の矛盾衝突を解決して行くものであることを忘れてはならない。随って又我々の生活に於ては、此の生命力の涵養を怠ってはならない」
 この「生命力の涵養」の最も確かな道を、若くして知り、究めゆく哲人こそ、君たちだ。
 わが信ずる君たちよ!
 「地走る者の王たり師子王のごとし・空飛ぶ者の王たり鷲のごとし」(同1310㌻)との御金言を心肝に染めて、青春王者の歴史を勝ち開け!

 断固たる
  勝利 勝利の
    この一生
  誇りも高く
     飾り残せや

 魯迅の引用は『陶迅の言葉』中村愿監訳(平凡社)。パスは『オクタビオ・パス全集5 祖国での旅人』(ガラクシア・グーテンベルク&シルクロ・デ・レクトーレス)=スペイン語版。吉野作造は『吉野作造選集1 政治と国家』(岩波書店)。

2011-07-23 : 随筆 我らの勝利の大道 :
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随筆 我らの勝利の大道 No.51

随筆 我らの勝利の大道 No.51
             (2011.7.18付)
若獅子よ 勝ちまくれ

凱歌の結成60周年──
青年の闘争で学会は永遠に躍進
広宣流布の「誓い」を師と共に!


「民衆《たみ》を救わむ 誉《は》れの旅」と 誇りも高く

 青春の
  旭日《あさひ》に照らされ
    金の汗

 青春の汗は、金である。希望に燃え、情熱に燃え、使命に燃えて、わが青年たちが流す尊き汗は、私には黄金の光を放って見える。
 この7月3日、台湾では、SGI(創価学会インタナショナル)の7階建ての素晴らしい桃園《とうえん》文化会館が誕生し、記念の式典が盛大に行われた。
 祝福に駆けつけた日本の派遣団が最寄りの高速鉄道(新幹線)の桃園駅に足を運んでみると、台湾の創価班のメンバーが参加者を迎えていた。三色旗を掲げて、同志を労《ねぎら》いながら誘導する英姿のなんと凛々しいことか。
 さらに新しい会館では、芙蓉グループ(白蓮クループ)の天使も、颯爽と清々しく使命を果たしてくれていた……。
 壮麗な宝城での晴れやかな会合の大成功とともに、その陰で真剣さを秘めて明るく運営に当たってくれた青年たちの献身の模様を、私は胸を熱くして聞いた。
 台湾SGIは長年にわたり地域・社会への貢献活動を続け、「社会優良団体」としての顕彰は、実に連続16回を数える。青年部も、自然災害などの際の救援活動で、迅速に見事な行動を重ねてきた。
 青年部の結成より、ここに60周年──。戸田城聖先生が、「旗持つ若人」に託した創価の魂は、全世界に脈々と躍動しているのだ。
        ◇
 今も鮮やかに蘇る。
 昭和26年の7月11日の水曜日、私は23歳の一青年として、東京・西神田の学会本部に飛び込んだ。服も靴も、雨にずぶ濡れになったが、“いよいよ新たな出発だ”と、命の炎は燃え盛っていた。
 この日、師匠・戸田先生のもとに約180人の精鋭が集い、男子部の結成式が行われたのである。

師弟共戦の大宣言
 先生は開口一番、誰も想像だにせぬ挨拶をされた。
 「今日、ここに集まられた諸君のなかから、必ずや次の創価学会会長が現れるであろう。その方に、私は深く最敬礼をしてお祝い申し上げたい」
 「広宣流布は、私の絶対にやり遂げねばならぬ使命であり、各自に、その尊い地位を自覚してもらいたい」
 それは、師匠と弟子が心を一つに広宣流布の大願を立てる「師弟共戦」の大宣言であり、厳粛なる「師資相承」の儀式であった。
 先生の一言一句を、私は全生命で受け切った。
 さらに先生は言われた。
 「我々の目的は、日本一国を目標とした小さなものではない。日蓮大聖人は、遠くインドまで、大白法を伝えるよう御命令である」
 青年が師匠に付き従っていくのではない。青年が師匠と同じ責任を分かち合うのだ。青年が師の心を我が心とし、率先して遠大なる未来の道を開きゆくのだ。
 御聖訓には「総じて予《よ》が弟子等は我が如く正理《しょうり》を修行し給え」(御書1367㌻)と仰せである。
 仏法の「誓願」とは、競い起こる障魔を覚悟の上で、師匠と不二の勇気に奮い立つことである。その時、弟子の生命は、自らの小さな殻を打ち破り、仏に等しい力と智慧を、雄渾に漲らせていけるのだ。
 ともあれ、青年部の結成は、まさに「青年学会」の誕生そのものであった。
 そして、この「青年学会」は、常に後継の人材の瑞々しい誓願とともに生まれ変わり、生き生きと新生の力を滾《たぎ》らせていくのだ。

新時代を我らが!
 仏法の
  極理《ごくり》を究めむ
    君たちは
  時代の力に
    世界の宝に

 大切な大切な「東北の日」でもある7月の3日、「青葉の誓い」に燃え立つ歴史的な「新時代 第1回東北青年部総会」が開催された。
 わが愛する男子部、女子部、男女学生部、そして未来部の友が、東北全土に、いな世界に届けと、大震災に負けない若き不屈の生命を光らせてくれた。
 総会では、自宅も職場も全部、失いながら、雄々しく再起して、郷土に大いなる希望の光を放った、東北健児の師子吼があった。
 また、華陽の乙女の体験では、大津波で父を亡くした悲しみを乗り越え、弘教を実らせた友のことなどが紹介され、皆の心を打った。
 大震災から4カ月、歯を食いしばり、一日また一日を戦い抜いてきた大東北の連帯は、あまりにも尊い。
 この一人ひとりが、私たちの「宝の中の宝」であり、「誇りの中の誇り」である。この気高き青年たちが健在である限り、何を恐れるものがあろうか。
 かつて東北の青年詩人・宮澤賢治は綴った。
 「ほんたうに どんなつらいことでも それが たゞしいみちを進む中でのできごとなら 峠の上りも下りもみんな ほんたうの幸福に近づく一あしづつですから」と。
 今、創価の青年は、瓦礫や泥濘《ぬかるみ》に怯《ひる》まず、勇敢に、辛抱強く、一歩また一歩を踏み出している。その足音こそ、皆を「常楽我浄」の幸福の峰へとリードする希望の響きとなる。その足跡こそが、やがて無数の友が感謝を込めて続く、勇気の指標となるに違いない。
        ◇
 「革命に歌あり」
 創価の前進もまた、学会歌の響きと共にある。
 世界でも広く歌い継がれている「紅の歌」は、魁《さきがけ》光る四国で誕生して、今年で30年となる。男子部時代に、この歌を熱唱してきた友の多くも、今では円熟の壮年部として奮闘している。
 現在の男子部歌「若獅子よ 勝ちまくれ」が発表されたのは、ちょうど5年前の7月20日であった。

 ♪……誓い果たさむ
       弟子なれば
  永遠《とわ》にこの道 師と共に
  民衆《たみ》を救わむ
    誉《は》れの 誉れの旅

 この歌の淵源は、昭和48年に生まれた愛唱歌「原野に挑む」である。壮年部の世代にとって、これまた青春の悪戦苦闘の中で同志と共に歌い、「汗にまみれて進む身の 無名無冠に誇りあり」と、互いを鼓舞してきた歌であった。
 時を経て歌われる「紅の歌」と「若獅子よ 勝ちまくれ」──。それは、21世紀を担い立つ男子部と、時代を開いてきた黄金柱の壮年部とが一つになって進む象徴のように思えてならない。
 会館厳護の大使命も、近年、男子部の牙城会と壮年部の王城会が一体となって遂行してくれている。
 ドイツの哲学者ニーチェは「時を逸することなく、毅然として行きなさい!」と叫んだ。
 今こそ、壮年部と男子部が手をとり、広布の新たな1ページを開く時である。壮年の豊かな「経験」と「確信」、青年の燃えるが如き「情熱」と「行動力」。これらをがっちりと組み合わせれば、その力は、単なる足し算ではなく、掛け算となって倍加していく。
 そこに、広宣流布の勢いはいやまして加速し、盤石なる「青年学会」の建設への決定打となっていくことは間違いない。

