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希望の大空へ ~わが愛する王子王女に贈る~ 21〜23

第21回 新しい朝を、新しい自分を (2014.1.1 少年少女きぼう新聞掲載) 

 さあ、2014年のスタートです。
 少年少女部のみなさん、あけまして、おめでとうございます!
 もう、今年の目標を決めたという人もいるでしょう。自分は、どんな挑戦をしようか、今、ちょうど考えているという人もいるかもしれません。
 学会は「世界広布新時代 開幕の年」というテーマをかかげ、さらなる前進を開始しました。大きな目標は、創立100周年を迎える2030年です。みんなが、学会の中心となって活躍しているころだね。
 私にとって、最大の楽しみです。
    * * *
 ところで、みんなは、学会の先ぱい方が会合などで、新しい挑戦を決意するとき、よく「人間革命していきます!」と言われるのを聞いたことがありませんか?
 「人間革命って、なんだかむずかしそうだな」と思ったことも、あるかもしれません。革命とは、かんたんに言えば、大きく変わることです。自分自身が大きく、より良く変わっていくことです。
 そのために大事なのは「心」です。心を変えることです。そして、自分が、正しい方向へ、平和と幸福の方向へと、力強く進んでいくことです。
 「人間って、心の持ち方一つで、強くなるもんだなあ」と、私の人生の師匠である戸田城聖先生が書かれた本に出てきます。さらに、“こんなむずかしいことできないよと思うか、よしやってやろうと思うか、紙一枚ほどのちがいだ。必死にがんばると、今まで持っているのに出せなかった力が、わいてくるんだ”──と。
 同じように、みんなも感じたことがあるんじやないかな? 実際に、心が変われば、自分の行動が変わります。行動が変われば、まわりの環境までも変わります。
 心が決まれば、すべてが開けるのです。
 「人間革命」とは、その人が、どんどん強く、正しく、立派になることです。自分のことが、大好きになれるんです。目標や願いをかなえられる自分に、大きく成長していくことなのです。
 みなさんのお父さんやお母さん、おじいさんやおばあさん、学会のお兄さんやお姉さん、同志の方々は、この「人間革命」に毎日毎日、挑戦しているのです。
 それを可能にするのが唱題であり、学会活動です。そうすれば、どんな時でも心に太陽をのぼらせ、希望を持つことができる。
 創価学会は、この「人間革命」をしていく人々の集まりなのです。
    * * *
 じつは、人間革命といっても、日ごろの生活の中にあります。
 丈夫な体になることも、忘れ物をしなくなることも、めんどうな準備や後片づけができるようになることも、今までできなかったことが一つでもできるようになれば、全部、人間革命です。勉強がきらいだった人が、「勉強しよう!」「努力しよう!」と決意して、一歩でも前進できたなら、それも、みごとな人間革命なのです。
 たとえ、すぐに願った通りにならなくても、君やあなたが人間革命に挑戦していけば、自分では分からないかもしれないけれど、それまでの自分とは急速に大きく変わっています。ぐんぐん成長しています。
    * * *
 私は、この人間革命ということを、戸田先生に教えていただきました。先ほど紹介した戸田先生の本も、『人間革命』という題名でした。
 そこでは、戸田先生がモデルの主人公が、「ぼくの一生は決まった!」と叫び、世界の平和と人類の幸福のための広宣流布を誓って終わります。
 その言葉通り、戸田先生は戦後、わずかな人数しかいなかった学会を大発展させ、日本の社会のなかに、平和と幸福の大道を開かれました。
 弟子の私は、この広宣流布の大事業を受け継ぐとともに、恩師の偉大な歴史と精神を後世に残すため、ペンをにぎりました。
 師匠の偉大な人間革命の道に弟子が続くのが本物の師弟です。ゆえに、題名も同じ小説『人間革命』としました。書き始めてから今年の12月で50年になります。
 この間、高熱が続き、氷で頭を冷やしながら書いたことも、疲れてペンを持つ手に力が入らず、書く内容をテープに録音したこともありました。日本中、世界中の同志が小説の掲載を待っているから、がんばりました。「人間革命の人生を伝えることが、みなの勝利と幸福につながる」と信じて、私は書き続けてきました。
 同志のみなさんのおかげで、新聞の連載回数は、この『人間革命』と、それに続く『新・人間革命』という二つの小説を合わせて6700回をこえました。ただただ、感謝でいっぱいです。
 今は聖教新聞に、大好きな創価小学校の歴史をちょうど書き残したところです。(第27巻「若芽」の章)
 小説には、たくさんの学会員の方々の「人間革命」の姿をえがきました。戸田先生お一人から始まった偉大な人間革命は、やがて多くの人が続き、その流れは大きな河のようになったのです。今もなお、日本だけでなく、世界のあの地この地で、人間革命のドラマがくり広げられています。
 学会は、今や世界192カ国・地域に広がり、地球上で平和と幸福を願う題目が、24時間とぎれることはありません。まさに戸田先生が、願われた通りになりました。
 太陽がのぼれば、すべてを明るく照らすように、一人の人間革命は、自分が輝き、まわりも輝かせます。自分が明るくなれば、家の中も、クラスも明るくなる。クラスが明るくなれば、学校も明るくなる。学校が明るくなれば、そこから素晴らしい人材が羽ばたいて社会も明るくなる。人類の歴史だって明るく変わっていくでしょう。
    * * *
 人間革命は、「自分はこうなりたい! こうなろう!」と目標を決めて題目を唱え、祈るところから始まります。
 毎日、必ず新しい朝が来るように、毎日、新しい自分に成長していくのです。
 「きょうこそ、がんばるぞ!」と新しい一日を、「今年こそ、決めたことをやりぬくぞ!」と新しい一年を、どうかスタートしていってください。この一年を、大いなる「人間革命の年」にしていこう!
 「世界広布新時代」の開幕とは、みんなの人間革命の出発から始まるのです。
 私も小説『新・人間革命』を、今年も、そしてきょうも、今まで以上の決心で書いていきます。
 くれぐれも、かぜなどをひかないように。お元気で!

第22回 夢のつばさを広げよう! (2014.2.1 少年少女きぼう新聞掲載)

 きびしい寒さが続いています。みんな、風邪などひいていないかな。
 私は、小さいころ、体が弱くて苦労したから、みなさんが健康で、じょうぶに育ってくれるように、毎日毎日、真剣に祈っています。
 まもなく2月11日。私の人生の師匠・戸田城聖先生のお誕生日です。寒い北国の石川県に生まれ、北海道で育った戸田先生は、「冬にきたえよう!」と言われていました。少年少女を、「冬は、引っこみ思案になって過ごす時ではない。きりっとした、身のしまるような気候の中で、春にそなえて活力をたくわえる時である」とはげまされたこともあります。
 進級や卒業の時を迎える春は、もうすぐそこまで来ています。どうか、寒さに負けず、一日一日を元気いっぱいに楽しく前進していってください。
    * * *
 今月は、ロシアのソチで冬のオリンピックが開幕します。6月には、ブラジルでサッカーのワールドカップもはじまります。
 さらに6年後の2020年には、オリンピック・パラリンピックが、東京で開かれます。信濃町の創価学会の総本部のすぐ側に新・国立競技場が築かれ、中心の会場になります。今の未来部のみなさんの中からも、きっと出場する人が出るでしょう。
 大好きなスポーツの道で、世界の大舞台へ躍り出ることを夢見て、チャレンジしている友もいると思います。
 「夢」は希望です。「夢」は力です。
 現在のオリンピック(近代オリンピック)も、古代のギリシャで行われていたスポーツの祭典を復活させたいという「夢」から生まれたものです。
 「夢」が未来を開いてきたのです。
    * * *
 みなさんは、人類で最初に宇宙飛行の夢をかなえた人はだれか、知っていますか?
 そう、1961年、宇宙船ボストーク1号から「地球は青かった」という有名な言葉を発した、ロシアのガガーリンです。
 日本を訪れた時、子どもたちにも、宇宙から見た地球は「やわらかい大風船のような感じでした。青い光にかこまれて、ほんとにきれいでした」と語り、大宇宙への夢を広げてくれました。
 このガガーリンが大空へのあこがれをいだいたのも、みなさんと同じ小学生の時です。飛行機のパイロットとの出会いから、夢をふくらませていったのです。
 しかし、夢の実現は、遠く、けわしい道のりでした。家がまずしかったので、働きながら夜の学校に通い、また図書館から本を借りて、学び続けたのです。
 苦労の連続でも、心は楽しく、はずんでいました。
 いつの日か、空を飛んでみせる──その大きな夢を忘れなかったからです。自分で自分に“きっと夢はかなえられる”と言い聞かせて、はげましていたのです。
 戸田先生は、夢は「大きすぎるくらいで、ちょうどよい」と言われました。なぜか? はじめから小さな夢では、何もできないで終わってしまうからです。
 未来の「夢」と、今の自分を比べてみると、まるで地球と宇宙の果てまでぐらい、遠くはなれていると思えることがあるかもしれません。
 でも、みなさんは、すごいロケットをもっています。「努力」という生命のロケットです。このロケットが、夢へ向かって、みなさんを運んでくれるのです。
 毎日の学校の勉強も、全部が、この「努力ロケット」の燃料になります。
 ガガーリンが、学校の先生から教わって大切にした信念があります。それは「成功は勇気のある人間にあたえられる」でした。
 夢をかなえるためには、「勇気」をもつことです。「やってみよう」と思って、挑戦の一歩をふみ出す勇気です。
 そして、思うようにいかないことが立ちはだかっても、へこたれず、あきらめず、努力をつらぬいていく勇気が、勝利の道を開くのです。
    * * *
 私も、子どものころから、いっぱい夢がありました。
 一つは、本を読むこと、文を書くことが好きだったので、新聞記者になりたい。さらに、みんなに勇気と希望をおくる物語を書き残したいと思いました。
 また、暗い戦争の時代だったので、日本中の駅に桜の木を植え、花を咲かせて、みんなの心を明るく晴れやかにしたいという夢もありました。
 戸田先生とお会いして仏法にめぐりあったのは、19歳の時です。
 戦争を起こした権力と勇敢に戦いぬいてきた戸田先生には、大きな大きな夢がありました。それは、「この世から、一切の不幸と悲しみをなくす」。そして「世界中の人に幸せをもたらし、平和をつくる」こと。すなわち、広宣流布という夢です。
 そのすばらしい夢を、私は大好きになりました。
 いつしか、先生と同じ「夢」を実現することが、自分の夢になっていったのです。
 この広宣流布という何よりも大きな夢をめざして、けんめいに努力し、題目を唱えていく中で、ふしぎなことに、子どもの時の夢も、一つ一つかなえていくことができました。
 「新聞記者」の夢は「聖教新聞」を発行することで──。
 「物語」の夢は小説『人間革命』 『新・人間革命』を執筆することで──。
 そして「桜」の夢は、日本と世界の各地への「桜の植樹」となって実りました。
 たとえ、夢がすぐに実現しなくても、祈って努力したことが、あとになって、必ず生きてくるのが、題目の力なのです。
    * * *
 子どもたちの幸福のための学校をつくることも、戸田先生の大きな夢でした。それは、戸田先生が、師匠の牧口常三郎先生から受け継がれた夢でもありました。そして「私の時にできなければ、大作、頼むぞ」と、私に夢のバトンを託されたのです。
 その夢をかかげて創立したのが、創価学園、創価大学・創価女子短期大学、そしてアメリカ創価大学です。創価幼稚園も、札幌をはじめ世界の各地に誕生しています。
 創価の「平和」と「文化」と「教育」の連帯を、世界192カ国・地域に開いてきました。
 牧口先生・戸田先生の夢を、一つ一つ、みなさんのおじいさんやおばあさん、お父さんやお母さん方と実現してきたのです。
 師匠と弟子の一体の夢を見つめて、私はここまで元気に挑戦を続けてきました。
 これからは、みなさんが思いきり夢を実現してくれることが、私の一番の夢です。
    * * *
 みなさんには、自分にしかできない夢が必ずあります。今は見つからなくても、目の前の課題に真剣に取り組んでいけば、自分が本当にやりたいと思うことが、必ず見つかります。
 未来には、君が、あなたが、思う存分、活躍できる使命の舞台が待っています。
 みなさんの中から、偉大な教育者も科学者も文豪も、大政治家も大実業家も、大スポーツ選手も大芸術家も、ありとあらゆる分野の力ある人材が育っていくでしょう。そう思うと、私の胸は躍ります。
 どうか、大きな心で、大きな夢を広げてください。前に進む限り、夢の世界は無限に広がります。
 さあ、自分にしかない「夢のつばさ」を大きく広げて、希望の大空へ飛び立とう!

※ガガーリンについては、小学館発刊「中学生の友 二年」1962年8月号の記事、ガガーリン著「地球は青かった」岸田純之助訳(『少年少女20世紀の記録』あかね書房、所収)。

第23回=最終回 友情の花咲く大樹に (2014.3.1 少年少女きぼう新聞掲載)

 太陽の光に、だんだんとあたたかさを感じるようになりましたね。
 でも、冬から春への変わり目には、寒さがぶり返したり、大雪がふったり、ふだんとちがうことが、しばしば起こります。
 みなさんにも、思いもよらないことが起こる時があるでしょう。そういう時こそ、大きく成長できるチャンスなのです。
 桜の前線は、日本列島を北上し、やがて、東日本大震災から3年目の春を迎える東北に到達します。被災した各地の会館に、震災の後に植えられた“福光桜”も、らんまんと咲きかおることでしょう。
 “福光桜”は、どんな困難も一緒に乗り越えて前に進みゆく、東北の友の「負けじ魂」と「友情」のシンボルです。
 また、創価大学には、「周桜」 「周夫婦桜」という桜の木もあります。
 中国の周恩来総理ご夫妻と私たちとの変わらない友情を未来へ伝える桜です。
 友情は、宝です。
 友情は、幸福です。
 友情は、平和の源流なのです。
    * * *
 日蓮大聖人は、「植えた木であっても、しっかりした支えをそえれば、大風が吹いたとしても、たおれません」(御書1468㌻、意味)と語られています。
 どんなに大きな木も、最初は、小さな木から成長が始まる。その小さな木を植える場合、一番に大切なことは、根っこが大地に根づくかどうかなのです。
 根が大地に深く広がっていかなければ、少し強い風が吹いただけで、簡単に倒れてしまう。
 だから、木が若い間は、しっかりした支えになる棒をそえて育てます。
 そうすれば、どんな大嵐にも負けない、立派な大樹へと育つのです。
 これは、人間にも同じことがいえます。
 勉強でもスポーツでも、「つかれたな」「やめたいな」などと思った時に、「負けるな!」「がんばれ!」と友だちから応援してもらえたら、元気がわいてくるでしょう。
 自分一人だったら、とっくにあきらめてしまうことも、友だちがいれば、最後までやりぬくことができるものです。
    * * *
 世界中で愛読されている、モンゴメリーの名作『赤毛のアン』を、読んだことのある人もいるでしょう。
 主人公のアンは、小さい時に父母を亡くした少女です。めずらしい赤いかみの毛で、ほおには、そばかすがたくさん。人々から悪口を言われることもありました。
 でも、アンには“負けない心”がありました。どんなつらいことがあっても、明るく、たくましく心のつばさを大きく広げました。
 「心」がかがやくアンのまわりには、どこへ行っても、いつも、笑顔のお友だちがいっぱいでした。アンは、そんな友だち一人一人をとても大切にしたのです。アンは言います。
 ──大人の入り口に立つと、新しい悩みが次から次に生まれてくる。でも、私にはいい友だちがおおぜいいるから、きっと、立派になれるはずよ──と。
 友情は喜びを2倍にし、悲しみを半分にしてくれます。
 友だちとの友情が、人生を楽しく、価値あるものに高めてくれるのです。
 春は、進級やクラスがえなどがあって、新しい友だちとの出会いの季節ですね。
 中学校に進学する6年生は、ちがう小学校の出身者もいたりするから、不安に思うことがあるかもしれません。
 今回は私が、みんなに役立つ、友だちをつくる「ひけつ」を教えましょう。
 それは「自分から声をかける」ことです。
 “人類の教師”といわれ、仏教を説いた「釈尊」も、仏のふるまいとして、自分の方から先に話しかける人でした。
 はじめて会った人でも、同じ人間として声をかけていく勇気、そして相手が自分と意見や考え方がちがっても「仲良くしていこう」と語り合っていく大きな心──これがあれば、必ず友だちができます。
    * * *
 時には、友だちと意見が合わず、ケンカになってしまうこともあるでしょう。
 そんな時も、自分から声をかけて仲直りすることが大切です。
 それさえできれば、今まで以上に仲良くなれるでしょう。私もそうしてきました。
 あやまる時は、ちゃんと相手の目を見て言おうね。そうすれば、ケンカをしても、反対に“仲良くなるチャンス”になります。
 ただし、「いじめ」は、まったくちがいます。絶対に許してはいけない暴力です。
 いじめられて相談することは、決して、かっこ悪いことではありません。「心配をかける」などと考える必要もありません。声に出すのがむずかしかったら、手紙などでもいい。味方は、いっぱいいます。
 私は、そして学会は、断じて、いじめられている人の味方です。
 苦しくて苦しくて、死ぬほどつらくても、かけがえのない自分の「いのち」を絶対に守りぬいてほしい。自分を大切にしてほしいのです。
 いじめられた人は、必ず偉くなっています。幸福になっています。いじめた方は、最後はダメになっている──これが世界の指導者とお会いして学んだ私の結論です。
 どんな人だって、おじいさんやおばあさんたち、お父さんやお母さんから、大切な「いのちのバトン」を受け取って生まれてきました。必ず、君にしかない、あなたにしかできない、自分の使命があることを、どうか忘れないでください。
 一人一人の「いのち」を大切にする社会をつくるため、私たちは題目を唱え、世界の平和を祈っているのです。
    * * *
 「生きること」は、「よき友だちをつくっていくこと」です。“今、親友と呼べる友だちはいないなあ”と思っても、あせる必要はありません。必ずできます。
 世界の平和と全人類の幸福を実現する「未来の広宣流布」も、みなさんが、よく学び、よく祈り、よく生き、よき友をつくって広げていくなかにあります。
 春に花咲く、桜、梅、桃、李には、それぞれのよさがあります。仏法では「桜梅桃李」といって、人間も“自分らしくかがやくことが大切”と教えています。
 みんなは、学会創立100周年の2030年には、どんな自分らしい花を咲かせて、立派な大人になっているだろうか──私は、考えるだけで、わくわくします。
 途中で、どんなつらいことがあっても、「冬は必ず春となる」(御書1253㌻)と固く信じて前進しよう!
 ししの子のみなさんが、私たちの「希望」です。長い間、読んでくれて、ありがとう!
 また、お会いしましょう!