広々と心を開《あ》けよ
 青春は悩みとの戦いだ。大きな使命に生きる真摯な青年ほど、悩みは大きい。
 昭和36年、わが男子部は、戸田先生のご生前にお約束した10万人の精鋭の結集を目指して、拡大に奮闘していった。地域・社会に学会の正義、仏法の素晴らしさを力の限りに訴え、各地で金字塔を打ち立てていったのである。
 だが、折伏は難事中の難事だ。なかなか折伏が決まらず悩んでいる友もいた。
 この年頭、私はアジアを歴訪して帰国すると、即座に愛する中部へと走った。その後、訪れた東北では、仙北支部と石巻支部の結成大会、さらに八戸支部の結成大会に相次いで出席した。
 仙台市公会堂の控室で、一人の誠実な友が苦しい胸の内を率直に打ち明けた。
 ──周りを見ると、華々しい結果が出ている。しかし、自分は語っても語っても、なかなか実らない。
 そのことに、焦りと不安を覚え、さらには自信さえ失いかけていたのだ。
 なんと、健気な同志か。
 私は、彼の懸命な努力を讃えつつ、側の人に部屋の窓を開けてもらった。
 「見てごらん! 窓を開けただけでも、外には室内とは、まったく違う風景が広がっているものです」
 「小さなことにとらわれず、心を大きく広々と開いていけばいいんです」
 大事なことは、最高無上の仏法を語る勇気である。相手が信心しても、しなくても、友の心には「仏の種」がすでに植えられている。それは必ず、いつの日か芽生え、実る日が来る。これが、下種仏法である。
 折伏ができなくて悩む。その心それ自体が、仏の心である。仏の悩みである。「煩悩即菩提」であるゆえに、大きく祈り、悩んだ分だけ、自分の境涯は大きく開かれる。
 皆、「師子の子」ではないか。何があっても、胸を張り、悠々と朗らかに前進していけばよいのだ。
 蓮祖大聖人は、「日蓮が一門は師子の吼るなり」(同1190㌻)と仰せである。
 君よ、負けるな!
 勇気凛々と語れ!
 若獅子よ、勝ちまくれ!

 宮澤賢治は『校本 宮澤賢治全集10』所収「銀河鉄道の夜」(筑剛書房)。ニーチェは『ツァラトゥストラはこう言った』氷上英廣訳(岩波書店)。
2011-07-23 : 随筆 我らの勝利の大道 :
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韓国・国立忠州大学「名誉経営学博士号」「名誉碩座教授」称号授与式

韓国・国立忠州《チュンジュ》大学「名誉経営学博士号」「名誉碩座《せきざ》教授」称号授与式
         (2011.7.12 創価大学本部棟)

 韓国の名門・国立忠州大学から、創価大学創立者の池田大作SGI(創価学会インタナショナル)会長に「名誉経営学博士号」、香峯子夫人に「名誉碩座教授」称号が贈られた。夫妻の長年にわたる韓日友好への尽力、世界平和への卓越した貢献、教育を通して人類社会の発展に寄与する人材を輩出してきた業績を讃えたもの。授与式は12日、東京・八王子市の創大本部棟で行われ、張炳輯《チャンビョンジプ》総長、金英女《キムヨンヨ》総長夫人、李榮雨《イヨンウ》大学院長、林炳国《イムビョングク》教務部長、金敬鎮《キムギョンジン》学生部長、黄福植《ファンポクシク》秘書室長、国民生活体育会事務局長の閔櫶《ミンホン》氏が出席。張総長から、代理の山本創大学長に学位記・証書と記念牌が託された。


張炳輯総長の授与の辞

学生根本の創価教育に共感
池田会長の対話の魂を尊敬


 尊敬する創価大学創立者であられる、池田大作SGI会長と池田香峯子女史、そしてご多忙の中、私たち忠州大学一行を温かく歓迎してくださる、創価大学・山本学長と関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
 日本の国民的偉人・坂本竜馬はこのような言葉を残しました。
 ──歴史を創りゆく主体者たちが偉大な点は果たして何か。凡人では決して成しえない自己犠牲と真の勇気、そして果敢な決断力が正に彼らをして偉大にしているのである。我々はそのような者を指して英雄と呼ぶ──
 私は本日、世界平和と民衆の幸福実現のために、人一倍の信念と勇気、そして正義に対する果敢な決断力で一生を生きてこられた時代の英雄、池田SGI会長に対し、心からの敬意と喜びの心で、わが忠州大学名誉経営学博士号を授与させていただきます(大拍手)。
 昨年の11月18日、創価学会創立記念日と韓国SGIの「池田記念講堂」のオープニングを祝賀して開催された池田会長の特別写真展「地球の輝き」を鑑賞させていただきました。全世界54カ国・地域を訪問され、各国の指導者、文化人、学者などと、1600回以上の対談をされたという池田会長の壮大で熾烈な人生の軌道を垣間見ることのできる時間でした。ぬくもりが伝わる作品の一点一点は小さい木の葉、吹き抜ける風、無言で立っている建物でさえ尊い生命体であることを私たちに教えてくれ、そのような写真を撮られる池田会長の深い人類愛と洞察力に大きな感動を覚えました。
 特に印象深かった作品は、奥入瀬渓谷で堂々たる気迫でそびえ立つ、ミズナラの木の写真でした。数百年の歳月に耐え、青々と、まっすぐ、自らの幹を伸ばしているミズナラの木の姿を見て、60年余りの長い歳月、平和運動家として人類文化の清流を開いてこられた池田会長のお姿に似ていると思いました。
 私たち忠州大学の校木も四季にわたり、青々としている「松の木」であります。韓国では昔から松の木をソンビ、すなわち学識と徳を兼ね備えた人の気概と忠義を象徴する木としてきました。
 忠州大学が松の木を校木と定めたのは、大学の庭で成長したすべての学生が、生涯変わらず、清新で、正しい哲学をもとに、まっすぐに社会の建設に貢献する人材に成長してほしいという願いが込められています。
 先日、創価学会初代会長であり、教育者である牧口会長の教育哲学に関して、うかがったことがあります。
 “教師の使命は青年を自分以上の偉大な人間に育てることである。絶対に学生を手段としてはならない。学生あってこその教師である。どこまでも「学生」が中心である”──この信念のお言葉に深い賛同と共感の拍手を送りたいと思います。
 私もまた、30年余りに渡って、大学で教鞭をとり、貫いてきた信念はまさに「学生たちのために存在する教育者になろう」ということでした。
 その実践の一環として昨年、私をはじめ教職員たちは「革新力量強化教育」を受けました。ここでいう「革新」とは、学生が中心になる大学に生まれ変わることを意味し、私たちが教えた学生が社会で革新の人材になるための努力の一環でもあります。
 その結果、今年は韓国鉄道大学との統合が加速し、わが大学は、韓国交通大学として、大韓民国を越えて世界をリードする大学へと一歩前進する予定になっています。このように発展を続けるわが忠州大学において、池田会長のように偉大な教育者を家族として迎え入れることができ、それこそ鬼に金棒でありますし、このうえなき光栄と存じ、開校以来初めて、名誉経営学博士の学位を授与させていただくことになったのであります。
 私たち忠州大学が位置する忠州は韓国の中心に位置しており、昔から立派な聖賢が多数輩出された地域です。
 その中でも、池田会長が何度も紹介してくださっている丁若《チョンヤギョン》の兄である丁若銓《チョンヤクチョン》先生についてお話をさせていただきます。
 丁若銓先生は、弟の丁若に劣らず、高い学識と徳を備えた学者でした。『茲山《げんさん》魚譜』『論語難』『易柬《えきかん》』『松政《しょうせい》私議《しぎ》』などすぐれた著書を残しましたが、特に、『茲山魚譜』は黒山《フクサン》島という島で生活していた当時、その地域の漁師たちと苦楽を共にし、執筆したものとして有名です。両班《ヤンバン》(当時の支配階級)の身分にもかかわらず一般の民と兄弟のごとく交流し、彼らの人生を心から慈しみ、愛した丁若銓先生は民衆と一つになった学者として長い間、尊敬を受けてきました。
 池田会長もまた、その一生を、力なく、平凡な民衆が真に幸福になる世の中を構築するため、一人一人と直接会い、激励され、国家と民族、人種と身分を超越した対話を重ねてこられた民衆の先駆者として賞讃されています。
 このような時代の偉人と崇高な友情の歴史を結ばさせていただくことになった本日の意義を、私たちは子々孫々、心に刻み、わが忠州大学でも民衆を守る、すぐれた人材が育成されるよう万全を期してまいります。
 尊敬する池田大作先生、奥様をわが忠州大学の家族としてお迎えできるよう、ご尽力くださったすべての皆様に感謝申し上げ、授与の辞に代えさせていただきます。ありがとうございます(大拍手)。

SGI会長の謝辞(代読)

激動の社会に揺るがぬ信念と知性を

青年よ「人格の中心」を築け
不断の努力で! 調和と協力で!
独創の挑戦で! 奉仕の行動で!


まず自分が「情熱たぎる火種」に
人々の心に「上昇の志」の炎を


 一、はじめに、このたび、2018年冬のオリンピックの開催地が、韓国の平昌《ピョンチャン》に決定されました。
 かねてより、地元である江原道《カンウォンド》の親しき友人たちと一緒に、実現を祈ってきた一人として、本当にうれしい限りです。
 きょうは、貴国の洋々たる未来を象徴する、留学生の英才の皆さん方も出席してくださっています。
 私は、ともどもに、今回のオリンピック決定を心から喜び合いたいのであります(大拍手)。
 「世を照らす真理の拠点」と謳われる誉れの名門・忠州大学より、本日、名誉経営学博士号を拝受いたしましたことは、私の最大の光栄とするところであります。
 加えて、妻にも名誉碩座教授の称号を賜り、厚く厚く御礼を申し上げます。
 私と妻は、この身に余る栄誉を何よりもまず、貴国の模範の市民として、誠実な社会貢献を貫いている韓国SGIの友たちと分かち合わせていただきたいと願っております。
 誠に誠に、ありがとうございました(大拍手)。

共生の天地・忠州

 一、貴大学が建つ忠州市には、統一新羅の最大の石碑といわれる、8世紀後半の「中央塔」があります。
 その名の如く、「国土の中央」「中心の天地」であり、陸路、水路とも広々と開け、高句麗、新羅、百済の三国の文化が融合してきた歴史は、誠に有名であります。
 そこには、衝突や排他ではなくして、共生と調和を基《もとい》とする極めて平和的な「中原《ちゅうげん》文化」が爛漫と花開いてきたのであります。
 その伝統は、現代に脈々と受け継がれ、忠州市は、国家のサイエンス・コリア構想を牽引する「科学文化都市」として注目されています。そして、その中心にそびえ立つ学府こそ、貴大学なのであります(大拍手)。
 貴大学の校章の「円形」も、まさしく「中心」を意味しているとうかがいました。

不屈の師弟の劇
 一、万事において、「中央」「中心」の存在が重要であります。
 私の胸には、17世紀に忠州を軸として刻まれた師弟の劇がよみがえるのであります。
 それは、朝鮮王朝の大学者・宋時烈《ソンシヨル》先生と、その一番弟子・権尚夏《クォンサンハ》先生の絆です。
 正義と慈愛の社会を願い、迫害にも屈せず、戦い殉じた宋先生の遺志を受け継ぎ、師の学派を大成されたのが、愛弟子の権先生でありました。
 権先生は毅然と語られております。
 「いかなる困難に直面しても、何事もないかの如く、泰然と構えよ。己の中心さえ揺るがなければ、最後は正しい結果が出る」
 この荘厳なる師弟の足跡を、私は、日本の軍国主義と戦い抜いた、創価教育の創始者である、牧口常三郎先生と戸田城聖先生の師弟に重ね合わせて、生命に刻みつけてきたのであります。

人間教育の共鳴
 一、今、目まぐるしく移ろう激動の社会にあって、痛切に求められている課題は、何か──それは、一人一人の青年の生命に、何ものにも揺るがぬ信念と知性という「人格の中心」を築き上げていく「人間教育」の挑戦ではないでしょうか。
 その意味において、本年の卒業式で贈られた張炳輯総長の祝辞には、青年が「中心座標」とすべき指針が、あますところなく示されております。
 それは第1に、自身の能力を高め啓発しゆく、たゆみなき努力。
 第2に、周囲と調和を図り、協力を広げていく賢明さ。
 第3に、過去にとらわれず、自分にしかできない独創的な世界をつくる創造力。
 そして第4に、慢心を排して、共同体に貢献しゆく謙虚さと奉仕の心であります。
 わが創価教育の理想とも深く響き合う、この張総長の高邁な教育ビジョンに、私たちは心から賛同を表したいのであります(大拍手)。

人間の顔をしたグローバル化
 一、ともあれ、社会の繁栄の「中心」は教育であります。
 未来の建設の「中心」は青年であります。
 そして、張総長が明確に宣言されているように、21世紀のグローバル時代の「中心」こそ、まぎれもなく大学なのであります。
 ゆえに、我らの大学を強くしていけば、危機の時代さえもチャンスに転ずる活路が、必ず開けていくはずであります。
 また、我らの大学と大学が手を携えていくならば、そこから必ず「人間の顔をしたグローバル化」の平和の連帯が広がっていくことを、私は確信してやみません。
 「まず自らが変わり、情熱燃え滾る火種となってこそ、人々に共感を呼び起こせる」という、総長のリーダーシップのもと、貴大学は、政府から4年連続で、「教育力量強化事業」に選ばれる快挙を成し遂げられました。
 さらに、入学志願者の倍率も、全国の国立大学の中でトップクラスであることも、よく存じ上げております。
 また看護学科は、国家試験の合格率・就職率ともに、100%を誇っているとうかがいました。
 「生命の尊厳」を守り輝かせゆく女性の活躍の道も、貴大学から、晴れ晴れと広がっているのであります(大拍手)。
 一、本日は、総長の聡明な同志であられる、金英女夫人もお迎えすることができました。私は妻とともに、心からの感謝と敬意を込めて、忠州ゆかりの女性詩人・姜静一堂《カンジョンイルダン》先生の言葉を両国の乙女と青年に捧げたいのであります。
 「人間が、仁(人を思いやる共生の心)と義(正しき道義の心)を持って生きることは、四季に春と秋があるのと同じである。
 仁を持って生きれば、礼節が輝く。
 義を持って生きれば、智慧が輝く」
 「跳躍の100年」を掲げる貴大学のキャンパスには、「上昇の志」をかたどった、高さ8㍍の壮大なピラミッド形の塔が立っております。
 本日、出席してくれた創価大学生・短期大学生の皆さんも、この尊き青春時代に「向学・探究の心」、そして「価値創造の心」という翼を伸び伸びと広げながら、一日また一日、高く高く飛翔していっていただきたいのであります(大拍手)。

逆境に輝く堅固な精神
 一、貴大学のシンボルは青松《せいしょう》であります。
 かつて、忠州ゆかりの大知性・宋時烈《ソンシヨル》先生は「霜の中でかえって青さを増す松の如く、逆境の中でこそ、堅固な精神がますます輝く人間たれ!」と獅子吼されました。
 貴大学のご厚情にお応えするためにも、いかなる風雪にも屈しない韓日友好の青松の大樹を、さらに、さらに林立させゆくことを、私は、ここに固くお約束申し上げます。
 終わりに、張総長ご夫妻はじめ、ご出席の皆さまのますますのご健勝を心からお祈り申し上げます。
 青松繁茂するが如く、わが魂の母校たる忠州大学に、無窮の栄光あれ!
 そして、わが愛する大韓民国に、永遠不滅の繁栄あれ!
 テダニ・カムサハムニダ!(韓国語で「誠に、ありがとうございました」)(大拍手)
2011-07-14 : スピーチ・メッセージ等 :
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新時代第50回本部幹部会へのメッセージ

新時代第50回本部幹部会/結成60周年記念全国青年部幹部会/未来部総会/新生・東北総会へのメッセージ      (2011年7月9日 東京牧口記念会館)

輝け! 不屈の負けじ魂の太陽
人類に勇気と希望の福光を!