参考文献はL・M・モンゴメリー著、掛川恭子訳『赤毛のアン』(講談社)。
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2014-03-03 : 希望の大空へ :
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希望の大空へ ~わが愛する王子王女に贈る~ 16~20

希望の大空へ ~わが愛する王子王女に贈る~

第16回 小さな疑問が大きな力に (2013.8.1付 少年少女きぼう新聞掲載)

 夏まっさかりだね。暑さに負けないで、みんな、元気かな?
 アサガオやヒマワリなど、夏の花たちも生き生きと咲いていますね。
 みんなは、なぜ、多くの花々があんなに美しい色をしているのか、考えたことはありますか?
 一つの理由は、あざやかな色で、ハチやチョウをさそって、花粉を運んでもらうためです。
 実は、もう一つ理由があるといいます。それは、太陽の光にふくまれる紫外線と戦っているからです。(田中修著『植物はすごい』中公新書)
 近年、強い紫外線を体に浴び続けると、植物にも人間にもよくないことがわかってきました。しかし、植物は、人間のように、ぼうしをかぶったり、日かげに移ったりすることはできません。そのかわりに、きびしい紫外線から身を守る力が、花の色に、ふくまれているのです。
 つまり、逆境に負けないように努力しているからこそ、花は美しくなる。そう思うと、野に咲く花も、私たちに励ましを送ってくれているようですね。
    * * *
 夏は、朝のラジオ体操、盆踊りや夏祭り、花火大会など、楽しい行事も多いでしょう。
 私も、小学生の時、夏休みが待ち遠しくてたまりませんでした。
 あれは、9歳の夏のことです。
 私のふるさと、今の東京・大田区の蒲田駅の周りには、夜になると、よく露店が立ち並びました。
 金魚すくいや綿菓子、あめ細工の店などをワクワクしてのぞいて回ると、夜店の列の端っこで、背の高い外国人の男の人が、カミソリを売っていました。
 「ワタシ、ニッポン、ダイスキデス」と道行く人にニコニコしながら呼びかけています。
 でも、買う人はいませんでした。それどころか、いじわるをしたり、からかったりする人すらいました。
 その時、日本は外国との戦争を始めていました。戦火は広がり、世の中は、外国人を差別するようになっていたのです。
 「同じ人間なのに、なぜ?」
 この時、私か思った疑問です。やがて戦地より、いったん帰ってきた兄から、戦争がどれほど残酷かを聞きました。おそろしい空襲も経験しました。兄が戦死し、母の悲しむ姿も、目の当たりにしました。
 「なぜ、人間どうしが、にくみ合い、傷つけ合うのか?」──この疑問は、ますます深まりました。
 のちに、この疑問をかかえた私の心を、大きな光で照らしてくださったのが、師匠・戸田城聖先生です。
 戦争が終わって2年後、1947年(昭和22年)の8月14日、創価学会の座談会で戸田先生と初めてお会いしました。
 先生は、戦争中、2年間、牢獄に入れられても負けないで、平和と正義の信念をつらぬいた方です。先生は言われました。
 「私は、この世から、一切の不幸と悲しみをなくしたいのです。これを広宣流布という。どうだ、一緒にやるか」と。
 この偉大な先生を信じて、私は、学会に入りました。少年時代からの「なぜ?」という疑問を解決し、そして「同じ人間」がみな、平和で幸福に生きる世界を建設するために、第一歩をふみ出したのです。
    * * *
 「アフリカの環境の母」とたたえられるワンガリ・マータイ博士も、小さいころの「なぜ?」「どうして?」という疑問を大切にされていました。
 私がお会いした時、話してくれました。──ある日の朝早く、うす暗い空に流れ星が走りました。博士はこわくなり、家の中に入って、お母さんに聞きました。
 「ねえ、どうして空は落ちてこないの?」
 お母さんは、やさしく答えてくれました。
 「空は落ちてなんかこないわよ。それはね、私たちの周りを囲んでいる山には、とっても大きな水牛がいて、水牛には、とっても大きな角があって、それが、お空を支えてくれているんだよ」
 博士は、お母さんの話を聞いて、ほっとするとともに、「なんて、すてきなんだろう」と思ったそうです。そして「自然がどれほど私たち人間を守ってくれているか」を思い出させる話として、今も心に残っていると語られていました。
 マータイ博士は、これが環境問題への関心を深めるきっかけとなって、学びに学んで偉大な学者となりました。そして、アフリカの砂漠化をくい止める、壮大な植林運動に人生をささげてこられたのです。
 マータイ博士をはじめ、世界のリーダーと対話する時、互いに質問をし合います。新しいことを知ろう、相手から学ぼうと、質問を次々に発します。
 質問すること自体が、新しい発見をする「探究の一歩」であり、人間の心を結び合う「平和の一歩」ともいえるでしょう。
 12年前の夏、私はアメリカのある小学校の友に、一つの詩を贈りました。
 「空は なぜ青いのか?
  磁石に 鉄が
  吸い付くのはなぜか?
  恐竜は なぜ滅びたのか?
  宇宙の果ては
  どうなっているんだろう?
  『なぜ?』『どうして?』と
  問いかける心
  それは『科学者』の心だ」──と。
 本当に頭がいい人とは、たくさんの物事を知っている人ではない。むしろ「なぜ?」「どうして?」と、いっぱい疑問をもって、問い続ける人ではないでしょうか。
 そして、すぐに答えが出なくても、ねばり強く考え抜いていく人です。
    * * *
 大切な友人に、ロシアの名門・モスクワ大学の総長をつとめられた、世界的な物理学者のログノフ博士がいます。
 博士が若い時、学校の先生が2日かかっても解けなかった問題があったそうです。
 先生も解けない問題とは、どんな問題なのだろう──興味をもった博士は、難問に何日も挑み続けました。そして、ようやく答えにたどりついた時には、「それこそ、お祭りがやってきたような気分でした」と、うれしそうに振り返っておられました。
 苦労すればするほど、わかった時の喜びは大きいものです。
 「なぜ?」と問いかけている時こそ、頭がたくさんはたらき、自分が大きく成長できるチャンスです。
 だから、大事なのは「なぜ?」と思ったことを、そのまま放っておかずに、だれかに質問したり、本で調べたりすることです。
 一つの「なぜ?」を追求していくと、また新たな「なぜ?」が生まれてくることがあります。それもまた、聞いたり、調べたりしましょう。このくり返しが、ぐんぐんと頭をよくしてくれます。
 知らないこと、わからないことは、少しも、はずかしいことではありません。「何でも聞いてみよう!」「何でも学んでいこう!」──この心こそ、青春の誇りです。
 どうか、この夏、いろいろなことに挑戦し、「なぜ?」「何これ?」「不思議だな」という疑問をいっぱい見つけてください。
 それが、きっと、新しい冒険のように、みなさんの世界を大きく広げる「希望の翼」となっていくはずです。
    * * *
 暑い日が続きます。熱中症や交通事故には、くれぐれも気をつけて、楽しい夏休みを過ごしてください。
 来月も、一回り大きくなった、みんなに会えるのを楽しみにしています。

第17回 生命の宝を受けつごう! (2013.9.1付 少年少女きぼう新聞掲載)

 この8月、私のところには、毎日毎日、日本全国そして全世界から、少年少女部の元気な活躍の様子が届きました。
 「創価ファミリー大会」でも、がんばってくれたね。
 少年少女部のみなさんが主役となって、「勤行の導師」を見事につとめてくれたり、「司会」や「体験発表」を堂々と行ってくれたり、「合唱」や「クイズ」「ゲーム」などを、リードしてくれたりしたことも、うれしく聞いています。
 本当にありがとう!
 かげで、青年部のお兄さん、お姉さん、また、壮年部・婦人部の方々が、一生けんめいに準備し、支えてくださったことも、私は、心から感謝しています。
    * * *
 ファミリー大会に、おじいさんや、おばあさんと、いっしょに参加した人もいるでしょう。おじいさん、おばあさん方は、はつらつと伸びゆくみなさんの姿を、とても喜んで見守っておられたことと思います。
 その気持ちが、私もよくわかります。
 おじいさん、おばあさん方は勇気をもって、正しい信心をつらぬいてこられました。
 相手の幸せを真剣に祈って行動しているのに、なかなか理解されなかったこともある。それでも、決してあきらめなかった。
 どんなに自分が大変なときでも、悩んでいる友のために祈り、つくしてきました。世の中のため、そして、世界の平和と人類の幸福を築く広宣流布のために、私といっしょに、がんばりぬいてこられました。
 その“信念のバトン”が、みなさんのお父さん、お母さん方に受けつがれ、さらに今、みんなが受けついでくれていることが、私たちは、うれしくてならないのです。
    * * *
 「祖父母」から「父母」へ、そして「子ども」へという3つの世代のつながりを、私が対談したイギリスの大歴史学者のトインビー博士は、とても大事にしていました。
 世界中の歴史を研究された博士は、私たちの社会などが、よりよく変わっていくためには、短い時間では足りない。少なくとも、3世代くらいの長い時間の努力が必要であると言われていたのです。
 たしかに、国も、団体も、初代が道なき道を開き、2代目が基礎をがっちり固め、さらに3代目が努力して発展させていくことで、大きく栄えていきます。
 創価学会は、初代会長の牧口常三郎先生と第2代会長の戸田城聖先生が、いかなる迫害にも負けず、平和と正義の戦いに命をかけて、土台をつくってくださいました。
 お二人の心を受けつぎ、私は第3代の会長となり、世界に仏法を広げてきました。
 家族でいえば、おじいさん、おばあさんから、少年少女部のみなさんが3代目です。3代目のみんなが立派に育っていけば、ご一家は未来へ、いよいよ栄え続けていくことができます。
 それこそが、これまで苦労に苦労をかさねてこられた、おじいさん、おばあさんの何よりの勝利なのです。
    * * *
 9月には、家族や社会に長年つくしてきた方々を敬愛し、長寿を祝う「敬老の日」があります(今年は9月16日)。
 もともと、この日は、ある村の村長さんが、お年寄りの経験と知恵を大事にして“村づくり”をしようとしたことが、きっかけといいます。
 おじいさんやおばあさんにとって、孫ほど、かわいいものはありません。いつも、みなさんの成長を願ってくれています。
 その真心には真心で、「ありがとう!」と感謝を伝えよう。
 そして、みなさんの明るい笑顔を見せたり、元気な声を電話で聞かせたりしてあげてください。
 人間は、ものごとを覚える力などは、若いときのほうが強い。しかし、困ったときに、どうするかなどを判断する力は、年をかさねたほうが、ゆたかになっていくことが、研究でわかっています。
 人類は、3万年くらい前から長生きになり、祖父母と孫が、いっしよに暮らせるようになりました。それから、いろんな知恵や技術を伝えられるようになって、大きく進化したともいわれています。
 おじいさん、おばあさんから、話を聞き、いろいろ教えてもらえることは、とてもすごいことなのです。
    * * *
 仏法では、高齢の方を大切にすることが、国の栄える根本であると教えています。
 学会は、70歳以上のメンバーのグループを「多宝会」(東京は「宝寿会」、関西は「錦宝会」)と呼んでいます。
 「多宝」とは、法華経に出てくる「多宝如来」という仏の名前です。
 妙法の偉大さを証明するために現れ、その名前の通り、多くの宝をもって光り輝く仏です。
 まさに、多宝会の方々は、信心ひとすじにがんばって、自分の人生を通して仏法の偉大さを証明してきた尊い方々です。それこそ、多くの宝をもっておられます。
 どんな宝だと思いますか?
 それは「生命の宝」「心の宝」です!
 多宝会の先輩方は、戦争中や、そのあとの大変な時代を生きてこられました。
 生活が苦しい。病気が治らない。家の中にケンカがたえない。仕事がうまくいかない……たくさんの悩みを、自分だけでなく、人の分まで引き受けて、題目をいっぱい唱え、立ち向かってきました。
 「何があっても絶対に乗り越えられる」「どんな人も必ず幸せになれる」と、みなを勇気づけ、希望を送ってきたのです。
 人の何倍も忙しくて、苦労も多かった。でも、その分、福運という「生命の宝」「心の宝」を山のように積み上げてきたのです。
 この宝は、一家に“信念のバトン”を受けつぐ人がいれば、どんどん増えていきます。みなさんも題目を唱えて、「がんばろう」と心を決めれば、そのまま宝を、すべて受け取ることができる。そして、自分の努力で、いくらでも増やしていけるのです。
 この宝があれば、どんなことがあっても負けません。「生命の宝」を「生命の力」として、みなさんは、自分の夢を大きく広げ、実現していけるのです。
 ある小学2年生の女の子は、戦争で片腕をなくした祖母が、平和を願い、広宣流布のために行動し続けてきた体験を聞きました。そして、「おばあちゃんから、大切なことを教えてもらった私だから、だれよりも、平和を守れる人になりたい」と決意したのです。
 おばあちゃんは、きっと、すべての苦労が晴れる思いがしたことでしょう。
    * * *
 みなさんは、お父さん、お母さんがいて、この世に生まれてきました。そのお父さん、お母さんが生まれてきたのは、おじいさん、おばあさんがいたからです。
 こう考えていくと、みなさんが生まれてくるまで、かぎりない“いのちのリレー”が、ずっと続いてきたことがわかります。
 このうちのだれか一人でもいなければ、みなさんは、この世に生まれていません。
 ご一家がそうであるように、人類は過去何百万年も、“いのちのリレー”を続けてきました。そして、未来に向かって、これからもずっと続けていきます。
 かけがえのない“いのちのリレー”の中で、私といつしょに、今このときを走り、そして未来にバトンをたくす栄光のランナーが、君であり、あなたです。
 その君がいて、あなたがいて、ご一家も、学会も、人類の歴史も、永遠に続いていく。大切な大切な使命あるみなさん方に、私は最敬礼して、題目を送ります。
 さあ、新学期の始まりです。
 いよいよ、新しい決意で、新しい前進を開始してください!

第18回 かがやけ! 希望の一番星 (2013.10.1 少年少女きぼう新聞掲載)

 秋は空気が澄み、星の光もさわやかです。
 きょうは、いっしょに星空を見つめ、天体観測をするような思いで、さらにまた、ともに宇宙船に乗りこんで冒険の旅に出るような思いで、語らいを進めましょう!
    * * *
 みなさんは、流れ星を見たことがありますか?
 もう20年前の夏になりますが、私は、日本列島のまん中に位置する群馬県で、青年たちと、たくさんの流れ星を見た思い出があります。「ペルセウス座流星群」です。
 その時、よんだ和歌があります。

 大宇宙
  我らを祝して
    流星群
  花火の如く
   宝石まきたり

 宇宙は、限りなく広くて大きい。
 星にも、いろいろな星があります。丸い星だけでなく、まるでジャガイモのような形をしている星もある。
 かがやく星の数は、私たちの太陽系のある銀河だけでも、2000億個とも言われます。明るさもさまざまです。「オリオン座」のリゲルという星は、じっさいは太陽の3万7000個分もの大変な明るさです。でも、はるか遠くにあるから、夜空では小さな点のように見えるのです。
 そうした星たちも、大宇宙の仲間です。そう思って見つめれば、星たちも、みんなを見守り、はげましの光を届けてくれる心の友だちとなるにちがいありません。
    * * *
 星空は、夢が広がるロマンの世界です。
 「しし座」「おとめ座」「さそり座」などの星座は、みなさんにもなじみがあるでしょう。「かみのけ座」「じょうぎ座」「ぼうえんきょう座」といったユニークな名前の星座もあり、全部で88個になります。
 星座が、どのようにして誕生したか?
 一説によれば、約5000年前、羊飼いが羊の番をしながら夜空を見上げ、星と星を結んでいったことが、「星座」のはじまりだと言われています。
 はるかな、あこがれであった宇宙を目指し、人類がはじめて人工衛星の打ち上げに成功したのは、1957年の10月4日のことです。
 宇宙時代の幕開けとなった、この日を記念して、毎年10月4日からの1週間は「世界宇宙週間」となっています。
 日本の探査機「はやぶさ」の大活躍を知っている人もいるでしょう。
 燃料もれや、エンジン故障など、次々に大きなトラブルにあいながらも、7年間、60億キロメートルの宇宙空間の旅を奇跡的に乗り越えました。そして、世界で、はじめて小惑星のかけらを持ち帰ったのです。
 新しく東京ではじまった、創価学会の「わたしと宇宙展」では、この「はやぶさ」の模型や「月の石」を見ることができます。12月の福島での展示をはじめ、これから各地を回る予定です。
 今年は、話題になっている「すい星」もあります。11月中旬から12月にかけて太陽に接近する「アイソンすい星」です。
 学会の創立記念日の11月18日ごろには、条件がよければ、夜明け前の南東の空で、おとめ座の1等星「スピカ」と、この「アイソンすい星」を、いっしよに双眼鏡で見ることができると期待されています。
 11月には、宇宙飛行士の若田光一さんが国際宇宙ステーションへ飛び立ち、半年間、宇宙に滞在し、船長を務める予定です。
 みなさんが生きる、これからの未来は、もっともつと宇宙が身近になるでしょう。
    * * *
 私は、これまで、多くの天文学者や宇宙飛行士と友情を結んできました。
 その一人に、ロシアの宇宙飛行士・セレブロフ博士がいます。4度の宇宙飛行、10回もの船外活動を命がけでおこなってきました。
 博士が宇宙飛行士になったきっかけは、みなさんと同じ小学生の時です。
 スケートの練習を終えて、コーチのニコライ先生と家に向かって歩いていました。すると、先生が突然、夜空を指さしました。セレブロフ少年が見上げると、“星のようなもの”がすごいスピードで移動していたのです。おどろいていると、先生は「あれが人工衛星だよ」と教えてくれたのです。
 セレブロフ少年は、人間によってつくられた“地球製の星”が、無数の星々の中を泳ぐ姿を思いうかべ、その日から、毎日のように夜空を見つめるようになりました。子どものころの感動は、時がたつほど夢となってふくらみ、大きな力になるものです。
 私が創立した創価学園では、「天文教育」に力を入れています。特に、関西校では、国際宇宙ステーションのカメラから地球を観測する「アースカム」(アメリカ航空宇宙局=NASAの教育プログラム)などにも参加しています。
 まさしく、宇宙からの目で、私たちのふるさと「地球」を見つめる取り組みです。
 じつは、この宇宙が何からできているかということも、全体のわずか4パーセントまでしか、わかっていないといいます。
 宇宙には、まだまだ「なぞ」がいっぱいあるのです。
 これから、そうした未知の世界を解き明かしていくのは、みなさんたちの誇り高い使命です。
 みなさんの毎日の勉強も、英知のつばさを広げて、新たな発見にチャレンジする冒険の旅なのです。
    * * *
 みなさんの中には、宇宙飛行士になりたい人もいるでしょう。
 セレブロフ博士は、宇宙飛行士に大切なこととして、二つ強調されていました。
 一つは「人間としての品性」。つまり、ずるいことなどしない、立派な人格です。
 もう一つは「仲間を尊敬できる心」。友を大切に、チームワークをつくれる力です。
 博士は、実際に宇宙に行かなくても、「地球の人類のために尊敬される生き方をする人」が“宇宙市民”だと言われていました。だから、人のため、社会のため、尊い学会活動にはげんでいる、みなさんのお父さんやお母さんは、模範の“宇宙市民”なのです。
 「わたしと宇宙展」では、“人は星のかけらからできている”というパネルが展示されます。私たちの体のもとになり、命をささえている酸素や水素、炭素、さらには金や銀などの「元素」は、星から生み出されてきたものなのです。
 仏法では、人間の体の働きを、両目は「太陽と月」、髪の毛は「星」、血管は「川」、骨は「鉱物」、皮ふや肉は「大地」、体の毛は「森林」、息は「風」などと表現しています。人間の生命それ自体が、一つの宇宙であると説いているのです。
 みなさんは全宇宙の中で、ただ一人しかいない「かけがえのない存在」です。この自らの尊さを自覚し、無限の力を引き出すために仏法があります。
 「南無妙法蓮華経」の題目は、大宇宙の究極のリズムです。
 地球がたゆまず回転しているのも、太陽が地球上の生命を照らし育んでいるのも、このリズムにのっとっています。題目を唱えることは、この大宇宙の力を、自分自身の宇宙にみなぎらせていくことなのです。
 無数の星たちの光も、かがやく銀河も、全部、わが生命の中にある。どんな大変な時にも、題目を唱えれば、自分を最高に、かがやかせることができるのです。
    * * *
 宇宙の広がりは無限大です。それと同じように、みなさんの心も無限大です。だから、いくらでも大きく強く成長できる。
 つらいことや、いやなことがあったら、星空を見上げてみよう。深いやみの中でも、星は明るくかがやいています。大きな宇宙を思えば、自分の悩みも小さく見えてきます。
 そして、宇宙から見れば、地球も一つの家のようなものです。国境線などない。みんな同じ「地球民族」として、仲良く平和に生きていけるはずです。
 今、西の夕焼け空には、「よいの明星」と呼ばれる金星が見えます。一番はじめに明るくかがやき出すので「一番星」とも言われます。
 みなさんには、自分にしかできない偉大な使命がある。必ず、何かの「一番星」になる使命をもっている。読書の一番星、親孝行の一番星、スポーツの一番星……。何でもいい。何かで一番になっていこう!
 深き使命をもった、偉大な君たちよ! 一人も残らず、希望の一番星とかがやけ!