君よ地涌の正義の旗高く
広布の大願に生き抜け!


 一、結成60周年を記念する晴れの全国青年部幹部会、また希望に満ちた未来部総会、そして新生・東北総会の開催、本当におめでとう!(大拍手)
 はじめに、小説『新・人間革命』の連載の再開を発表させていただきます(大拍手)。
 来る9月1日付の聖教新聞から、第25巻の第1章を開始いたします。
 章のタイトルは「福光《ふっこう》」(福の光)です。舞台は、昭和52年(1977年)の3月11日、大好きな福島県の訪問から書き起こします(大拍手)。
 あまりにも健気にして信念強き福島の友との語らい、さらに、宮城、岩手、青森、秋田、山形、福島の東北6県が勢揃いした代表幹部会などの歴史を、書き綴っていきます。
 広宣流布は、いかなる風雪も越えて、民衆の幸福と世界の平和を築く大偉業であります。この広宣流布の総仕上げの原動力となり、人類に希望の福光(福の光)を送る「地涌の正義の旗頭」こそ、わが愛する東北の皆さんであります。
 不屈の負けじ魂の一念は、偉大な福光となって、必ず必ず輝き広がる。このことを、私は今再び、大東北の凱歌の同志と一緒に、世界へ未来へ、大宣言したいのであります(大拍手)。

苦闘こそ宝
 一、尊き世界の同志の皆さん、本当にようこそ、お越しくださいました。皆さん方が、各国・各地にあって、どれほど力強く良き市民として貢献されているか。
 SGI(創価学会インタナショナル)の愛称は、「ソーシャル(S)・グッド(G)・インスティテューション(I)」、すなわち「社会の善なる団体」であります。それぞれの国土で、なくてはならない存在として、信頼の実証は今や爛漫と花開いております。 しかし、そのためには、いずこの国でも、血の滲むような苦闘に苦闘を重ねて、根を張ってこられたのであります。
 ペルーの大詩人バジェホは謳いました。
 「私は、花ではなく、根っこがあるゆえに、植物を愛する」と。
 自らが目に見えない根っことなって、盤石な広宣流布の大樹を育ててくださった無名の学会員の方々こそ、真実の国の宝であり、人類の宝であります。
 その偉大な父母《ちちはは》たちと一緒に、私は、今日集まった、若き君たちを見守っております。君たちが、これから、10年、20年、30年と活躍していく、遠大な未来を思うと、私の心は弾みます。
 それは、幾百年にも、いな、幾千年の歳月にも匹敵する価値ある人生となり、歴史となっていくでしょう。
 広宣流布のために闘争していく、充実した生命の時間は、それはそれは豊かで膨大であります。計り知れぬ、無量無辺の御仏智を湧き出しながら、最も偉大な人間革命の力を発揮していけるからであります。

今こそ学べ 語れ 勝ちまくれ!

「行学の二道」を
 一、日蓮大聖人は仰せになられました。
 「法華経の行者は如説修行せば必ず一生の中に一人も残らず成仏す可し」(御書416㌻)
 大聖人は、「一生の中に」、そして「一人も残らず」とお約束くださっています。
 広宣流布の大願に生き抜く決定した「信心の一念」があれば、どんな立場でも、全部、仏の大境涯に通じます。
 如説修行の団体である創価学会で、「行学の二道」に励み、心広々と指揮を執った時には、間違いなく仏の大功徳に包まれていく。
 反対に、信心の確信が弱くて遠慮があったり、臆病になったり、また、自分勝手なわがままであっては、せっかくの大きな福運を無くしてしまう。
 栄光ある人生を、断じて無駄にしてはならない。
 皆さん方は、人々の幸福のために戦う、正義の英雄の集まりであり、華陽の天女の集まりである。法華経の魂をもって、自他共に最高の青春を勝ち抜いていく使命を帯びた人である。
 ゆえに何があっても、心は屈服してはならない。粘り強き闘将は、必ず最後は勝ち切っていけるのです。
 いわんや、皆さん方には、一番尊い「異体同心」の仲間がいます。良き親友と心を合わせて戦うスクラムは、それぞれの力を何倍にも高めていける。

師と同じ勇気を
 一、「観心本尊抄」には、「天晴れぬれば地明かなり法華を識る者は世法を得可きか」(同254㌻)と仰せであります。
 牧口先生も、戸田先生も、この御金言を通し、創価の青年たちに、思う存分に学び、鍛え、英知を磨き、実力をつけよと励まされた。
 青年が燃え上がる太陽となって、いかなる時代の闇も打ち破り、世界を平和と繁栄へ赫々と照らしゆけ!──と明確な大道を示してくださったのであります。
 私が青春時代に愛読した東北の哲学者・阿部次郎は、“師匠から、弟子が学ぶべき第一のものは何か”──。
 それは、「何よりも先ず、師と同一の勇気を以て人生に衝当《つきあた》ることでなければならない」と結論した(『阿部次郎選集Ⅵ 学生と語る』羽田書店、現代表現に改めた)
 私の300を超す「知性の宝冠」の一切を譲り託しゆく君たちは、絶対に負けない「幸福の博士」である。絶対に勝ち抜いていける「魂の王者」である。
 どうか、決然と胸を張り、歴史を動かし、全世界の青年を引っ張っていく決心で大前進していただきたいのであります。
 終わりに、わが青年たちよ、勇気をもって学べ! 勇気をもって戦え! そして、勇気をもって勝ちまくれ!──と叫んで、私のメッセージといたします(大拍手)。
2011-07-10 : スピーチ・メッセージ等 :
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魂の人間讃歌  ジャズと人生と仏法を語る

魂の人間讃歌  ジャズと人生と仏法を語る

第11回 未来を開く善き縁
《えにし》(2011.7.8/9付 聖教新聞)