第19回 幸福と勝利の大城を! (2013.11.1 少年少女きぼう新聞掲載)

 さあ、11月です。秋が深まり、まもなく冬もやってくる。北海道や東北など、寒い地域では雪もふりはじめるね。
 みんな、元気かな?
11月といえば18日が創価学会の「創立記念日」です。みなさんのお父さんお母さんたちは、がんばってきました。
 とくに今年は、全世界の同志が待ちに待った「総本部」が完成し、いつの年にもまして喜びが大きいのです。
 総本部は、世界の平和と人類の幸福をめざす広宣流布の未来のために、こと尊い使命を受けついでくれる世界一の未来部のみなさんに贈る「宝の城」です。
    * * *
 私が、恩師・戸田城聖先生とお会いしたころは、今のような学会の会館は、一つもありませんでした。
 先生はよく「会館もないのでは、同志がかわいそうだ」と言われていました。
 私は「日本中、世界中に立派な会館を建ててみせます」と申し上げました。
 その約束通りに、日本、世界で、あの地にも、この地にも、たくさんの人が楽しく、朗らかに集まり、希望に燃えて前進するための会館を築いてきたのです。
 みなさんも、お父さんやお母さん、未来部のお兄さんやお姉さんたちと、会館に行って会合に参加したことがあるでしょう。
 会館には、青年部の「牙城会」、壮年部の「王城会」、婦人部の「香城会」などの方々がいて、真剣に守ってくださっています。
 このグループの名前を見て、気づいたかな? 「城」という字がついているね。
 ちょっとむずかしいかもしれないけれど、「城」という漢字には、もともと“民衆を守るために、まわりに土をもって、壁をつくつったもの”という意味があるといいます。
 学会の会館は、民衆を守り、広宣流布を進める大事な「城」です。
 人々を幸福にし、地域と社会を繁栄させていく「城」です。
 学会の会館は、地震や豪雨などの自然災害があった時には、地域の一時的なひなん所となり、多くの方を守ってきました。
 海外では、実際の“お城”だった建物を、会館として使っている国もあります。
 たとえば、イギリスのロンドン郊外にあるタプロー・コート総合文化センターは、イギリス首相たちが訪れ、タイ王国の国王も滞在された有名なお城でした。今も、国の歴史的建造物に指定されています。
 また、大芸術家のレオナルド・ダビンチやミケランジェロが活躍した街・フィレンツェにあるイタリア文化会館も、国の車要文化財です。ローマに続く道を守る砦に始まる、約2000年の歴史が光ります。
 みなさんは、世界に広がる「創価の城」の王子であり、王女なのです。
    * * *
 みなさんは、お城のような大きな建物を、どうやって、つくっていくか知っていますか。
 「ピラミッドは頂上からつくられはしない」と、フランスの文豪ロマン・ロランは言いました。
 そうです。建物は上からではなく、必ず土台からつくっていくのです。
 あのエジプトの大ピラミッドが4500年という長い歳月をこえて、くずれないのも、土台がしっかりしているからです。
 見た目がどんなによくても、土台が弱ければ、ちょっとしたことで倒れてしまいます。すべては、土台で決まります。
 学会の総本部も、じっくりと時間をかけで土台を盤石につくり上げました。
 長い人生でいえば、みなさんの時代は、ちょうど「土台を築く時」です。
 今、悩んだり、苦しんだりしていることは、全部、みなさんの人生の土台を、強くじょうぶなものにしてくれます。苦労は、幸福の土台なのです。
 だから、どんなに大変なことがあっても、決して負けないでください。
 「創価の城」の王子王女とは、何があっても「負けない人」のことです。
    * * *
 私がお会いした大科学者ルネ・デュボス博士は、細菌学の研究で、多くの人の命を救った方です。
 その博士が紹介していた話があります。
 ある時、建物の材料となるレンガを汗水たらして運んでいる三人の人がいました。
 そばを通った人が、質問をしました。
 「何をしているんだい」
 一人目の人が答えました。
 「石運びだよ」
 次に、二人目の人が答えました。
 「壁をつんでいるのさ」
 最後に、三人目の人はこう言ったのです。
 「聖堂(特別な意義のある建物)を建てているんだ」
 “重いレンガを運ぶ”という同じつらい仕事をしていても、どんな心で取り組んでいるかで、まったく意味が変わります。
 “自分は偉大な建設にたずさわっているのだ”と思えば、その人は、誇りに燃えて前進することがてざるのです。
    * * *
 みなさんの毎日の勉強や努力するのも、つらい時があるでしょう。
 でも、それらは、一つ一つが自分の夢につながる。“今は、自分の偉大な城をつくっているんだ”と、心を決めて、明るく、ねばり強く、挑戦していってください。
 人間は「どんな希望をもっているか」「何のためにがんばるのか」で大きく変わります。
 私は、未来部のみなさんが、一人もれなく、自信まんまんと胸を張って生きていっていただきたいのです。
 みなさんも、自分らしく「大いなる希望」をもってください。「何のため」という目的を見つめ、それに向かって、努力をつみかさねていってください。
 そうすれば、みなさんの心の中に、幸福と勝利の大城が築かれていきます。
    * * *
 「学会は、人材をもって城とせよ!」
 これこそ、戸田先生から何度も教わった学会精神です。
 立派な総本部の建物も、みなさん方が人材となって活躍することで、「宝の城」としてかがやいていくのです。
 ゆえに、学会は永遠に人材を育てます。
 人材で広宣流布の大道を開きます。
 人材で平和と幸福の花を咲かせます。
 人材で前進し、人材で勝利します。
 みなさんは、まちがいなく全員が大人材です。
 みなさんが力をつけて、世界中に「人材の城」を築き上げてくれるのを、私は何よりも楽しみにしています。
 一人一人の成長と勝利を信じ、きょうも一生けんめい、題目を送ります。
 寒くなるから、みんな、かせなどをひかないように!
 健康第一で、元気いっぱいに進もう!

 ※参考文献はルネ・デュボス著、長野敬・新村朋美訳『生命の灯』(思索社)。

第20回 アジアの「平和の太陽」に! (2013.12.1 少年少女きぼう新聞掲載) 

 あと、ひと月で新しい一年だね。
 今年は、みんなにとって、どんな一年だったかな。もし漢字一字で表すと、どんな字になりますか?
 「喜(よろこぶ)「明(あかるい)」「挑(いどむ)」「勝(かつ)」「学(まなぶ)」「読(よむ)」「進(すすむ)」「友」「光」……こんな字が並ぶといいね。
 毎年12月12日は、「1212」の数字が「いい字一字」と読めることから、「漢字の日」といわれています。
 「漢字は、にがてだなあ」と思う人もいるかもしれません。でも、漢字には3000年以上の歴史があり、世界でたくさんの人に使われてきた、人類の貴重な文化です。
 一つ一つのなり立ちにも意味があって、たとえば「学」の字は、校舎やその屋根を意味する「(学の字上半分)」の下に「子」、つまり「教えを受ける人」がいることを表しているといわれています。一生けんめい、勉強しているみなさんの姿そのものです。
 たった一文字でも正確に意味を伝える便利な漢字は、もともと、おとなりの中国で作られた文字でした。
 日本は、大むかしから中国の文明に大きな影響を受けて、発展してきました。お米や豆腐、紙や印刷、はし、ふとん、鏡……来年は「うま年」などという「えと」も、中岡から伝わったものです。
 釈尊がインドで説いた「仏教」も、中国から、韓・朝鮮半島を通《とお》って、日本へと伝わってきました。
 日本はアジアの一員として、中国や韓国といった他のアジアの国々から、はかり知れない恩を受けてきたのです。
    * * *
 しかし、戦争は、長くおつきあいをしてきた国との間も引きさき、どちらの民衆も傷つけ苦しめてしまいます。
 私が子どものころ、父と一番上の兄から、くり返し開かされた話があります。
 かつて父は兵隊にとられ、現在の韓国の首都ソウルで2年間、すごしたことがありました。また、一番上の兄も、兵士として中国に渡りました。
 父と兄は、日本との争いでアジアの人々が苦しんでいることに心を痛めていました。二人とも「同じ人間同士じやないか。こんなことは、絶対に間違っている」と、私に教えてくれたのです。
 二人が語った平和への願いが、今も私の心に深くきざまれています。
 「アジアの平和と繁栄」は、師匠である戸田城聖先生の悲願でもありました。

  雲の井に
   月こそ見んと
      願いてし
  アジアの民に
    日をぞ送らん

 このお歌は、「雲のもれ間に、ほのかな“幸の月光”を見ようと願うアジアの民衆に、それよりもはるかに明るく、まばゆい“太陽の光”を送りたい」という意味です。
 戸田先生は、戦争や侵略で苦しんできたアジアの友の幸福を願い続けていました。
 師の心を胸に、私は韓国、中国、フィリピン、マレーシア、シンガポール、タイ、カンボジア、ミャンマー、ネパール、インド、スリランカなど、アジアの国々を訪れ、永遠の平和と友好の道を切り開いてきたのです。
 タイのプーミポン国王、インドのナラヤナン大統領やラジブ・ガンジー首相、インドネシアのワヒド大統領ら多くのリーダーたちとも、未来をになう青少年たちとも、大いに語り合ってきました。
 平和といっても、遠くにあるのではない。一人また一人と心を開いて語り合い、友情を結ぶことから、平和は生まれます。
    * * *
 1968年、私は1万数千人の学生たちを前にして、日本と中国が仲良く友好を結んでいくように提言しました。
 そのことで、たくさん悪口も言われました。命をねらわれることさえありました。
 しかし、私は戸田先生の弟子です。何も恐れません。アジアと世界の平和のために、勇気をもって信念の行動をつらぬき通しました。
 4年後の1972年、日本と中国は「友好の扉」を開き、目中両国の国交の正常化が実現しました。
 中国の「人民の父」と人々にしたわれた周恩来総理とお会いしたのは、1974年12月、寒い寒い北京でした。重い病気で入院されていた周総理が、私たちを信頼して、わざわざ病院に呼んでくださったのです。
 両国の平和友好の末来を託されようとする総理の深い心を、私は感じ取りました。
 翌年の春には、中国から日本へ初となる正式な留学生6人を、わが創価大学が受け入れました。みな最優秀の青年たちで、真剣に勉強に励み、努力を重ねました。
 今年の10月、そのうちの一人の女性が、わが創価犬学で講演してくださいました。ほんやく家としても立派に活躍されている方です。
 「創人生と手をたずさえ、中日友好の道を、いっそう広げていきたい」と後輩の学生たちに呼びかけてくださり、創立者として、これ以上うれしいことはありません。
    * * *
 100年、1000年という長い単位で人類の歴史を研究されてきた博士は、若い私に、対話の波を、アジアに、そして世界に広げゆくことを期待されたのです。
 日蓮大聖人は「鏡に向かって礼拝する時、そこにうつる影(姿)がまた自分を礼拝するのです」(御書769㌻、意味)と仰せです。人を尊敬する人が、人から尊敬されます。他の国を尊敬する国が、世界から尊敬され、平和を築くことができるのです。
 父や兄、さらに戸田先生の願いを受けつぎ、私はアジアの国々と誠実第一に友情を結んできました。これからアジアの、そして世界の「平和の道」を21世紀に創りゆくのは、みなさん方です。みなさん一人一人が、アジアの「平和の太陽」であり、世界で友情のドラマをくり広げゆく主役です。
 「光」という漢字は、“頭上に火をもつ人”の姿をしめしたものといわれます。
 みなさんは、どうか、心のなかに「勇気の火」「正義の火」「友情の火」を燃やしながら、元気いっぱいに、生き生きとかがやいて、まわりに希望の光を送る人に成長していってください。
 年末になると、特に世の中が忙しくなります。無事故第一で、そして健康第一で、お願いします。
 今年の目標に最後まで挑戦して、楽しいお正月をむかえてください。
 また来年、お会いしましょう!
2013-12-04 : 希望の大空へ :
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希望の大空へ ~わが愛する王子王女に贈る~ 1〜15

希望の大空へ ~わが愛する王子王女に贈る~  (2012.5.1付 少年少女きぼう新聞)

第1回 いっしょに進もう

 「少年少女きぼう新聞」の誕生、おめでとう!
 少年少女部の「王子王女」のみなさんこそが、私の一番の「希望」です。
 ですから、この新聞は、私にとっても、何よりの宝ものです。
 私は、若いころ、師匠である戸田城聖先生のもとで、子どもたちのための月刊誌をつくっていました。
 「おもしろくて、ためになる」内容にしようと、一生けんめいに努力しました。
 それを読んでくれた方が、立派な社会の指導者となって、今でも、うれしいお便りをいただくことがあります。
 私は大好きなみなさんと、この「きぼう新聞」をつくっていきたいと思います。この新聞を読んだみなさんが、未来に向かって、「希望の大空」を悠々と羽ばたく姿が、私には、はっきりと見えます。

 みなさんは、「先生」という言葉のもともとの意味を知つていますか? 「先」に「生」まれた人という意味です。そのなかでも、勉学や人生などの大事なことを教えてくれる人が、「先生」と呼ばれるようになりました。
 私にも、小学校の担任の先生をはじめ、お世話になった先生方がたくさんいます。なかでも、私にとって「一番の先生」は、戸田先生です。ほんとうに、たくさんのことを教えていただき、感謝の思いでいっぱいです。
 戸田先生は、「後生おそるべし」という、中国の言葉が大好きでした。これは、「後生」つまり「後」から「生」まれてくる若い人たちは、今からの努力によって、どれほど偉大な人になるか、はかり知れない。だから、最高に尊敬すべきであるという意味です。
 そして、その通りに、「後生」である私たち青年を、最大に愛し、大切にしてくださいました。
 戸田先生は、よく言われました。
 「君たちは『後生』だから、『先生』よりも偉くなれ」と。
 今、私も、まったく同じ思いです。
 みんなが、立派になり、偉くなるために、「先生」の私はいます。
 一番大事な君たちが成長するためならば、私は何でもして差し上げたい。
 晴れわたる5月の青空のもと、花々が咲き、鳥が歌い、チョウが舞う道を共に散歩するような気持ちで、語らいを進めていきましょう。

 みんなが元気に、楽しく、学校に通えるように、毎日毎日、私は真剣に祈っています。
 私の小学校時代は、暗い戦争の時代でした。働きざかりだった4人の兄は、次々と戦争にとられていきました。戦争が終わってから、大好きだった一番上の兄の戦死を知りました。その時の母の悲しむ姿は、忘れられません。
 戦争には絶対に反対です。かわいいみなさん方には、あんな時代を断じて経験させてはならないと、私は心に決めて戦ってきました。
 わが家は、父が病気でした。生活も大変でした。でも、母は、ほがらかに「うちは貧乏の横綱だ」と笑いながら、みんなを明るくはげましてくれました。
 私は体が弱かったのですが、うんと早起きをして、家の海苔づくりの仕事を手伝ったり、新聞配達をしたりしました。その時、体をきたえたことが、やがて世界中をかけ回れる土台になりました。
 つらいことも、悲しいことも、たくさんありました。それでも、今、振り返ってみると、子どもの時には、それはそれは苦しく思えたことも、大人になると自分の大切な歴史として思い起こされます。
 「あの時がんばって、ほんとうによかったな」と思えるものです。
 どんなに大きな悩みであっても、人間は必ず乗り越えられる。このことを、みんな、心におぼえておいてください。
 小学校時代の友だちのことは、いくつになっても忘れられません。
 大人になってから、思いがけず町で再会して喜び合い、のちに一家で学会員となった友もいます。
 いつまでも、どんな立場になっても、「○○ちゃん」と呼び合える小学校時代の友だちは、一生涯の宝です。
 私にも、なつかしい友だちとの思い出が、いっぱいあります。
 寒い寒い冬の日のことでした。
 風邪を引いていた級友のために、何人かの男の子といっしよに学校のストーブに火をつけました。実は、勝手に火をつけてはいけない決まりになっていました。
 そこへ、とつぜん、担任の先生が入ってきて、私だけが見つかってしまいました。
 「ろうかにかってなさい!」
 「ハイ!」
 私は、他の子のことは言いませんでした。しかし、教室を出ようとする私を見て、仲間が次々と、「ぼくもやりました」と言って、みんなでろうかに並びました。
 先生にしかられて、立たされているのに、なぜか、みんなニコニコしているのです。
 しばらく後で先生が、私たちをご自分の家に呼んでくださいました。先生は、やさしい笑顔でした。
 みんなでこたつに入って、先生から、いろんな話を聞きました。どれだけ私たちを心配してくれていたか、わかりました。
 そして、先生は私たちに、ご自分が尊敬している吉田松陰の言葉を、私たちにもわかるように、話してくださったのです。
 「立派な人間になるためには、よい師に学んで、恩を忘れず、よい友だちをもつことだ」
 私は、この言葉の通りに生きてきました。70年以上たった今も、変わりません。
 私が信じるのは、友情です。
 その友情を世界に広げてきたのが、私の人生です。平和のため! そして、みなさんが活躍する舞台を開くために!