分かち合えば幸福は大きくなる

学会の座談会は
ハンコック氏
人類益のために協力するモデル
ショーター氏
人生や生命の法則を学べる大学

池田 ますます元気な、お2人の活躍、本当に嬉しい。
 ハンコックさん、さきのグラミー賞、おめでとう! しかも、いっぺんに2部門の受賞、あらためて、お祝い申し上げます。通算では、これで14回目の快挙になると聞いています。全世界の同志が、万歳! 万歳! 万歳! と喜んでいます。
ハンコック 池田先生、即座に心温まる祝電を頂き、ありがとうございました。どんなに忙しい最中でも、真心の励ましを贈ってくださる先生に感謝申し上げます。度重なる激励に、いつもいつも元気と勇気をいただいております。私は、先生の弟子として勝利できたのです。
ショーター 本当におめでとう、ハービー! 音楽家として、同志として、共に前進する戦友の栄誉を心の底から誇りに思うよ。
池田 常に苦楽を分かち合ってこられた、お2人の「友情」と「創造」の誇り高き行進に、私は最大の敬意を表します。
 受賞アルバムを、私は何度も聴きました。偉大な人間の讃歌であり、生命の讃歌であり、そして平和の讃歌です。強く強く心を打たれました。
 ちょうど、授賞式の直後(2月17日)、東京の信濃町では、新しい「創価文化センター」の起工式が行われました。奇しくも、その一角は、かつて一流レコード会社のスタジオがあって、ハンコックさんも30年以上前から、録音を行っていた場所です。来賓の方々も、その縁を聞かれ、感銘を深くされていました。
 来年の秋には完成して、日本そして世界の尊き同志をお迎えする予定です。お2人も、ぜひ、お招きしたい。創価の文化の宝城ですから!
ハンコック 嬉しいです。精魂を込めてレコーディングを行った、懐かしい思い出の場所です。
 この鼎談でも取り上げてくださったように、今回、賞を頂いたアルバム「イマジン・プロジェクト」は、異文化への尊敬や、我々は皆、同じ「人間」だと認識することの大切さについて表現した作品です。
 池田先生が常々、語られている通り、私たちは同じ「ルーツ」(起源)からきており、同じ「母なる地球」から生まれ出ています。言語や文化の違いはあっても、はるかに似通っている点が多い。ですから、お互いに「人間」として、我々が望むグローバル化(地球一体化)を積極的にデザインして、その建設と創造へ、何かを始めよう! と呼びかけています。
池田 素晴らしいことです。
 互いに励まし合い、生きる喜びや感動を広げながら、よりよき未来へ、具体的な行動を起こしていく──。そこには、弾む生命の共鳴があり、前進のリズムがあります。
 わが創価の友は、今日も希望に燃え、勇気に燃えて、日本中、世界中で、社会に貢献しています。大震災の被災地でも、愛する地域の復興のために、皆、懸命に尽くしています。
 この誉れの同志に、魂の凱旋曲を贈ってくれているのが、お2人です。
ハンコック ありがとうございます。
 人々が生命の低次元の境涯から抜け出して、お互いを必要としていることに気づき、皆が真に幸福でなければ誰も真に幸福にはなれないことに気づけるように、人々を励ますため、私たちのやるべきことはたくさんあります。
ショーター 皆がお互いを必要とするという点は、音楽も同じです。というのも、作曲していると、一音一音が「人格」を備えているように感じます。組み合わさることで、すべての音が動き出し、別の音へ変化し、成長していくのです。そこでは、どの音も、他の音調なしには、完全な音にはなれません。
 これは、SGIの会合や活動にも当てはまるのではないかと思います。そこではあらゆる種類の人たちが、同じ人間として、対話し、自分の考えを述べ合い、研鑽するので、自分自身を磨き、成長できる可能性が一段と高まるのです。
池田 嬉しい発言です。
 万人成仏の道を示したのが法華経です。その会座で、竜女は、頑《かたく》なに女人成仏を信じようとしない増上慢の舎利弗らに対して、「我が成仏を観よ」と叫びました。
 御書には、これは舎利弗を責めた言葉であると説かれています。すなわち、自らと関係のない「竜女の成仏」と思うのは間違いであり、「我が成仏」すなわち自分自身の成仏と捉えていきなさい、との叱責が込められているといわれるのです(御書747㌻)。
 独りよがりではない。皆が切磋琢磨しながら、共々に成仏という最高の幸福境涯を開いていくのが、私たちの創価の世界です。だから、苦しんでいる人、悲しみに沈む人を放っておけないのです。
ハンコック 学会の座談会には、対話があります。それは、一方通行ではなく、誰もが自分の人生や生命の法則に関する質問ができる場であります。私たちの座談会では、池田先生の指導を大いに学び合うので、この会合を「池田大学」と呼んでいます。
池田 人権の闘士・キング博士の盟友であるハーディング博士との対談でも話題になりましたが、アメリカの同志たちの間では、体験を「シェアする(分かち合う)」ことが大切にされていますね。
 幸福や喜びは、独り占めしようとしたり、奪い盗ろうとすれば、消え去ってしまう。分かち合えば、それだけ大きくなり、永続していくものでしょう。
 今、東北をはじめ被災地でも前進と希望を掲げ、座談会が行われています。そこでは被災した同志が、悲しみを分かち合い、励まし合い、歌を朗らかに歌って、再起を誓い合っています。こうした心の復興が、どれほど地域社会の力になっているかわかりません。
ハンコック 学会活動は、人生に信心をどう生かしていけばよいのかという体験を、まさしく「シェアする(分かち合う)」機会です。
 他の人の話を聞き、「そういう思いで祈るのか!」と、自分では考えなかったような“応用法”を知り、感動するのです。
 私たちは学会活動を通し、メンバーが互いを応援し、支え合い、つながり合うことの価値を学ぶことができます。
 それは決して、上から下へのトップダウンではありません。学会の会合では全員が平等です。幹部などの中心者はいるかもしれませんが、それは他のメンバーより上という意味ではありません。
池田 その通りです。偉ぶっている人は、少しも偉くないんです(笑い)。
 中国の妙楽大師は、「教弥《いよい》よ実なれば位弥よ下《ひく》く教弥よ権《ごん》なれば位弥よ高き故に」(同340㌻)と述べています。教えが真実であればあるほど、より低い機根の人をも救えるとの意義です。リーダー論に約するならば、信心が深まれば深まるほど、いよいよ、わが身を謙虚に低くし、より苦労しながら、大勢の人に尽くす生き方です。
ショーター 池田先生が、そうしたリーダーの手本を示してくださっていますから、深く理解できます。
 座談会は、他のいくつかの宗教に見られるような、いわゆる信仰告白の場とは違います。普通なら、自分自身の中にしまっておくようなデリケートな話題についても、当惑を恐れず、自由に語り合えます。座談会は、参加者が、それまで胸の内にしまって誰にも明かしたことのないことまで率直に語れる場なのです。
 座談会は、相手の立場に立ち、男女や人種や世代の違い、文化的・地理的な環境の違いによって生じる問題の本質を深く理解していくのに役立ちます。そうした善意と同志を思う精神は、権力や富の獲得のみを願う心とは、まさに対極のものです。
 したがって、座談会は、異なる国の人々が、対話を通してお互いの相違を乗り越え、人類全体の立場に立って力を合わせていくための範例ではないかと思います。
        ♫
池田 戸田先生は言われていました。
 「社会がいくら暗く、殺伐としていても、学会の会合だけは、本来、絶対に明るい、自信と勇気に満ちた会合でなければならない」と。
 たとえ行く時には気持ちが沈んでいても、帰りには元気はつらつと、歌を口ずさむような心で帰ることができる。これが、創価の集いです。
 アメリカで、女性として最初に最高裁判所の判事に任命されたサンドラ・デイ・オコナーさんは、語っておられました。
 「社会変革は、立法府や裁判所だけではなく、主に家庭や道ばた、職場において、人々の心を変えていくことにかかっている。私たち一人一人が、成功への重要な役割を担っている」
 私たちは、創価の対話の交響楽を、さらに賑やかに広げていきたい。地道に見えても、ここにこそ、心の支えが見つからない現代社会を蘇らせる確かな道があるからです。

「核なき世界」は不可能ではない

すべての試練を前進の力に

ショーター氏
今日も痛快な勝利劇を
ハンコック氏
人生は常に光の方向へ

池田 お2人が度々、訪れて、交流を結んでこられた広島の方々も、この鼎談の連載を大変に喜んでくださっています。
 ショーターさんとハンコックさんは、2002年、原爆ドームを対岸に望む、元安川《もとやすがわ》の親水テラスで、「平和と音楽の夕べ」を開いてくれました。さらに2005年、被爆60年の年にも広島を訪れ、青年部を中心に開催した世界青年平和音楽祭に友情出演されました。お2人とも一貫して、「文化の大使」として平和の大切さを訴えてこられました。
ハンコック 広島を訪れるたびに、特別な思いが心をよぎります。心が揺さぶられます。言葉には尽くせない思いが去来します。
 原爆の投下で命を落とした人たち、運命を変えられてしまった人たちのことを思わずにはいられません。
 あの犠牲は、私たちの発想を根本から転換させる礎《いしずえ》となるでしょう。
 あの過ちを2度と犯してはならない。「核のない世界」を実現しなければならない。「非暴力の世界」を目指さなければならない──その目標を達成するためにベストを尽くすとの決意を固めなければなりません。
ショーター 私の広島や長崎についての思いは、すべて、小説『人間革命』の冒頭の一節──
 「戦争ほど、残酷なものはない。
 戦争ほど、悲惨なものはない」
 に言い尽くされています。そして、この思いは、私にとって、仏法の実践と直接、結びついているのです。
 私は、2005年の平和音楽祭で、広島の青年たちに「まだ間に合う!」と訴えました。それは、「焦ってはいけない」し、「性急に行動してはいけない」という意味を込めたものです。
 人類の歴史は、見方を変えれば戦争や紛争、争いを繰り返してきた歴史であったと言えます。人類は、いまだその宿命を転換できずにいます。しかし、焦ると“もう時間がない”“遅すぎる”という思いにかられ、悲嘆して空回りしてしまいます。そうならないためには、将来の目標をしっかり見定め、信念の行動を貫いていくことだと思います。
池田 まもなく、原爆投下から66回目の夏を迎えますが、核兵器の廃絶は、わが師・戸田城聖先生の遺訓です。恩師は逝去される前年(1957年)の9月8日に「原水爆禁止宣言」を発表し、人類の生存権を根源的に脅かす核兵器は“絶対悪”であり、その廃絶が世界平和の実現のために欠かせないと訴えられました。
 以来、半世紀以上にわたって、私はこの師の精神を時代精神に高めるため、各国の指導者と対話を重ね、民衆の連帯を広げるべく行動を続けてきました。
 こうした中、昨年のNPT(核拡散防止条約)再検討会議の最終文書で、初めて「核兵器禁止条約」への言及がなされたのに加え、“核兵器の使用がもたらす壊滅的な結果を踏まえ、各国に国際人道法の遵守を求める”という画期的な内容が盛り込まれました。
 時を経て今、まさに戸田先生が訴えておられた方向性へと、国際社会の認識がさらに向かいつつあるのです。
ショーター 時代の変化の兆しが、明確な形になって現れてきたということですね。
池田 その通りです。
 私は今年の「SGIの日」記念提言でも、2015年のNPT再検討会議を広島と長崎で行い、各国の首脳や市民社会の代表が一堂に会して、核時代に終止符を打つ「核廃絶サミット」の意義を込めたものとすることを提唱しました。
 このほど広島市は、長崎市や政府と連携を図りながら、NPT再検討会議の誘致を目指したいとの考えを表明しました。
 もはや機は熟しており、私たち民衆が団結して行動を起こし、「核兵器のない世界」の実現に進まなければなりません。
 日本の青年部は昨年、「核兵器禁止条約」の制定を求める227万人もの署名を集め、国連事務総長とNPT再検討会議議長に提出しました。
 そして現在も、広島・長崎・沖縄を中心に青年部のメンバーが、2015年を目標に掲げて、一年また一年と、「核兵器のない世界」への潮流を強めていくため、一対一の対話を根本に、若い世代の意識啓発に全力で取り組んでいます。
 私は、原水爆禁止を叫ばれた、あの時の戸田先生と同じ思いで、わが後継の青年たちに呼びかけたい。
 座して地球の危機を看過するのではなく、私たちが生きるこの時代に、「核兵器のない世界」は不可能ではないことを、青年の熱と力で断じて証明しようではないか──と。
ハンコック 「SGIの日」記念提言は、今年で29回を数えるものでしたね。池田先生は、これまで何十年もの間、人類が生存するためのあり方について、語り、綴り、行動されてきました。一貫して平和の擁護者として活動してこられました。
 私も先生に啓発され、音楽を通じ、人々の精神を高めていこう、民衆の歓喜の爆発を起こしていこうと、決意を新たにしています。
池田 尊い志です。心に灯した平和の火は、明るく燃え伝わっていきます。深く病んだ時代だからこそ、人々の心から、生きる喜び、生き抜く勇気を引き出していく躍動の音律が、ますます大切です。妙法の芸術家の使命は重い。今、日本でも、創価の芸術部の友が奮闘してくれています。
 生命は微妙です。いかなる縁に触れるかによって大きく変わります。
 御書には、「春の時来りて風雨の縁に値いぬれば無心の草木も皆悉く萠え出生《しゅっしょう》して華敷《さ》き栄えて世に値う気色《けしき》なり」(同574㌻)と説かれます。
 無心の草木も、縁によって開花し、結実し、万物を養育する。人間の生命は、善知識に会うことによって、仏性が現れてくると示されているのです。善知識とは“仏道へ正しく導く善友”のことです。自身が善知識を求めるとともに、多くの人々と仏縁を結んで、善智識となっていくことが、御書の精神に適った仏道修行の正道です。
 次元は少し異なりますが、今回の震災でも、苦境の中で多くの命を支えたものは、人間と人間の絆でした。善き縁を結ぶことは、自他共に生きる力を強めてくれるのです。
ハンコック 仏縁といえば、私に信心を教え、SGIに縁させてくれたのは、私のバンドでベースを弾いていた、バスター・ウィリアムスさんでした。ある公演で、彼は驚くべきソロ演奏を披露し、私たちを高揚させたのです。演奏が終わると大勢の聴衆がステージに走り寄ってきました。感動のあまり泣いている人もいました。その衝撃の公演が終了した後、私は思わず彼を楽屋に連れていき、尋ねたのです。
 「君が、何か新しい哲学か宗教を実践していると聞いている。もし、それが、こんな演奏を可能にするのなら、それが何かを知りたいんだ」と。
 バスターは、それについて私に話す機会が訪れることを祈っていたと言って、「南無妙法蓮華経」の題目について話し始めました。彼は、それが「法」であり、宇宙の法則であると話してくれました。
 私は彼の話に多くの希望が含まれていることに好感をもちました。「南無妙法蓮華経」が何かは分かりませんでしたが、バスターは、私が信じようが信じまいが、題目には力があり、効果があると力説しました。それで私は、「まだ信じてはいないが、試すだけでいいのなら、失うものは何もない」と始めてみたのです。
池田 音楽家として、また人間として、真摯に向上の道を求めておられたのですね。
 今、言われた「試してみよう」という勇気が大事です。撰時抄には、「此の度 仏法を心みよ」(同291㌻)と仰せです。
 私が19歳で入信したのも、仏法の深遠な法理を理解し、納得できたからではありません。むしろ宗教は好きではなかったし、懐疑的なほうでした(笑い)。しかし、戸田先生の偉大な人格に触れ、そして軍部政府と対峙して2年間投獄されていたことを知り、“この人なら信じられる”と直感したのです。
 ショーターさんは、亡き奥様のアナ・マリアさんから信心を教わったのでしたね。
        ♫
ショーター ええ。彼女は、ハービーから、この信心を紹介されました。
 私は、彼女がどう行動するのかを見ていました。勤行を実践してしばらくすると、彼女は別人のように変わりました。私は非常に驚きました。その時の私の気持ちは、言葉は表せません。そこで、私にも教えてほしいと頼んだのです。
ハンコック ウェインは、当初、人間の成長に“決められた形式”は必要ないと考えていたよね。今とは正反対だけど、ちょっと傲慢な部分もあったかなあ……、いや、ちょっとどころではなかったかもしれない(爆笑)。
ショーター そうだったね(笑い)。
 しかし、仏法を実践して最初に感じた功徳は、価値ある哲学と偉大な師匠に巡りあえたとの実感です。
 「私は独りぼっちではなく、自分には、牧口先生、戸田先生、そして池田先生という、人生の何たるかを把握された本物の人たちがいる。自分はようやく素晴らしい宗教に巡りあえた」──そう強く実感できたのです。
ハンコック 本当にそうです。私たちには、池田先生という師匠を持つことのできた福運があります。先生は常に、私たちの方途を照らし、人生を光の方向へと向かわしめてくれます。
 宗教に偏見を抱く人の、心の壁を破るのは、もちろん大変です。しかし、私たちの振る舞いが、その壁を破ることを可能にします。
池田 今日のSGIへの信頼の広がりは、ひとえに広宣流布のため、即世界の平和のため、民衆の幸福のために、同志の一人一人が良き市民として行動し抜いてきたからこそです。どれほど大変だったか。苦楽を共に戦った人のことは、私は絶対に忘れません。
ショーター 私はこの仏法の偉大さを、日々感じています。私は「魔及び魔民有りと雖も皆仏法を護る」(同1242㌻)という仏法の考え方が好きです。この教えのお陰で毎朝、起きると、「さあ、今日も自身の歓喜の勝利劇のヒーローを演じよう」との決意が湧いてくるのです。敵意や悪意など悪鬼の働きをも味方にするのが、仏法です。
 私たちがそれらと共存しながら打ち勝つ道は、「一緒に笑わせること」ではないでしょうか。これは、ちょうど、飛行機が離陸する時、空気の抵抗を味方につけるのと同じだと思います。
池田 一緒に笑わせる──いい言葉です。「立正安国論」では、対話の途中、客人は顔色を変えて反発し、席を立とうとする。すると、主人は「咲《え》み止《とど》めて」(同24㌻)、すなわち笑みをたたえながら客の足を止めて包容し、諄々と諭していきます。そして最後には、客人自身が「唯我が信ずるのみに非ず又他の誤りをも誡めんのみ」(同33㌻)と立正安国の行動を清々しく決意していくのです。反対者をも味方に変える──まさに究極の座談の模範です。
 日蓮大聖人は「釈迦如来の御ためには提婆達多こそ第一の善知識なれ、今の世間を見るに人をよくな(成)すものはかたうど(方人=味方)よりも強敵《ごうてき》が人をば・よくなしけるなり」(同917㌻)とも仰せになられました。
 自分の「一念」次第、「勇気」次第で、一切を善知識に変えていけるのです。
 さらに、世界広宣流布の未来を明かされた「顕仏未来記」には仰せです。
 「願くは我を損ずる国主等をば最初に之を導かん」(同509㌻)と。
 いかなる人も、御本仏にとっては救うべき存在です。それが仏の慈悲です。
 私たちも、すべての試練を前進の活力にし、あらゆる存在を味方に変えていく、広布と人生の痛快な勝利劇を伸び伸びと演じていきたいものです。
 良き友、良き音楽と一緒に!
2011-07-09 : 音楽を語る :
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随筆 我らの勝利の大道