 私が、今、最も語り合いたい人はだれか──それは、この新聞を読んでくれている君なのです。あなたなのです。
 未来は、誰が何といっても君たちのものです。だから──
 君の中に「平和の種」がある。
 君の中に「文化の種」がある。
 君の中に「教育の種」がある。
 君たち自身が「希望」なのです。
 お父さん、お母さんにしかられる君かもしれない。うっかり忘れ物をしてしまう君かもしれない。勉強がきらいな君かもしれない。運動がにがてな君かもしれない。けれど、未来の世界にとって、君たちこそが「希望」の太陽です。
 君たちと、こうして「対話の旅」に出発することほど、私にとって、うれしいことはありません。
 また来月も、この「きぼう新聞」で、元気にお会いしよう!

第2回 朝を元気に!   (2012.6.1付 少年少女きぼう新聞)

 少年少女部のみなさん、元気ですか?
 今月も、この「少年少女きぼう新聞」で、大好きなみなさん方とお会いできて、私は、とってもうれしい。
 今朝、みなさんは何時に起きましたか?
 がんばって、うんと早起きをした人もいると思います。それでも、もっと早起きをして、すでに、みんなのために、ひと働きも、ふた働きもしている人たちがいます。
 この「少年少女きぼう新聞」を、みなさん方の家に届けてくださった配達員の方々も、そうです。もしかしたら、みなさんのお父さんやお母さんも、新聞を配ってくださっているかもしれません。
 雨の朝など、たくさんの新聞を持って、ぬらさないように届けるのは、とくに大変です。足もとも、すべりやすい。私は、配達員さんの絶対の無事故を、毎日毎日、真剣に祈らずにはいられません。
 まだ、みんなが寝ている時に、人知れず、「きぼう」を運んでくださっている方々に、私たちは心から感謝をささげましょう。
        
 私が、おさなかったころ、家の庭には、ざくろの木が一本ありました。
 幹には、こぶがあって、梅雨のころになると、きれいな赤い花を咲かせ、なめらかな葉を茂らせます。秋に、甘ずっぱい実を食べるのも楽しみでした。
 小学校へ入る前のことです。もともと体が弱かった私でしたが、その日は急に高熱を出して、寝こんでしまいました。「肺炎」という病気でした。熱にうなされ、お医者さんがきて注射を打ってもらいました。
 ようやく、元気を取りもどしたころ、母が言いました。「あの庭のざくろをごらん。潮風と砂地には弱いというのに花を咲かせ、毎年、実をつける。おまえも今は弱くとも、きっと丈夫になるんだよ」
 当時、家は海のすぐ近くで、歩いて10分もかからない場所にありました。ざくろの木は、そんな砂地にも、しっかり根をはっていたのです。
 そのざくろのたくましい姿は、母のやさしい声とともに私の心に刻まれました。
 そして、母に心配をかけないように「丈夫になろう」「健康に生きよう」と誓って、私は生き抜いてきました。
 しかし、10代、20代のころ、私は「結核」という重い病気でした。夜になると、熱が上がり、ひどいせきが出ました。血をはいたこともあります。
 医者からは「30歳まで生きられない」と言われました。
 戸田先生のもとで働くようになり、先生の会社が苦しくなると、お給料をいただけず、着る物も十分に買えなかった。くつしたを自分でつくろい、真冬でも夏のようなかっこうで働きました。でも心は、希望と誇りに燃えていました。
 そして、戸田先生の後を継いで、創価学会の会長になってからは、同志を励ますために、日本中、世界中を駆け回りました。各国の大統領など、いろいろな分野のリーダーとも対話して、後に続くみなさんのために、平和と友情の道を開いてきました。
 ざくろの木に誓ってから、70年以上の月日が流れました。私は本当に丈夫になりました。今も元気いっぱいです。
 前にも申し上げましたが、きょうまで、こうして元気にがんばれる土台ができたのは、早起きして、家の海苔づくりの仕事を手伝ったり、新聞配達をしたりした、小学校時代だと思います。
 どちらも、朝がとても早い仕事です。冬などは、まだ夜が明けず、真っ暗な中で、働き始めました。
 毎朝、起こしてくれるのは、母でした。
 「起きる時間ですよ」
 あたたかな声でした。その一言で、私は「はい!」と返事をして、すぐ起きたと、母がのちに、ほめてくれました。
 私は寝起きがよかったのです。では、なぜ、寝起きがよかったのか。みなさんにも、とっておきのひけつをお教えしましょう。
 それは、夜、早く寝ることです。
 「な~んだ」と思った人もいるでしょう。でも、あたり前のこと、平凡なこと、かんたんなことが、じつは大事なのです。
 朝早く起きて働いて、学校では一生けんめい勉強し、友だちと思い切り遊んだ後、私は本が好きなので読書をしました。
 そうすると、心も体も大満足になりました。夜は自然と眠くなって、早めにぐっすり寝ることができたのです。
 だから、また朝になるとパッと起きることができました。
 早起き、そして早寝──この「生活のリズム」が、私の元気のみなもとでした。
 私の健康は、朝つくられたのです。
        
 私たちの一日は、みんな平等に24時間あります。それは、朝、太陽が昇り、夜になると沈み、そしてまた朝になって昇るまで、すなわち、私たちの地球が一回りするのに、ちょうど24時間かかるからです。
 私たちの生活は、太陽のリズムに合わせて、朝始まり、夜に終わります。この太陽のリズム(地球の自転)に合わせた生命の「時計」が、私たちの体の中にあります。
 私たちの体の中の「時計」は、朝の太陽の光を浴びることで、正しいリズムが刻まれるようになっているのです。最近の研究では、朝早く起きて、規則正しい生活のリズムができると、頭の働きがよくなることも、わかっています。
 元気な朝から、元気な一日をつくる。そのリズムで一日一日を積み重ねれば、元気な一年、元気な青春、元気な一生につながります。
 若い時、「朝に勝つ」リズムをつくれば、とても「得」なのです。
        
 私の人生の師匠・戸田先生も、朝を大切にされました。早朝に、さえた頭で、鋭く思索されていました。それが、天才的な発想を生み、「20世紀の奇跡」とまで呼ぱれた創価学会の大発展の力となったのです。
 私たちの朝夕の勤行・唱題も、自分で正しい生活のリズムをつくり、健康で幸福な、勝利の人生を歩むための原動力です。
 私の一番の願い──。
 それは、みなさんがいつも元気で笑顔であることです。みなさんが健康で成長してくれることです。
 そのために、朝が勝負です。
 夜は早く寝て、朝は早起きして題目をはつらつと唱え、元気に出発してください。時間がないときは、題目三唱だけでもいいんです。心をこめて朗々と唱えれば、御本尊にきちんと通じます。
 もちろん、朝ごはんをちゃんと食べることも、スポーツなどで体をきたえていくことも大切です。
 私が対談したモンゴルの大作家のツェデブ博士も、「早起きすると新しい発見があり、何かが自分のために開かれ、その発見によって勇気がわいてくる」と言われていました。
 さあ、きょうも元気に、笑顔で、勇気の一歩をふみ出そう!

第3回 歌を歌おう!   (2012.7.1付 少年少女きぼう新聞)

 みなさんは、アルメニア共和国という国の名前を聞いたことがありますか?
 一度、世界地図を開いてみてください。
 アジアとヨーロッパを結ぶ場所にある、美しい高原の国です。人びとには、他の国からの侵略など、苦難の歴史を勝ちこえた強さと明るさが光っています。
 先日(6月15日〈現地時間〉)、この国の首都エレバンで、私が撮影した写真の展示会(「自然との対話」写真展)を開いてくださいました。開幕式では、小学生から高校生くらいまでの合唱団「アルメニア・リトル・シンガーズ」が、美しい日本語で歌を歌ってくれたのです。
 その中には、東日本大震災をのりこえてきた東北の方々へのエールをこめ、福島県の民謡「会津磐梯山」もありました。
 深い感動が広がり、大拍手につつまれたそうです。この合唱団のみなさんは、7月から日本全国で公演をおこなう予定です。
 歌には、どんな違いもこえて、人の心をただちに結び合う、ふしぎな力があります。
        ♪ ♫ ♩
 私は歌が大好きです。みなさんのお父さんやお母さんたちと、いっしよに歌ったことも、いっぱいあります。みなさんが喜んでくれるならばと、ピアノを弾いたり、指揮をとったり、少しでも励ましになればと、歌を作ったりもしてきました。
 私の手もとには、少年少女部の合唱団をはじめ、学会の多くの合唱団、また、創価学園や創価大学の合唱団から届けられたCDがあって、毎日、聴いています。
 みなさんの歌っている姿を思い浮かべては、「さあ、もう一歩、がんばろう」と、仕事を続けるのです。
 みなさんの元気な歌声が、私の元気のもとなのです。
 少年少女部のみなさんにも、好きな歌があるでしょう。
 少年部歌「Be Brave! 獅子の心で」も、とても、すばらしい歌です。

 ♪Be Brave!
  負けない心を 燃やして
  平和の未来《あす》へ 出発だ……

 あの東日本大震災のとき、宮城県気仙沼の会館では、大津波に流されず、この少年部歌の歌詞を書いた模造紙が残りました。以来、大人も子どもも、みんなで、この歌を口ずさみながら、勇気をふるいおこして前進してきたのです。
 私も、この歌を聴くたびに、新しい時代の到来を感じます。少年少女部のみなさんが、勇敢に世界で大活躍する姿が目に浮かんできます。そして、希望の未来の大勝利を力強く確信するのです。
        ♪ ♫ ♩
 わが創価学会が、なぜ、多くの難を受けても、これほど発展できたのか。
 その大きな一つの力は、どんな時も、みんなで胸を張って、歌を歌ってきたことです。
 私の恩師・戸田先生も歌がお好きでした。なかでも好きだったのが“大楠公”です。父子の誓いの歌です。

 ♪青葉茂れる桜井の
  里のわたりの夕まぐれ……
               (落合直文作詞)
 先生に、「私たちが小学生の時に歌った歌です」と申し上げると、「そうか、そうか」と、ほほえまれていました。
 「早く生い立ち(=早く成長して)」という一節を力をこめて歌うと、先生は深くうなずかれ、私たち弟子が、どんな気持ちで歌っているのか、すべてわかってくださいました。
 歌を歌えば、心がまっすぐ伝わります。
 言葉では、うまく伝えられないことでも、歌は心から心へと響いていきます。
 歌は、心と心を固くつなぎ、いっしよに高めてくれる。強くしてくれるのです。
 私自身、どんなに悪口を言われても、歌を歌って、気持ちをパッと明るくして、前へ進んできました。
 まさに「Be Brave!」です。
 歌で「負けない心」を燃やせるのです。
        ♪ ♫ ♩
 もしかしたら、みなさんの中に自分は“オンチ”″で、「歌う」のは苦手だと思っている人がいるかもしれません。
 高い声や低い声が出なかったり、音程やリズムがとれなかったりして、なかなか思うように歌えない、歌詞もおぼえられないなど、いろんな理由があるでしょう。
 「人の前で歌うのがはずかしい」という人もいると思います。
 大丈夫。あせる必要はありません。最初から上手に歌える人はいません。私だって、人前で歌うのは、きんちょうします。
 でも、がんばって歌うと、聴いた人は感動してくれます。がんばった心が、聴いた人の心にまっすぐに届くからです。
 だから、まず大きな声で歌うことです。聴こえなければ、心に届かないからです。
 大きな声を出そうと思えば、おなかから声を出すことになります。私たちは、ふだん呼吸をする時、胸の中にある肺を使っています。ところが、プロの歌手などが歌う時は、おもに、おなかの筋肉、つまり腹筋を使って呼吸をしています。これを「腹式呼吸」といいます。
 これができるようになると、呼吸が安定して、のどのきんちょう
もほぐれ、声の響きがよくなります。そうすれば、歌うのが楽しくなります。「腹式呼吸」は、体にいいこともわかっています。大きな声で歌えば、心も体も健康になるのです。
 そして、合唱する時は、周りの声と伴奏を、よく聴くことです。耳は心の窓です。だから、耳はいつも開いているのです。
 心を一つに歌おう──その心が声となって、みんなの心を一つに結びます。
 歌には、心が表れるのです。命が響くのです。だから、どんな歌が歌われているかで、その世の中がわかるし、その時代のようすが決まっていきます。
        ♪ ♫ ♩
 みなさんの中には、少年少女部の合唱団に入っている人もいるでしょう。毎回の練習や出動、本当にご苦労さまです!
 合唱団の結成は、私が提案したものです。今から46年前になりますから、みなさんのお父さんやお母さんも、合唱団に入っていた方がいるでしょう。
 今の「富士少年希望少女合唱団」のもととなった「富士少年合唱団」と「希望少女合唱団」が発足したとき、私は、「21世紀の日本の将来、世界の平和は、皆さんに期待しています。立派に成長してください」とメッセージを贈りました。
 その言葉を今再び、私は、みなさんに託したい。みなさんの明るい歌声は、平和そのものです。戦争を止める力があります。人類の希望なのです。
 私の世界の友人たちが、何よりも感動されるのも、みなさんの歓迎の歌声です。
 苦しい時、つらい時ほど、みなさんには歌があることを思い出してください。そして、思い切り声を出して、歌を歌い、自分を励まし、みんなを励ましながら、また朗らかに出発してほしいのです。
 少年少女部のみなさんの元気な歌声がとどろく、健康で平和な世界──その建設のために、私はこれからも戦っていきます。
 みなさんの歌声が私のエネルギーです。
 少年少女合唱団のスローガンが、私のスローガンです。
 「勝利の未来へ! 響け! 希望のハーモニー」
 君とあなたと私の勝利の未来へ、きょうも元気に歌を歌って前進しよう!
 君とあなたと私の希望のハーモニーで!

第4回 挑戦の夏に!   (2012.8.1付 少年少女きぼう新聞)

 少年少女部のみなさん、新しい学年での1学期、よくがんばりましたね。
 先日(7月15日)、行われた「創価ファミリー大会」でも、みなさん方の代表の活躍の姿と、すばらしい歌声の大合唱に、全国のお父さん、お母さん方も、世界のリーダーたちも、心から感激していました。
 本当に本当にありがとう!
 みなさんが明るくはつらつと前進してくれることこそが、全同志の何よりの喜びであり、広宣流布の最大の希望なのです。
 いよいよ、イギリスの首都ロンドンで始まったオリンピックにも、みなさんの先輩にあたる少年少女部出身の若き友が、何人も出場して奮闘しています。
 今のみなさん方の中からも、将来、オリンピックで金メダルを勝ち取るような人が、きっと出てくることでしょう。
 みなさん方が、ありとあらゆる分野で、世界の大舞台に躍り出て、大勝利者として光り輝いていくことを、私は強く深く、祈り、信じています。
 どうか、大きな夢を広げながら、この夏休みも、元気いっぱいに、学び、遊び、きたえ、成長していってください。
    * * *
 そこで、きょうは、楽しい夏休みをすごすための合言葉を一つ、みなさんに伝えておきたいと思います。
 それは「チャレンジ」です。
 そう、何でもいいから「挑戦しよう!」ということです。
 みなさんが本当に楽しいなと感じるのは、どんな時でしょうか。もちろん、いろいろな楽しさがあります。ただ、その中で、何か目標を立てて、一生けんめい挑戦している時は、たとえ大変であっても、心が生き生きと充実しているでしょう。この充実感こそ、本当の楽しさと一体なんです。
 オリンピックで活躍する選手たちも、みんな、それはそれは苦しい練習の連続です。
 でも、「勝利」という目標に向かって、思い切り挑戦しているから、心が充実して躍動しています。その誇り高い楽しさを知っているから、きびしい訓練にも歯を食いしばってたえられるのです。
 みなさんの中には、せっかく挑戦しても、なかなか長続きしないという人もいることでしょう。私にも、よくわかります。
 でも、「三日坊主」だって、かまわない。3日間、挑戦したことは、3日分は前進し、成長したということだからです。3日続いたのだから、自分に自信を持つことです。くよくよしないで、三日坊主を何回もくり返せばいいんです。10回くり返せば、1カ月にもなります。
 何回も、こりずに決意して、挑戦できる人が、偉い人です。勝つ人です。
 大事なことは、ねばり強く挑戦を続けるということなんです。
    * * *
 ねばり強い挑戦のチャンピオンというべき人がいます。私の尊敬する友人である、南アフリカ共和国のマンデラ元大統領です。私より10歳年上で、先日(7月18日)、94歳になられました。
 長い間、黒人が差別され、いじめられてきた国で、27年半、つまり1万日もの間、牢獄に入れられながら、人間の自由と平等のために、挑戦を貫き通した不屈の人です。
 マンデラさんは、「インビクタス」という題名の詩を大切にしてきました。
 むずかしい言葉だけど、日本語では「負けない」「へこたれない」「屈しない」という意味です。みなさんが知っている「負けじ魂」と言いかえてもいいでしょう。
 マンデラさんが大統領となった翌年の1995年、南アフリカでラグビーというスポーツのワールドカップ(世界選手権大会)が盛大に行われました。
 この時、地元である南アフリカの選手たちは、マンデラ大統領から励まされ、「インビクタス」すなわち「負けじ魂」を燃え上がらせました。そして、いくつもの試練を勇敢に乗り越え、自分たちより強いと言われていたチームを次々に破って、ついに優勝をもぎ取ったのです。
 選手たちは、最高に晴れがましい笑顔で、マンデラ大統領をはじめ、黒人も白人も分けへだてのない、新しい国の全国民に「負けじ魂」の栄冠をささげました。
 自分らしく挑戦を続けている人は、途中、負けたように見えることがあっても、最後には必ず勝利者となります。
 以前、私が関西創価学園の「健康祭」に出席した時のことです。
 マラソンの途中で体調をくずしてしまい、みなから大きくおくれてしまった一人の学園生がいました。しかし、ゆっくりゆっくりでしたが、最後まであきらめずに走り通したのです。ゴールでは、みなが大拍手で迎えました。私は胸につけていた白いバラのリボンを、金メダルの代わりに差し上げて、健闘をたたえました。
 その負けじ魂の学園生は、勉学にも、ねばり強く挑戦を重ね、今は正義の弁護士となって、庶民のために大活躍しています。
    * * *
 勉強や読書においても、「もう一歩ねばる心」が力となります。“もうやめたいな”と思った時に、「あと5分」 「あと1ページ」と、自分の心をふるい立たせることです。
 最近の研究では、「ちょっとがんばってできた」という達成感は、人間の脳にとって、とてもいいことがわかってきました。新しいことにチャレンジしていくことで、脳は強く賢く成長するのです。
 私は、師匠・戸田先生の偉大な歴史を残すため、そして友に励ましを送るためにと、小説『人間革命』『新・人間革命』を書き続けてきました。1枚また1枚、1回また1回と積み重ねて、連載回数は合わせて6400回を超えました。
 これからも、力の限り書きまくって、みなさんに、創価の一切のバトンを託していく決心です。
 ともあれ、本当に楽しく充実した青春とは、自分自身の「挑戦の心」で、いくらでも広がっていきます。
 きょうは、きのうの自分に勝つ!
 あしたは、きょうの自分に勝つ!
 そのくり返しが、偉大な人生を築きます。
 さあ、「挑戦の夏」だ。挑戦の原動力である題目を唱えながら、新しいチャレンジを開始しよう!
 君の晴れ舞台で、あなたの晴れ舞台で、自分自身の新記録を打ち立てていってください。
 愛するみなさんの健康と無事故を、私は祈りに祈っていきます。
 一回りも二回りも、大きく成長したみなさんと対話することを楽しみにしています。元気でね!

第5回 大きな心 大きな笑顔で! (2012.9.1付 少年少女きぼう新聞)

 さあ、新学期の始まりです!
 みんな、元気ですか? まだまだ、暑い
日が続きます。熱中症や交通事故などに気をつけて、はつらつと前進してください。
前へ、前ヘ──これが学会つ子の精神です。
 大空に輝く月が、一日一日、満ちて、満月になっていくように、私たちも生命の勢いを増しながら進んでいくのです。
 これから迎える秋は、月がひときわ、あざやかに見える季節です。とくに「中秋の名月」は、一年で“もっとも美しい月”とされています。(今年は9月30日)
 この日には、みんなで「お月見」をしようと、ススキと、お団子を用意し、お月さまが出てくるのを今か今かと心待ちにしたものです。
 お月見の習慣は、日本など、いくつかのアジアの国々で、古くから行われてきました。
 私も、少年少女のみなさんや、海外からの留学生の方々などと一緒に、楽しいお月見の思い出をつくってきました。
 月を見ると、もようが見えるでしょう。
 日本人は、満月の日に、その形を見て、月でうさぎが、もちをついていると思い描きました。
 おとなり中国の文化のリーダーで、私の大切な友人の高占祥先生(中華文化促進会主席)は、中国では今でも「月のもとで絆を誓い合ったり、月に向かって詩を詠んだりします」と語ってくれました。
    * * *
 みなさんは、人間が、これまで一番遠くに行ったのは、どこだと思いますか?
 答えは、そう、「月」なのです。地球からおよそ38万キロの距離にあります。
 アメリカの宇宙船アポロ11号が、1969年7月20日(日本時間21日)、月に着陸しました。
 乗っていたのは、宇宙飛行士3人。ついに、人類が初めて月に立った瞬間です。
 最初に降り立った、アームストロング船長は、地球から見守る宇宙センターの仲間たちに、次の言葉を送りました。
 「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍だ」
 まさに、ここから、宇宙開発の新時代が幕を開け、現在の宇宙ステーションや、惑星の研究につなかっていったのです。
 みなさんが大人になる頃には、飛行機に乗るように、宇宙船で旅をする時代が来ているかもしれません。
 人類の偉大な一歩──この「月面着陸」の一歩は、一人の一歩でしたが、何百、何千人という科学者や技術者の気の遠くなるような努力によって、生み出されました。その人たちを支えた家族、友人、周りの人も数えていったら、きっと何万、何十万、いや何百万という人の数になるでしょう。
 私か対談した大歴史学者のトインビー博士も、これほど大勢の人々が心を一つに協力し合えたということに、月面着陸よりも大きな感動を覚えると言っていました。
 じつは、どんな進歩も、一人の力だけで成し遂げたものはないのです。
 私は、少年少女部のみなさんを、かけがえのない“未来からの使者”として尊敬しています。一人ももれなく「人類の幸福と進歩」を担う、尊い使命の人だからです。みなさん方がいなければ、人類の未来の扉は開きません。その大切な大切な一人が、君であり、あなたです。一人一人が、なくてはならない宝の人なのです。
    * * *
 大きな大きな期待を込めて、私か待望の「少年少女部」を結成したのは、1965年。人間が月に行く4年前のことです。
 各地で行われた、部の結成式は「秋分の日」に当たる、9月23日。喜び、勇んで集った学会の王子王女たちの瞳は、広宣流布の未来を表すかのように、希望に輝いていました。
 この時、私は、5項目を提案しました。
  ①勤行をしっかりする
  ②勉強をしっかりする
  ③学校にきちんと行く
  ④親に心配をかけない
  ⑤正しく明るい毎日を送る
 それから毎年、少年少女部の友は、“学会の庭”ですこやかに成長し、希望の未来に向かって羽ばたいていったのです。
 みなさんのお父さん、お母さんはもちろん、おじいさん方、おばあさん方の中にも、わが少年少女部の出身者がおられるでしょう。
 みなさんのことを、大きな、やさしい満月のように見守ってくれる大先輩です。
 心を広々と持てば、天空に浮かぶ、お月さまも、私たちを励ましてくれる明るい友だちであり、たのもしい仲間です。
 私の子どものころは、電灯も今のようにたくさんはありませんでした。家の近くの森ケ崎海岸で、月明かりのもと、読書をしたことも、なつかしく思い出されます。
 ブラジルの天文学者モウラン博士は、
 「夜空を照らす月は、子どもたちの心のなかに輝く希望や夢を象徴しています」と言われていました。
 私は「お月さまの願い」という詩をつくったことがあります。
   静かな 静かな 大空に
   大きな 心を 持ちなさい
   大きな 笑顔を 持ちなさい
   みんなに 語って 満月が
   静かに 静かに 顔出した
 仏法では、「心の財が第一」「心こそ大切」と説かれています。
 同じ生きるならば、大きな心を持って、大きな笑顔を光らせていくほうが楽しい。
 そのことを、お月さまも明るく、やさしく、大らかに語りかけてくれているのです。
    * * *
 心は無限大です。いくらでも広げられる。
 日蓮大聖人は、「太陽も月も、たくさんの星々も、わが心にある」(御書1473ページ、意味)と教えてくださっています。
 みなさん一人一人の心のなかに、お日さまもある。お月さまもある。お星さまもある。その光を、最高に輝かせていく力が、南無妙法蓮華経の題目なのです。
 昨年の東日本大震災や、最近の各地の集中豪雨など、大きな災害で大変な時も、大人の人たちにとって最大の希望となったものがあります。それは、少年少女部のみなさんの笑顔です。
 先の見えない、暗いトンネルに入ったような時であっても、みなさんが元気でいてくれれば、まるで月明かりに照らされたように、人々の心はよみがえるのです。
 みなさんが学び成長している限り、学会は大丈夫です。みなさんの歌声が勇気りんりんと響いているならば、広宣流布の未来は盤石です。ゆえに、一番大切なのが少年少女部なのです。
 21世紀を、みなさんの笑い声が響く平和な世紀に! ──これが、あの日、少年少女部を結成した日から、私の誓いになり、私の人生になりました。
 その通りに、私は、みなさんが世界で活躍できるよう道を開いてきました。
 今、どこの国に行っても、みなさんの仲間がいます。みなさんの舞いゆく姿を、全世界の友が見つめ、見守っています。どうか、大きな大きな心で、自分らしく勇敢に、未来へ偉大な一歩をふみ出してください。
 きょうも私は、みなさんの成長と健康と勝利を祈り、題目で応援しています。


 高占祥主席の言葉は『地球を結ぶ文化力』(潮出版社刊)から。トインビー博士は秀村欣二・吉沢五郎編『地球文明への視座』(経済往来社刊)を参照。モウラン博士は『天文学と仏法を語る』(第三文明社刊)。

第6回 読書は楽しい! (2012.10.1付 少年少女きぼう新聞)

 秋は、大空がすみわたり、大地は豊かな実りをむかえます。私たちの命を支えてくれるお米をはじめ、真心こめて育てられた農作物もしゅうかくされます。
 この大自然のリズムに合わせて、秋は、人間の心も体も大いに充実する季節です。
 ですから、よく「スポーツの秋」とか、「芸術の秋」とか、いわれます。
 食事もおいしいので、「食欲の秋」という人もいるでしょう。
 きょう、私がすすめたいのは、「読書」という「心のごちそう」です。
 「読書は、ちょっと、苦手だなあ」と思っている人もいるかもしれません。
 でも、大丈夫。好きな本が1冊でも見つかれば、すぐに楽しくなります。読書は、昔から、人類が大切にしてきた人生の大きな大きな喜びなのです。
 毎年10月27日から2週間が「読書週間」となっています。
 みんなも思うぞんぶんに、本を読んで、楽しい「読書の秋」にしませんか。
    * * * 
 読書は、心おどる冒険の始まりです。
 ドイツにヘルマン・ヘッセという作家がいました。子どもの時に、一つのきっかけから読書の楽しさに目ざめました。
 ヘッセ少年の家には、おじいさんが集めた古くてほこりをかぶった本が、本棚にぎっしりと並んでいました。むずかしそうな本ばかりだなと思いましたが、その中に、2冊だけ、気になる本がありました。
 1冊は、『千夜一夜物語』。「アリババと40人の盗賊」など、アラビアに伝わる昔話を集めた本です。
 そして、もう1冊は、『ロビンソン・クルーソー』です。無人島にたどり着いたロビンソン・クルーソーが、さまざまな試練を乗り越えていく冒険小説です。
 この2冊の本を開いてみると、それはそれはおもしろくて、ヘッセ少年はすばらしい宝物を発見したと大喜びしました。ここから“本棚の探検”に飛びこんだのです。それが、後に世界的な作品を生み出していく出発になりました。
 みなさんも、この探検をやってみましょう。近づくと、本は「読んでみて」と語りかけてきます。この小さな声に耳をかたむけ、手にとって開いてみてください。きっと新しい発見があるはずです。
 私は、小さいころから体が弱かったので、家で休むこともありました。でも、心の中は広々としていました。そばに本という友だちがいてくれたからです。
 本さえあれば、どこにいても、いつの時代の、どの国へも自由に旅することができます。歴史土の偉人や、物語に出てくる大英雄たちとも話すことができます。その人たちになりきって、何十回も、何百回も、偉大な人生を生きることもできるのです。読書をしている時ほど、きらきらした楽しい時間はありませんでした。
 この喜びを、大切な大切なみなさん方に、つかんでほしいのです。
    * * *
 読書は、むずかしく考える必要はありません。読んでみて、あまり興味がわかなかったら、途中でやめても、いいんです。もっと読みやすい本を選べばいい。
 未来部の担当者の方が、良い本をすすめてくれることもあるでしょう。
 あとで読もうと思って、そのまま積んでおいてもかまいません。これを「積《つ》ん読《どく》」という人もいます。いつかまた読むようになったり、ほかの本を読んでいるうちに、その本の内容がわかったりします。
 自分は読むのが遅いと思っている人も、たくさん読んでいくうちに、少しずつ慣れてくるものです。友だちが読んでいる本が気になったら、自分でも読んでみて、感想を話し合ってもいい。
 学校の図書室や近くの図書館なども、じょうずに活用しましょう。たとえば、その棚にある世界文学全集を、かたっぱしから読んでみるのも、大きな財産になります。
 ドイツの文豪ゲーテは毎日、名作を読むなど、良い習慣を身につけることをすすめていました。そうすれば、「その習慣によってたのしい日には自分の喜びをさらに深め、悲しい日には立ちなおることができる」というのです。
 みなさんの年代に、「読書するクセ」「いつも本を手にする習慣」がつけば、それは一生涯、たくましく、賢く、朗らかに生きぬいていく、かけがえのない力となります。
 ところで、みなさんは、多くの生きものたちにとつて、「秋」は、どういう季節だと思いますか。
 それは、やがて来る、きびしい冬に負けないように、力をつける季節なのです。
 秋に食欲が増して、十分に栄養をたくわえようとすることも、冬を乗り切っていくための準備ともいえます。
 みなさんの心にとって、「読書の秋」は、同じ意味をもっています。つまり、どんな試練の冬がおそいかかってきても、勇敢に立ち向かい、勝ち越えていく勇気と英知を、読書を通して、みがき、きたえていくチャンスなのです。
 私が尊敬する信念の大科学者に、ロートブラット博士という方がおります。この地上から核兵器をなくすために、96歳で亡くなるまで、戦いぬいた平和の闘士です。
 幼き日、博士は、第1次世界大戦のせいで、一日にパンが二切れだけという、どん底の生活を送らざるを得ませんでした。
 その博士の命の支えとなったのも、読書でした。博士は、月旅行や海底旅行を予言したフランスの作家ジュール・ヴェルヌの空想科学小説などを読みながら、「科学の力で、人類のため、世界のために貢献できるにちがいない」と夢を広げ、学びに学びぬいていったのです。
 そして、この地球上に核兵器のない「平和の春」をもたらす夢は、未来を生きる創価の少年少女のみんなに受け継いでもらおうと、博士と私は語り合いました。
    * * *
 青春時代、私にとって、読書は自分をきたえる戦いでありました。
 人生の師匠である戸田城聖先生から、私は毎日のように、「今、何を読んでいるか」と聞かれたのです。さらに「どんな内容か言ってみなさい」と鋭い質問が続きます。どんなにいそがしくても、真剣勝負で良書に、一冊また一冊と挑みました。
 この先生の教えのおかげで、世界のどんなリーダーとも、どんなテーマでも、思いのままに語りあえる力をつけることができたのです。
 創価学会は、まさに「学ぶ会」です。
 読書を通じて、良き友と学び合い、友情を結び、力をつけて発展してきました。
 みなさんも、読書に挑戦してください。
 自分の夢をえがき、実現するために! お父さん、お母さんに親孝行するために!
 そして、この世界から不幸と悲惨をなくすために!
 読書は、夢に続く階段です。
 読書は、友情のかけ橋です。
 読書は、永遠に光り輝く宝物です。
 みなさんの、きょうの読書が、自分のためになり、人のためになり、社会のためになり、世界を変えていくのです。
 いつか、みなさんにお会いした時に、私は聞いてみたいと思っています。
 「今、何を読んでいますか」と。

ヘッセの話はミヒェルス編・岡田朝雄訳『ヘッセの読書術』(草思社)、ゲーテの言葉はビーダーマン編・菊池栄一訳『ゲーテ対話録Ⅱ』(白水社)、ロートブラット博士の言葉は『地球平和への探究』(潮出版社)から。

第7回 良き出会いを結ぼう!    (2012.11.1付 少年少女きぼう新聞)