随筆 我らの勝利の大道
  聖教新聞社 2011.7.3刊 ¥1238+税込

まえがき

希望の旭日

「躍進」の青年学会 君よ 使命の舞台に躍り出よ!(2011.1.1)
わが恩師・戸田先生(上) 報恩とは 弟子の勝利なり(2010.2.11)
わが恩師・戸田先生(下) 「師弟」「民衆」「青年」に創価の魂(2010.2.12)
栄光の創立80周年 創価の師弟は勝った!(2010.11.21)

勇気の行進


「行学の道」を共々に(上) 仏法は全人類の幸福のために!(201011.12)
「行学の道」を共々に(下) 最高峰の哲学を心肝に染めよ(2010.11.14)
聖教と共に さあ前進!(上) 師子吼せよ!世界に勇気と希望の声を(2010.8.30)
聖教と共に さあ前進!(下) 民衆が栄える「永遠の都」の旗印たれ(2010.8.31)
創価文化の輝き 生命歓喜の勝鬨で人生を飾れ(2010.1.21)
「立正安国」と創価の誓い(上) 世界は変わる!「勇気」の対話で(2010.6.25)
「立正安国」と創価の誓い(下) 私達は祈る この世界を楽土に!(2010.6.26)

庶民の英雄

厳たれ!丈夫・壮年部(上) 師と共に 男らしい戦いを!(2010.3.18)
厳たれ!丈夫・壮年部(下) 祈ろう!動こう!妙法の名将よ(2010.3.19)
若き君よ 7月を勇み舞え(上) 青年こそ歴史変革の力なり(2010.7.7)
若き君よ 7月を勇み舞え(下) 負けじ魂に燃える創価の丈夫たれ(2010.7.8)
「地区」こそ創価家族の広布城(上) ここに使命が!ここで勝つのだ!(2010.6.6)
「地区」こそ創価家族の広布城(下) 人を大切に!地域が勝利の原動力(2010.6.8)
2011-07-05 : 随筆集 :
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復興への勇気(The courage to rebuild)

Japan Times(ジャパンタイムズ)
2011年6月28日付への寄稿文。

復興への勇気(The courage to rebuild)

 「人生行路の平濶ならざるを知れり」「想像夢思だも及ばざる難路なり」──福島県が生んだ歴史学者にして平和運動家・朝河貫一博士(1873─1948)の慨嘆であった。
 未曾有の被害を残した3・11の東日本大震災から3カ月余が過ぎた。犠牲になられた方々は1万5000人を超え、約7500人もの行方不明の方々がおられる。その一人一人が、わが父であり、わが母であり、わが子である。わが家族であり、わが友であり、かけがえのない命である。
 仏法者として追善回向の祈りを捧げるとともに、被災者の方々の御健康と無事安穏、そして被災地の復興をひたぶるに祈らずにはいられない。
 被害はあまりにも甚大である。いまだ避難生活を余儀なくされている方は、11万人を超え、筆舌に尽くせぬ御苦労が偲ばれてならない。国や行政機関には、より集中的で迅速、効果的な対応が求められている。
 愛する家族や生活の基盤を一瞬にして奪われた苦しみに加え、先の見えない不安、収束しない原発事故への懸念、景気の後退、風評被害等々、再起に立ちはだかる壁は少なくない。だからこそ、心は負けてはならない。
 国際法学者のナンダ博士が送ってくださったメッセージにも、「今こそ、いかなる脅威にも打ち勝つことができる精神の安全、すなわち強き心を深く培わねばなりません」とあった。
 仏法では、「蔵の財よりも身の財すぐれたり、身の財より心の財第一なり」と明かされる。
 慈悲や勇気や希望など、人間としての至高の資質に勝る財宝があろうか。そして、この「心の財」は、どんな不慮の事故や災害に遭っても絶対に壊されない。