 みなさんは、最近、どんな出会いがありましたか? 運動会や遠足、体験学習、また家族で外出して、新しい出会いがあった人もいるでしょう。
 「山は山に出会うことはできない。人は人に出会うことができる」
 これは、ヨーロッパやアフリカで広く伝えられてきたことわざです。
 人間は、動き、語り、良き友と出会いを結んで、いっしよに学び合うことができる。みんなの力を合わせて、大きな歴史をつくることができます。それは、人間として味わえる、何ものにもかえがたい喜びです。
    * * *
 私も、これまで、日本中、世界中の多くの人々と出会いを結んできました。先日も、すばらしい出会いがありました。
 はるばると研修のために来日していた、アフリカの10カ国の青年リーダーたちと会うことができたのです(9月11日)。
 それぞれの国の平和と発展のために立ち上がった、最優秀の勇者たちです。地域によって、ふだん話す言葉は違っていますが、「イタイドウシン(異体同心)!」「ビクトワール(『勝利』のフランス語)!」を合言葉に仲良く団結しています。
 その2日後には、修学旅行中の関西創価小学校の6年生も、東京の信濃町へ訪ねてきてくれました。
 みんな、元気いっぱいで、いい顔をしていました。りりしい瞳が光っていました。希望と決意に燃えて、全員が立派でした。
 私は本当にうれしかった。未来に伸びゆく大樹をあおぎ見る思いがしました。
 さらに、うれしかったことは、この出会いを、関西創価小学校と友情の交流を結ぶ東京創価小学校の6年生をはじめ、みんなが、わがことのように喜んでくれたことです。その美しい心の友とも、私は固い握手を交わす思いでいます。
 たとえ、直接会えなくても、「心」と「心」、「命」と「命」が通い合う出会いがあります。それが、みなさんと私なのです。
    * * *
 みなさんは、この地球上で最も硬くて、最も輝くダイヤモンドは、何によって磨くか、知っていますか?
 同じダイヤモンドで磨きます。
 人間もまた、人間によって磨かれるのです。良き人とつながってこそ、良き生命の光をダイヤのように放っていける。
 人は、良き人と出会った分、成長します。
 反対に、もしも悪い人間にふり回されてしまえば、成長が止まってしまいます。
 日蓮大聖人は、「悪い人間に親しみ近づけば、自然に、十度のうち、二度、三度と悪人の教えに従うようになり、最後は自分まで悪い人間になってしまう」(御書1341ページ、意味)と厳しくいましめられています。
 みなさんの清らかな生命を、悪に染めてにごらせては絶対になりません。
 そして、大聖人は、「信心の志がある人々は、一つの場所に集まって、仏法の話を聞きましょう」(同951ページ、意味)と、みなで共に学び合うことの大切さを教えてくださっています。それが、創価学会の会合です。
 私の子どもたちも、信心は学会の会合で学び、良き先輩や、良き友人との出会いを重ねて成長してきました。でも、時には、会合に行くことが、気の進まないこともあったようです。そんな時、私の妻は子どもたちに言いました。
 「学会の会合は、行く前はいやでも、行った後は、すがすがしい喜びがありますよ」
 実は、私の妻も小学生の時から、会合に参加していました。自宅で行われる座談会に、創価学会の創立者である牧口常三郎先生が来てくださったので、近くの駅から手を引いて、ご案内したこともあります。
 ですから、学会の会合のすばらしさを、強く実感してきたのです。
    * * *
 学会の会合には、体験談があります。
 体験談では、いろんな悩みを乗り越えてきた戦いと、勝利のドラマが語られます。
 みな、何があっても負けないで、題目を唱えて、強く明るく前進しようとしています。そして、がんばっている人を、みんなが、家族のように「大丈夫! いっしょに勝とうね!」「私たちも、祈るからね!」などと励ますのです。こんな、良き人たちの集まりは、ほかにはありません。
 私が対談したアメリカの有名な歴史学者のハーディング博士も、SGI(創価学会インタナショナル)の座談会に参加し、感動されていました。
 創価の励ましの世界に注目する博士は、語られています。
 ──つらい現実を変えるには、“私たちにはできるのだ”と励まし合うことが大切です。その一つの方法は、いろんな人の体験を聞くことです──と。
 人と会い、体験を語り合う。学会の会合は「希望」と「勇気」をみなで分け合う集いです。だから、誰にも喜びがわくのです。
 11月18日は、学会の創立記念日です。学会は、初代会長・牧口先生、2代会長・戸田城聖先生の時代から、こうした希望の集いを地道に粘り強く積み重ねてきました。
 牧口先生が中心となった座談会は、一番苦しい戦争中の2年間でも240回以上、開催されたという記録があります。
 私が戸田先生と初めてお会いしたのも、座談会です。私は、「正しい人生」を教えてくれる人を求めていました。信仰のむずかしいことはわかりませんでしたが、私の質問に、先生は誠実に答えてくださいました。
 「この人なら」と、私は信じることができました。先生のもとで、先生と共に、広宣流布という平和と全人類の幸福を目指す、大運動に生きゆくことを決めたのです。
 そして今、学会は世界192カ国・地域に大発展し、24時間、この地球上のどこかで生き生きと座談会が行われています。
    * * *
 座談会で、少年少女部のみなさんが大活躍してくれていることも、たくさん、うかがっています。
 みなさんは、気づいていますか? 参加している人たちが、笑顔でみなさんを見つめ、拍手を送り、喜んでいることを!
 なぜなら、みなさん自身が「希望」だからです。みなさんと会うだけで、みなさんの姿を見るだけで、みなさんの元気な声を聞くだけで、人は心に「希望」を感じるのです。
 座談会で、心に「希望」を受け取った人が家に帰れば、その人の家に「希望」が広がります。一つの家に「希望」が広がれば、地域や社会にも大きく広がっていくでしょう。
 それは、やがて世界にも広がります。
 そして、世界中の人が希望を持って生きることができれば、悲しみにも負けず、みんなが幸福で平和に暮らせるはずです。
 良き人と、どれだけ出会いを重ねることができるか──これが、みなさんのこれからの偉大な使命の人生です。その出会いは、地球の未来をも明るく照らす光です。
 この1カ月も、私は、大好きなみなさんと心の語らいを重ねながら、祈り、見守っています。
 風邪などひかないように! お元気で!

第8回 時間は宝(2012.12.1付 少年少女きぼう新聞)

 もうすぐ2012年が終わり、2013年が始まります。
 私にとって、この一年、新しい、そしてすばらしい語らいがありました。それは、この「きぼう新聞」で、毎月、みなさんと進めてきた、心と心の対話です。来年も、もっともっと語り合つていきましょう!
 みなさんは、どんな一年でしたか?
 新しい友だちができた人、楽しい思い出がたくさんできた人もいるでしょう。
 なかには、友だちとけんかをしたり、勉強でつまずいたり、つらい思いをした人もいるかもしれません。
 でも、心配いりません。「終わり良ければ、すべて良し」という言葉があります。
 終わりが良ければ、その一年を、全部、良い年にすることができ、希望に燃えて、次の年へ良いスタートがきれるからです。
 だから、これまでがどうあれ、くよくよせず、「よし、この12月を、がんばろう!」と決意して挑戦すれば、いいんです。
 すべては「今から」「これから」「きょうから」始まるのです。前へ前へ、朗らかに粘り強く進んでいけば、失敗したことだって、次の成功につなげることができる。
 「今」をがんばれば、「過去」さえも光らせ、「未来」をいくらでも開いていける。
 大切なのは、「今は何をする時なのか」と考えて、それをやりきることなのです。
    * * *
 みなさんの中には、「雪山の寒苦鳥」の物語を聞いたり、読んだりした人もいるでしょう。古くから伝わる仏教のお話です。
 ──昔、インドの雪深い山に、寒苦鳥と呼ばれる鳥が暮らしていました。
 雪山の夜はそれはそれは寒くて、寒苦鳥は「寒くて死にそうだよ」「夜が明けたら、さっそく巣を作ろう」と鳴いていました。
 しかし、夜が明け、お日さまが出ると、あたたかくなり、寒苦鳥は巣を作るという「やるべきこと」を忘れて、遊び続けてしまいました。すると、また夜になって、寒くて、つらくて鳴きました。
 こうして寒苦鳥は、夜は寒さに苦しみ、昼は遊び続ける日々をくり返しました。そして、とうとう巣を作ることなく、さびしく一生を終えてしまったというのです。
    * * *
 楽しい時間は、なぜか、あっという間にすぎるのに、つらい時間はとても長く感じるものです。みなさんも、やらなければならない課題をほったらかしにして、大変な思いをしたことがありませんか。
 私も、夏休みの図工の宿題を忘れたまま新学期をむかえ、苦しい思いをしたことがあります。今でも思い出します。
 人は、だれでも、苦手なことがあります。やりたくない時も、あるでしょう。
 きらいなことや苦手なことを後回しにするのは、ちょっと楽なように見えます。でも、じつは、後回しにすればするほど、気分が重くなり、めんどうになります。
 巣を作るべき時に作らず、遊んでしまった寒苦鳥のように、後になって苦しまねばなりません。
 勉強や宿題は、するべき時にしてしまえば、後の時間を、伸び伸びとやりたいことに使えます。そのほうが、価値的ではないでしょうか。
 もちろん、遊びや休みの時間も必要です。
 「今は勉強だ!」「今は本を読もう!」「今は遊ぼう!」「今はゆっくりしよう!」と、時間帯を自分なりに決めて使うことです。そうやって時間を大切にしていけば、楽しい、じゅうじつした時間を、何倍にも増やすことができます。
    * * *
 そうは言っても、「やりたくないことはできないよ」という人もいるでしょう。
 そんな、みなさんに、きょうは、とっておきの方法を教えましょう!
 それは、自分の夢や目標を、紙に書き出すことです。言葉には、ふしぎな力があります。書いた言葉が、君を、あなたを、自分の夢や目標に導いてくれるのです。
 最近の研究でも、書くことによって、脳がしげきされ、“がんばろう!”という気持ちがわいてくることがわかっています。
 紙に書いたら、題目を唱えましょう。
 日蓮大聖人は「南無妙法蓮華経は、ライオンがほえるようなものです」(御書1124ページ、意味)とおおせです。題目は、百獣の王・ライオンのおたけびのように、何ものにも負けない、一番強い力なのです。
 題目を唱えれば、夢や目標を“必ず実現してみせるぞ!”という、師子王の勇気がわいてきます。
 そして決意したら、行動しましょう。
 行動する時にも、できれば、みなさんにためしてほしいことがあります。
 それは、きょうの「勝利メモ」を作ることです。
 むずかしいことではありません。
 まず、きょう1日のあいだに、「やりたいこと」「やらなければならないこと」を書き出します。それに「順番」と「時間」を決めれば、できあがりです。
 この「勝利メモ」を見れば、「今、何をする時間なのか」が、はっきりします。できたことには、しるしをつけてください。これを、毎日、くり返します。
 作るのがむずかしかったら、お父さん、お母さんや、未来部担当の方たちに、相談してみてください。だんだん、自分でできるようになります。
 創価学会には、「決めて、祈って、行動する」という「勝利のリズム」があります。みなさんのお父さんやお母さん、先ぱいの人たちも、このリズムで、自身の目標に挑戦し、勝ち越えてきました。
 みなさんも、「決めて、祈って、行動する」を合言葉に、1日また1日、大勝利の青春を歩んでいっていただきたいのです。
    * * *
 1日24時間は、だれにも平等です。
 しかし、大切に使えば、1日を1週間分にも、1年を10年分にもできる。私は、そう決心して生きてきました。若いころは病弱で、医者から「30歳まで生きられない」と言われた体でした。だからこそ、時間を惜しんで学び、働き、戦いました。
 仏法では、「一日の命は、宇宙の全財宝を集めた以上の宝です」(御書986ページ、意味)と説かれます。
 時間は命です。かけがえのない宝です。
 時間を大切にする人は、命を大切にする人です。
 命を大切にする人は、平和を築く人です。
 「使命」とは、「命を使う」と書きます。
 だれのために、何のために、時間を使うのか──。
 私は、学会の同志のために、世界を平和にするために、真剣勝負で命を使ってきました。
 そんな私の願いは、みなさんが、じゅうじつした「時間」をつくって、成長してくれることです。みなさんが、勝ったと言える一年一年を前進してくれることです。
 そして、いつの日か、お父さん、お母さんのために、世界の人の幸福と平和のために、その大切な「時間」を使って、がんばってほしいのです。
 未来に生きるみなさん方のために、私はこれからの「時間」のすべてを使っていく決心です。みなさんのためならば、何も惜しくはありません。
 お日さまのしずむ時間が日に日に早くなり、寒さもいよいよ厳しくなってきました。大切な大切な未来部の全員の健康を、私と妻は、毎日毎日、祈りぬいています。
 どうか、一人ももれなく健康・無事故で、楽しいお正月をむかえてください。
 来年も、いっしょに、朗らかに、語らいの時間をつくりましょう!

第9回 あいさつは希望のひびき
             (2013.1.1付 少年少女きぼう新聞)

 大好きな世界の少年少女部のみなさん、あけまして、おめでとうございます!
 みなさんも、お父さんやお母さん、ご家族や地域の方々、そして友だちと、お正月のあいさつをかわしたことでしょう。
 お正月は、ふだんとちがうあいさつなので、少しきんちょうするかな。元気よく、すがすがしいあいさつができましたか?
    * * *
 私は、心をこめてあいさつすることの大切さを、師匠の戸田城聖先生から何度も教わりました。戸田先生のもとでは、多くの学問を学ぶとともに、あいさつのような、人間としての基本についても身につけることができたのです。
 あいさつには、人の心が表れます。あいさつによって、自分の心が相手の心に伝わります。
 私が、世界のリーダーと深い友情を結ぶ上でも、戸田先生に教えていただいたあいさつが、大きな力となりました。一流の人たちは、みな、あいさつが見事です。
 私は、大統領にも、幼い少年少女にも、同じように、きちんと、あいさつすることを心がけてきました。なぜなら、一人一人が持っている生命の「宝」を、同じように尊敬しているからです。
 日蓮大聖人は、「釈尊がこの世に出現した根本の目的は、『人としてのふるまい』を説くことであったのです」(御書1174ページ、意味)と言われています。
 あいさつは、「人としてのふるまい」の中でも、とても大事なふるまいです。
 いつでも、どこでも、だれにでも、誠実に、さわやかにあいさつできる人が、本当に偉い人だと、私は思います。
    * * *
 ある年のお正月のことです。
 戸田先生に、ある人が「おめでとうございます。本年も、あいかわらず……」と、あいさつしました。
 すると先生は、「『あいかわらず』ではいけない。去年と『あいかわって』成長していくのだ。『今年こそ』と新しい決意をすることが大事だ」と語られたのです。
 新年は、それまで自分が限界だと思っていた“カラ”をやぶって、「新しい自分」へと変わっていく、絶好のチャンスです。
 そこで、みなさんに提案があります。
 それは、この新年から“3つのあいさつ”にチャレンジすることです。
 1つ目は、朝の「おはよう」です。
 私も、朝早く、新聞配達をしていた少年時代、会う人に「おはようございます!」と、元気にあいさつしていきました。
 大きな声であいさつをすると、ねむけも吹き飛び、自分自身の心に「よし、きょうもがんばろう!」と勇気がわいてきます。
 朝、起きたら、お父さんやお母さんに、元気いっぱい「おはようございます!」と言ってみてください。はじめは、てれくさいかもしれない。びっくりされるかもしれないが、思い切ってやってみようよ!
 みなさんの一言で、家族のみんなも気持ちよく一日をスタートすることができます。これは立派な親孝行です。
 学校でも、先生方やお世話になっている方々、そして友だちに、自分から進んであいさつをしていこう!
 ポイントは、相手の目を見て、はっきりと声を出すことです。よそを見て、ボソボソと言っても、心は届きません。
 昼は「こんにちは」。夜は「こんばんは」です。「こんにちは」「こんばんは」という言葉の後ろには、もともと「ごきげん、いかがですか?」といった言葉が続いていました。それが、ちぢまったものです。
 つまり、相手を心配する「思いやり」から生まれた言葉なんです。あいさつができる人は、「思いやりのある人」です。
    * * *
 2つ目は、食事の時の「いただきます」。これも、大切にしたいあいさつです。
 「いただきます」とは、まず、ごはんを作ってくれる方々への感謝の言葉です。
 また、一生けんめいに働いて、毎日、ごはんを食べられるように支えてくれているお父さんやお母さんをはじめ、多くの方への感謝も、ふくまれています。
 それとともに、米やパン、肉や魚、野菜など、私たちが食べる食材は、命あるものからできています。私たちは、ほかの生物の命を食べて、栄養やエネルギー、生きる力を得ます。つまり、自分の命は、多くの生き物の命によって支えられているのです。それが、毎日の食事です。
 だから、「いただきます」には、「あなたの命をいただきます」という、深い感謝がこめられています。目の前にならんだ食べ物に、「あなたの命をいただいて、ぼくも、わたしも、がんばっていきます」というあいさつなのです。
 以前、このことを学んだ思い出を、生き生きと作文コンクール(現・少年少女きぼう新聞主催)に書き、入賞した友がいました。
 食事が終わると「あなたの命をいただきました。ごちそうさまでした」と、感謝の気持ちをこめるようになったそうです。
 さらに、むやみに食べ物を残すことは、その命をむだにしている、ということにも気づいたと書いてくれました。
 私も、その通りだと思います。
 食事ができるということは、決して、当たり前のことではありません。世界には、食べる物がじゅうぶんになくて困っている子どもたちがたくさんいます。
 食べることは、一番大切な命をつなぐことです。農家や漁師の方々のご苦労も決して忘れず、「いただきます!」と元気にあいさつしながら、もりもり食べて、じょうぶに育っていってください。
    * * *
 3つ目は、「ありがとう」です。
 みなさんも、今まで何度も言い、言われたこともあるでしょう。人に「ありがとう」と言われると、どんな気持ちですか?
 きっと、だれでも、うれしい気持ちや、幸せな心になると思います。
 「ありがとう」は、言われた人だけではなく、言った自分も幸せを感じられる“まほうの言葉”なんです。
 人に「ありがとう」と感謝できる人は、心の美しい人です。人の真心を感じ取れる賢い人こそ、世界中の人々を幸せにできるリーダーに育つ人です。
 日蓮大聖人は、いつも最高に「感謝」されていました。けなげな庶民の真心を見のがされず、「ありがとう」のお心をこめて、はげましのお手紙を何通も何通も書き続けておられました。
 私も、世界の友と、「ありがとう」という言葉をかわしてきました。
 「サンキュー(英語)」「謝謝《シェシェ》(中国語)」「カムサハムニダ(韓国語)」「グラシアス(スペイン語)」「メルシー(フランス語)」「スパシーバ(ロシア語)」「アサンテ(スワヒリ語)」……。
 「ありがとう」が世界中でひびき合えば、もっともっと平和な世の中になる──私はそう信じて、きょうも祈りをこめて「ありがとう」と言うのです。
    * * *
 あいさつをするにも、勇気が必要です。
 相手が、ちょっと気むずかしそうに見えても、みな、同じ人間同士です。胸を張って、明るく堂々と、あいさつをすることで、心のとびらを大きく開くことができます。何げなく声をかけることが、悩んだり、さみしい思いをしたりしている友だちの大きな力となることもあります。
 ともあれ、未来部のみなさんの、はずんだあいさつの声が、家庭でも、学校でも地域でも、何よりの希望になるのです。
 この一年、私も新しい決意で、みなさんが活躍する未来を開くため、さらに真剣に働いていきます。毎日毎朝、みんなに心であいさつをし、そして、みんなの明るい希望の声を心にひびかせながら──。

第10回 「自分がやる!」という人に
             (2013.2.1付 少年少女きぼう新聞)

 新しい一年がスタートして、1カ月がたちました。みんな元気ですか。寒い日が続いていますが、風邪をひいていませんか。
 いよいよ2月。創価学会は「伝統の2月」といって、この月を大事にしています。
 私は、この寒い寒い2月が大好きです。
 それは2月11日が、私の恩師である戸田城聖先生のお誕生日だからです。私と妻は、この日になると、毎年、お赤飯をたいて、お祝いしてきました。
 先生への感謝を込め、私は若き日、このお誕生の月である2月に、それまでの拡大の壁を破る、新たな挑戦の歴史を残しました。そこから「伝統の2月」と呼ばれるまでになったのです。私の青春の誉れです。
 どうか、みなさんも、寒さに負けず、勉強に、読書に、クラブ活動などに、たくましく挑戦していってください。
    * * *
 戸田先生は、青年に、よく言われました。
 「広宣流布は、この戸田がする。君たちも手伝いたいか!」
 先生は、「やってくれ」とは言いませんでした。すべて自分でやると決めておられたからです。その先生に、私たち弟子は、「お手伝いをさせてください!」と誓って続いたのです。
 「一切の責任は私がもつ!」──これが、広宣流布の指導者の心です。
 私は、この人生の師匠から、「責任感」という「心の宝」を受けつぎました。自分が立ち上がって、世界の平和と人類の幸福という広宣流布を成しとげてみせると決めて生きてきました。
 「だれがやらなくても、自分がやる」
 この心の宝を、未来の偉大な指導者である少年少女部のみなさんも、自分の中に、はぐくんでいってください。
 それは、決してむずかしいことではありません。その第一歩として、身の回りの「かたづけ」に挑戦してみよう。
 「うーん、それは、ちょっと苦手だなあ」と思う人も多いかもしれません。
 「かたづけ」とは「自分のことは自分ですること」です。このクセをつけていくと、心の中に「責任感」を、大きく、はぐくんでいくことができます。
    * * *
 ドイツには、「人生の半分は整理整とん」という、ことわざがあります。それくらい「かたづけ」を大事にしているのです。
 そもそも、かたづけは、何のためにするのでしょうか。
 それは、「次に使う時、すぐ取り出せるようにする」ためです。食事の時に使った食器も、また、みんなが着た服も、きれいに洗ったあとは、もとの場所にもどさないと、次に使う時に、さがさなければなりません。「かたづけ」とは、決まった場所にもどすことなのです。
 みなさんの先輩の「かたづけ名人」が、アドバイスしてくれたことがあります。
 一つは、物の置き場、つまり「指定席」を決めておくことです。散らかるのは、帰る場所のない物が、いろいろな場所に“置きっぱなし”になっているからです。
 また、指定席を決めたら、何を置く場所なのか、そこに書いて分かるようにしておくことです。「学校のもの」「習いごと」「おもちゃ」「思い出の品」などと、棚や引き出し、箱が分かるようにしておけば、とても便利です。
 そして、「かたづけ」が苦手な人は、「かたづけタイム」を決めておくのもいいでしょう。まとめてやろうとせずに、毎日少しの時間でいいので「かたづけ」をするとかんたんだし、いつもきれいにすごせます。学校に、あす持っていく物のチェックもできます。
 学校にも、「そうじ」の時間があります。これは、日ごろ使っている校舎や教室への感謝をこめて、きれいにするとともに、かたづけができる人になっていく練習をしているともいえます。
 私も、小学生の時に身につけた「そうじ」の習慣が、社会に出てからも大いに役立ちました。
    * * *
 仏教には、こんなお話があります。
 むかし、師匠である釈尊と同志のために「祇園精舎」(今でいえば、学会の会館や研修道場などに当たる建物)を建てた須達長者という弟子がいました。
 人がやりたがらないことにも、自分から進んで取り組む人で、毎朝、とても広い庭園のそうじをしていました。
 ある日、長者が急な用でそうじができなくなると、そのかげの努力を見守っていた釈尊は自らほうきを持ち、長者に代わって庭をはき始めました。この師の姿に、ほかの弟子たちも、あわてて続きました。
 そうじを終えると、釈尊は弟子たちに語りました。
 ──そうじをすることによって、自分の心がきれいになり、人々の心もきよらかにすることができる。そして、自分自身が美しくなって、仏や諸天善神に守られていくんだよ──と。
 翌朝、いつものようにそうじに来た須達長者を、釈尊と弟子たちは最敬礼してむかえ、日ごろの尊い労苦に、あらためて心からの感謝をささげたそうです。
 そうじやかたづけは、自分だけでなく、家族や友だちをも、すがすがしい気持ちにさせることができます。
 先日も、東京に大雪が降った時に、わが創価学園の寮生やサッカー部、野球部の友が若い力で雪かきをしてくれ、地域の方々が大変に喜んでくださったそうです。
    * * *
 身の回りを整理できる人は、頭の中も整理できる人です。成績も必ず良くなります。
 図書館の本も、きちんと整理整とんされているから、読みたい本をすぐにさがすことができます。
 創価学会の出発にも、大事な「整理」の歴史がありました。
 小学校の校長であった初代会長の牧口常三郎先生は、仕事のあいまに、ご自分の教育のお考えを広告の紙や封筒のうらなどにしるされていました。その一枚一枚のメモの大切さを、ほかの人が理解できないなか、牧口先生の弟子である戸田先生は、みごとに「整理」され、世界的な「教育学」の本にまとめあげられたのです。それが『創価教育学体系』です。
 きちんと整理整とんできる人は、新しい発見ができるし、正しいことを多くの人々に教えることができるのです。
 何より整理整とんは、事故をなくします。地震の時に、頭の上から物が落ちてきたりしては、大けがをしてしまいます。
 だから私は、学会の会館を訪問した時にも、すみからすみまで回って、整理整とんができているかどうか、戸じまりや火の元など、細かく一つ一つ自分の目で確かめてきました。
 「小事(小さなこと)が大事」なのです。会員を守る──それが私の「責任感」です。
 どんな小さなことでも、人が見ていても見ていなくても、自分の目標にチャレンジする人が、偉い人です。
 自分のことは自分でする。その一歩をふみ出す人が、未来の大指導者へと成長していきます。
 自分の苦手なことにも挑み、やりとげていく人が、本当の勝利者です。
 身の回りも、自分自身も、スッキリして、大事な2月を強く楽しく前進しよう!

第11回 富士のように堂々と! (2013.3.1 少年少女きぼう新聞掲載)

 きびしい冬の寒さも、少しずつ、やわらぐ季節になってきました。
 土の中で力をたくわえていた動物たちが顔を出し、つぼみでジーッと時を待っていた植物たちも花を開きます。
 あらゆる生命が、生き生きと活動を始める季節です。
 春3月は、旅立ちの時でもあります。
 小学校を卒業するみなさん、おめでとう! この6年間、本当に、よくがんばりました! 私は、一人一人と握手をして、お祝いしたい思いでいっぱいです。
 とりわけ、東日本大震災から2年、どんな困難にも力を合わせて立ち向かって、前へ進んできた、被害にあわれた地域のみなさんを、私は最大にたたえます。
 中学校に行っても、ますます強く明るく、私といっしよに、「希望の道」をあゆんでいってください。
    * * *
 在校生のみなさんも、学年が一つ上がりますね。この時期は、「よし! 新しい学年は、もっと、がんばるぞ!」と、新たな決意をするチャンスです。
 「決意をする」ということは、“成長のスイッチ”を入れることです。“前進のエンジン”をかけることです。
 私も、師匠の戸田城聖先生から、いつも決意を聞かれました。
 「できるかい?」
 私は、そくざに「はい! やります」とお答えしました。
 みんなが「それは、無理だろう」ということも、たくさんありました。
 でも、師匠の前で決意し、約束したことです。できないわけがないと決めて、真剣に祈り、思いっきり挑戦しました。
 そうすると、ぐんぐんと力がわいてくるのです。そうやって、一つ一つ、ねばり強く、やりとげてきました。
 その分、自分自身が強くなり、成長でき、前進できました。これが、私の青春です。
    * * *
 今、創価学園の卒業式は毎年、3月16日におこなわれる伝統になっています。
 この日は、55年前、戸田先生のもとに、私たち青年が集まって、先生の後を受けつぎ、世界の平和と民衆の幸福のために戦っていく、決意の式典をおこなった日です。
 富士山のすそのに、全国から6000人の青年が、かけつけました。
 式典が大成功するように、すべてをまかされたのが、当時、30歳の私です。
 戸田先生は、前の年に重い病気にかかられたこともあって、歩くことも困難な、お体でした。
 それにもかかわらず、先生は、まだ寒い中、朝早く、遠くから集まってくる青年たちのためにと、あたたかい「とん汁」まで用意してくださったのです。
 弟子を思う師匠の心に、みなが胸を熱くしました。
    * * *
 式典は、私の司会でスタートしました。
 戸田先生は、青年たちに「未来は君たちにまかせる。たのむぞ、広宣流布を!」と、さけばれました。そして晴れ晴れと、「創価学会は、宗教界の王者である」と、力強く宣言されたのです。
 日本一の王者の山である富士山が、すべてを見守ってくれていました。
 私たちは、「戸田先生に続いて、富士山のように堂々と、王者の力をもつのだ! 広宣流布を進めて、世界の大指導者とも、広々と友情を結んでいくのだ!」と心から決意しました。
 今、そのとおりの世界的な創価学会になっていることは、みなさんも、よく知っていることでしょう。
    * * *
 富士山は、とても美しい。日本一の高さ3776メートルは、まわりに高い山がないため、ひときわ輝いて見えます。
 それだけに、山頂では、嵐のような烈風が吹いていることが多い。
 富士は、いつも戦っているのです。
 しかし、そんなことを少しも感じさせず、春夏秋冬、いつでも動かずに、私たちに無言のはげましをおくってくれている──それが、富士山です。
 私は、「猛吹雪 されど厳然 富士の山」という句を作ったことがあります。
 私が、小学5年生の時、担任の檜山先生が、大切なことを教えてくれました。
 それは、有名な剣豪・宮本武蔵の人生をえがいた小説の一場面でした。
 「あれになろう、これになろうとあせるより、富士のように、だまって、自分を動かないものに作りあげろ」
 心に光がさしこむ思いがしました。
 ずっと心にとどめ、私の大好きな一節となりました。
 「どんなに、つらい時も、富士のように、にげずに挑戦する自分に成長しよう!」
 この思いで、病気になっても読書にはげみ、家が経済的に苦しい時は、新聞配達をしたり、家の「海苔づくり」の仕事を手伝ったりしました。
 戦争で、家を焼かれ、兄を亡くし、わが家は何もかも失いました。
 戦争が終わり、戸田先生の会社で、はたらくようになってからも、何度も何度も、「もうダメだ」と、あきらめたくなるような時がありました。
 けれども、そのたびに富士を思い、なやみを悠々と見おろすように心がけました。「今に見よ!」と、負けじ魂を燃え上がらせて、困難に向かって、ふたたび挑戦していきました。
 そうして、私は、戸田先生の夢を、全部、実現してきたのです。
 「富士のように堂々と」──この心を、私は、大切な友人であり、世界平和の信念をつらぬいてきた、ロシアのゴルバチョフ元大統領とも語り合いました。
 ゴルバチョフ元大統領は、私がさつえいした富士山の写真を、仕事をする部屋にかかげて、毎日、見てくれているといいます。
    * * *
 「3・16」の式典(3月16日におこなわれたことから、こう呼ばれています)を通して、私は、戸田先生から、一番大事なものを受けつぎました。
 それは、広宣流布という、もっとも偉大な平和の使命のバトンです。
 陸上のリレーでは、先の走者と後の走者が二人いっしよに全力で走りながら、タイミングを合わせてバトンを手渡していきますね。
 同じように、弟子は、ただ待っているのではありません。自分から決意して走りだして、師匠からのバトンを受け取っていくのです。
 このバトンを、私は今、未来に向かって前進している、希望あふれる少年少女部のみなさんに渡します。
 今年も、まもなくおとずれる「3・16」は、みなさんと私の晴れやかな「旅立ちの式典」です。
 私が、これまで命をかけて開いてきた、世界への「友情の大道」「平和の大道」は、すべて、みなさんのためにあります。
 富士のように、堂々と前進しよう!
 王者のように、今日も勝利しよう!
 そのために、私も毎日、題目をあげて、みなさんにエールを送り続けていきます。

  負けるなと
    いつも堂々
       富士の山


宮本武蔵の言葉は『吉川英治歴史時代文庫19 宮本武蔵(六)』(講談社)から、表記をやさしく改めた。

第12回 ししの子は負けない (2013.4.1 少年少女きぼう新聞掲載)

 ♪Be Brave!
  負けない心を 燃やして
  平和の未来《あす》へ 出発だ……

 私は、少年部歌が大好きです。この歌をきくと、ますます元気がわいてきます。なぜなら、私の愛する少年少女部のみなさんの明るい笑顔がうかんでくるからです。
 新入生のみなさん、ご入学おめでとう!
 みなさんが小学生になるのを、私も楽しみに待っていました。ご家族のみなさまも、おめでとうございます。
 また、進級したみんなも、おめでとう!
 引っ越しで、新しい学校に転校した人もいるでしょう。新学年でクラスがえなどがあり、友だちができるか、不安に思っている人もいるかもしれない。
 でも、心配したり、あせったりする必要はありません。
 伸び伸びと、朗らかに前進していくなかで、必ず、すばらしい友だちもできます。
 ドイツの大詩人シラーは語っています。
 「友情は喜びを二倍にし、悲しみを半分にする」と。
 一つ一つの出会いを大切にして、自分らしく「友情のつばさ」を大きく広げていきましょう!
    * * *
 私の大切な、世界の友人の一人に、ライナス・ポーリング博士がいます。ノーベル化学賞と平和賞の二つを受賞した、偉大な科学者です。
 ビタミンCの研究でも有名な博士に、私は「頭のよくなる薬はありませんか?」と、質問したことがあります。
 博士は、ほほ笑んで答えてくれました。
 「それは、努力しかありません。一つの目標に向かって、努力していくことです」
 その言葉のとおり、博士は「努力」の人であり、「負けじ魂」の人でした。
 小学4年生の時、実家の薬局が火事で焼けてしまいました。さらに、その翌年、お父さんが病気で亡くなります。
 しかし、博士は、その悲しみに負けず、アルバイトをしながら、勉強に全力を注ぎ、大学へ進学しました。
 苦労をたくさんした人は、みんなの気持ちが分かるようになります。自分が苦しんだ分だけ、友をはげましていける人になれます。悩みがあることは、不幸ではありません。悩みに負けてしまうことが、不幸なのです。
    * * *
 どんな悩みも乗り越え、自分も、まわりの人もいっしよに幸せを勝ちとっていく。そのために、「御本尊」をあらわされ、「南無妙法蓮華経」の題目をひろめられたのが、日蓮大聖人です。
 大聖人は、弟子に呼びかけました。
 「一人一人が『しし王の心』を取り出して、どのように人がおどそうとも、決しておそれてはならない。しし王は百獣をおそれない。ししの子もまた同じである」(御書1190㌻、意味)
 「しし王」とは、すべての動物の頂上に立つ王者です。
 堂々たる「ライオンキング」です。
 「しし王」は、どんな強い相手にもおそれません。何があっても、おそれずに前進していきます。
 この一番強い「しし王の心」が、みんなの生命の中にあります。それを「取り出す」力が題目です。
 「南無妙法蓮華経」は、何ものにも負けない「しし王の心」をあらわした名前です。
 みなさんは、自分の名前を呼ばれたら、「はい!」と元気に返事をしますね。
 同じように、「南無妙法蓮華経」と唱えれば、自分の中から「しし王の心」が呼ばれて、あらわれてくるのです。勇気も、知恵も、生きる力も、思いやりの心もわいてきます。題目を唱える人は、最も強く、最も偉大な生命を輝かせていけるのです。
 創価学会の初代会長・牧口常三郎先生は、「しし王のように堂々と立て!」と叫ばれ、戦争中は正しい人をいじめ苦しめる権力と、戦いぬかれました。
 この牧口先生の弟子として、戦後、「地球上から、すべての不幸と悲しみをなくしたい」と、「しし王の心」を燃やされたのが、第2代会長・戸田城聖先生です。
 私は19歳で、戸田先生とお会いしました。
 題目を唱えぬいて、病気にも打ち勝ちながら、戸田先生の夢をすべて実現してきました。
 しし王に続く人が、ししの子です。
 未来を担うみなさんは、一人ももれなく、ししの子です。
 ししの子は強い。
 ししの子はおそれない。
 ししの子は全力で走る。
 ししの子は正義を叫ぶ。
 ししの子は友を守る。
 ししの子は負けない。
 たとえ今は、勉強が苦手でも、体が弱くても、いじめられることがあっても、お家が大変でも、みんな、ししの子です。だから、くよくよしないで大丈夫! ししの子は、必ず、しし王となるからです。
    * * *
 なかなか自分の思うようにいかず、勇気が出なかったり悩みにくじけそうになることもあるかもしれない。
 その心を、仏法では「みがいていない鏡」にたとえています。どんなにすばらしい鏡も、くもったままでは何もうつりません。しかし、みがけば、どんどん輝きます。
 心も同じです。題目を唱えることは、心を最高にみがいていくことなのです。題目を唱えれば、生命が光ります。やる気も元気もみなぎり、頭もさえてきます。
 この題目は、今や、世界192カ国・地域に広がっています。みなさんと同じ年ごろの少年少女も、たくさんいます。
 英語やポルトガル語、スペイン語、韓国語など、話す言葉はちがっても、みんな、「ナンミョウホウレングキョウ」と唱えています。
 題目は、世界共通、人類共通の言葉です。今、このしゅんかんも、地球のどこかで、題目の声が、ひびき渡っているのです。
 テレビの電波は、目には見えないけれど、つながっているように、題目を唱えることで、心と心も、いつでも、どこでも、つながることができます。つながることができます。
 私は、みなさんの成長と幸せを祈りに祈っています。だから私の生命と、みなさんの生命は、題目でつながっています。
 いつも、いっしよに生きているのです。
 どうか、きょうも朗らかに題目を唱え、ししの子らしく、自分の夢に向かって、胸を張って前進していってください。
 愛するみなさんが、しし王に育って、夢をかなえながら、世界のために堂々と活躍してくれることが、私の最大の夢です。
 最後に、進学、進級した子どもたちに寄せた戸田先生の詩を、みなさんの成長と勝利を願い、おくります。

 歌え 朗らかに 春の曲
 舞え 軽やかに 春の舞
 伸びよ おおらかに
       真っ直ぐに
 春は 四月は
      我らのものだ

第13回 平和の三色旗とともに(2013.5.1 少年少女きぼう新聞掲載)