三つの「希望」
 言葉を失う残酷な大災害であったが、私たちは大きく三つの「希望」を見出している。
 第1の「希望」は、世界との、また身近な地域での人間の連帯である。
 大震災が起こるやいなや、世界中から迅速にして具体的な救援の手を差し伸べて頂いた感動は、決して忘れることはできない。その真心に、私たちは感謝しても感謝しきれない。
 一方、被災地では、より強固な共助の絆が生まれている。大災害の試練に皆で立ち向かうなかで、思いやりや助け合いが光る、尊貴な人間共同体が創出されている。決して一人きりで苦しむ人を出してはならない。
 第2の「希望」は、被災者の不屈の勇気である。
私が言葉に出来ないほどの感動を覚えたのは、自らも被災しながら、他の人々の救援活動に行動されてきた友の献身的な姿である。
 岩手県釜石市のある婦人は、荒れ狂う津波から隣人たちの命を救った。アパートの2階にまでなだれ込んだ濁流の中、自らは空調設備につかまりながら、乳児を抱えて流されかける男性を背中で壁に押しつけ、片手でもう一人の隣人の襟元をつかみ、「腕がちぎれても離すものか」と守り通したと伺った。
 こうした幾千、幾万の無名の英雄たちが、家族や友人を失い、家や財産も流されながらも屈することなく、今も不眠不休で、郷土の復興に奔走されているのだ。各地で避難所になった私どもの会館でも、被災者の方々が、自らも悲哀や疲労を抱えているにもかかわらず、進 んで運営を担っておられた。
 私たち創価学会も、大震災の直後から会館への避難者の受け入れをはじめ、救援活動に全力を挙げてきた。現在は、特に宮城、岩手、福島の三県で、中長期の復興支援の態勢を固めている。
 仏典には、“人のために火をともせば、自分の前も明るくなる”と説かれる。人のためにと行動を起こすことによって、自らの苦悩は前進へのエネルギーに変わる。そこには、自他共の新たな明日を照らす希望の光が生まれる。
 第3の「希望」は、行動する青年たちの熱と力である。
 私の知る宮城県石巻市の青年は、大津波に呑み込まれながらも、松の木に一晩中しがみついて九死に一生を得た。配管工の彼は店も家も奪われたが、押し潰されるような無力感を払いのけ、水回りの修理など、市内全域を駆けずり回って献身した。荒れ野と化した街のかつて自宅のあった場所に、仲間と廃材を使って打ち立てた巨大な看板「がんばろう! 石巻」は、市民の心意気の一つのシンボルとなった。
 青年は、その若さゆえに「希望」の当体である。どんなに闇が深くとも、青年が立ち上がるところ、そこから太陽は昇る。
 復興への道は遠い。しかし、このような勇気ある青年たちの姿に励まされながら、地域の方々と手を携え、被災地復興のため、前進していきたい。
 どんなに地道であっても、その一歩から希望の種がまかれ、「心の財」が積まれるからだ。
 「されど人は境遇に支配せられる如き弱きものにあらず」「願はくは悲哀の下に屈せずして悲哀の上に屹立せよ」。朝河貫一博士の言葉が、東北の人々の心意気を示している。

朝河貫一博士の言葉は『朝河貫一書簡集』(早稲田大学出版部)。一部表記を改めた。
2011-07-05 : 提言/寄稿/インタビュー等 :
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新時代 第1回東北青年部総会へのメッセージ

新時代 第1回東北青年部総会へのメッセージ
           (2011.7.3 青葉平和会館)
 新生・東北の建設へ青年が立つ!──東北広布60周年、さらに7・3「東北の日」を記念する「新時代 第1回東北青年部総会」が3日午後、宮城県仙台市の青葉平和会館で開催された。これには池田名誉会長が、“世界第一の人材の牙城を”と祝福のメッセージを贈った(3面に掲載)。また、池田副理事長、韮沢東北長、青年部各部の部長をはじめ、東北6県の代表600人が参加。海外8カ国・地域の青年部から真心のエールが寄せられた。
     ◇
 東日本大震災から、まもなく4カ月。復興への道のりは長く、険しい。被災者の将来への不安も大きい。誰が、人々の心に希望の火をともすのか。誰が、東北の新しい未来を開くのか。東北青年部の胸には、50年前の師の師子吼が強く響いている。
 「広宣流布の総仕上げは、東北健児の手で成し遂げていただきたい!」──1961年(昭和36年)7月9日に行われた「第1回東北青年部総会」で、池田名誉会長は永遠の指針を示した。そして、この日のメッセージにも「今、この『7・3』に燃え上がる私の負けじ魂を、誰よりも深く強く受け継いでくれているのが、東北青年部です」と。

 世界が見つめる東北青年部の新出発。総会では、“希望プラン”が次々と発表された。①「東北総会」の意義を込めて開催される今月の青年部幹部会(衛星中継)の参加者の氏名を永久保管する。②「新生・東北青年部の木」を、東北6県の中心会館、およびインドの創価菩提樹園(ニューデリー近郊)に記念植樹する。③東北青年部総会の第2回(2012年)、第3回(2013年)を順次、開催する。
 韮沢東北長、棚野青年部長のあいさつに続き、代表が体験発表。加藤東北青年部長が「新生・東北青年部宣言」を発表。
 「一、東北青年部は、池田門下の“人材の牙城”を築き抜いてまいります。
 一、東北青年部は、言論戦に先駆し、“広宣流布の総仕上げ”を成し遂げてまいります。
 一、東北青年部は、人類が仰ぎ見る『人間共和の永遠の都』を東北の天地に断固として築き上げてまいります」
 そして「それぞれが今いる“使命の場所”で、不屈の一歩を!」と力説した。

名誉会長のメッセージ


負けじ魂で広宣流布の総仕上げを

「私の一番の誇りは」東北の尊き君たち
目の前の一人を励ませ
心の復興へ大哲学の旗高く


 わが愛する東北の男子部・女子部・学生部の皆さん、本当にご苦労様です。
 私の一番の誇りは、来る日も来る日も、喝采のない使命の現場で戦い続けてくれている君たちです。一人一人の偉大な奮闘を心から労い讃える思いで、全てを見守っております。音楽隊の轟く勇気の演奏も、いつもありがとう! 宝と光る未来部の皆さんもよく集ってくれました。本当に嬉しい。
 思えば、昭和32年の7月3日、私は、憧れの福島県を訪問する予定でありました。しかし急遽、大阪事件のため無実の罪で囚われたのであります。
 日蓮大聖人は、あの佐渡流罪に至る大難の渦中に、厳然と仰せになられました。
 「仏になる道は、必ず身命《しんみょう》を捨てるほどのことがあってこそ仏になるであろうと思われる」(御書891㌻、通解)と。そして自分が仏になれば、恩ある人々も、皆、助けることができると悠然と示されたのであります。
 これが日蓮仏法の魂です。ゆえに、29歳の私は、大恩ある師匠を断固としてお守りし、学会を守り抜くために、凶暴な権力の魔性と命を賭して戦い抜いたのです。そして勝ちました。
 今、この「7・3」に燃え上がる私の負けじ魂を、誰よりも深く強く受け継いでくれているのが、東北青年部です。君たちこそ私の真実の後継者です。
 私も、戦争に苦しめ抜かれた青春時代から言いしれぬ苦難の連続でした。御書に説かれる「悪口罵詈」「猶多怨嫉」の難を一身に受け切ってきたことも、ご存じの通りです。正義を貫いて、苦しんで苦しんで苦しみ抜き、耐えて耐えて耐え抜いてきたゆえに、今の私があり、今日の学会が築かれた。
 だからこそ、私は不二の君たちに断言できる。
「若き君たちの労苦は全部、深い意味がある。それは、最も偉大な人生を勝ち抜き、苦しみ悩む民衆を救いゆける仏の力を、断固、鍛えるための試練である」と。
 復興の道のりは長い。しかし大聖人は “まず一丈の堀を越えよ” と励ましてくださっています。目の前の一人を励まし、目下の一つの課題を打開すれば、そこから必ず希望の活路が開ける。どうか、一切を蘇生させゆく題目を朗々と唱え抜きながら、心の復興の大哲学の旗を高らかに掲げていってください。そして仲良く快活に、一歩また一歩、前進し抜いていただきたいのであります。
 結びに、東北の青年詩人・石川啄木の信条を贈ります。「ただまさに、獅子の勇あるのみ」(『啄木全集 第7巻』筑摩書房、現代表記に改めた)と。
 我らは、何ものをも恐れぬ師子王の勇気で叫び進もう!
 世界第一の人材の牙城、万歳! 人類の希望たる広宣流布の総仕上げを担う君たち、万歳! 人間共和の永遠の都を築く東北青年部の無敵の団結、万歳!
 気高き父母たちを大切に! 断じて徹して、勝利の道を開いてくれたまえ!
 わが命たる君たちの健康を祈りつつ
2011-07-05 : スピーチ・メッセージ等 :
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