 1年生のみなさん、学校は楽しいですか? 進級したみなさんも、元気かな?
 5月は、空も風もさわやかな季節です。
 木々の緑もあざやかな道を、いっしよに散歩するような気持ちで、語り合おう!
    * * *
 きょうは、「平和」について、いっしょに考えたいと思います。
 みなさんは、大科学者のアインシュタイン博士の名前を聞いたことがありますか?
 おそろしい核兵器をなくすために立ち上がった、平和のリーダーでもあります。
 私の恩師である戸田城聖先生は、アインシュタイン博士がアメリカから日本にやって来た時の講演を、師匠の牧口常三郎先生とともに聞かれました。そのことを誇りとして私たち青年に語ってくださいました。
 その偉大なアインシュタイン博士が、世界を平和にするために、いちばん大事だと語っていたことがあります。
 それは、「われわれの考えを変え、人の心を変えること」です。
 本当に、その通りだと思います。心が心を動かしていく。心が心を変えていきます。私たちにとって、その一番の力のみなもとが、信心です。
 みなさんのお父さん、お母さん、おじいさん、おばあさん、学会の同志の方々は、真心から人をはげまし、人を笑顔にしてきました。今も、毎日、行動しています。
 みんなの笑顔があるところに、希望が生まれる。幸福が広がる。平和が光る。
 たとえ、つらく悲しいことがあっても、人をはげませば、自分も元気になる。はげまされた人も、明るく笑顔になる。
 こうして、はげまし合って、人々の心を明るくし、笑顔をふやして、世界に平和の心を広げてきたのが、創価学会の歴史です。
 そのはげまし合いの輪は、今、SGI(創価学会インタナショナル)に発展し、192カ国・地域にまで広がっています。
 その原点の日が、5月の3日。私たちの「創価学会の日」なのです。
 今から62年前の1951年(昭和26年)の晴れわたる5月3日、戸田先生は世界から不幸をなくそうと、学会の第2代会長に就任されました。
 そして私も、1960年(昭和35年)の同じ5月3日、その師匠の心を受け継いで第3代会長に就任しました。
 5月3日は“学会のお正月”ともいわれます。「人間革命」と「広宣流布」という理想を目指して、新しい一年の目標や決意を立てて、勢いよく出発する日なのです。
 どうか、みなさんも、何か一つでも目標を決めて、新たなチャレンジを開始してみてください。
    * * *
 この学会の大切な日である5月3日は、「創価学会母の日」でもあります。
 だれよりも苦労して、がんばってくれている「創価のお母さん」に、みなで感謝し、最大にほめたたえる日です。
 日本では、5月の2番目の日曜日が“母の日”となっていますが、二重にお祝いしたいので、私から提案しました。今年で、25周年になります。
 みなさんも、5月3日には、私にかわって、お母さんや婦人部の方々に「いつも、ありがとう」とお礼を言ってくださいね。
 もう一つ、25年前に、私が提案したことがあります。婦人部の新しい旗をつくることです。すばらしい旗ができました。
 赤・黄・青色の三色で、まん中に「白ゆり」の花が、えがかれていました。
 この旗をふってみると、それだけで周囲が明るくなりました。まさに、創価のお母さんたち、そのものです。
 そして、この旗がもとになって、学会の「三色旗」ができました。
 赤は「勝利」、黄は「栄光」、そして青は「平和」という意味がこめられています。
 あの地でも、この地でも、三色旗をふって、学会はほがらかに前進してきました。
 かつて、関西のある少年部の友が、三色旗を見た友だちから、「これは、どこの国の旗?」とたずねられました。
 少年は、胸を張って答えてくれました。
 「SGIという、民衆の王者の旗やねん!」
 少年少女部のみなさんが目指す2030年は、学会の創立100周年です。
 その時、みなさんは、20代の、りりしい若きリーダーに成長している。私は楽しみでなりません。
 この「広宣流布」の道は、万年の未来まで続く道です。
 みなさんが世界の大舞台でかつやくする時代には、地球上のどこへ行っても、三色旗が“生命を大切にする希望と幸福の旗”として、ひるがえっているようにしていきたい。戦争なんか時代おくれという、平和な世界をつくりたいのです。
 ともあれ、広宣流布の大運動は、始まったばかりです。いよいよ、これからです。
 学会の未来にとって、いちばん大切な人は、だれだと思いますか?
 それは、後を継ぐ「後継者」です!
 すなわち、みなさんです!
 人類の未来は、みなさんの心の中にあります。私は、みなさんへの最大の尊敬と期待をこめて、1976年(昭和51年)に、5月5日の「こどもの日」を「創価学会後継者の日」としました。そして未来部の指針として、次の6項目を贈りました。
 1、健康でいこう
 2、本を読もう
 3、常識を忘れないでいこう
 4、決してあせらないでいこう
 5、友人をたくさんつくろう
 6、まず自らが福運をつけよう
 今回ここに、私は7つ目として、
 7、親孝行しよう
 をつけ加えたいと思います。
 人の幸せを祈り、行動する、みなさんのお母さんはえらい。お父さんもまた、本当にえらいんだ。だから、親孝行してあげてほしいんです。
 親孝行すれば、お父さん、お母さんの心を明るくすることができる。そのお父さん、お母さんが、まわりの人をはげませば、その人の心が明るくなる。また、その人が、ほかの人をはげませば……そう、世界中の人の心を明るくすることができます。
 アインシュタイン博士は、人の心を変えるには、「家庭や近所から始める」ことだとも言っています。「広宣流布」という、1万年先まで続く平和と幸福の大運動は、お父さん、お母さんに「親孝行すること」から始まります。
 みなさんの親孝行によって、広宣流布を一歩前進させることができるのです。
 むずかしく考える必要はありません。
 日蓮大聖人は、一日に2、3回、笑顔を見せるだけでも、りっぱな親孝行である、と言われています。お父さん、お母さんのためにと勉強することも、すべて親孝行なんです。「心こそ大切」です。
    * * *
 木の葉っぱを見てごらん。今は毎日、緑がこくなっていきます。太陽のエネルギーを吸収して、ぐんぐん成長しています。
 今年の新緑は、とくに勢いを感じます。
 気がつかないかも知れないけれど、みなさんも、毎日毎日、必ず成長しています。
 私は、みなさんが、一人ももれなく立派に育ち、“創価の大樹”として、日本の、そして、世界のあの地この地で、堂々と、そびえ立っている姿が目にうかびます。
 きょうも、三色旗とともに、ほがらかに! 私といっしよに出発しよう。


※参考文献はウィリアム・ ヘルマンス著、雑賀紀彦訳『アインシュタイン、神を語る』(工作舎)。


第14回 みんなの舞台は「世界」!(2013.6.1 少年少女きぼう新聞掲載)

 きょうは、目の前に、地球儀を置き、世界地図を開いて、いっしょにながめるような気持ちで、語らいを進めましょう!
 今年も、5・3「創価学会の日」をお祝いして、世界のあの地この地で、明るく、にぎやかに記念の集いが行われました。
 赤道のまわりの一年じゅう暑い国でも、北極や南極に近く冬の寒さがきびしい国でも、私たちの同志は活躍しています。
 草原の国、森の国、砂漠の国、高い山がそびえ立つ国、大きな川が流れる国……。
 今や、わがSGI(創価学会インタナショナル)は、192カ国・地域に広がりました。
 私は、毎日、世界の友が元気に前進している様子を、うれしくうかがっています。
 世界中、みなさんがどこに行っても、メンバーが家族のように温かく迎えてくれる時代に入っています。
    * * *
 私が小学5年生の時でした。
 担任の檜山浩平先生が、教室にはってあった大きな世界地図の前で、クラスの一人一人に質問されました。
 「みんなは世界のどこに行きたいかな?」
 それぞれ地図の上の好きな場所を指さしました。私は、おとなりの中国の西のほう、広々としたアジア大陸の真ん中あたりをさしました。
 “このあたりは砂ばくなんだろうな”と思っていると、檜山先生は、こう言われました。
 「池田君、そこは『敦煌』といって、すばらしい宝物がいっぱいあるところだぞ」
 それ以来、「敦煌」は、不思議な、あこがれの場所として、心にきざまれました。
 やがて、私は「敦煌の守り人」と呼ばれた中国の画家・常書鴻先生とも、深い友情を結ぶことができました。
 私が創立した東京富士美術館では、敦煌の色あざやかな壁画や貴重な宝物を紹介する大展示会を行うこともできました。
 私が書いた創作童話『さばくの宝の城』も、この敦煌が舞台となっています。
 すべて、小学生の時の気持ちが出発点となって、大きく花開きました。
 みなさんも、地球儀や地図を見ながら、「どんなところだろう?」 「いつか行つてみよう!」と、夢を広げてみてください。
    * * *
 本を読むことは、心の旅をすることです。
 みなさんは、『ロビンソン・クルーソー』という本を読んだことがありますか?
 イギリスのデフォーという作家が300年ほど前に書いた冒険物語です。
 ──イギリスに生まれたロビンソン青年が、海にあこがれ、船乗りになります。しかし、ブラジルから航海に出たところで、嵐にあい、たった一人、小さな無人島に打ち上げられてしまいました。わずかな食べ物と道具をたよりに、島での生活を始めるお話です。
 私も、この本を読んでは世界地図を開き、いっしよに冒険の旅を続け、自分だったら、どうするだろうと思いをめぐらせたことを思い出します。
 人生の師匠である、創価学会の第2代会長・戸田城聖先生も、この本を教材にして、私たち青年に、「どんな人生の荒波にも、たくましく立ち向かい、勇気と知恵をはっきして生きぬいていくんだよ」と教えてくださいました。
 幼い時から病弱で、医者から「30歳まで生きられない」と言われた私でしたが、イギリスにもブラジルにも行って、すばらしい友情を結ぶことができました。
 みなさんの舞台も、「世界」です。
 世界地図は、21世紀の主役であるみなさんへの「招待状」です。
 世界が、みなさんを呼んでいるのです。
 本を読むなかでも、時に地図を開き、世界で活躍するその日を思いえがきながら、心広々と力をつけていってください。
    * * *
 6月6日は、初代会長・牧口常三郎先生のお誕生日です。
 先生は偉大な教育者であり、それまで、だれも発表したことのない、新しい地理学の本を書かれた優れた学者でした。
 その『人生地理学』という本で、牧口先生は、“たとえば、自分が身にまとっている服は、南アメリカ、もしくはオーストラリア産のヒツジの毛を原料にし、イギリスの鉄と石炭を使ってイギリス人がつくってくれたものである”と述べられています。
 身の回りを見わたしただけでも、私たちの日々の生活は、外国と切っても切りはなせない関係がある。だから、牧口先生は、世界の人々への「感謝」を語られているのです。
 みんなの中には、パンが好きな人がいるでしょう。その原料の小麦は、アメリカやカナダ、オーストラリアなど、海外から約9割が輸入されています。
 車や飛行機を動かすエネルギーとなる石油は、ほとんどすべてが輸入され、サウジアラビア、アラブ首長国連邦などの中東の国々に、その多くをたよっています。
 また、家を建てるのに必要な木材も約8割がカナダ、ロシアなどからのものです。
 つまり、私たちの生活は、海外の国々によって支えられているのです。
 世界の人々は、みんながつながって生きている。だから、世界は絶対に平和でなければならない──と牧口先生は教えられました。そして、戦争へと暴走してしまった当時の日本の軍国主義と戦って、迫害され、獄死されたのです。
 この師匠の心を受けついだ戸田先生は、叫ばれました。
 「将来、だれもが、幸せをかみしめることができて、国境や民族のかべのない地球民族主義の平和な世界を築かなければならない」と。
 その通りに、世界に友情と平和の心を広げてきたのが、私たち創価学会であり、SGIなのです。
 SGIを発足した時、私は署名簿の国籍を書くところに「世界」と記入しました。それは、世界市民の一人として、人類の幸福のために永遠に行動し続ける、との誓いだったのです。
 私は、その使命のバトンを、みなさんに託したいのです。
    * * *
 国によって、世界地図も変わります。
 ヨーロッパの地図では、日本は右端の位置になります。南半球のオーストラリアでは、日本の地図と上下がさかさまになっている世界地図もあります。
 どこも、それぞれに世界の中心なのです。そして、だれもが、世界中の人々とつながり、世界中の人々に支えられて生きています。
 そのことに気づいて、まわりの人に感謝でき、みんなと仲良くし、みんなのために尽くしていける人が、世界市民なのです。
 世界市民として生きぬいた創価の三代に続くみなさんもまた、偉大な世界市民となることは、まちがいありません。
 さあ、地図を広げよう!
 平和な未来をめざして、いっしよに心の大航海に出発しよう!

第15回 書けば未来が輝きだす!
 (2013.7.1 少年少女きぼう新聞掲載)

 7月は、1年の折り返し地点です。マラソンでいえば、ここからが勝負です。
 地球の北半球では夏。南半球では冬。
 どちらも、若き生命のきたえの季節です。
 日本中、世界中の未来部のみなさんが、健康で元気に成長していくよう祈りながら、きょうも私は書いていきます。
    * * *
 日本では昔、7月のことを「ふみづき」「ふづき」と呼び、「文月」と書きました。これは、7月7日の「七夕」の日に、願いごとを書いて、飾ったからだといいます。
 今でも、七夕には、願いごとを書いた短冊を笹に飾るでしょう。
 昔の人は、「書くことが上手になりますように」という願いごとが多かったようです。文字や文章が、うまく書けるようになりたいと、みんな願っていたんだね。
 みなさんは、どうですか?
 学校の授業や宿題で「作文」が出ると、「いやだなあ」「文を書くのは、苦手だなあ」と思ってしまうかな? スラスラと書いている友だちを見て、あんなふうに書けたらいいなと思う時もあるかもしれない。
 でも、大丈夫! だれでも「書く力」をもっているからです。
 日蓮大聖人は、「言葉というのは、心の思いを響かせて、声としてあらわしたものをいうのです」(御書563ページ、意味)と言われています。
 みんなが、見たり、聞いたり、学んだりして、心の中に出てきた思いを、「口」でしゃべれば「声」になる。それを「手」で書けば「文章」になる。あとは、その力をのびのびと引き出していけばいいんです。
    * * *
 私も、小学1年生の時、学校の先生に作文をほめられた思い出があります。
 みんなの前だったので、てれくさかったのですが、先生が「とてもよく書けています」と言ってくださったのです。
 自分では、よくわかりませんでしたが、見たまま、思ったまま、感動したまま、むちゅうで書いたことを覚えています。
 友だちからも「大ちゃん、すごいね」と言われ、作文が大好きになりました。
 好きになってからは、さらに文をたくさん書きました。本を読んでは、好きな文章をノートに書き写したり、感想を書いたり、日記を書いたりもしました。
 こうした積み重ねが、やがて原稿や小説を書くことにも、つなかっていったのです。
 自分で「文を作る」のが、苦手だったら、「文を書き写す」ことから始めても、いいんじやないかな。先生が黒板に書いた文や、本を読んで、これはいいなと思った言葉など、忘れないうちにノートやメモに書き写してみるんです。マンガで感動したセリフでもいいんだよ。
 ともかく、手を動かして文を書く。このくりかえしが、大きな力になる。
 文字に書いてみると、自分の思いが、さらにはっきりしてきます。ふしぎなもので、書いているうちに、何を書けばいいのか、わかってくるのです。
 どんな勉強も、書くことにつながっています。だから、学び成長していけば、文章を「書く力」もいっしよに成長していくのです。
    * * *
 だれにでも、心に残る文章があります。
 みんなは、野口英世博士の名前を聞いたことがあるかな? 福島県出身で、世界で活躍した医学者です。この野口博士の苦しく大変な研究生活の支えになったのが、お母さんの手紙です。
 学校に行けなかったお母さんは、何度も何度も、字を書いて練習したといいます。
 その手紙は、こう始まっています。
 「おまイの。しせにわ。みなたまけました。わたくしもよろこんでをりまする(あなたの出世には、みんな驚きました。私も喜んでおります)……」
 一文字、また一文字、一生けんめい、書かれた母の手紙を、息子である博士は、涙を流して読みました。そして、このお母さんの愛情を力にして、さらに多くの人の命を救っていったのです。
 気どった文を書く必要はありません。大切なことは、自分の伝えたい思いを、真心をこめて書けるようになることです。
 心がこもった文は、人の心を打つ。悩み苦しんでいる人を励ます力があります。
    * * *
 「ペンは剣よりも強し」といいます。
 暴力や武力は、人をおどかしたり、傷つけたりすることはできても、人の心までは動かすことはできない。本当に強いのは、ペンの力であり、言葉の力です。
 おとなりの中国には、「文章を書くことは、後世に伝わって永久に滅びることのない、偉大な仕事である」という言葉もあります。
 勇気をもって書いた正義と真実の文は、時代をこえて未来へと残っていくのです。
 私も、師匠である戸田城聖先生のもとで、「書く力」を身につけました。
 そのおかげで、どんなことがあっても、世界の平和と人類の幸福をめざす広宣流布の道を開くために、書いて、書いて、書きまくることができました。
 時には、あまりに書きすぎて、手がはれ、肩が上がらなくなることもありました。
 熱があって体調が悪かった時には、原稿を1枚仕上げるたび、「正」の字を1画書いて枚数を記録しながら、一冊の本を書き上げたこともありました。
 書くことが、そのまま私の人生であると言っても、言いすぎではありません。
 友のために! 未来のために! 大切な大切な、みなさんのために!
 21世紀の大指導者に育ちゆくみなさんも、どうかペンの力で、言葉の力で、創価の心、すなわち、命を大切にする心、友情の心、正義の心、勇気の心、平和の心を、世界に伝え、広げていってください。
    * * *
 夏の伝統の「作文コンクール」で、長年、しんさ委員をされていた先生が、アドバイスをしてくださったことがあります。
 それは、作文の中に「お・お・き・い・み・かん」を入れるというお話でした。といっても、食べる「みかん」のことではありませんよ。
 作文を書く時は、「おと(音)」「おもった(思った)こと」「きいた(聞いた)こと」「いった(言った)こと」「みた(見た)こと」「かんじた(感じた)こと・かんがえた(考えた)こと」──この六つを書くといいというアドバイスです。
 それには、自分の目や耳、鼻、口、手、そして心という“六つのアンテナ”をピンと張っておくことが大切です。
 日ごろから身の回りで気になったこと、観察したことを書きとめておけるような「作文メモ」を持っていると、いいかもしれません。
 読書感想文なら、本を読んで、ふしぎに思ったこと、初めて知ったこと、おもしろかったことなどを書いてみよう。主人公の身になって「自分なら、どうするか?」と考えてみると、楽しさ百倍です。それを、そのまま書けばいいんです。
 友だちに、「ここがおもしろかったから読んでみて!」と、アピールするつもりで書いてみるのもいいでしょう。
    * * *
 さあ、少年少女部のみなさん!
 自分の思うこと、好きなことを、どんどん書いてみよう! きっと何かが変わる。
 みなさんの未来が輝き始めます。
 君が、あなたが、一生けんめい書いてくれた文章は、すべて私の宝物です。だから作文コンクールに挑戦してくれた全員に、できることならば、“山本伸一賞”という賞を贈りたい。「山本伸一は、私が若い時から使っているペンネーム(筆名)です。みんな、私と同じ心で文章を書いてくれる同志だからです。
 お父さん方、お母さん方、そして21世紀使命会のみなさんにも、大変にお世話になりますが、どうか未来っ子の“成長の夏”を見守り、励ましていただきたいと思います。
 「さあ、きょうは何を書こうかな?」
 この夏、私とともに、みなさんも新たな文章に挑戦しましよう!
2013-07-07 : 希望の大空へ :
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